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会社設立の基礎知識

失業保険は個人事業主になるときもらえる?要件や申請方法を確認

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個人事業主の失業保険のイメージ

会社を退職したあと、個人事業主という道を選ぶ方もいることでしょう。初めて個人事業を開業するとなれば、迷うことも多いものです。会社から会社に転職する場合と、個人事業を開業する場合とでは、失業保険にも違いはあるのでしょうか?

ここでは、個人事業を目指す際の失業保険について、その要件や申請方法を詳しく説明します。

そもそも失業保険(失業手当)とは

個人事業主の失業保険のイメージ

失業保険とは、仕事を辞めたあと経済的な窮地に陥らないよう、失業している間の生活を守り、スムーズな就職を支援する制度です。失業保険により、失業中であっても、収入がストップしてしまうのを防ぎ、次の働く企業が決まるまでじっくりと転職先を探せます

失業保険(失業手当・失業給付金)とは、正式には、雇用保険における失業等給付制度により定められた基本手当を指します。そのため、失業保険の給付を得るには前もって雇用保険に入り、保険料を支払っている必要があります。

また、次の就職への意志と能力を持ち、実際に求職活動を行っていることも条件です。

個人事業主として開業するとき失業保険をもらえる?

個人事業主の失業保険のイメージ

失業中は無職のため収入もなく、生活への不安を感じることも多いでしょう。そのとき気になるのが、失業保険をいつから受け取れるのかという点ではないでしょうか。失業保険を受け取れるタイミングや期間を説明します。

失業保険をもらえるタイミング

失業保険はハローワークで求職を申し込んだあと、待機期間の7日以上が経ってから受け取れます。ただし、これは会社の都合で辞めた場合です。自分の都合で職を離れた場合は、その7日間に加えて2ヵ月の期間を要します。

また、申請してすぐ所定の銀行口座に振り込まれるわけではありません。振り込みが行われる時期は各自治体ごとに異なっているので、いつなのか気になる場合は申請を行ったハローワークで確認しましょう。

失業保険をもらえる期間

失業保険をもらえる期間は、職から離れた日の翌日から数えて1年間ですただし、仕事を辞めたあと、ハローワークでの求職申し込みが遅れてしまうと、本来もらえるはずだった日数分の失業保険が受け取れない場合もあります。

退職したあとは、なるべく早めにハローワークで失業保険の手続きを行いましょう。また、初回の失業保険が給付されたあと、定期的に支給を受けるためには、4週間ごとにハローワークを訪れなければならないため注意が必要です。

個人事業主として開業するとき失業保険をもらえる要件

個人事業主の失業保険のイメージ

失業保険は誰もが必ず受けられるものではありません。失業した際に要件をクリアしていることが要件です。個人事業主として開業する場合、求められる失業保険の要件を説明します。

失業の状態にある

失業保険をもらうためには、失業の状態であることがまず第一の要件です。仕事に就けないからではなく、いつでも就職できる能力を持っているにも関わらず失業している場合に限られています

例えば、入院・妊娠・出産などの理由ですぐに就職できないというのであれば、失業保険は支給されません。また、定年退職をしたあとに休養しようと思っている場合や、結婚を機に専業主婦になる場合も失業保険の範囲に該当しません。

被保険者期間がある

被保険者期間とは雇用保険の保険料を支払っていた期間を指します。自分の都合で退職したり定年退職したりした場合は、職を離れる以前の2年間に、保険に加入していた期間が通算で12ヵ月以上あることが要件です。

しかし、特定受給資格者や特定理由離職者など、会社の都合で退職した場合は、その限りではありません。特定受給資格者とは、会社が倒産したりリストラで解雇されたりした際、転職の用意をする猶予を与えられず、余儀なく離職した人を指します。

特定理由離職者は、特定受給資格者に該当する以外の理由で、契約更新がされなかった場合などに離職した人のことです。特定受給資格者や特定理由離職者は、職を離れる以前の1年間に、保険に加入していた期間が全部で6ヵ月以上あれば失業保険の対象です。

就職活動をしていた期間がある

失業保険を受け取るためには、就職への意思があることが要件であるため、就職活動を行っていた期間の存在が必要です。

例えば、会社員が前の会社を辞めたあとにハローワークを訪れ、求職の申し込みして就職先を探していた場合は、失業保険の対象に該当します。就職への積極的な意思があると見なされるためです。

これと同様に、会社を辞めたあと就職活動を行い、結果的に個人事業主として開業することになった場合は失業保険の対象と見なされます。

退職後4年以内に廃業している

会社を辞めたあと、すぐに個人事業主として開業すると、就職活動の期間が認められないことから、失業保険は支給されませんしかし、個人事業主の場合、会社を辞めてから4年以内に新しく始めた事業を廃業した場合、失業保険の対象とされるケースがあります。

基本的に失業保険の受注期間は職を離れた翌日から1年以内です。しかし、2022年7月の法改正で、雇用保険受給期間に関する特例により、個人事業主の場合には最大3年、失業保険の対象期間が延長されています。

失業保険を受け取れる期間は同じ通算1年間ですが、開業してから3年の間は、失業保険の受給期間に含まれません。そのため開業している間の3年に、1年間の受給期間を加え、失業保険の対象期間は4年間となります。

ただし、雇用保険受給期間の特例は事業を開始した日の翌日から2ヵ月以内の申請が必要ですので注意しましょう。

個人事業主として開業するときは再就職手当ももらえる?

個人事業主の失業保険のイメージ

再就職手当は、失業保険の対象者が早期就職を果たした際に受け取れます。言わばお祝い金のような意味合いを持っているのが、この再就職手当の特徴です。では、個人事業主として開業した場合、再就職手当の支給を受けられるかを説明します。

再就職手当をもらえる要件

再就職手当は雇用保険に含まれる就業促進手当の一種です。再就職手当は失業中の人の転職を促進させる目的で設置されており、早く再就職すればするほど支給される金額が増加します。

会社を辞めたあと、個人事業を開業した場合でも再就職手当はもらえます。ただし、再就職手当を受け取るためには、複数の要件すべてに当てはまる必要があります。

  • 就職や事業開業の前日までで、失業保険の支給期間が所定の給付日数の3分の1以上ある場合
  • 1年以上にわたって確実に仕事を続けられると認められた場合
  • 失業保険の支給される待機期間が終了後、就職したり事業を開業した場合
  • 職を離れた理由によって給付制限を受けている際は、待機期間が終わったあとの1ヵ月間について、ハローワークなどの求人紹介により就職した場合
  • 退職した会社と同じ職場や、関連している事業主からの雇用ではない場合
  • 就職した日より前の3年以内に再就職手当などをもらっていない場合
  • ハローワークに求職の申し込みをする以前から雇用が決まっていない場合
  • 原則的に、雇用保険の被保険者資格要件を満たしている就職である場合

自分の都合で職を離れた場合、実際に失業保険が支給されるまでには、待機期間7日間に加えて2ヵ月を要します。

職を離れた理由により給付制限を受けている場合とは、その待機期間が終わったあとの1ヵ月間について、ハローワークなどの求人紹介により就職しなければ再就職手当を受け取れないという意味です。

参考:再就職手当について|厚生労働省

再就職手当をもらうための手続き方法

個人事業を開業し、再就職手当の支給を受けるためには次のような手続きを行います。また、再就職手当の申請する際には、まず失業保険の要件を満たしてからでないと支給を受けられません。

失業保険の要件に関しては前述を参考にしてください。

  1. ハローワークに離職票を出す
  2. ハローワークで求職の申し込みを行う
  3. 雇用保険説明会に出席する
  4. 失業認定を受ける
  5. 開業届は税務署に提出する
  6. 再就職手当支給申請書などの書類を用意する
  7. ハローワークに書類を提出し再就職手当の申請を行う

ハローワークに再就職手当の申請をすると、提出した書類を参考にして審査が行われます。

審査を通過し、再就職した職場で1ヵ月後も働いていることが認められたら、ハローワークから支給決定通知書が届きます。再就職手当はその通知が届いた約1週間後、申請者の銀行口座へ振り込まれます。

個人事業主として開業するとき失業保険はいくらもらえる?

ここでは失業保険の金額について、その計算式と支給額の上限を紹介します。個人事業主として開業する際には、失業保険をどの程度もらえるのか参考にしてみてください。

失業保険の計算式

失業保険で受け取ることのできる1日分の金額は、基本手当日額と呼ばれています。原則的に基本手当日額は、職を離れた日の直前6ヵ月間に支払われた給与の合計を、180で割ることで算出されます。

この際、給与に賞与は含まれず、計算で出された金額は賃金日額と呼ばれます。基本手当日額は賃金日額の約50~80%であり、60歳から64歳にかけての場合は45~80%と定められています。

計算式にまとめると、次のようになります。

  • 賃金日額=「職を離れた日の直前6ヵ月間に支払われた給与の合計」÷180
  • 基本手当当日額=賃金日額×45~80%
  • 失業保険の支給合計=基本手当日額×支給日数

失業保険の計算式では、給与の低い場合ほど支給される際の率は高くなります。また、失業保険と再就職手当は非課税であり、所得税などもかからないために確定申告や年末調整をする必要はありません。

失業保険には上限がある

失業保険の計算式に用いられる基本手当日額には、年齢ごとに上限があります。注意が必要なのは、それぞれの年齢が職を離れた時点のものだということです。基本手当日額は次のように定められています。

  • 30歳未満:6,945円
  • 30歳以上、45歳未満:7,715円
  • 45歳以上、60歳未満:8,490円
  • 60歳以上、65歳未満:7,294円

基本手当日額の上限額は変動する可能性があります。現在、失業保険をいくらまでもらえるのかを事前に知りたい際には、厚生労働省の公式HPなどから確認してください。

参考:ハローワークインターネットサービス – 基本手当について

失業保険の嘘は会社やハローワークにバレる?

失業保険は、給付中に再就職が決まると、そこで支給がストップします。だからと言って失業保険を受け取っているにも関わらずアルバイトやパートを行うことはできません。

その場合は、不正受給に該当し、失業保険を打ち切られるほか、これまで支給された分の返還を求められます。

さらには返還に加えて、不正行為で受けた支給額の2倍以下の金額を納付するようを命ぜられる可能性があります。また、不正受給は会社やハローワークにバレる可能性が高いです。

アルバイトやパート、正社員が雇用保険に加入した際は、その手続きがハローワークで行われるためです。ハローワーク自らの調査により不正受給が発覚するケースもあります。

失業保険に関する偽りの申告など、不正受給はバレた際のリスクが高いため絶対にやめましょう。

参考:ハローワークインターネットサービス – 基本手当について

失業保険をもらえるかもらえないかパターンから考えよう

失業保険の支給を受けられるかどうかは、その人の退職理由や就職の状況で変わってきます。それぞれのパターンごと、具体的に考えてみましょう。

会社を退職直後に個人事業主として開業したケース

会社を辞めたあとに個人事業を開業する場合、失業保険を受け取るためには、開業届を提出するタイミングに気をつける必要があります。開業届は個人事業を開始してから1ヵ月以内に提出しなくてはならないと法律で定められています。

しかし、その一方で、期限に遅れたからと言ってペナルティが科せられることはありません。できる限り期限を過ぎないように提出することをおすすめします。

また、退職直後に開業届を提出すると失業保険を受けられない可能性があります。個人事業の開業は、次の職に就いたことと同等に扱われるため、開業届の提出後は失業保険の対象からはずれます。

失業保険の支給を受けられるのは、開業届を提出し、個人事業主としてスタートする前までです。個人事業を開始したあとは失業保険をもらえないので、開業届を提出するタイミングには注意しましょう。

会社を解雇されてフリーランスとして働いていたケース

会社の都合で解雇され、その後すぐにフリーランスとして働いていた場合は、職を離れた理由に関わらず失業保険を受けられません。

失業保険は職を失っている人のための制度であるため、失業している期間がない場合には対象からはずされます

フリーランスで働いていて休業・廃業したケース

個人事業主と同様に、フリーランスの場合も休業・廃業をした際には雇用保険受給期間の特例が適用されます。

これにより、フリーランスになる前の会社で雇用保険に加入していれば、対象期間が4年延長されていることから失業保険を受けられる可能性があります。

副業を持っているケース

会社を辞めたあと、副業を続けていた場合は、たとえ申請を行っても失業保険や再就職手当は受給されません。

副業で収入を得ているため、失業していた期間がないと見なされます。副業を持っている際は、失業保険の不正受給に該当しないように気をつけましょう。

アルバイトや派遣で1年未満にわたり働いていたケース

失業保険の支給を受けるためには、原則的に、退職した会社で1年以上にわたり雇用者保険に加入していなくてはなりません。

そのためアルバイトや派遣であっても、雇用保険に1年以上入っていれば、退職した際に失業保険を受給できます。しかし、1年に満たない短期間のみ働いていた場合には、失業保険の対象からははずされます。

失業保険や個人事業主の確定申告については税理士が丁寧にお答えします!

失業保険の支給を受けるためには、複数の要件をクリアしなくてはなりません。また、個人事業主の場合は、開業届のタイミングなど専門知識を備えていると、経済的な面で有利に事を運べます。

確定申告においても、失業保険は所得税を申告する必要がないものの、新たな事業を展開することで確定申告書の書き方も変わってくる可能性があります。

このように個人事業を開業した際は、失業保険や再就職手当の申請手続きに加え、確定申告も行う必要があり多忙です。

負担が多く、本来の業務にまで支障をきたすようであれば、1度税理士に相談してみてはいかがでしょうか。

小谷野税理士法人では個人事業主の開業に適した税の提案や、確定申告の代行サービスを提供しています。

新たな事業の展開を機に、ご利用をお待ちしています。

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。

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今野 靖丈

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