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【税理士監修】多店舗展開にまつわる税金について|基礎から計算方法、節税対策まで解説

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【税理士監修】多店舗展開にまつわる税金について|基礎から計算方法、節税対策まで解説

多店舗展開をするときの税金について気を付けるべきポイントはあるのでしょうか?この記事では、多店舗展開したときの税務、税金対策について詳しく紹介します。

ビジネスで複数店舗を展開した場合に押さえておきたい税金の基本と注意点、節税対策まで、多店舗展開の税金について徹底解説します。

税制の適切な理解と戦略的な対策は、ビジネス拡大と経営の安定に不可欠です。この記事を通じて、効果的な税金対策でビジネスのさらなる発展を目指しましょう。

多店舗展開における税務の基礎

多店舗展開での税金に関するイメージ

多店舗展開時における税務を理解することは、正しい帳簿作成や税務申告につながります。ここでは、多店舗展開をするときに押さえておきたい税金の基礎知識について詳しく解説します。

個人事業主が支払う税金

個人事業主が支払う主な税金の種類は以下の通りです。

  • 所得税
  • 住民税
  • 個人事業税(かからない場合もあり)
  • 消費税(かからない場合もあり)

ケースによっては、発生しない税金もあります。

法人が支払う税金

法人が支払う主な税金の種類は以下の通りです。

  • 法人税
  • 法人住民税
  • 法人事業税
  • 特別法人事業税
  • 地方法人税
  • 消費税(かからない場合もあり)

法人の場合は消費税に限り、かからないケースがあります。

適切な売上と経費管理

多店舗展開をするときは、各店舗における経費を適切に管理することが大切です。これらの数字は、事業全体の利益を算出するため、正確な税務申告に必要となるからです。

自社に合った経費の管理方法を選び、売上と経費を店舗ごとに正しく管理することが、スムーズな税務申告と適切な経営判断につながります。

帳簿の作成と管理

各店舗における経費と売上を正しく把握するために、自社に合った帳簿の管理方法を検討しましょう。店舗ごとに帳簿を作成する、部門別管理を導入するなど、自社に合った帳簿の作成や管理方法を見つけることが大切です。

店舗ごとに売上や経費を管理するのが多店舗展開の税務の基本ですが、店舗ごとに帳簿を作成する義務はありません。

店舗ごとに経費と売上を管理する必要はありますが、店舗を複数展開していても会社は一つです。さまざまな事情により店舗ごとに帳簿を作成して管理するのが難しければ、帳簿は一つで構いません。

多店舗展開の納税

多店舗を展開したときの納税は、店舗ごとではなく会社としてまとめて行います。ただし、異なる都道府県や市区町村において店舗を展開していた場合、それぞれの都道府県と市区町村に事業税と法人住民税の申告が必要です。

多店舗展開時の税金の計算方法と注意点

多店舗展開での税金に関するイメージ

都道府県や市区町村が異なる場所に店舗を構えたとき、都道府県、市区町村ごとに税務申告が必要です。ここでは、多店舗展開したときの税金の計算方法、注意点について詳しく紹介します。

事前の手続きを忘れずに

本店とは異なる都道府県、市区町村に店舗を展開したときは、それぞれの都道府県、市区町村に対して税金の申告書の提出が必要です。そこで、2店舗目や支店などをオープンしたときは、都道府県税事務所と役場に店舗開業の届け出をしなくてはいけません。

店舗展開時にはさまざまな準備が必要であるため、手続き漏れがないように事前に必要な手続きを確認しておきましょう。

均等割とその計算

多店舗展開をしたときに最も注意するべきポイントが均等割です。均等割は、事業所の所在地に基づいて定められる税金の一種です。実態を伴う店舗を経営している場合は、その店舗の所在地の都道府県、市区町村に均等割を支払います。

同じ都道府県内に支店が複数あっても、均等割の額は同額のため、本店と支店が同じ都道府県にある場合、均等割が増えることはありません。

しかし、異なる市区町村に多店舗展開をする場合は、店舗ごとに均等割が課されます。そのため、異なる市区町村で店舗数を増やすと、均等割として支払う税金も増加します。

均等割の計算方法は、各自治体が定める税率に基づいて行われますが、従業員数を税額の計算に考慮することから、毎月末日の本店、支店の従業員数の管理が必須です。

また、事業年度の途中で支店を出店したときは、均等割は月数の按分で求めます。その際、1ヶ月未満の端数は切り捨てです。

個人事業主が支店を出店した場合も、法人同様に均等割の納付が求められます。支店所在地の都道府県、市区町村に個人住民税の均等割と、従業員数に対して按分した個人事業税を納付します。

所得割とその計算

所得額に対して課税される所得割は、本店と異なる都道府県に店舗を展開しても、所得割の納税額が増えることはありません。

本店所在地の都道府県、市区町村に納税していた所得割を、支店所在地の都道府県、市区町村に対して分割して納税します。本店、支店それぞれの所得割の納税額は、事務所数や従業員数を基にして計算します。

償却資産税

支店にある償却資産に対して課税される償却資産税も、その支店が所在する市区町村に納付が必要です。そこで、店舗ごとに減価償却資産の管理が求められます。ちなみに、償却資産とは、業種に関係なく対象となるもの、業種ごとに対象となるものがあり、以下に例を紹介します。

業種に関係なく対象となる償却資産

  • パソコン
  • コピー機
  • エアコン
  • 看板

業種によって対象となるもの

  • 食料品などの製造設備、梱包機など(製造業)
  • テーブルや椅子、厨房の用具(飲食業)
  • 洗濯機、乾燥器、ボイラー(クリーニング業)

1月1日の時点で保有している償却資産を提出します。1月2日から31日の間に新規で取得した償却資産は追加申告する必要はなく、翌期の償却資産として申告します。

事業の拡大などを理由に、短期間で複数の店舗を展開したときは、償却資産の申告手続きを忘れないようにしましょう。

源泉所得税

従業員の給与から天引きしている源泉所得税にも注意が必要です。給与計算を本店一括ではなく支店ごとに行っている場合は、その支店の所在地を管轄している税務署に源泉所得税を納付します。

源泉所得税は、その事業所が所在する地域を管轄している税務署に納付するのが原則です。そのため、源泉所得税としての納付額は変わらなくても、支店の開設時に、給与支払事務所等の開設届を提出している場合、支店ごとに源泉所得税を納付します。

正確な税務申告を行うためにも、経理システムの整備や専門家のアドバイスが役立つ可能性が高いです。

多店舗展開による経費や売上管理、税務申告でお困りなら、ぜひ「小谷野税理士法人」にお気軽にお問い合わせください

多店舗展開に適した部門別会計の導入と進め方

多店舗展開をするときに、支店ごとに正確な経費や売上管理が求められます。そこで、おすすめしたいのが部門別会計の導入です。ここでは、多店舗展開で適切な会計処理に役立つ部門別会計について詳しく紹介します。

部門別会計と導入のメリット

管理会計の一種で、本店と支店をそれぞれ1つの部門として捉えることで、複数の店舗を効率よく管理する方法です。部門別会計を導入することにより、会社全体の損益計算書を集計するだけでなく、店舗ごとの損益計算書の集計も可能です。部門別会計の導入により得られるメリットを以下に紹介します。

店舗ごとに正確な実態を把握できる

店舗ごとの損益計算書を確認することで、それぞれの店舗における課題の発見と改善策の提案に役立ちます。

支店スタッフの意識改革が可能

支店の店長をはじめ、スタッフに対して支店の状況を数値で示すことによって、支店の経営に対する意識改革を促します。

公正な人事評価ができる

支店ごとの経営状況を把握することで、店長やスタッフを適切に評価できます。評価方法次第で、スタッフのモチベーションアップにもつながります。

多店舗展開における部門別会計の導入と運用について

多店舗展開において、正確な会計業務につなげる管理会計を導入する際の手順と注意点について解説します。部門別会計を導入する際には、損益機能のある会計ソフトを活用すると便利です。

部門別会計の導入手順①ルールの策定

まず、会計ソフトで各支店を「部門」に設定し、部門ごとに売上と経費を処理します。特に、経費を計上する際に、各部門に紐づけて会計処理をするのかしないのか、状況に応じて判断するのかといったルールを決めておくと、スムーズな会計処理を実現できます。

基本的に明確に紐づけできるもの、金額的に重要度が高いものについては、各部門に紐づけて処理しましょう。また、会社全体でかかっている共通のコストなど、明確な配分が困難な経費については、部門ごとに紐づけしません。

できるだけルールをシンプルにすることで、会計処理の負担を減らすことを意識しましょう。

部門別会計の導入手順②部門ごとの利益を見える化と目標設定

店舗ごとに損益計算を行うことによって、店舗ごとの利益、かかった経費を簡単に比較できるようにします。

収益がよい店舗については引き続き営業に力を入れてもらい、収益があまりよくない店舗は、課題の洗い出しと目標設定を行い経営改善に役立てます。

店舗を複数経営する際には、全社全体の利益や費用をそれぞれの部門に割り振ることで、各部門の目標を設定することが、効果的な経営対策につながります。

多店舗展開の会計管理の注意点

正確かつ円滑に会計業務を進めるためにも、多店舗展開において部門別会計を導入する際にいくつか注意しておきたい点を紹介します。

必要な仕訳を優先的に行う

部門別会計を導入する主な目的は、支店ごとの経営状況を明確に把握するためです。そのため、資産や負債を計上する貸借対照表まで部門分けする必要はありません。

また、損益計算書についても、まずは売上総利益を出すために必要な売上高、仕入れ、外注費、人件費といった仕訳を優先的に行ってください。

経費の配分

売上は支店ごとに算出できますが、経費を適切に分けるのが難しいことがあるため、無理に配分する必要はありません。経費を配分してしまうと、本来支店が負担しなくてもよい経費まで負担することになり、店舗ごとの経営実態がわかりづらくなるからです。

経費を配分する場合、配分の基準を設けるのが一般的ですが、配分の測定が難しかったり、配分の基準が見つからなかったりと、経費を適切に配分するのに時間と手間を要します。

そのため、本社や全社共通の費用を無理に配分せず、部門ごとの利益や成果を明確にした方が、より賢明な対策の考案や経営判断につながるでしょう。

現金の扱いに注意する

多店舗展開において各店舗の売上を適切に管理することが重要であり、特に現金の扱いに注意が必要です。多様化する顧客のニーズに応えるために、クレジットカードやQRコード決済のようなキャッシュレス決済に対応している店舗が増えています。

キャッシュレス決済の場合、各店舗で決済された情報が本社経理部などの管理部門に集約されるため、比較的売上の管理がしやすいはずです。

しかし、現金の場合、店舗ごとの管理が必須です。そのため、本社経理部もしくは管理部門が、支店ごとの帳簿の金額と口座の金額が一致しているかを把握しておかなくてはいけません。

本社が支店ごとの現金として管理している金額と、会社の口座に入金された金額に相違があると、後々差額が発生した原因を調べるのに時間と手間がかかるからです。また、売り上げ用と経費精算用として、それぞれ現金が必要であることから、用途別に分けて管理しておくことをおすすめします。

多店舗展開における節税対策

多店舗展開での税金に関するイメージ

できるだけ支払う税金を少なくすることで、資金に余裕ができ、余剰資金を新たな出店費用や設備投資、福利厚生といった用途に使えます。ここでは、効果的な税金対策について解説します。

正確な経費計上

経費として計上できるものを正確に把握することが、節税につながります。経費は、事業を運営するうえで必要なコストであるため、経費の額が大きいほど支払う税金を少なくできるからです。

本来経費として計上できるコストを把握しておらず、税金を必要以上に支払っているケースが見られます。経費として挙げられるものを最大限計上するためにも、専門家のアドバイスやサポートが役立ちます。

経費計上による節税を期待するなら、ぜひ「小谷野税理士法人」にお気軽にお問い合わせください

事業に投資する

店舗を展開するときには、広告宣伝費、店舗の賃貸料など多くの経費がかかります。店舗を展開することで経費が増えるため、節税につながります。出店時にある程度の費用を支払っても、将来的に利益が増えるなら、積極的に出店をした方がよいこともあります

新たに店舗を展開するときは、設備投資に費用がかかるため、一時的に経費が増大するでしょう。しかし、事前準備や調査を入念に行い、店舗展開のノウハウを心得ていれば、経費が増えても早い段階で利益が確保できる可能性が高いです。

法人化を検討する

個人事業主として多店舗展開している場合、法人化が節税対策となることがあります。個人事業主として得られた利益にかかる所得税は、超過累進課税制度が導入されているため、利益が高くなるほどに納める税額が増えるからです。

法人化を検討するなら、課税所得が800万円~を目安にしましょう。個人事業主に課せられる所得税の税率は900万円を超えると33%に上がるのに対し、法人に課せられる法人税は課税所得800万までが15%、800万円以上が23.2%で、法人税の方が税率が低いからです。

参考:国税庁 所得税の税率 

節税対策の注意点

節税対策を取り入れることによって、納める税金を少なくでき余剰資金を有効活用できます。とはいえ、過度な節税対策による影響も起こり得るため、過度な節税対策による注意点を理解しておきましょう。

融資や物件の審査に影響するリスクがある

過度な節税により融資や物件の審査に悪影響が出ることがあります。融資の審査では返済能力が重視されるため、節税により売上額が減少すると、返済能力が低いとみなされるからです。

また、新たに支店をオープンする物件を探すときも、売上額から支払い能力が低いと判断され、希望の物件が借りられないことがあります。

休業補償金への影響する可能性がある

節税により、長期間店舗を休業するといった事態に備えて、加入する休業補償金に影響が出る可能性が高いです。予期せぬ病気やケガなどにより長期間、店舗の営業が困難になった場合、休業補償保険に加入していると休業補償金が支給されます。

休業補償金は、平均月間所得金額を基にして算出されるため、節税により売上額が低くなると、休業補償金も少なくなり、十分な補償を受けられないかもしれません。

まとめ|多店舗展開の税金を理解し適切な納税と節税を実現しよう

多店舗展開において、正しい税務知識や節税対策を理解することが安定経営やビジネスの拡大に役立ちます。多店舗を展開したときに注意しておきたい税務のポイント、帳簿の管理方法などを把握することで、正確な税務申告を実現できます。

また、節税対策を取り入れることで納税額を減らし、余剰資金をさらなる店舗の展開や設備投資などに有効活用できるでしょう。適切な帳簿の作成や節税対策の実現のために、税の専門家のアドバイスが役立ちます。

多店舗展開による税務や節税対策にお悩みなら、ぜひ「小谷野税理士法人」にお気軽にお問い合わせください

この記事の監修者
今野 靖丈小谷野税理士法人 税理士
1997年中央大学経済学部卒業後、東京国税局に入所しました。法人の税務調査の現場では税の議論だけでなく、企業の経理体制の優れた点の説明や、改善すべき点をアドバイスしてきました。国税徴収に関わる部門では、多くの中小企業の経営者、個人事業主と財務に関わる面談をし、資金操計画の作成アドバイスを行ってきました。
会計・財務・税務に関する様々な相談に対応し、提案をすることをライフワークと考えています。お気軽にご増段下さい。
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