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減価償却とは?会計や税務の基礎知識と節税のポイントを徹底解説!

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減価償却のイメージ

減価償却とは、会計や税務において重要な概念の一つで、正しく理解することで事業の収支や利益を正確に把握したり、節税の効果を得たりできます。しかし、減価償却にはさまざまな種類や計算方法があり、初心者にとっては難しく感じるかもしれません。そこで、この記事では、減価償却について、その意味やメリット、対象となる資産の種類や耐用年数、税務上の取り扱いや節税のコツ、特例や注意点などを徹底的に解説します。減価償却に関する基礎知識を身につけて、事業の経営に役立てましょう。

減価償却とは何か?そのメリットとは?

減価償却のイメージ

減価償却とは、一体何のことなのでしょうか。
まずは、減価償却における基本知識やそのメリットを見ていきましょう。

減価償却とは

減価償却とは、事業に使用する資産の価値が経年劣化や使用によって減少することを表すものです。

たとえば、事務所にパソコンや机や椅子などの備品を購入したとします。これらの備品は、使っているうちに劣化したり、故障したり、新しいものに取り替えたくなったりするでしょう。つまり、備品の価値は時間とともに下がっていきます。

このように、価値が下がっていく資産を「固定資産」と呼びます。固定資産は、事業に長期間にわたって使用する資産で、一定の金額以上のものに限られます。減価償却とは、固定資産の価値の減少分を、その資産の使用期間に応じて、毎年一定の額で費用として計上することです。

減価償却は、会計上と税務上で行われますが、その目的や方法は異なります。会計上の減価償却は、事業の収支や利益を正確に把握するために行われます。税務上の減価償却は、固定資産の取得にかかった費用を、その資産の使用期間に分散して所得から差し引くことで、税金の負担を軽減するために行われます。

減価償却のメリット

減価償却には、大きく分けて2つのメリットがあります。

一つめは「事業の収支や利益を正確に把握できる」です。減価償却を行わないと、固定資産の取得時に一括で大きな費用が発生し、その後は費用が発生しないという不自然な状況になります。減価償却を行い、固定資産の価値の減少分を毎年一定の額で費用として計上することで、事業の収支や利益を平準化できます。

二つめは「税金の負担を軽減することができる」です。減価償却を行うことで、固定資産の取得にかかった費用を、その資産の耐用年数に分散して所得から差し引けます。これにより、所得税や法人税などの納税額を減らすことにつながります。減価償却は、事業に必要な資産の投資を促進する効果もあります。

減価償却の計算方法は定額法と定率法の2つ

減価償却の計算方法には、主に「定額法」と「定率法」の2つがあります。

定額法とは、固定資産の取得価額から残存価額(資産の価値がゼロになると見込まれる金額)を引いたものを、その資産の法廷耐用年数(資産の使用可能な期間)で割って、毎年同じ額で減価償却する方法です。

定率法とは、固定資産の取得価額に一定の率をかけて、毎年減価償却する方法です。定率法では、毎年の減価償却額は減少していきます。

減価償却は、定額法か定率法のいずれかを選択できます。減価償却の方法は税務署に「減価償却資産の償却方法の届出書」を提出することで変更可能です。届出書を提出しない場合は法定償却方法が適用されるため、償却方法を変更したい場合は届出書の提出を忘れないようにしましょう。

減価償却や節税について詳しく知りたい方は、ぜひ私たち「小谷野税理士法人」へお気軽にご相談ください。

減価償却の対象となる資産の種類と耐用年数

減価償却のイメージ

減価償却の対象となる資産にはさまざまな種類があります。
ここからは、減価償却で対象の資産や耐用年数について見ていきましょう。

減価償却の対象となる資産

減価償却の対象となる資産は、以下の条件を満たすものです。

  • 事業に長期間にわたって使用する資産であること
  • 一定の金額以上の資産であること

事業に長期間にわたって使用する資産とは、一般に1年以上使用する資産のことを指します。たとえば、パソコンや机や椅子などの備品や、建物や機械装置などが該当します。一方、消耗品や在庫品などは、短期間で使い切るか売却する資産なので、減価償却の対象とはなりません。

一定の金額以上の資産とは、10万円以上の資産のことを指します。これらの金額以下の資産は、取得時に一括で費用として計上します。ただし、税務上は、青色申告であれば少額償却資産という特例を適用することで、30万円以下の資産でも取得時に全額費用とすることができます。

減価償却の対象とならない資産

絵画や彫刻等の美術品等の価値が減少しない資産は、減価償却できない可能性があります。しかし、取得価額が100万円未満の場合や、時の経過により価値が減少しないことが明らかなものは減価償却の対象です。

土地の購入費用は、減価償却の対象とはなりません。ただし、駐車場の舗装工事などの費用は、減価償却の対象とすることができます。

事業に直接関係しない資産とは、その資産が事業の収入や支出に影響しない資産のことを指します。たとえば、個人的な趣味や生活用品などが該当します。これらの資産は、減価償却の対象とはなりません。ただし、個人事業主が資産を事業と家事用の両方で使用している場合、事業用と私用の割合に応じて、減価償却の対象とすることができます。

耐用年数とは

耐用年数とは、固定資産の使用可能な期間のことです。耐用年数は減価償却の計算において重要な要素で、資産の種類や性質によって異なります。会計上の耐用年数は、自社の判断で決められますが、合理的な根拠が必要です。税務上の耐用年数は、法律で定められた「法定耐用年数」に従う必要があります。法定耐用年数は、資産の種類や用途に応じて定められています。法定耐用年数の一覧表は、国税庁のホームページで確認できます。

参考:国税庁|No.2100 減価償却のあらまし

参考:国税庁|主な減価償却資産の耐用年数表

減価償却の税務上の取り扱いと節税のコツを知ろう

ここからは、減価償却の税務上の取り扱いについて解説していきます。あわせて、節税のコツについても触れていくため、ぜひ参考にしてみてください。

減価償却の税務上の取り扱いは法定耐用年数に基づく

減価償却の税務上の取り扱いは、法定耐用年数に基づいて計算されます。たとえば定率法です。定率法とは、固定資産の取得価額に一定の率をかけて、毎年減価償却する方法です。定率法では、毎年の減価償却額は減少していきます。定率法での減価償却率は、法定耐用年数に応じて以下のように決まります。

  • 2年の場合:100%
  • 3年場合:0.667%
  • 4年の場合:0.5%
  • 5年の場合:0.4%
  • 6年の場合:0.333%

たとえば、法定耐用年数が5年の資産を100万円で購入した場合、減価償却率は0.4となります。したがって、毎年の減価償却額は以下の通りです。

  • 1年目:100万円×0.4=40万円(残り60万円)
  • 2年目:60万円×0.4=24万円(残り36万円)
  • 3年目:36万円×0.4%=14.4万円(残り(21.6万円)

減価償却額は所得から差し引けるため、税金の負担を軽減できます。ただし、固定資産の取得価額を超えることはできません。つまり、減価償却累計額の合計は、100万円未満になります。

減価償却の節税のコツは資産の取得時期と方法に注意すること

減価償却の節税のコツは、資産の取得時期と方法に注意することです。資産の取得時期と方法によって、減価償却額や納税額が変わる場合があります。以下の点に注意してください。

  • 資産の取得時期は、期首に近いほうが有利
  • 資産の取得方法は、リースや借入ではなく、現金や自己資本で行うほうが有利

資産の取得時期は、期首に近いほうが有利です。減価償却は、資産の取得日から計算されます、期中に購入した場合は減価償却費は月割りされます。たとえば、3月31日が年度末の場合、3月30日に資産を取得した場合は、減価償却費となる金額は1/12です。です

しかし、4月1日に資産を取得した場合は、1年間分の減価償却費が計上できます。減価償却期間が長くなると、減価償却額が増えるので、税金の負担が軽減されます。

また、資産の取得方法はリースや借入ではなく、現金や自己資本で行うほうが有利です。リースや借入で資産を取得した場合、リース料や利息などの支払いが発生します、これらは所得から差し引けます。しかし、自己資金で購入した場合に比べてリース料や利息分の経費が増えるため注意しましょう。

減価償却や節税について詳しく知りたい方は、ぜひ私たち「小谷野税理士法人」へお気軽にご相談ください。

減価償却に関する特例や注意点

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減価償却に関する特例があります。さらに、知っておくべき注意点も把握しておくことが重要です。ここからは、それぞれについて深堀して解説します。

中小企業や個人事業主のための減価償却の特例

中小企業や個人事業主の場合、減価償却に関して「特別償却」が適用されます。

特別償却を適用すると減価償却額が増えるので、税金の負担が軽減されます。ただし、特別償却を適用するには以下の条件を満たす必要があります。

【特別償却の適用条件】

  • 中小企業者であること
  • 資産の種類が機械装置、車両運搬具、工具器具備品、ソフトウェアのいずれかであること
  • 青色申告であること
  • 金額などの要件を満たしていること

特別償却には一定の適用条件があるため、よく確認しておきましょう。

少額償却資産と一括償却資産について

少額償却資産と一括償却資産は、減価償却の対象となる資産の中でも、特別な取り扱いを受ける資産です。

少額償却資産とは、取得価額が30万円以下の資産のことです。償却資産は、時の経過に応じて費用として計上しますが、少額減価償却資産は、取得時に全額経費とすることができます。

少額償却資産の特例を適用すると、減価償却額が増えるので税金の負担が軽減されます。ただし、少額償却資産の特例を適用するには、以下の条件を満たす必要があります。

  • 中小企業者であること
  • 資産の取得価額が30万円以下であること
  • 青色申告であること
  • 資産の取得価額の合計が年間300万円以下であること

一括償却資産とは、取得価額が20万円以下の資産のことです。一括償却資産は、通常は法定耐用年数に基づいて減価償却を行いますが、3年間で経費にすることができます。この場合、減価償却額が増えるので、税金の負担が軽減されます。

中古資産や事業用と私用の混合資産の取り扱い

中古資産や事業用と私用の混合資産は、減価償却の対象となる資産の中でも、特別な注意が必要な資産です。

中古資産とは、新品ではなく他の事業者から譲り受けたり、オークションなどで購入したりした資産のことです。中古資産は、通常は新品と同じように減価償却を行いますが、以下の点に注意してください。

  • 中古資産の取得価額は、購入価額に加えて、修理費や改良費などの必要経費を取得価額に含める可能性がある。
  • 中古資産の耐用年数は、簡便法を利用した中古耐用年数で計算できる

事業用と私用の混合資産とは、その資産を事業にも私的にも使用する資産のことです。事業用と私用の混合資産は、通常は事業用の割合に応じて減価償却を行いますが、以下の点に注意してください。

  • 事業用の割合は、資産の使用時間や使用目的などに基づいて、合理的に区分する。たとえば、パソコンや自動車などの資産を事業用と私用の混合で使用する場合、使用時間や使用距離などの記録を残すことが望ましい

ポイントを押さえて減価償却に対応しよう

減価償却とは、事業に使用する資産の価値が経年劣化や使用によって減少することを表すものです。減価償却を正しく理解することで、事業の収支や利益を正確に把握したり、節税の効果を得たりすることが期待できます。

減価償却には、さまざまな種類や計算方法があり、初心者にとっては難しく感じるかもしれません。しかし、この記事で解説したように、減価償却に関する基礎知識やポイントを押さえておけば、減価償却に対応できるでしょう。減価償却に関する特例や注意点もありますので、自分の事業に合った方法を選択して、減価償却を活用しましょう。

減価償却や節税について詳しく知りたい方は、ぜひ私たち「小谷野税理士法人」へお気軽にご相談ください。

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。

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