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会社設立の基礎知識

[業種別]開業資金の内訳は?相場や調達方法も解説

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事業を始める際は様々な費用がかかるため、ある程度の開業資金が必要です。開業資金は、その内訳を把握しておくことで金額の見当がつき、準備しやすくなります。また、自己資金が用意できない場合でも、開業資金を準備する方法がいくつかあります。この記事では、開業資金の相場や内訳、資金調達の方法を詳しく解説します。

開業資金とは?

会社設立に資本金がいくら必要かのイメージ

開業資金とは、新しく事業を行う際に必要となる最初の資金のことをいいます。株式会社などでは株主などの第三者から資金の出資を受ける場合もありますが、ほとんどが開業する経営者自身が準備をすることになります。

資金をどのくらい準備するのか、調達方法をどうするのかなどは、新しく始める事業形態を考慮した上で決める必要があります。また、スムーズに起業を進めるためには、全体の金額だけでなく費用項目まで決めておいた方がよいでしょう。

開業資金の内訳:①設備資金

開業資金の設備資金には、実店舗に関わる店舗取得費や物件取得費、店舗の改装にかかる費用、電気や配管などの工事にかかる費用、空調など機械設備にかかる費用などがあります。

また、キャッシュレス決済化に伴い、キャッシュレス決済端末やPOSレジを導入する場合は、それらの決済関連費も設備資金に加えます。設備関連に費用がかかる場合は、比較的多額の開業資金が必要になるといえます。

開業資金の内訳:②運転資金

店舗の家賃や人を雇った際の人件費、光熱費、商品の仕入れ費用などを運転資金といいます。

運転資金は、変動費と固定費に分けられますが、固定費は売上状況に関わらず、毎月支払いが生じます。しかし、開業したばかりの頃は固定費を事業の売上から工面することは困難であることも多いでしょう。

そのため、開業直後にしばらく赤字が続いたとしても、事業が存続できるだけの余剰資金を用意しておく必要があります。

運転資金は一般的に、およそ3ヶ月分あればよいとされていますが、飲食店など売上が立たない場合でも仕入れなどに費用がかかってしまう業種であれば、およそ6ヶ月分を確保しておくと安心できます。

運転資金が尽きてしまうと事業の廃業に繋がってしまうため、事業を成功させるには、余裕を持った運転資金を用意した上で、計画的に資金管理をすることが重要です。

開業資金の内訳:③予備資金

開業後の当面の生活費として蓄えておきたいのが予備資金です。開業直後から利益が出ることもありますが、一般的には半年から数年の間は赤字が続くこともあります。

事業で赤字が続いていても、自身の生活は維持していかなければなりません。せっかく始めた事業のせいで生活費を切り詰めることなどがないよう、余裕を持って開業資金を準備しましょう。

開業資金の相場と業種別に見る内訳

開業にどのくらい資金が必要なのかは、会社を設立するか否か、開業する業種、事業規模などによって異なります。費用をかけずに開業できる業種もありますが、ほとんどの場合が開業資金を必要とし、なかには1,000万円以上の費用を必要とする業種もあります。

個人事業主として開業する際には、最低でも300万円程度の資金が必要とされ、人を雇う場合や設備投資がある場合は1,000〜2,000万円程度が相場となります。

開業資金は業種ごとに大きな差が生じるため、開業予定の業種にはどのくらいの開業資金が必要になるのか、しっかり確認しておくとよいでしょう。

参考:「2023年度新規開業実態調査」|日本政策金融公庫

参考:新規開業に関する調査|日本政策金融公庫

小売業の内訳

実店舗を持つ小売業の場合は、事業に必要となる機械や備品の導入費用のほか、店舗の内装工事費用や改装費なども設備費用に入るため、設備資金がかなり大きくなります。

小売業の代表格ともいえるコンビニエンスストアのフランチャイズ店では、契約金(加盟金)だけで100万円~300万円ほどかかります。直営店舗を構える場合や、オーナーが内装設備工事費を負担するケースでは、さらに多額の資金が必要です。

出店する地域や物件の規模などによっても大きく変わりますが、小売業の開業資金には以下のような費用項目があります。

  • 店舗取得費(敷金、礼金、保証金、仲介手数料、看板契約料、駐車場契約料など)
  • 改装費(外装工事費、内装工事費)
  • 設備費(電気工事費、配管工事費、電話工事費)
  • PC関連費(パソコン、パソコン周辺機器、ソフトウェアなど)
  • 機械設備費(空調設備など)
  • 通信費(電話、FAXなどのOA機器
  • 決済関連費(キャッシュレス決済端末、POSレジなど)
  • 備品、その他の費用(テーブル、椅子、机、ユニフォーム、文房具など)

飲食業の内訳

飲食業を東京都内で開業する場合、開業資金は最低でも1,000〜1,500万円程度が必要といわれています。開業資金が多額になるため、自己資金だけでなく融資などを利用するケースが一般的といえます。

飲食業のように開業資金が多額になる場合、内訳を細かく見直すことで削減できる箇所が見つかることもあります。削減できる費用があれば初期投資である開業資金を抑えることができるため、開業資金の内訳を把握しておくことは非常に重要であるといえるでしょう。

実店舗を持つ飲食業も小売業と同様に、出店する地域や物件の規模などによって開業資金は変わってきます。飲食業の開業資金には以下のような費用項目があります。

  • 店舗取得費(敷金、礼金、保証金、仲介手数料、看板契約料、駐車場契約料など)
  • 改装費(外装工事費、内装工事費)
  • 設備費(電気工事費、配管工事費、電話工事費)
  • PC関連費(パソコン、パソコン周辺機器、ソフトウェアなど)
  • 機械設備費(空調設備、厨房設備など)
  • 通信費(電話、FAXなどのOA機器
  • 決済関連費(キャッシュレス決済端末、POSレジなど)
  • 備品、その他の費用(テーブル、椅子、机、ユニフォーム、文房具など)

IT系の内訳

Webやアプリ、ゲームなどのIT系プログラマーなどは、パソコンやインターネット環境などがあれば自宅でも作業ができるため、人を雇わない場合は開業資金を抑えられる傾向にあります。

また、海外に比べて日本は様々な面でデジタル化の進行が遅く、IT業界の市場は他の業種よりビジネスチャンスが多いため、プログラマーとして起業する人も増えています。

仮に自宅以外の場所を借りて会社として事業運営する場合は、IT系の開業資金には以下のような費用項目があります。

  • 物件取得費(敷金、礼金、保証金、仲介手数料、前家賃など)
  • PC関連費(パソコン、パソコン周辺機器、ソフトウェアなど)
  • 通信費(インターネット費用など)

サービス業の内訳

サービス業には、エステサロンや美容室、ネイルサロンやヨガスタジオなど様々な職種があり、職種によって開業資金は大きく変わります。エステサロンやネイルサロンなどを自宅で行う場合は、開業資金を比較的抑えることができるでしょう。

また、サービス業は集客に力を入れる必要があるため、開業時に販売促進費用がかかることもあります。

サービス業の場合、店舗や設備にどのくらいの費用をかけるのかは経営者によって異なりますが、サービス業の開業資金には、主に以下のような費用項目があります。

  • 店舗取得費(敷金、礼金、保証金、仲介手数料、看板契約料、駐車場契約料など)
  • 改装費(外装工事費、内装工事費)
  • PC関連費(パソコン、パソコン周辺機器など)
  • 通信費(電話、FAXなどのOA機器
  • 決済関連費(キャッシュレス決済端末、POSレジなど)
  • 備品、その他の費用(テーブル、椅子、机、ユニフォーム、文房具、消耗品類など)
  • 販売促進費(宣伝広告費など)

開業資金の資金調達方法は?

開業したいけど自己資金が少額しか用意できないという場合や、大きな規模の事業を計画しているため自己資金では足りないという場合、融資によって資金調達をすることができます。

ただし、融資には審査があり、すべての人が受けられるわけではありません。そのため事前に審査内容を確認し、しっかりと準備した上で融資を申し込むことをお勧めします。

開業資金融資の審査基準

開業資金の融資の際は、総合的な情報を参考に、融資を実行するに値するかどうかが判断されます。中でも、最も重要な審査基準の一つが自己資金です。開業資金の融資を希望する場合、借入したい金額の半分〜三分の一程度の自己資金は用意しておいた方がよいとされています。

この自己資金は借入以外で用意したお金でなくてはなりません。そのため、預金通帳の提出が求められ、過去のお金の動きもチェックされます。

申告した自己資金額が、適正に貯蓄されてきたかを調査されるため、十分な預金があっても自己資金ではないと判断されてしまった場合は、融資を受けることができなくなります。

自己資金のほかにも、経験や能力が審査基準としてチェックされます。開業資金の場合、過去の経営実績がないため、起業する前の会社員だった頃の実績や過去の経験に基づいて判断されます。

新しく始める事業が、会社員だった頃にも携わっていた職種やジャンルで、その業界に精通していることが認められれば、融資が受けやすくなります。反対に、会社員の頃と全く関係のない未知の業界で起業を試みた場合は、融資を受けるのは難しくなります。

開業資金を融資する際の注意点とポイント

開業資金を融資できるといっても、事業状況の悪化などで返済できなくなってしまったら元も子もありません。融資を受ける場合は、利息を加味した金額を返済していかなければならないため、無理なく返済ができるよう、きちんと計画を立てることが重要です。

また、開業資金や融資額は最小限に抑えることが大切です。そのぶん、事業を長期的に存続させるために、運転資金がたまるまで開業時期を少し先延ばしにしたり、親族から援助してもらったりし、自己資金を積み増すことも視野に入れるとよいでしょう。

そのほかにも、国や自治体による補助金や助成金など、返済義務のない資金調達の方法を検討してみるのもお勧めです。ただし、補助金や助成金は採択される件数や公募期間が限られているため、必ずしも受給できるとは限りません。申請する際は条件や審査基準など、しっかりと下調べを行った上で申請しましょう。

開業資金のための主な融資先

開業資金のための融資先はいくつかあります。自己資金のみで開業資金を賄うことが難しい場合は融資制度を上手く活用し、開業資金の捻出を行いましょう。

日本政策金融公庫による融資

日本政策金融公庫は、経済の発展や国民生活の安定を実現するために設立された財務省所管の特殊会社です。

日本政策金融公庫の融資制度には、新創業融資制度や新規開業資金、女性、若者/シニア起業家支援資金、再挑戦支援資金などがあります。

国が100%出資している政府系の金融機関であるため、民間の金融機関からは融資を受けるのが難しい小規模事業者や中小企業、起業・開業する人向けに様々な融資制度が整えられているのが特徴です。

参考:新規開業資金|日本政策金融公庫

地方自治体による融資

都道府県や区市町村の地方自治体なども、開業資金の融資制度を行っています。各自治体のホームページなどを確認し、該当する融資を探してみるとよいでしょう。

東京都で行う「東京都中小企業制度融資『創業』」は比較的、申込み対象者のハードルが低く、東京都で開業する多くの人が利用できます。

また、東京都の場合、融資だけでなくクラウドファンディングで支払う手数料を東京都が補助してくれる制度などもあります。自己資金がほとんどなく融資をうけるのが難しい場合は、東京都のクラウドファンディング制度を利用するのも一つの手段でしょう。

出典:東京都中小企業制度融資『創業』|東京都産業労働局

参考:クラウドファンディングを活用した資金調達支援|東京都産業労働局

民間の金融機関による融資

日本政策金融公庫や地方自治体による融資のほかにも、民間の金融機関で融資を受けることも可能です。しかし、都市銀行などは大手の企業とのみ取引を行い、個人事業主や小規模事業者への融資は行っていないケースがほとんどです。

一方で、各都道府県に本店がある地方銀行は、地元や地域の個人や中小企業を対象にしており、個人や中小企業への融資実績も豊富なところが多いです。ただし、金利が高くつく場合や、担保を求められる場合もあるため、注意が必要です。また、自己資金がない場合や少額の場合は審査が通りにくくなる可能性もあります。

開業資金は内訳を確認し無理のない方法で調達しましょう

この記事では、開業資金の内訳や相場、調達方法を解説しました。

開業資金は新しい事業を開始する際に必ず必要となるお金です。内訳を事前にきちんと確認し、削減できる部分はできるだけ削減しましょう。

また、融資を受ける場合は、開業資金の支援に特化した融資を受けることをお勧めします。

補助金や助成金、クラウドファンディングなどを利用した資金調達の方法もありますが、開業する業種や事業内容などによって条件や審査基準が異なるため、それぞれのメリットやデメリットを比較し、事業計画に合った資金調達の方法を検討しましょう。

開業資金に関するご相談は「小谷野税理士法人」にお気軽にお問い合わせください。

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。

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