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法人の節税対策10選知っておきたい裏ワザも

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法人の節税対策10選知っておきたい裏ワザも

株式会社や合同会社といった法人を運営する場合、法人税を納税する義務を負います。法人の運営者の中には、できるだけ税金を少なく抑えたいと考えているものの、具体的な方法が分からない場合もあるでしょう。そこで今回は、法人の節税対策について詳しく解説します。節税の考え方や具体的な方法、注意点についてご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

法人が節税をするには損金計上が効果的

損金計上

法人が節税するには、損金計上を増やすのが効果的です。

損金とは、法人の資産を減少させる原価や費用、損失から一定金額を除いたものです。

法人税を計算するために算出される課税所得は、益金(法人税上における会社の収益)から損金を差し引いて求められるため、損金が大きくなるほど課税所得が小さくなるため、節税につながります。

なお、税法上では課税所得を益金から損金を差し引いて算出しますが、会計上では収益から費用を差し引いて算出します。

益金と収益、損金と費用は似ているものの、それぞれの意味合いや役割は異なります。

例えば、益金と収益は事業運営で発生する収入という意味では同じですが、益金は税法上、収益は会計上の考え方になる点で異なります。

同じく損金は税法上の支出、費用は会計上の支出を意味します。

そのため、節税したい場合は税法上損金とできるかどうかが重要です。会計上は経費にできる場合でも、税法上は損金にできないケースもあるため、損金となる範囲を把握しておくようにしましょう。

具体的な節税対策10の方法

小規模企業共済のイメージ

次に、節税対策となる具体的な方法について解説します。以下の方法を実施することで、法人での節税効果が期待できます。

  • 社員の住宅を社宅扱いにする
  • 出張日当を支給する
  • 福利厚生費を手厚くする
  • 役員報酬を損金計上とする
  • 不動産投資で税金対策
  • 社用車を中古車にする
  • 法人保険に加入する
  • 中小企業向け共済に加入する
  • 赤字を繰り越す

以下より、それぞれの節税対策の具体的な方法について詳しく見ていきましょう。

社員の住宅を社宅扱いにする

社員の住宅を社宅扱いにすることで節税効果が期待できます。

住宅を法人名義で借り、経営者や従業員に社宅として貸した場合、法人が支払う賃料と入居者が支払う賃料の金額との差額は、会社の経費として計上できるため節税できます。

会社の経費として計上できる他、入居者も家賃を抑えられるため、法人・個人それぞれに節税効果が期待できます。

ただし、入居者が支払う賃料を無料にしたり、あまりにも安く設定すると現物支給とみなされて課税対象になる場合があるため、賃料は慎重に設定する必要があります。

出張日当を支給する

出張日当を支給することで、法人の経費として計上できるため節税効果が期待できます。

出張日当とは、出張にかかる食費や少額の費用の支払いに充てるための費用を指します。会社から支給する手当てとして扱うことができ、交通費や宿泊費などは実費精算ではなく一定の金額を支給するのが特徴です。

会社としては、出張が発生するたびに定められた出張日当を経費として計上することができます。例えば出張日当が1日1万円の場合、10日出張すれば10万円の経費計上が可能になります。

つまり出張日当の支払いが多いほど、節税効果は高くなるということです。

ただし、出張日当を活用して節税する場合にはいくつかの注意点があります。

まず、法人で旅費規程(旅行規程)を定める必要があります。旅費規程は、従業員による出張の目的や条件を明確にしなければなりません。

また、支給金額は同業他社と比べてかけ離れていない妥当な金額にする必要があります。

支給金額が高すぎる場合は、税務署に出張日当として認められない場合もあるため注意しましょう。

福利厚生費を手厚くする

福利厚生費は全額損金として計上できるため、福利厚生を手厚くすることで節税効果が期待できます。

福利厚生費とは、事業主が従業員のために支給する給与以外の費用を指します。

法人の福利厚生制度で支出する費用としては、大きくは以下の2種類に分けられます。

  • 法定福利費
  • 法定外福利費

一般的に福利厚生費といわれるのは、法定外福利費を指します。「法定外」となっていることからも分かるように、福利厚生費は法律による規定がないため、企業側が自由に決めることができます。

福利厚生費として扱えるものの一例としては、主に以下のものが該当します。

  • コンサートや舞台演劇などの芸術鑑賞のための費用
  • スポーツクラブの会費
  • 健康診断の費用
  • 従業員の旅費、レクリエーション費
  • 従業員が加入する保険の費用 など

ただし、福利厚生費として認められるためには以下の条件を満たす必要があります。

  • 社内規程を定めること
  • 従業員全員が対象となること
  • 社会通念上適当な金額であること

上記の条件を1つでも満たせない場合、福利厚生費として損金算入できなくなる可能性があるため注意が必要です。

役員報酬を損金計上とする

法人の節税方法として、役員に支払う報酬を損金として計上する方法が挙げられます。

役員報酬は一定の条件を満たした場合は、その費用を損金として計上でき法人税を抑えることができます。

損金算入できる役員報酬は以下の3種類です。

  • 定期同額給与
  • 事前確定届出給与
  • 業績連動給与

定期同額給与とは、1ヵ月以下の一定の期間ごとに同じ金額が支払われる役員報酬です。役員の自宅の家賃を法人が全額負担する場合に、役員に給付される金額が一定である場合は、定期同額給与に含まれます。

一方、残業手当やボーナスは定期同額給与に含まれません。

また、定期同額給与は事業年度開始から3ヶ月以内の変更しか認められないため、1年間は同じ金額が支給されるのが一般的です。

事前確定届出給与とは、既定の金額を指定した日程で支払うことを、税務署に事前に届け出た上で支払われる役員報酬を指します。役員のボーナスと考えれば分かりやすいでしょう。

所定の期日までに届出書を提出し、届出書に記載した金額を支払えば、事前確定届出給与を損金算入できます。

届出内容と異なる日や金額で支給された場合は、全額損金不算入となる点には注意が必要です。

業績連動給与は、会社の業績に応じた金額が支払われる役員報酬です。業績連動給与を損金算入するには、以下の条件を満たす必要があります。

  • 報酬の算定方法が客観的であること
  • 有価証券報告書に内容が記載され開示されていること
  • 通常の同族会社以外であること

つまり、株式公開を行っていない非上場の法人は業績連動給与を適用できません。

これらの役員報酬は、株主総会での決議などあらかじめ定められた方法で決定したのであれば金額の上限はありません。

ただし、税務調査で過大と判断されると損金算入が認められないため注意が必要です。

具体的には、役員の職務の内容や状況などから、役員報酬として適当かどうか(実質基準)、定款や株主総会の決議などに基づいた金額がどうか(形式基準)によって判断されます。

そのため、高額すぎない役員報酬の設定や届け出た内容通りの日程・金額での支払い、株主総会の議事録の作成が必要になります。

不動産投資で税金対策

法人として不動産投資を行うことで節税効果を期待できます。

投資した不動産の建物部分は減価償却費として損金に算入できるためです。

例えば、7,000万円のマンションを購入し、耐用年数が7年とすると、1年間に1,000万円の損金が発生することになるため、7年間は1,000万円を課税所得から差し引けます。

仮に赤字決算となった場合は、青色申告であれば赤字を繰り越しできます。

ただし、実際に減価償却できる費用は、購入する建物の耐用年数や減価償却率によって異なります。

また、不動産投資による節税効果は減価償却期間に限られるほか、不動産を売却した際に、売却額と減価償却費の合計が不動産取得費を上回る場合は課税対象となります。

社用車を中古車にする

社用車を所有している場合は、新車ではなく中古車にするという節税方法があります。

自動車は固定資産となり、購入費用は耐用年数に従って経費に計上(減価償却)することができます。減価償却費として算出される新車の耐用年数は6年、軽自動車は4年となっています。

中古車は新車よりも耐用年数が短くなるのが当然であるため、減価償却の特例が認められており、場合によっては購入金額の全額を経費として計上できるケースもあります。

たとえば、青色申告をしている中小企業者が、年度内に取得価額30万円未満の減価償却資産を購入した場合、年度内の全額経費計上が可能になります。

法人保険に加入する

節税効果はそれほど高くありませんが、法人向けの保険に加入するという方法もあります。

法人保険とは、会社が契約して経営者や役員が被保険者となる保険のことです。生命保険や損害保険、第三分野の保険の保険料を損金算入することで法人税を節税できます。

しかし、2019年に保険商品の損金算入ルールが変更され、解約返礼率が高い保険ほど、契約直後に損金算入できる金額の割合が少なくなりました。

契約してからある程度の期間が経過すれば、損金に算入できる保険料の割合は増加するものの、目先の節税効果はほとんどなくなっているといえます。

中小企業向け共済に加入する

中小企業向け共済に加した場合、全額損金として計上できるため節税対策として有効です。

中小企業向け共済には主に以下のものがあります。

  • 中小企業退職金共済
  • 経営セーフティ共済

中小企業退職金共済は、自社で退職金制度を制定するのが難しい中小企業に向けた共済です。法人が掛金を毎月支払って従業員の退職金を積み立て、従業員が退職する場合に中小企業退職金共済から退職金が支払われる仕組みです。

経営セーフティ共済とは、取引先が倒産した場合に中小企業が連鎖倒産や経営難になることを防ぐための制度です。担保なし、保証人なしで掛金の最大10倍(8,000万円を上限)まで借入ができます。

赤字を繰り越す

業績が赤字となった場合には、繰越欠損金として赤字を繰り越すことで節税ができます。

赤字を繰り越すことで翌年以降に黒字になった際に、過去の赤字(欠損金)と相殺できるためです。この制度を繰越欠損金といいます。

繰越欠損金を活用するためには、以下の条件を満たす必要があります。

  • 10年以内に開始した事業年度に欠損金(赤字)がある
  • 欠損金が発生した年度やその後も確定申告書を提出している
  • 欠損事業年度に青色申告で確定申告をしている
  • 帳簿などの書類を適切に保存している

なお、青色申告をしている法人で欠損金が発生している場合は、最大10年まで繰り越すことができます。

節税対策の注意点

中小企業で働く人が悩んでいるイメージ

法人で節税を行うのは良いことですが、やりすぎて脱税にならないよう注意しなければいけません。また、節税の範囲内であっても、あまりに非常識な経費を計上した場合、税務署に経費とは認めてもらえないケースもあります。

節税はバランスを見ながら程よく行うことを意識しましょう。

また、節税対策を講じたい場合は、税金のプロである税理士への相談がおすすめです。税理士に相談すれば、バランスよく効果的な節税方法を提案してもらえるほか、必要な手続きについてのサポートを受けられます。

本格的に節税をしたい、でもどの節税対策が行ったらいいのか分からないとお悩みの場合は、ぜひ小谷野税理士法人までお気軽にご相談ください。

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
税理士「今野 靖丈」

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