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フリーランスの税金対策4つ!納める税金の種類も解説

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フリーランスの税金対策4つ!納める税金の種類も解説

フリーランスという働き方で心配となるのが、税金ではないでしょうか。納税額がいくらになるのか、納める税金や控除の種類がわからないと心配している方も多いでしょう。税金の払いすぎを防ぐためには、納めるべき税金を理解したうえで適切な節税対策の実施が重要です。フリーランスが納める税金の種類や税金対策について、具体的に解説します。

フリーランスが納める税金の種類

フリーランス 税金対策のイメージ

税金が給与から天引きされる給与所得者(サラリーマン)と異なり、フリーランスの場合は確定申告や納税手続きなどを全て自分で行わなければなりません。

フリーランスが納めなければならない税金は、主に以下の4つです。しっかり把握し、納税漏れのないように注意しましょう。

住民税

住民税は、都道府県や市区町村など地方公共団体に納める地方税の一種で、「道府県民税(都民税)」および「市町村民税(区市町村民税)」があり、両者をまとめて「住民税」と呼びます。

教育や福祉、消防・救急、ごみ処理といった行政サービスをまかなうために、地域に住む人たちが負担を分け合うものです。

住民税の納税額は確定申告のデータをもとに市区町村が算出するため、納税者が住民税の申告をしたり税額の計算をする必要はありません。居住する市区町村から6月頃に送付される通知書に従って納税します。

前年の所得に応じて納税額が変動するため、所得が多い年は翌年の納税に備えて資金を確保しておきましょう。

なお、年間所得20万円未満で確定申告が不要な場合でも、前年に収入があれば住民税の納付義務があります。市役所などの市民税担当窓口に「住民税申告書」を提出することで申告できますので、忘れないように注意しましょう。

個人住民税は、「均等に負担する部分(均等割)」が4000円、「所得に応じ金額が変動する部分(所得割)」が一律10%の二階建ての仕組みです。所得割は原則一律10%ですが、地方公共団体によっては独自に減税を行っており、実際には住んでいる市区町村で納税額は異なります。

所得税

フリーランスが払う税金といえば、所得税というイメージがあるでしょう。実際に、所得税は払うべき税金のなかで大部分を占める場合が多く、所得税の減額は節税対策の第一歩です。後に紹介する節税対策の理解のためにも、まずは所得税の仕組みをしっかり把握しておきましょう。

所得税とは、1年間で得た所得に対し課される国税です。1年間の収入から必要経費等を指し引いた金額を「所得金額」と呼び、さらに所得から基礎控除や社会保険料控除など各種控除を差し引いた金額が、「課税所得」です。この課税所得に金額に応じて定められた税率をかけ、所得税を算出します。

  • 所得金額=収入-経費
  • 課税所得=所得金額-各種控除
  • 所得税=課税所得×(金額に応じた税率)-金額に応じた控除額

なお、2037年までは「復興特別所得税」として所得税額の2.1%も併せて申告・納税します。これは東日本大震災復興のために創設された税金で、原則全ての納税者が納める必要があります。

フリーランスの場合、前年1月1日から12月31日までの収入から所得税を算出し、原則毎年2月16日から3月15日(土・日・祝日の場合は翌平日)の申告期間に確定申告を行わなければなりません。算出した所得税の納付期限は確定申告期限と同様ですので、遅れないように注意しましょう。

なお、フリーランスの業種によっては、報酬額から源泉徴収されている場合があります。国税庁のウェブサイトでは「源泉徴収の対象になる範囲」一覧を掲載していますが、多くのフリーランスが活躍するWebライターやWebデザインなどは「原稿料や講演料」に該当するため、源泉徴収されています。源泉徴収額が算出した納税すべき金額を上回った場合は、還付が受けられます。確定申告の計算方法に不安があったり、個別に具体的な節税方法を知りたい場合は、税理士などの専門家や相談窓口へ相談してみましょう。正確な申告書の作成が可能になるほか、申告書の時間削減となります。

個人事業税

個人事業税とは、1年間に事業で得た所得が290万円を超えると課される税金です。地方税の一種で、税率は業種により異なり課税対象とならない業種もあるため、自身の事業が該当するかどうか確認しておきましょう。

住民税と同様に確定申告に基づき判断され、都道府県から8月と11月に通知書が送付されるので、申告手続きは不要です。個人事業税は経費として計上できるので、次回の確定申告時に忘れないようにしましょう。

参考:「個人事業税」東京都主税局

消費税

前々年1月1日から12月31日まで、または前年1月1日から6月30日までの課税売上高が1,000万円を超えた場合は自動的に「課税事業者」になり、国税である消費税の申告・納税義務が発生します。

前々年または前年の課税売上高から判断するため、課税売上が1,000万円以下であれば、起業から2年間は免税事業者であり消費税納税の義務はありません。ただし、前年1月1日から6月30日までの期間に課税売上高が1,000万円を超えると、起業直後から課税事業者になってしまい消費税の申告・納税義務が発生するので注意しましょう。

また、2023年10月から始まったインボイス制度(適格請求書等保存方式)により、制度に則ったインボイス(適格請求書)でなければ仕入税額控除が受けられなくなりました。仕入税額控除が受けられないと、仕入と売上に係る消費税が二重課税のまま納税してしまうことになります。

仕入税額控除を受けるためには、売り手側・買い手側ともにインボイス制度に対応している必要があります。制度に登録していないことで取引先を失うリスクや消費税額分の値引き交渉をされることもあるでしょう。

そのため、課税売上高が1,000万円以下であっても顧客確保のために課税事業者となり、インボイス制度に対応するという選択もあります。この場合、免税事業者のままでいれば消費税の納税義務はありませんでしたが、課税事業者となったため仕入税額控除は可能ですが消費税納税の義務が発生するので、申告を忘れないようにしましょう。

フリーランスが消費税を納税するには、所得税の確定申告とは別に「消費税の確定申告」が必要です。消費税の申告・納税期限は翌年3月31日であり、必要書類も所得税の確定申告とは異なるため注意が必要です。

インボイスに対応した方がよいのか悩んだときは、税理士や会計士などの専門家に相談するとよいでしょう。

参考:「消費税及び地方消費税の申告書・添付書類等」国税庁

フリーランスの税金対策5選

フリーランス 税金対策のイメージ

フリーランスの人も事業の成長を見据え継続的で安定したものにするために、手元に資金を残しておくことは重要です。売上を伸ばすほかには、正しい節税対策が資金確保につながります。具体的な節税方法を解説しますので、しっかりと対策をしましょう。

青色申告に切り替える

所得税の確定申告には、「白色申告」と「青色申告」の2種類があります。

白色申告は、簡易的な帳簿付けが認められており比較的作業は容易であるものの、控除額は10万円と高くありません。

一方で青色申告は、事前に「開業届」と「青色申告承認申請書」の提出が必要であるものの、複式簿記で帳簿を付けていれば最大65万円(e-Tax申請以外の場合は55万円)の青色申告特別控除が受けられることが特徴です。その他にも「赤字の3年間繰越」や、「青色専従者給与」として事業に従事する家族や親族に支払った給与を経費として計上できるなどの優遇があります。配偶者が専従者である場合、配偶者控除と併用はできませんが給与額を全て経費として計上できることはメリットといえるでしょう。

青色申告は複式簿記の帳簿付けが難しいというイメージがあるかもしれませんが、会計ソフトを利用すれば自動で処理される項目も多く、それほど難しいものではありません。

参考:「青色申告制度」国税庁

参考:「青色事業専従者給与と事業専従者控除」国税庁

減価償却の特例を使う

減価償却とは、事業のために購入した固定資産の費用を、定められた耐用年数で分割して費用に計上することです。

青色申告では「少額減価償却資産の特例」があり、一定の条件を満たす中小企業等が利用できる制度で、取得価額が30万円未満であればソフトウェアなどの形のないものや中古品も減価償却資産の対象にでき、一括で経費として計上できるという特徴があります。経費に計上し課税所得額を減らすことで、節税効果に繋がります。

取得価額の合計額が300万円未満という制限はありますが、金額も大きいため固定資産の追加・新調をする際には利用すると良いでしょう。

参考:「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」国税庁

経費を見直す

一般的に、所得税は納税額全体のなかで大きな割合を占めています。そのため、所得税額を減らせば、より大きな節税効果を得られる可能性が高くなるでしょう。

所得税を減らすにはさまざまな方法がありますが、まずは経費が漏れなく計上されているか見直してみましょう。

たとえばフリーランスの場合、事業で使用するパソコンやソフトウェア、事務用品などの購入費、打ち合わせの交通費やコーヒー代、勉強のために購入した書籍代などを経費として計上できます。また、自宅を事務所としている場合にはインターネットや家賃、携帯電話代、光熱費等も使用割合に応じて「家事按分」をして経費にできます。

そのほかにも、業務に使用するものであれば基本的に経費として計上できるので、領収書は必ず取っておくようにしましょう。

控除を見直す

控除には「所得控除」と「税額控除」があります。特に所得控除は種類が多いので、見落としているものがないか一度見直してみましょう。

「所得控除」は、所得税額を算出する際に所得金額から控除するもので(図の過程B)、以下の15種類です。

  1. 基礎控除
  2. 配偶者控除
  3. 配偶者特別控除
  4. 扶養控除
  5. 寡婦控除
  6. 勤労学生控除
  7. ひとり親控除
  8. 障害者控除
  9. 医療費控除
  10. 雑損控除
  11. 地震保険料控除
  12. 生命保険料控除
  13. 社会保険料控除
  14. 小規模企業共済等掛金控除
  15. 寄附金控除

個人の事情に合わせて差し引きできるもので、多くの人が複数該当するでしょう。以下に見落としがちな控除について解説します。

「雑損控除」とは、災害や横領、火災、火事、害虫被害などで損害を被った場合に利用可能な所得控除です。所得金額が1,000万円以下の人が災害にあった場合は「災害減免法による所得税の軽減免除」を利用でき、納税者の選択によりどちらか有利な方を選べます。万が一の時に備えて、制度を覚えておきましょう。

「寄附金控除」は、国や地方公共団体、認定NPO法人などに寄付した場合に受けられる控除です。ふるさと納税が代表的な例で、利用している人も多いでしょう。もちろんフリーランスでも利用可能ですが、ワンストップ特例は使えませんので確定申告できちんと控除しましょう。

「小規模企業共済等掛金控除」は、小規模企業共済の掛金の全額を控除できるものです。小規模企業共済とは経営者のための「退職金制度」ともいえるもので、社会保険に加入できないフリーランスや中小企業の役員などが加入することで、廃業や退職時の経済的不安に備えます。月額1,000円~数万円で加入でき掛金の全額が控除対象ですので、将来閉業した際の資金に不安がある場合は一度検討してみる価値があるでしょう。

また、白色申告でも青色申告でも、事業に携わっている家族への報酬を「専従者控除・専従者給与」として経費から差し引くことができます。白色申告の専従者控除は配偶者86万円・その他一人あたり50万円と決められていますが、青色申告の専従者給与は給与が見合っていれば上限はありません。配偶者控除や扶養控除との併用はできませんが、配偶者も事業に従事していれば、大きな節税が可能でしょう。

「税額控除」は、所得税額から控除できるものです(図の過程D)。主なものとして配当控除、(特定増改築等)住宅借入金等特別控除、政党等寄附金特別控除などを代表に、さまざまなものがあります。

出典:「所得税のしくみ」国税庁

出典:「税額控除」国税庁 

短期前払費用の特例を使う

短期前払費用の特例とは、継続的にサービスを受ける契約の費用のうち、前払いした部分の費用を支払い時の経費へ算入してよいという特例です。ただし、青色申告の場合のみ活用できることと、以下の要件を満たす必要がありますので注意が必要です。

  • 契約に基づく前払いであること
  • 翌年以降も継続的に前払いしてサービスを受ける
  • 料金を支払った日から1年以内に提供を受けるもの
  • 事業の収益に関わらないもの
  • 支払い方法やサービス内容は一定である

インターネットの回線使用料やソフトウェアの利用料、家賃、火災保険料、電子新聞の購読料などが該当します。

短期前払費用の特例の性質は「来年経費として計上されるものを今年の経費とする」という性質のものです。そのため、最大24ヵ月分の料金を経費として計上し、節税効果が得られるのは初年度のみですので理解しておきましょう。

来年以降の業績も順調であることが見込まれる場合、今年の業績が良く税率が高くなる可能性がある場合などに検討するとよいでしょう。

フリーランスにおける税金対策の注意点

フリーランス 税金対策のイメージ

税金対策をする際に注意すべき点がいくつかあります。フリーランスで会計知識がない場合、独断で行った節税対策がデメリットになってしまうこともあります。気を付けるポイントや、迷った場合の相談先などをご紹介します。

課税所得が少なくなることを覚えておく

フリーランスにとって税金対策は重要ですが、減らしすぎないこともポイントです。

フリーランスの場合、住宅ローンなどの審査では売上金額ではなく課税所得から返済能力を算出します。つまり、課税所得金額が少なければ借入可能額も少なくなってしまうため、ローンを組む予定のある場合には無理な節税は控えるようにしましょう。

また、住宅ローン申込に必要な書類として、多くの場合3期分の確定申告書と納税証明書の提出を求められます。金融機関によっては、申込条件に所得金額の制限を設けていたり業歴を定めていることがあります。開業して間もない頃に住宅ローンを組みたい場合は、業歴1~2年でも認めている金融機関を探しましょう。

金融機関と住宅金融支援機構が提携して提供するフラット35は、独自の審査基準を持っておりフリーランスの人でも比較的審査に通過しやすいと言われています。借入可能額や諸条件は金融機関によって異なるため、比較検討するとよいでしょう。

経費を増やすためにむやみにお金を使わない

課税所得額を減らそうと、不必要に経費を増やすことはおすすめしません。税金対策だからと不必要な保険に加入したり必要以上に備品を購入するケースがありますが、税金を抑えられても手元に残るお金が少ないという事態に陥ってしまいます。

支払う税金を抑えることだけを目的とせず、「経費や控除を漏れなく申告する」ことが正しい節税といえます。

難しい場合には一人で対応しようとしない

節税対策は、種類が多い上に適用条件や計算方法が複雑なため、自分ひとりで理解しながら計算や申告まで行うことは困難でしょう。

インターネットで得た情報をもとに税金対策をしたら申告ミスだった、ということにもなりかねません。思わぬ脱税につながるため、少しでも不安があれば税理士や会計士などの専門家へ相談しましょう。プロ目線で、自分の状況に合わせた適切な節税対策がわかるでしょう。

税理士は税務相談のほか確定申告書の作成や代行も行えるので、申告漏れや遅延もなく安心して任せられるでしょう。なお、申告書の作成や代行などの税務は、税理士しか行えないため注意が必要です。

フリーランスの税金対策は税理士事務所へ

フリーランス 税金対策のイメージ

フリーランスにとって、手元にお金を残すことは事業の継続のためにも重要です。税金対策としてむやみに経費を増やすことは、結果的に現金を減らすことにつながるためおすすめできません。

経費や利用できる控除を漏れなく行うことが、適切にお金を残せる正しい節税といえるでしょう。

事業主として所得金額の算出などを自身で行うことも大切ですが、適用条件や算出方法などに困った場合は専門家に依頼するとよいでしょう。

適切な税金対策をお探しの方は、小谷野税理士法人にご相談ください。

この記事の監修者
今野 靖丈小谷野税理士法人 税理士
1997年中央大学経済学部卒業後、東京国税局に入所しました。法人の税務調査の現場では税の議論だけでなく、企業の経理体制の優れた点の説明や、改善すべき点をアドバイスしてきました。国税徴収に関わる部門では、多くの中小企業の経営者、個人事業主と財務に関わる面談をし、資金操計画の作成アドバイスを行ってきました。
会計・財務・税務に関する様々な相談に対応し、提案をすることをライフワークと考えています。お気軽にご増段下さい。
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