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【税理士監修】法人税の滞納は危険?滞納のリスクや支払いが難しい場合の対処法を解説

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【税理士監修】法人税の滞納は危険?滞納のリスクや支払いが難しい場合の対処法を解説

国へ納める税金にはさまざまな種類がありますが、法人として会社を経営していれば法人税が発生します。法人税には納付期限があり、支払いが義務付けられています。

しかし、法人税を納めるお金を捻出できず、滞納してしまう場合もあるでしょう。法人税を滞納するとどうなってしまうのでしょうか?

ここでは、法人税を滞納するリスクについて解説します。滞納後の流れや、法人税を支払えない場合の対処法についても紹介しているので参考にしてください。

法人税の支払い義務と期限について

法人税 滞納のイメージ

そもそも、法人税は必ず支払わなければならないものなのかと疑問に思う方もいるでしょう。法人税の支払い義務や支払い期限について解説します。

法人税の支払い義務

法人税とは、法人が事業活動で得た所得に対してかかる税金です。税金は国税と地方税に分類されますが、法人税は国税に該当します。

法人税の支払い義務に関しては、「内国法人は、この法律により、法人税を納める義務がある」と、法人税法第4条に定められています。つまり、法律で法人税の支払い義務が規定されています。

ただし、日本政府金融公庫などの公共法人には法人税がかかりません。

法人税が課される法人とは、法人設立手続きを行っている株式会社や合同会社、有限会社、協同組合、一般社団法人などが該当します。

法人税の支払期限

納税には期限が設けられています。個人の所得税の確定申告の場合、原則2月16日~3月15日の期間です。

一方で、法人の確定申告は、個人の確定申告とは期限が異なります。法人の場合、決算日の翌日から2カ月以内が納税期限です。

例えば、3月決算の法人の場合は、確定申告と税付期限が5月31日になります。ただし、期限日が土日祝日の場合は、その休日明けの日が期限です。

法人税を滞納した場合に起こるリスク

法人税 滞納のイメージ

法人税は法律で支払いが義務付けられていますが、法人税を支払う現金を納付期限までに準備できないというケースもあるでしょう。法人税を滞納すればさまざまなリスクが起こります。

法人税を滞納した場合に起こるリスクは、以下の通りです。

延滞税が発生する

法人税を期限までに納付できなければ、延滞税が発生します。延滞税は、未納額に対して一定の割合の税金が課されるのが特徴です。納付期限を過ぎたことに対して課されるペナルティのようなものといえます。

延滞税の計算方法は、「本税の額×税率×延滞期間」です。つまり、延滞期間が伸びるほど延滞税は高額になっていきます。

また、延滞期間によって税率は以下のように変動します。

  • 納付期限の翌日から2カ月以内は「3%」または、「延滞税特例基準割合+1%」のどちらか低い方(令和6年1月1日~令和6年12月31日までは2.4%を適用)
  • 納付期限から2カ月が経過した場合は、「6%」もしくは「延滞税特例基準割合+7.3%」のどちらか低い方(令和6年1月1日~令和6年12月31日までは8.7%を適用)

法人税は延滞すればするほど納税額が増えるため、延滞した場合は早急に支払う必要があります。

加算税が発生する場合もある

本来納付しなければならない税額を少なく申告した場合や、期限内に確定申告を行わなかった場合には、加算税と呼ばれる税金が課せられます。加算税には、以下のような種類があります。

無申告加算税

期限内に申告を行わなかった場合の加算税は、「無申告加算税」です。自主的に期限後申告した場合は、税率が5%になります。しかし、税務署から指摘されて申告する場合には、税額50万円までの部分が15%の税率になり、50万円を超える部分は20%、300万円を超える部分は30%と高い税率です。

過少申告加算税

申告はしていたものの本来の税額よりも納税額が少ない場合には、「過少申告加算税」が課せられます。ミスなどに気付いて自ら修正申告すれば過少申告加算税は発生しませんが、税務調査などで見つかって修正申告する場合には、10%の加算税が発生します。

不納付加算税

源泉所得税を期限内に納付できない場合には、「不納付加算税」が課せられます。自主的に納付すれば税率は5%ですが、税務署から告知された場合には10%が税率になります。ただし、過去1年以内におきて期限内に納付している実績があれば、1ヵ月以内の納付で不納付加算税が課せられないこともあります。

重加算税

隠蔽など不正によって脱税があったと税務署が判断した場合、「重加算税」が課せられます。無申告は40%、過少申告は35%、源泉所得税などの不納付は35%と、非常に税率が高くなります。

税務調査の対象になる

法人税を滞納すれば、税務署による税務調査が行われます。

税務調査は滞納している税金回収だけではなく、追徴課税の徴収も目的です。そのため、隠蔽などの不正がないか調査を受けることにもなるため注意が必要です。売掛債権や取引先の会社、代表者の家族構成など、さまざまな部分まで調査が行われます。

そして、調査で税金回収のための差押えが行われますが、差押えが難しいと判断されれば強制捜査が入ることもあります。

金融機関の融資を受けられなくなる

法人税を滞納する前に金融機関から融資を受けてお金を工面しようと考える方もいるかもしれません。しかし、金融機関は融資の際に納税状況を確認します。法人税を滞納している状態では、信用力が低下するため融資の審査に通ることは難しいといえます。

滞納後に完納できても、金融機関が過去に滞納したことのある事実を知った場合は、今後の取引にも影響するでしょう。

社会的信用が低下する

法人税を滞納したことが取引先や顧客に知られれば、会社の社会的信用が低下します。

本来納めるべき税金を払っていない会社として見られることになり、税金も払えない会社と取引を継続すべきか考え直す取引先や顧客もいるでしょう。取引先や顧客が離れると、事業継続が厳しくなってしまいます。

法人税の滞納は周囲にバレることはないと考える方もいるかもしれませんが、設備や建物などが差押えになれば、取引先や顧客が滞納を知ることになります。

財産が差し押さえられる

法人税を滞納すれば、税務署は滞納している法人税を回収しようと財産調査を行い、財産が差押えになります。

差し押さえの対象になる財産は、法人名義の預貯金、不動産、設備、売掛債権などです。法人の所有する資産は差し押さえ対象になるため、事務所や設備も差し押さえになれば、事業自体が停止してしまう恐れがあります。

また、売掛債権が差し押さえになれば取引先にも法人税を滞納していることが知られてしまうため、信用を失うことで今後の取引にも影響するかもしれません。

法人税滞納から差し押さえまでの流れ

法人税 滞納のイメージ

法人税の滞納によるもっとも大きなリスクは、会社の資産の差し押さえです。滞納すればすぐに会社の資産が差し押さえられるというわけではありません。差し押さえまでは手順を踏んで行われます。

そのため、できるだけ早い段階で差し押さえを回避するための対処をすべきです。差し押さえを回避するために、法人税滞納から差し押さえまでの流れを知っておきましょう。

督促状が送られてくる

法人税を滞納すれば、税務署から督促状が送られてきます。

督促状は税金を納めるように促す内容が記載されています。延滞税は1日単位で発生しますが、督促状が送付されるのは納付期限から1ヵ月前後が多いです。

勧告が繰り返し行われる

督促状だけではなく、電話や訪問による勧告が繰り返し行われます。その回数や方法は明確に決められていないため、ケースバイケースです。

催告が行われないケースもありますが、催告がなくても、法人税の滞納が見逃されたわけではありません。そのまま放置していれば、差し押さえに向かって進んでしまいます。

財産調査

督促や勧告と並行して、税務署による財産調査が実施されます。財産調査とは、法人の財産を調べる調査です。

法人名義の預貯金や株式、不動産、債権などの財産が調査対象になり、会社の資産を差し押さえることで滞納している税金を回収する目的があります。

差し押さえ

督促や勧告をそのまま無視して滞納を続ければ、最終的に法人の財産が強制執行による差し押さえが行われます。強制執行は督促状の発行日から10日を経過すると行えることが国税徴収法によって認められています。

差し押さえられた財産は、すぐに公売などにかけられて換価される場合があり、売却額で滞納分が支払われることになります。事業に必要な設備などが差し押さえられて換価されれば、事業継続が難しくなってしまう場合もあるでしょう。

法人税滞納による差し押さえの回避方法

法人税 滞納のイメージ

法人税を滞納したままにすれば、法人の資産を差し押さえられるリスクが高まります。最悪の場合には事業が継続できなくなり、倒産にまで発展する可能性もあるでしょう。

法人税を滞納した場合、差し押さえを回避するために早期に対処することが大切です。差し押さえを回避するためにできる対処法を紹介します。

源泉所得税と消費税を先に支払う

法人が支払うべき税金は法人税だけではなく、固定資産税や事業税などさまざまな税金があります。法人税やその他の税金が支払えない状況に陥った場合には、源泉所得税と消費税を優先して支払いましょう。

消費税は取引先や消費者から預かっておくお金であり、源泉所得税は従業員から預かっておくお金です。そのため、消費税と源泉所得税の滞納は差し押さえにつながりやすいと言われています。

また、万が一差し押さえされると、納付できずに従業員や取引先へ迷惑をかけることになります。

他の税金を滞納しても良いわけではありませんが、源泉所得税と消費税は優先して支払っておくべき税金だといえます。

税務署へ相談する

法人税を滞納してから税務署へ相談しても意味がないと考える方も多いかもしれません。

しかし、税務署へ相談すれば、「換価の猶予」の申請を利用できる可能性があります。換価の猶予とは、法人の財産の換価処分を待ってもらえる猶予措置です。

換価の猶予の期限は1年ですが、この期間中も延滞税は発生します。猶予期間中の延滞税は通常は年8.7%ですが、年0.9%に軽減されます。

ただし、換価の猶予が適用されるには一定の要件を満たす必要があります。納付期限から6カ月以内に申請書の提出が必要となり、担保を提供しなければなりません。換価の猶予が認められるか否かは税務署へ相談しなければ分からない部分もあるため、早急に税務署へ相談してみましょう。

税理士や弁護士に相談する

税務に関する相談は、専門家である税理士へ相談しましょう。財務状況を把握した上で、状況に応じた適切なアドバイスを得られるはずです。

法人税を支払えないということは、借金を抱えているケースも多いと考えられます。そうした場合は、弁護士や税理士と相談しながら根本の問題となっている借金について解決を目指すことが先決になるでしょう。会社の倒産だけではなく、法人を存続させながら債務整理できる方法も存在します。

専門家に相談することで今後の道が開ける可能性が高まります。滞納をしてから相談もできますが、支払いが難しくなった段階で早めに相談することが得策です。

法人税の滞納を避けるためにできること

法人税を滞納すれば、最終的に法人の資産を差し押さえられるなど多くのリスクを伴います。法人税を支払えないからと滞納するのではなく、滞納前にできる対処法もあります。

法人税の滞納を避けるためにできる対処法は、以下の通りです。

早めに税務署へ相談する

資金繰りが苦しくて法人税の滞納が起こりそうな場合には、滞納する前に早い段階で税務署へ相談してみましょう。

税務署へ相談すれば、「納税の猶予」という猶予措置を利用できることがあります。納税の猶予とは、法人税の納付期限を延ばしてもらえる措置です。最大1年間の猶予期間が与えられるため、その間に法人税を準備できれば滞納を避けられます。

ただし、猶予期間は延滞税が発生するので注意が必要です。税率は通常ならば年8.7%ですが、猶予期間中は年0.9%に軽減されます。

また、納税の猶予を利用するには一定の要件を満たす必要があるため、管轄の税務署へ問い合わせてみてください。

税理士と顧問契約する

顧問税理士がいれば、法人税を滞納するような事態は起こらないでしょう。

税理士が法人の財務状況を把握していれば、法人税を支払うための資金がないという状況に早く気付くことができます。そうすれば、どのように資金を捻出するか考える時間もありますし、税理士からも財務状況から状況に合わせた助言を得られるはずです。

税理士と顧問契約をすれば、税金の滞納を防ぐだけではなく、節税や経営に関するアドバイスも得られます。必要な場合にのみ税理士のサポートを得られるスポット契約もありますが、法人の場合は財務状況が複雑なので、スポット契約では把握に時間がかかってしまいます。顧問税理士がいないという場合、税理士との顧問契約を推奨します。

法人税を滞納しないように税理士と顧問契約をしましょう

法人税を滞納するということは、事業の継続の危機に陥るリスクが高まります。法人税を滞納する前に、税金の支払いが難しくなっていることに気付けるような仕組みを作っておくことが大切です。

税理士と顧問契約を結んでいれば、財務状況を把握することで、支払いが難しくなってくる前に気付くことができます。資金調達や債務整理など状況に応じた対処法に関するアドバイスも得ることができ、滞納して差し押さえになるような事態を避けられます。

小谷野税理士法人では知識と経験の豊富な税理士が多数在籍しており、顧問契約によって会社の財務に関するサポートを行っています。財務に関する不安や疑問がある場合には、まずはお気軽に問合せフォームよりお問い合わせください。

この記事の監修者
今野 靖丈小谷野税理士法人 税理士
1997年中央大学経済学部卒業後、東京国税局に入所しました。法人の税務調査の現場では税の議論だけでなく、企業の経理体制の優れた点の説明や、改善すべき点をアドバイスしてきました。国税徴収に関わる部門では、多くの中小企業の経営者、個人事業主と財務に関わる面談をし、資金操計画の作成アドバイスを行ってきました。
会計・財務・税務に関する様々な相談に対応し、提案をすることをライフワークと考えています。お気軽にご増段下さい。
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