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【税理士監修】インボイス少額特例とは?適用要件や活用方法をわかりやすく解説

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【税理士監修】インボイス少額特例とは?適用要件や活用方法をわかりやすく解説

インボイス少額特例は、会社の資産を管理・記録する経理事務に関わる負担軽減などを目的とした制度です。インボイス少額特例では、インボイスを保存することなく仕入税額控除を利用できます。

しかし、少額特例が適用されない場合、通常のインボイス制度では、インボイス(適格請求書)を保存することで仕入税額控除の適用が可能です。

ここでは、インボイス少額特例を受けることでどのようなメリットを得られるのか、事業者の適用要件や活用方法についてわかりやすく説明します。

インボイス少額特例とはどのような制度?

インボイス少額特例のイメージ

インボイス少額特例は、課税事業者が、仕入れなどの取引を行った際に活用できる制度です。ただし、そのためには仕入税額控除の要件に該当する必要があります。

課税事業者とは、消費税を納付する義務のある法人や個人事業主を指します。そして、仕入税額控除とは、法人や個人事業主などの課税事業者が、納税のため消費税を計算する際、売上消費税から仕入れ消費税を差し引き算出できる制度です。

これによって課税事業者は、消費税の二重課税を避けられ、生産・流通の過程においては消費税が二重・三重に積み重なるのを防ぎます。

インボイスの保存がなくても仕入税額控除を受けられる

インボイス少額特例が適用されると、その事業者は10,000円未満の課税仕入れであれば、インボイスの保存なしに帳簿のみで以前と同様に仕入税額控除を使えます

以前同様とは、インボイス制度が開始される前までは、請求書を保存することで仕入税額控除を受けられていたためです。

しかし、2023年10月からインボイス制度が導入され、現在では請求書だけでなく、登録番号が明記されたインボイスの保存も求められています。

免税事業者など、インボイスを発行できない取引先からの仕入れについて、インボイス制度では原則的に消費税の控除を行えません。すると、課税事業者の税負担は重くなってしまいます。

少額特例は、こうした税負担の軽減を目指し、インボイス制度が完全に導入される2029年9月30日まで限定的に実施されているものです。

少額特例は手続き不要で使える

インボイス少額特例は、申請などの手続きを要することなく活用できます。

ただし、手続き不要であるため、そもそも会社がインボイス少額特例の適用要件に該当していなかったり、状況が変化していつの間にか条件からはずれていたりする場合に気をつけなくてはなりません

インボイス少額特例の適用外であったことに気づかなかった場合、本来は義務であるインボイスの保存を怠った状態になるため注意が必要です。

インボイス少額特例の適用を受けるために必要な帳簿

インボイス少額特例のイメージ

インボイス少額特例を受けるためには、一定の事項を記した帳簿の保存が必要です。しかし、インボイス少額特例の手続きは不要であるため、その帳簿などに少額特例の適用を明記する必要は特にありません。

【帳簿に記載する一定の事項】

  • 課税仕入れの相手方の氏名か名称
  • 課税仕入れを行った年月日
  • 課税仕入れに関する資産または役務の内容
  • 課税仕入れに関する支払対価の額

課税仕入れにかかる資産または役務の内容については、その仕入れが他者から受けた軽減対象課税資産の譲渡等にかかるものの場合、その資産の内容及び軽減対象資産の譲渡等にかかるものである旨を記載する必要があります。

資産または役務の内容とは、つまり取引内容を指します。

参考:No.6497 仕入税額控除のために保存する帳簿および請求書等の記載事項|国税庁

インボイス少額特例が適用される要件

インボイス少額特例のイメージ

インボイス少額特例は、一定の規模以下の事業者に対し、10,000円未満の課税仕入れであれば、インボイスの保存なし仕入税額控除が適用される制度です。

では、この一定の規模以下の事業者とは、具体的にはどのような場合に適用されるか、それぞれの要件を説明します。

基準期間の課税売上が1億円以下

インボイス少額特例の適用可能な一定の規模以下の事業者は、基準期間の課税売上が1億円以下であることが要件の一つです。

基準期間は、個人事業主の場合、その年の前々年です。法人の場合、事業年度の前々事業年度が基準期間に該当します。

個人事業主の場合は前年1~6月までの期間

インボイス少額特例が適用される要件は、基準期間における課税売上が1億円以下であるほかにも存在します。

それが特定期間における課税売上高であり、5,000万円以下の事業者であればインボイス少額特例を利用できます。

また、この特定期間は、個人事業主の場合は前年1~6月までの期間が該当します。

法人の場合は前事業年度の開始日以降の6か月

インボイス少額特例の適用要件の1つ、特定期間における課税売上高が5,000万以下の事業者とは、個人事業主と法人とで期間に違いがあります。

法人の場合は、期間が前事業年度の開始日以後の6か月です。

参考:少額特例(一定規模以下の事業者に対する事務負担の軽減措置の概要)の概要|国税庁

インボイス少額特例を活用するメリット

インボイス制度には経過措置が存在し、取引相手が免税事業者であっても、その期間は一定の割合で控除を受けられます。

2026年9月30日までは仕入税額相当額の80%を、2026年10月1日から2029年9月30日までは仕入税額相当額の50%が控除の対象です。

その間に、免税事業者は適格請求書発行事業者に切り替えたり、企業や会社はインボイス制度の対応を進めたりと、課税事業者は税の急激な負担を免れられます。

一方で、この経過措置によってインボイス制度はさらに複雑化しており、経理事務には負担が増しています。

インボイス少額特例を利用することで、特に経理事務や節税の面に対しては、次のようなメリットがもたらされます。

経理事務の負担を軽減できる

インボイス少額特例を利用すると、取引先が免税事業者であったとしても、適格請求書発行事業者と同じ経理事務の処理を行えます。

取引先がインボイス登録番号を保有しているかどうかや、それが有効であることの確認も省けます。

つまり、税込み金額だけで処理が可能なことから、少額特例を利用して経理事務の負担が抑えられます。

節税につながる可能性がある

複数の免税事業者と少額取引を長く続けている場合などには、少額特例によってすべての課税仕入れを仕入税額控除の対象にできます。こうしたことから節税効果が期待できます。

ただし、前述したように、インボイス少額特例は手続き不要であっても期間や要件が定められているため、該当しているかどうかには常に注意を払って利用する必要があります。

インボイス少額特例を受ける際の注意点

インボイス少額特例のイメージ

インボイス少額特例の適用を受ける際は、いくつかの注意点があります。インボイス少額特例にはさまざまな取り決めがあるため、思い込みや勘違い、専門知識の不足から適用を除外されるリスクがあります。ミスを起こしやすい注意点を事前に把握しておき、適切に利用しましょう。

インボイスの発行を求められたら対応する必要がある

インボイス少額特例は税込10,000円未満の課税仕入れについて、インボイスの保存を不要とする制度です。

インボイス少額特例の適用要件を満たしているからと言って、インボイス制度そのものの適用を免除されたり、適格請求書発行事業者の交付義務がないわけではありません

インボイスの発行を求められた際には、適格請求書発行事業者であれば交付する必要があります。

控除額によっては適用から外れる

インボイス少額特例の適用は課税売上高によって判断されています。その際の課税売上高は税の対象となる売上高を指すため、たとえ全体の売上高が1億円以上あったとしても、控除額によってはインボイス少額特例の適用からはずれる可能性があります

また、特定期間の課税売上高が5,000万円以下であれば、基準期間の課税売上高が1億円以上の場合でもインボイス少額特例が適用されます。

インボイス少額特例の活用を考えているのであれば、基準期間のほかに特定期間の課税売上高も必ず確認しましょう。

判定単位は商品ではなく取引の額である

インボイス少額特例で特に注意したいのが判定単位です。適用対象は税込10,000円未満の課税仕入れですが、その判定単位は商品ではなく取引額に応じています。

例えば、単価6,000円の商品を2つ購入した場合、その合計の12,000円は少額特例の対象ではありません。

参考:少額特例(一定規模以下の事業者に対する事務負担の軽減措置の概要)の概要|国税庁

インボイス少額特例における免税事業者からの仕入れの扱い

インボイス少額特例のイメージ

インボイス少額特例は、インボイスを発行できない免税事業者との取引であっても、その取引額が税込10,000円未満であれば適用を受けられます。

そのため、免税事業者か適格請求書発行事業者であるかを問うことなく、控除を利用可能です。ただし、少額特例の適用を受けない税込10,000円以上の取引では異なります。

インボイス少額特例は税込10,000円未満の取引額に適用されるのであって、実質的に税込9,999円以下が対象です。1円でも超えてしまうと適用されません。

インボイス制度において、原則的に免税事業者からの仕入れは仕入税額控除の適用から除外されます。

インボイス少額特例を活用するなら税理士に相談を

インボイス制度は開始されてまだ日も浅いため、インボイス少額特例についても正確に把握していない事業者が多いのではないでしょうか。

しかし、インボイスとインボイス少額特例は、会社の税金に直接影響を与える重要な制度です。

経過措置があるため余計に制度が複雑化していますが、税理士を始めとした税のプロの力を借りるなどして適切な対応をしましょう。

私共、小谷野税理士法人では、経験豊富な専門家が税に関するさまざまなサポートを行っています。

インボイス少額特例の活用についても、どうぞお気軽にご相談ください。

この記事の監修者
今野 靖丈小谷野税理士法人 税理士
1997年中央大学経済学部卒業後、東京国税局に入所しました。法人の税務調査の現場では税の議論だけでなく、企業の経理体制の優れた点の説明や、改善すべき点をアドバイスしてきました。国税徴収に関わる部門では、多くの中小企業の経営者、個人事業主と財務に関わる面談をし、資金操計画の作成アドバイスを行ってきました。
会計・財務・税務に関する様々な相談に対応し、提案をすることをライフワークと考えています。お気軽にご増段下さい。
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