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会社設立の基礎知識

廃業届の書き方・タイミングは?3つの注意点も解説

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廃業届の書き方・タイミングは?3つの注意点も解説

廃業届の書き方にお悩みの方は多いのではないでしょうか。廃業手続きを適切に行わないと、税務や法的な問題が発生する可能性があります。例えば、提出のタイミングを誤ると、後々面倒な手続きが必要になるでしょう。本記事では、スムーズに廃業を進めるため、書類の作成方法や提出先、重要なポイントについて詳しく解説します。これから廃業を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

廃業届について

項目

詳細

届出名

個人事業の開業・廃業等届出書

対象者

個人事業を廃業する事業者

目的

個人事業の廃業を報告し、税務や社会保険手続きを適切に進める

期限

廃業日から1ヵ月以内

提出先

所轄の税務署

廃業届とは、個人事業主が事業を終了する際に税務署に提出する書類で、届出の名称は「個人事業の開業・廃業等届出書」です。事業を始める際には、この届出書を「開業届」として提出します。

事業の開始や終了を通知しないと、税務署はその個人が事業を行っているかどうかを確認できません。廃業した日から1ヵ月以内に、納税地を管轄する税務署に必ず提出しましょう。所轄の税務署が不明な場合は、以下のリンクから検索してください。

参考:税務署の所在地などを知りたい方|国税庁

参考:A1-5 個人事業の開業届出・廃業届出等手続|国税庁

提出しないとどうなる?

廃業届を提出しなくても、特に罰則はありません。ただし、廃業した年に所得がある場合は、確定申告をする必要があるため、その点は注意が必要です。

また、税務署はその個人の事業が継続しているものとみなすため、不要な問い合わせや税務調査が発生する可能性もあります。こういった余計なトラブルを回避するためにも、廃業届を提出しましょう。

廃業届の書き方

以下に廃業届の記入方法を詳しく説明していますので、こちらを参考にして実際に記入してみましょう。

記入項目

記載内容

提出先の税務署

廃業する事業所の所在地を管轄する税務署

提出年月日

税務署に廃業届を提出する年月日

納税地

自宅の住所や事業所の住所・電話番号

上記以外の住所地・事業所等

上記以外に住所・事業所がある場合に記載

氏名・生年月日

事業主の氏名と生年月日

個人番号

事業主の個人番号(マイナンバー)

職業・屋号

開業届で届け出をした職業・屋号

届出の区分

廃業にチェック(事由には廃業の理由を記載)

所得の種類

廃業する事業の所得区分

開業・廃業等日

事業を廃業した年月日

事業所等を

新増設、移転、廃止した場合

該当する場合に記載

※個人事業を廃業する場合は記載不要

廃業の事由が法人の設立に

伴うものである場合

法人設立により個人事業を廃業する場合に記載が必要

(法人名・代表者・納税地・設立登記の年月日)

開業・廃業に伴う

届出書の提出の有無

「有」または「無」をチェック

※青色申告・消費税の支払いをしていた事業主が対象

事業の概要

事業の概要をできるだけ詳しく記載

給与等の支払の状況

従業員を雇用していた場合に記載が必要

(従業員数・給与形態・税額の有無)

これらを漏れなく記載できたら、所轄税務署に郵送または直接窓口に持参してください。e-Taxを利用している方は、e-Taxで提出も可能です。

参考:個人事業の開業・廃業等届出書

廃業届と一緒に提出が必要な届出書

税務調査

廃業届を提出する際、以下の届出が必要な場合もありますので、合わせて確認してください。

  1. 所得税の青色申告承認申請書の取りやめ届出書
  2. 消費税の事業廃止届出書
  3. 個人事業税の事業廃止届出書
  4. 給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出書
  5. 健康保険・厚生年金保険適用事業所廃止届
  6. 雇用保険適用事業所廃止届

それぞれ詳しく見ていきましょう。

1. 所得税の青色申告承認申請書の取りやめ届出書

項目

詳細

届出名

所得税の青色申告承認申請書の取りやめ届出書

対象者

青色申告の承認を受けている個人事業者

目的

青色申告の承認を取り消すため

期限

廃業日から1ヵ月以内

提出先

所轄の税務署

廃業届の「開業・廃業に伴う届出書の提出の有無」という項目でチェックした書類です。青色申告を行っていた個人事業者が廃業する際に提出する書類で、青色申告の承認を取り消すために、廃業日から1ヵ月以内に所轄の税務署に提出します。

しかし、廃業した所得以外に青色申告の適用を受ける場合は注意しましょう。例えば事業所得と不動産所得があり、事業所得を廃業する場合です。取りやめ届出書を提出すると、廃業していない不動産所得が白色申告になってしまいます。

参考:A1-10 所得税の青色申告の取りやめ手続|国税庁

2. 消費税の事業廃止届出書

項目

詳細

届出名

消費税の事業廃止届出書

対象者

消費税の課税事業者

目的

消費税課税事業者が廃業を報告するため

期限

廃業日から1ヵ月以内

提出先

所轄の税務署

こちらも、廃業届の「開業・廃業に伴う届出書の提出の有無」という項目でチェックした書類です。消費税の課税事業者が廃業する際に提出する書類で、消費税の課税事業者から外れる手続きを行うために、廃業日から1ヵ月以内に所轄の税務署に提出します。

参考:D1-14 事業廃止届出手続|国税庁

3. 個人事業税の事業廃止届出書

項目

詳細

届出名

個人事業税の事業開始(廃止)届出書

※各都道府県によって異なる

対象者

個人事業税が課税されている個人事業者

目的

個人事業税の課税対象から外れるため

期限

廃業日から10日以内

提出先

都道府県税事務所

個人事業税が課税されている事業者が廃業する場合に提出する書類で、個人事業税の課税対象から外れる手続きを行うために、廃業日から10日以内に都道府県税事務所に提出します。

事業所得が年間290万円を超えている個人事業主は、事業開始の届出を提出していると思いますので(個人事業税の事業主控除は年間290万円)、廃業時に届出が必要です。

届出書の名称やフォーマットは各自治体によって異なるため、ご自身の納税地である自治体の情報を確認してください。

参考:個人事業税 | 税金の種類 | 東京都主税局

4. 給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出書

項目

詳細

届出名

給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出書

対象者

給与の支払いを行っている事務所を設置している事業者

目的

給与支払事務所の廃止を報告するため

期限

事実が発生した日から1ヵ月以内

提出先

所轄の税務署

給与支払事務所を廃止する際に提出する書類で、給与の支払を行う事務所の廃止を報告するために、事実が発生した日から1ヵ月以内に所轄の税務署に提出します。

従業員を雇って給与を支払っていた個人事業主(廃業届の「給与等の支払の状況」という項目に該当する方)が提出する届出です。

参考:A2-7 給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出|国税庁

5. 健康保険・厚生年金保険 適用事業所全喪届

項目

詳細

届出名

健康保険・厚生年金保険 適用事業所全喪届

対象者

健康保険・厚生年金の適用事業所として登録されている事業者

目的

健康保険・厚生年金の適用事業所の廃止を報告するため

期限

廃業した日から5日以内

提出先

所轄の年金事務所

健康保険や厚生年金保険の適用事業所が廃業する際に提出する書類で、適用事業所の廃止を報告するために、廃業日から5日以内に所轄の年金事務所に提出します。

こちらも、従業員を雇って健康保険や厚生年金に加入していた個人事業主が提出する届出です。所轄の年金事務所が分からない方は以下のリンクから検索してください。

参考:年金事務所管轄区域

参考:適用事業所が廃止等により適用事業所に該当しなくなったときの手続き

6. 雇用保険適用事業所廃止届

項目

詳細

届出名

雇用保険適用事業所廃止届

対象者

雇用保険の適用事業所として登録されている事業者

目的

雇用保険の適用事業所の廃止を報告するため

期限

廃業した日から10日以内

提出先

所轄の公共職業安定所(ハローワーク)

雇用保険の適用事業所が廃業する際に提出する書類で、適用事業所の廃止を報告するために、廃業日から10日以内に所轄のハローワークに提出します。

こちらも同じく、従業員を雇って雇用保険に加入していた個人事業主が提出する届出です。所轄のハローワークが分からない方は、以下のリンクから検索してください。

参考:都道府県労働局(労働基準監督署、公共職業安定所)所在地一覧|厚生労働省

参考:雇用保険適用事業所廃止届

廃業ではなく「休業」という選択肢はある?

怪我や病気などで休業せざるを得ない方、または廃業の手続きが面倒な方は、「休業」という扱いにできないかと考える方もいるのではないでしょうか。しかしながら、税務上「休業」という扱いはありません。

そのため、仮に休業していたとしても、事業を継続していると見なされるので、確定申告や保険料の支払い(健康保険・厚生年金保険・雇用保険など)が継続される可能性があります。こういったデメリットを回避するためには、廃業届を提出した方が良いでしょう。

ただし、一度廃業届を提出してしまうと、再開時に新たな手続きが必要になるため、手間や時間がかかることや、廃業したことで、事業における信用や取引の継続性に影響が出る可能性も考えられます。

休業が短期間の見込みで、すぐに事業を再開する予定である場合は、廃業届を提出しない方が良いでしょう。

休業期間の長さ、再開の見込みや取引関係の状況に応じて、廃業届を出すかどうか慎重に判断しましょう。

ただし、個人事業税については、休業届を認めている自治体もあるので、事前に確認しておく必要があります。

参考:個人事業税、不動産取得税に関する申請・申告様式 – 埼玉県

廃業届を提出する際に気を付けるべき3つのポイント

株式会社から合同会社へ変更するイメージ

廃業届を提出する際は、以下3つのポイントに気を付けてください。

  1. すべての項目を正確に記載する
  2. 法人の廃業とは異なる
  3. 費用がかかる場合がある

それぞれ詳しく見ていきましょう。

ポイント1. すべての項目を正確に記載する

廃業届を提出する際には、すべての情報を正確に記載しましょう。不正確な情報や漏れがあると、手続きが遅延したり、誤解を招く可能性があります。

特に、事業所の名称や所在地、事業の種類などの基本情報に誤りがないように注意しましょう。また、税務署や関係機関からの問い合わせに迅速に対応できるよう、必要な書類を事前に揃えておくことが大切です。

ポイント2. 法人の廃業とは異なる

個人事業主はこれまで説明してきた手続きで廃業しますが、法人の場合、廃業には「解散」「清算」「清算課税」などの煩雑な手続きが必要です。

法人の廃業とは異なり、個人事業主は比較的容易に手続きが完了しますが、上述の正確な記載、提出先や提出のタイミングなどは重要です。

ポイント3. 費用がかかる場合がある

廃業に際しては費用がかかる場合があります。一部の自治体では手数料が必要な場合があり、税理士や行政書士に依頼する場合はその手数料も発生します。また、場合によっては、不動産の名義変更や設備の処分に関連する費用も考慮する必要があります。

廃業に関連するすべての費用を事前に見積もり、予算を立てておくことが重要です。廃業手続きをスムーズに進めるためにも、これらの費用についてしっかりと把握し、準備を怠らないようにしましょう。

また、廃業時の確定申告は通常と処理が異なります。例えば、事業税の未払金の計上や、貸倒引当金が計上できないなどです。納付税額にも影響する可能性があるため、税理士などの専門家への相談をおすすめします。

廃業届の書き方や提出が不安な方は専門家に相談

廃業届の書き方や提出に不安を感じる方は、専門家に相談してみてください。手続きの遅延や誤解を避けるためにも、専門家のサポートを受ければ、安心して廃業手続きを進められます。

「小谷野税理士法人」に相談すれば、経験豊富な専門家が的確なアドバイスを提供し、迅速かつ効率的に対応します。また、必要な書類の準備や手数料についてもアドバイスを得られます。

廃業に関する疑問や不安をお持ちの方は、ぜひ「小谷野税理士法人」までお気軽にお問い合わせください。

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
税理士「今野 靖丈」

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