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会社設立の基礎知識

損害賠償金は課税対象?加害者から支払われたときの税金について

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事件や事故の加害者が、被害を与えた被害者に支払う損害賠償のお金を「損害賠償金」と言います。被害者側にとっては、損害賠償金の金額だけでなく課税の有無も気になるところです。損害賠償金は支払われる目的によって税務処理が異なるため、場合によっては課税されることがあります。損害賠償金と税金の関係や非課税・課税それぞれのケースなどについて詳しく解説しますのでぜひ参考にしてください。

損害賠償の概要

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損害賠償金について解説する前に、まず損害賠償の概要を説明します。損害賠償の種類は、債務不履行によって発生する損害賠償と不法行為によって発生する損害賠償の2種類です。

債務不履行による損害賠償

いわゆる契約違反が原因で起きた損害を対象とした補償を指します。

  • 履行遅延:商品の納品が納期に遅れた
  • 履行不能:譲渡予定の商品が破損し譲渡できなくなった
  • 不完全履行:予定通り商品を納品したものの注文内容と異なっていた

上記などが該当し、被害者は加害者に対して損害賠償金を請求できます。

不法行為による損害賠償

故意、もしくは過失が原因で起きた損害を対象とした補償を指します。暴行による怪我の治療代や誹謗中傷を受けたことによる慰謝料などがあります。

加害者の言動に違法性があったかどうかが重要で、例えばスポーツの試合中にルール通りプレーしていた中で相手に怪我を負わせてしまった場合は、違法行為がないため加害者の損害賠償義務は発生しません。

非課税となる損害賠償金の項目

事件や事故の被害者として損害賠償金を受け取った場合、気になるのはその損害賠償金が課税対象となるかどうかです。

基本的に損害賠償金は非課税ですが、不当利得や慰謝料の一部は課税対象となる場合があるほか、損害賠償金の受け取り方によっても課税される場合があるので注意しましょう。税務上非課税として処理される損害賠償について説明します。

積極損害

積極損害とは財産に関する損害を意味する財産的損害のひとつで、現実に発生した損害に対して支払われる損害賠償金です。

  • 入院による治療費
  • 通院による治療費
  • 入院や通院にかかる交通費
  • 診断書作成費
  • 車椅子や義足・義眼などの器具購入費
  • 交通事故による損壊した車両の修理費用や交換費用
  • 代車の費用
  • 障害や後遺症に応じた家屋などの改造費
  • 事故対応を依頼した弁護士費用

主に上記の損害が該当します。

消極損害

消極障害も財産的損害に含まれる項目で、事件や事故がなければ将来得られていたはずの利益を失ったこと(逸失利益)に対して支払われる損害賠償金です。

  • 休業損害
  • 後遺障害逸失利益
  • 死亡逸失利益

主に上記の損害が当てはまります。

精神的損害

精神的損害とは、精神に関する損害です。加害者が取った不法行為により受けた恐怖や悲しみ・痛みといった精神的な苦痛を指します。

財産的損害とは違い損害の程度を数値化するのは難しいですが、損害の内容や程度で損害賠償金の相場が決められています。なお、損害賠償金に関連する見舞金も基本的には非課税です。精神的損害に該当する代表的な損害は以下の通りです。

  • 配偶者の不貞行為による苦痛
  • 職場や学校でのハラスメントによる苦痛
  • 交通事故による怪我や後遺症
  • SNSなどでの名誉棄損による苦痛
  • 暴行による障害や後遺症

損害賠償金は、税法においては所得とみなしません。損害賠償金は損失を補うのが目的であって、新たな収益を生むものではないためです。

被害者の受けた損害をまったくゼロにすることは難しいものの、非課税とすることで被害者の経済的救済となり、負担の軽減につながると言えるでしょう。

損害賠償金に関する消費税の取り扱い

損害賠償金を受け取るにあたって、消費税が課税されるかどうかも把握しておきましょう。損害賠償金は被害者が受けた心身の損害を補填するために支払われるため、原則消費税は課税されません。

ただし、例外となるケースがあるので正しい情報を知っておくのがおすすめです。まず、損害賠償金がサービス提供の対価と見なされている場合は課税対象になる可能性が高いです。

例えば、企業が提供するサービス契約を途中で解除する際に違約金という名目で損害賠償金が支払われた場合は、実質的にサービスそのものの対価と解釈され、消費税が課税されます。

最終的には契約内容や契約締結の背景などを踏まえて総合的に判断されますが、サービス提供の対価とみなされないよう注意が必要です。

次に、損害賠償が商取引に直接関与する場合も、課税対象となる可能性があります。

例えば、製品の欠陥が原因で発生した損害賠償金が、その製品を購入するために消費者が支払った代金を返還する形と同等と見なされた時、元の取引が課税対象ならその損害賠償金にも消費税が課税されるでしょう。

このように、ケースによっては損害賠償金が消費税の課税対象になり得るため、自分で判断せず税務署や顧問税理士に相談しましょう。実際の取引内容や契約書を詳しく確認してもらえば課税対象の有無が明確となり、正確な税務処理ができます。

損害賠償金に課税されるその他の税金

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損害賠償金に課税される税金は消費税だけではありません。課税される税金の種類と条件を解説します。

所得税が課税される場合

事業用資産に対する損害賠償金や、業務継続を目的とした費用補填として受け取る損害賠償金は所得と見なされ、課税される場合があります。

また、交通事故で被保険者が亡くなった場合、生命保険の受取人が保険料を負担していた場合も所得税が課税となると覚えておきましょう。死亡保険金を一時金として受け取るなら一時所得、年金で受け取るなら雑所得に分類されます。

そのほか、例えば交通事故の補償として受け取った損害賠償金が損害額を超過して余剰金が発生した場合は、余剰部分が所得とみなされ、所得税の課税対象になる場合もあるため注意が必要です。

相続税が課税される場合

損害賠償金が相続財産として扱われる場合は相続税の対象になります。例えば、交通事故などにより被相続人が亡くなった際に、その交通事故の補償として受け取った損害賠償金は相続財産の一部として計上されるため課税対象です。

贈与税が課税される場合

損害賠償金が子や兄弟姉妹などに贈与される場合は贈与税の課税対象となることがあります。贈与税は、1年間に受け取る総贈与額が基礎控除額の110万円を超えると課税されるためです。

贈与税の納税義務は受贈者にあり、例えば親が子に損害賠償金の一部として基礎控除額を超える金額を贈与した場合は子に贈与税の申告義務が生じます。ただし、特例や控除が適用される可能性がある点を頭に入れておくとよいでしょう。

まとめ

損害賠償金は基本的に非課税ですが、損害賠償金の内容や金額によっては課税対象となる場合があると知っておくと、いざ損害賠償金を受け取る立場に立った時に正しく税務処理を進められます。

事業活動に関連する損害賠償金は課税対象となることが多いため注意しましょう。損害賠償金を受けるほどの心身の損害を受けている状況で、損害賠償金の課税の有無を冷静に確認するのは難しいものです。

また「損害賠償金は非課税」という情報を鵜呑みにして、誤った税務処理をしてしまう可能性もゼロではありません。自己判断は避け、納税義務を適切に果たすために税の専門家に意見を求めることは、スムーズに税務処理を進めるひとつの方法です。

損害賠償金の課税に関するお困りごとやご相談は、ぜひ「小谷野税理士法人」までお気軽にお問い合わせください。

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。

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