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従業員を雇用した場合の税金は?必要な手続きや確定申告の疑問を解説

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従業員を雇用した場合の税金は?必要な手続きや確定申告の疑問を解説

個人事業主が初めて従業員を雇用する場合、手続き方法や納税・確定申告のやり方など不明な点も多いのではないでしょうか。税制は仕組みが複雑であり、改正されることも少なくありません。間違いを避けるためにも、ここでは個人事業主が従業員を雇用する際の手続きと税金について説明します。

個人事業主が従業員を雇用したときに必要な手続き

従業員を雇用したときの税金のイメージ

個人事業主が従業員を採用した際に必要な手続きを説明します。

源泉徴収の準備

個人事業主が従業員を雇用したら、まずは源泉所得税を納付するために必要な源泉徴収の準備を始めましょう。

個人事業主が給与を支払う際に一定の金額を天引きして預かり、それを従業員に代わって納付する仕組みを「源泉徴収」と言います。

天引きする源泉所得税の税額は、従業員の家族構成などによって異なります。そのため、源泉徴収を行う前に従業員から「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出してもらう必要があります。

源泉所得税の税額は国税庁が発行している「給与所得の源泉徴収税額表」によって算出可能です。

源泉所得税は、基本的に徴収した日の翌月10日が納期限です。

従業員が10人未満ならば、特例として年2回の納付で済ませられます。

ただし、特例を受けるためには「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を税務署へ提出しなくてはなりません。

参考:令和6年分 源泉徴収税額表|国税庁

労働条件の通知

労働基準法に基づき、個人事業主が従業員を採用した際は、賃金や休暇・休日、就業時間などの労働条件を記載した通知書を作成・発行します。

これは「労働条件通知書」と呼ばれています。

労働条件通知書は雇用契約書とほぼ同じ内容ですが、雇用契約書は事業主と従業員の合意を証明するものであり、法的に定められている労働条件通知書とは異なる書類です。

労働条件通知書のテンプレートは厚生労働省の公式サイトなどから配布されています。

参考:労働条件通知書|厚生労働省

各種保険関連の手続き

従業員の安定した生活を守るためにも、個人事業主には労災保険・雇用保険・健康保険・介護保険・厚生年金保険などの各種保険関連手続きが求められています。

ただし、労働保険と社会保険ではそれぞれ加入条件が異なります。労災保険と雇用保険は総合して「労働保険」とも呼ばれています。

業種や規模を問わず、個人事業主が新たな従業員を採用した場合、必ず加入手続き済ませ、労働保険料を負担しなくてはなりません。従業員を1人でも雇用すると加入義務が発生します。

また、パートタイムやアルバイトも、1週間の所定労働日数が20時間以上で31日以上の雇用見込みがあれば労働保険が適用されます。

健康保険・介護保険・厚生年金保険はそれぞれ「社会保険」の1種で、その保険料の負担割合は個人事業主と労働者による折半です。

株式会社や合同会社などの法人事業主は、常時1人以上の従業員を雇用している時点で社会保険への加入が義務づけられています。

個人事業主でも、農林漁業・サービス業など以外で下記のような一定の業種ならば、常時5人以上の従業員がる時点で社会保険が強制適用されます。

  • 製造業
  • 土木建築業
  • 鉱業
  • 電気ガス事業
  • 運送業
  • 清掃業
  • 物品販売業
  • 金融保険業
  • 医療保険業
  • 士業 など

従業員 雇用 税金のイメージ

参考:被用者保険の適用拡大|厚生労働省

パートタイムやアルバイトの場合、正社員などの従業員と比べて4分の3以上の労働時間・労働日数であれば、やはり社会保険への加入者と見なされます。

参考:健康保険・厚生年金保険の適用事業所における適用業種(士業)の追加(令和4年10月施行)|日本年金機構

税務署への届け出提出

個人事業主が従業員に給与を支払う際は源泉徴収を行います。

新たに採用された従業員の場合には、雇用日から1か月以内に税務署へ「給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書」を提出します。

個人事業主が従業員を雇用したときの税金・給料の処理について

従業員 雇用 税金のイメージ

個人事業主が従業員を雇った際、税金や給与をどのように処理すべきか説明します。

各種税金を天引きした後の金額を支給する

従業員への給与は、社会保険料・厚生年金保険料・所得税・住民税などを天引きしてから支払います。

基本的に健康保険料・厚生年金保険料などの社会保険料は、毎年4月から6月までの給与平均額「標準報酬月額」に基づき算出されます。

雇用保険料は給与額×雇用保険料率にて計算を行い、所得税は源泉徴収、住民税は特別徴収にて、それぞれ天引きを行います。

天引きした保険料・税金は国や自治体へ納付する

天引きした保険料や税金は、給与を支給した翌月に国や自治体などへと納付します。その際、個人事業主が負担した社会保険料の割合分は、「法定福利費」として経費計上が可能です。

健康保険料と厚生年金保険料は、「労使折半」と言い事業主と従業員とが50%ずつ負担します。従業員が40歳以上65歳未満の場合、健康保険料と共に介護保険料も支払いますが、こちらも労使折半です。

ただし、雇用保険料に関しては事業主の負担割合が多い仕組みになっているため雇用保険料率の確認が必要です。

参考:雇用保険料率について |厚生労働省

従業員数に関わらず支払った給料の合計金額で仕訳する

給与からの天引きは、従業員が複数人いても個人ごとに給与の仕訳を行うのではなく、合計金額で仕訳をします。

また、源泉所得税と復興特別所得税を分けて仕訳する必要はありません。

個人事業主が知っておくべき税控除

従業員 雇用 税金のイメージ

前年よりも従業員への給与額が増加した場合、控除を活用できる可能性があります。個人事業主が知っておくべき控除の中から、次の2つを説明します。

所得拡大促進税制

「所得拡大促進税制」は「所得拡大税制」とも呼ばれています。

所得拡大促進税制は、前年度より給与が増加した場合、法人であれば法人税から、個人事業主であれば所得税から税額控除できるという制度で、一定の要件を満たすことで適応されます。

「通常要件」の適用要件は、従業員に対する給与の支給額が前年度よりも1.5%以上増加した場合で、控除率は15%です。

さらに、前年度よりも給与の支給が2.5%増加し、次の適用要件のいずれかを満たすと「上乗せ要件」を受けられます。

  • 教育訓練費が前年度と比べ10%以上増加している。
  • 適用年度の終了日までに中小企業等経営強化法に基づく経営向上計画の認定を受け、その計画によって経営力向上が確実に実施されたと証明されている。

「上乗せ要件」では最大40%の加算措置が適用可能です。

雇用促進税制

「雇用促進税制」は、制度が適用される年度内に雇用者を5人以上、かつ10%以上増加させるなどの要件を満たすと受けられます。

「同意雇用開発促進地域」において無期雇用、かつフルタイムでの雇用者が増加することが条件であり、1人あたり40万円の税額控除があります。

控除されるのは法人の場合は法人税、個人事業主の場合は所得税です。

ただし、雇用促進税制の適用を受けるためには、事前に「雇用促進計画」をハローワークに提出する必要があります。

「同意雇用開発促進地域」は厚生労働省のホームページで確認可能です。

参考:雇用促進税制を、ご活用ください!|厚生労働省

参考:雇用促進税制 |厚生労働省

従業員の雇用における税金に困ったら税理士へご相談を

個人事業主が従業員を雇用した際に行われる手続きについて、何が必要なのか、全体の流れなど理解いただけたのではないでしょうか。

ただ、特に税制は複雑なため、条件が設置されている税額控除を受けるためにはさらに詳しい知識が求められます。

税額控除をしっかりと活用するためにも、また、税金についての悩み事がある場合にも、ぜひ税理士に1度相談をしてみてください。

確定申告はもちろん、会計・税務についてのさまざまな相談事へと、小谷野税理士法人では迅速丁寧に応じています。

この記事の監修者
税理士「今野 靖丈」

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