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会社設立の基礎知識

事業用車両は登録が必要?ナンバープレートの違いや手順、注意点を解説

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事業用車両は登録が必要?ナンバープレートの違いや手順、注意点を解説

事業のために車が必要になった場合、法人名義で車を購入することになります。

事業用車両は一般の自家用車とは扱いが異なります。事業用のナンバープレートが存在するため、事業用ナンバーを取得しなければなりません。事業用車両の登録をせずに使用していると、違反とみなされる可能性があります。

ここでは、事業用車両の登録の手順や注意点について解説します。事業用車両のナンバープレートの種類や、事業用車両の登録の必要性などについても解説しているので、参考にしてください。

自家用車と事業用車両の違い

事業用車両の登録の必要性のイメージ

自動車は、大きく分けると「自家用車」と「事業用車両」の2種類があります。
事業用車両に登録する必要性を知るために、自家用車と事業用車両の違いについてみていきましょう。

使用目的

自家用車は、利用者が自らの用途のために使用する車です。個人が通勤や買い物をするときなどに使用します。

一方で、事業用車両は事業で使用するための車です。人や物などを運ぶことで対価を受け取り、利益を得るために使用されます。タクシーやトラック運送業、引越し業者などが事業用車両に該当します。

ただし、企業の営業用車両や、自社の商品を集荷するためのトラックなどの場合は、利用者自らの用途のために使用しているため、自家用車の扱いになります。

自動車保険料

一般的に、自家用車よりも事業用車両の方が自動車保険料は高くなる傾向にあります。なぜなら、事業用車両は自家用車よりも事故を起こすリスクが高いと判断されるからです。

事業用車両の場合、不特定多数の人が運転すれば、事故を起こすリスクは高まります。また、走行距離や乗車頻度も自家用車よりも多くなるため、事故が起こる確率は高まるでしょう。

自動車保険料は事故を起こす可能性が高いほど保険料は高くなる仕組みなので、自家用車よりも事業用車両の自動車保険料が高額な傾向です。

自動車重量税

車の重量や用途区分、経過年数などに応じてかかる重量税は、自家用車よりも事業用車両の方が安価になる傾向にあります。
自家用車と事業用車両の自動車重量税を比較すると、以下の通りです。

 

自家用車(エコカー外)

事業用車両(エコカー外)

車両総重量

1年

2年

トラック2年(8t以下)

1年

2年

トラック2年(8t以下)

1t以下

4,100円

8,200円

 6,600円

2,600円

5,200円

5,200円

~2t

8,200円

16,400円

13,200円

5,200円

10,400円

10,400円

~2.5t

12,300円

24,600円

19,800円

7,800円

15,600円

15,600円

~3t

12,300円

24,600円

24,600円

7,800円

15,600円

15,600円

~4t

16,400円

32,800円

32,800円

10,400円

20,800円

20,800円

~5t

20,500円

41,000円

41,000円

13,000円

26,000円

26,000円

参考:国土交通省「2023年5月1日からの自動車重量税の税額表」

自家用車に比べると、事業用車両の方が重量税が大幅に安いことが分かります。また、車両総重量が大きくなるほど事業用車両と自家用車の税額の差も大きくなります。

車検期間

自家用車と事業用車両では、車検の期間にも違いがあります。

自家用車は新車購入から3年後に2回目の車検が必要であり、それ以降は2年ごとに車検を行います。一方で、事業用車両は新車購入から2年後に2回目の車検が必要になり、それ以降は1年ごとに車検を行います。

事業用車両の方が乗車頻度や走行距離が多く、車体への負担が大きくなることから車検期間を短く設けているといえます。

定期点検整備

車の故障やトラブルが起こらないよう性能を維持するために、定期点検整備という点検が定期的に必要になります。

定期点検整備の点検時期や点検項目は、自家用車と事業用車両で違いがあります。それぞれの点検時期と点検項目数は以下の通りです。

 

点検時期

点検項目数

マイカー(自家用車、軽自動車)

1年ごと

27項目

2年ごと

57項目

中小型トラック(自家用)

レンタカー(乗用車)

6カ月ごと

22項目

12カ月ごと

83項目

バス、トラック、タクシー(事業用車両)

大型トラック(自家用)

レンタカー(乗用車以外)

3カ月ごと

50項目

12カ月ごと

100項目

参考:国土交通省「自動車の点検整備」

事業用車両の方が自家用車よりも定期点検の時期が短いのが特徴です。事業用車両の方が乗車頻度が多いことや、車両への負担が大きいため、点検を頻繁に行う必要があると考えられるからです。

ナンバープレート

自家用車と事業用車両ではナンバープレートの色が異なります。
自家用車のナンバープレートは白地で、軽自動車は黒地です。一方で、事業用車両は緑色や青色のナンバープレートがあります。

色ごとに事業内容が分けられているため、一目で判断することができます。ナンバープレートの違いについては、次の項で詳しく解説していきます。

事業用車両のナンバープレートの違い

事業用車両は、自家用車とナンバープレートの仕様が異なります。

そもそもナンバープレートには、個々の車両を識別するための働きがあります。事業用車両の場合、ナンバープレートの色とナンバープレートに記載される分類番号で区別されます。

事業用車両のナンバープレートの違いについてみていきましょう。

ナンバープレートの色別の違い

自家用車のナンバープレートは白地に緑色の文字ですが、事業用車両は営業ナンバーと呼ばれるプレートを取り付けます。
主なナンバープレートの色と種類は、以下の通りです。

  • 白色
    報酬を得て人や荷物を運搬することに使用しない車両に取り付けるナンバープレートの色です。自家用車や、企業の営業用車両、自社の荷物の集荷用トラック、救急車、消防車などが該当します。
  • 黄色
    自家用車として使用する軽自動車に取り付けるナンバープレートです。黄色のプレートに黒文字で数字などが書かれています。

 

  • 緑色
    人や物を運搬することで報酬を得る車両に取り付けるナンバープレートの色です。緑色のプレートに白文字で番号などが書かれています。軽自動車以外のトラックやバス、タクシーなどが該当します。

  • 黒色

人や物を運搬することで報酬を得る車両の内、軽自動車に取り付けるナンバープレートです。黒色のナンバープレートに黄色文字で番号などが書かれます。

  • 青色

外務省管轄の車両に取り付けるナンバープレートです。青色のナンバープレートに白文字の場合と、白色のナンバープレートに青文字の場合があります。

事業用車両として登録して使用する場合、緑ナンバーと黒ナンバーを使用することになります。

分類番号の違い

ナンバープレートの上部には地名と分類番号が記され、下部にはひらがな1文字と番号が記されています。上部に記されている分類番号は車の種類や用途などを表す数字です。

分類番号は0~9まで存在し、以下の通りに分けられています。

ナンバー

車両の種類

用途や条件

1

普通貨物車

貨物で使用(大型トラックなど)

2

普通乗合車

用途が人の運送で、11名が定員(バスなど)

3

普通乗用車

用途が人の運送で、10名以下が定員

4

小型貨物車

貨物で使用

5

小型乗用車

人の運送で使用

6

軽貨物車

貨物で使用

7

軽乗用車

人の運送で使用

8

特殊用途自動車

特殊な用途で使用(パトカーや教習車など)

9

大型特殊自動車

特殊な用途で使用(フォークリフトなど)

0

大型特殊自動車の建設機械

特殊な用途で使用(ブルドーザーなど)

参考:国土交通省「ナンバープレートについて(登録部門)」

事業用車両の登録の必要性について

 

ここまで解説してきたように、自家用車と事業用車両はナンバープレートが異なり、事業用車両も用途や条件でそれぞれプレートが異なります。
具体的に事業用車両の登録の必要性がある場合とない場合について紹介します。

事業用車両が必要なケース

事業用車両の登録が必要なケースとは、人や物を運搬する作業で報酬を得るような場合です。

例えば、配送業をしている会社であれば、配送に使用する車は事業用車両の登録が必要です。人を運送するタクシーやバスも同様です。

事業用車両として登録すれば、前に解説したように自動車保険料や自動車重量税、車検期間などが変わるため、注意が必要です。

事業用車両の登録が必要ないケース

法人名義で購入した会社用の車の全てに事業用車両の登録が必要なわけではありません。

自社の商品の集荷や資料を運ぶだけの営業車であれば、事業用車両の登録のない白いナンバープレートのままで使用できます。取引先や顧客の元へ移動するために従業員が使用する営業車も同様です。

事業用車両の登録の手順

事業用車両の登録の必要性のイメージ

 

事業用車両として登録するには、手順に沿って手続きを進める必要があります。複数の書類を提出しなければならないため、あらかじめ手順と必要書類について知っておくとスムーズに手続きを進めやすくなります。

以下の手順に沿って、準備を進めてください。

運送業許可を取得する

事業用車両の登録をするには、まず運送業許可を取得しなければなりません。運動業許可は、管轄の運輸支局に許可申請の手続きをすることで取得できます。

緑ナンバーを取得する場合は申請者が法令試験を受ける必要があり、法人の場合は役員の1名が受けることになります。法令試験の合格後に運送業許可証が交付されます。

黒ナンバーの取得には試験がありません。

事業用自動車等連絡書の作成

運送業許可証の交付後に運輸支局へ運行管理者等の届けを提出すれば、事業用自動車等連絡書が交付されます。

事業用自動車等連絡書は、事業用車両のナンバープレートを取得するための書類です。事業用自動車等連絡書の必要事項を記入し、必要書類と併せて管轄の運送課へ提出します。必要な書類は、以下の通りです。

  • 事業用自動車等連絡書
  • 車検証
  • 手数料納付書
  • 運賃料金設定書および運賃料金表(黒ナンバーの場合)

窓口へ提出すると、確認印が押されて返却されます。

登録手続き

登録する車両を持ち込み、運輸支局の自動車検査窓口で登録手続きを行います。
提出する書類は、以下の通りです。

  • 確認印が押された事業用自動車等連絡書
  • 車検証原本
  • 手数料納付書
  • OCRシート
  • 譲渡証明書
  • 委任状(手続きを委任する場合)
  • 住民票(個人事業主の場合)

尚、軽自動車の事業用ナンバーの登録は、軽自動車検査協会で行います。

登録完了

登録が完了すると、新しい車検証が発行されます。事業用車両のナンバープレートが交付されるので、取り付けが終われば営業車として使用できます。

事業用車両の登録における注意点

事業用車両の登録の必要性のイメージ

物や人を運搬して報酬を得る場合は事業用車両の登録が必要になりますが、登録にはいくつか注意すべき点があります。
事業用車両の登録においては、以下の点に注意しましょう。

営業ナンバーの取得には時間がかかる

事業用車両の登録はすぐに完了するわけではありません。申請書の作成に時間がかかるだけではなく、事前に運輸局の許可を得てから手続きを進めます。

とくに、緑ナンバーは手続きから申請後の審査に4カ月前後の時間がかかるため、営業を開始する時期を考慮して申請に取りかかる必要があります。

一方で、黒ナンバーは緑ナンバーよりも比較的簡単に取得できます。申請書類に不備がなければ最短1日で取得して営業車として使用することが可能です。

緑ナンバーは登録免許税が必要

緑ナンバーを取得するには、12万円の登録免許税が必要です。登録免許税は運輸支局へ入金します。

その他にもナンバープレートの費用として1,500円や、提出する証明書関係の取得にも費用がかかる場合があるため、余裕を持った資金計画を立てるようにしましょう。

黒ナンバーの場合は登録免許税は不要です。税金の観点から見ると、黒ナンバーの方が安く抑えられるといえます。

自家用車を事業用車両に変更するにも許可が必要

もともと所有している自家用車を事業用車両にすることは可能です。所有する白ナンバーの車を緑ナンバーや黒ナンバーに変更したいというようなケースもあるでしょう。

自家用車を事業用車両に変更する際にも、運輸支局で新たに運送業許可を取得する必要があります。その後、事業用車両のナンバープレートが登録できるようになります。

尚、事業を続けていく中で事業拡大や従業員の増加に伴い車両を増やしたいという場合にも事業用車両等連絡書が必要になります。

専門家に手続きを任せることもできる

事業用車両の登録が必要になった場合には、手続きを正しく進めることが大切です。

事業用車両の登録手続きは自分で進めることもできますが、書類に不備があれば再提出が必要です。また、申請や書類集めなど手間がかかることもあり、事業用車両の登録手続きだけに時間を割いていては開業に向けた他の準備がおろそかになってしまう可能性があります。

事業用車両の登録は、司法書士や税理士など専門家へ任せることが可能です。司法書士は書類関係の作成を任せることができ、税理士は会社の立ち上げから税務関係の業務までワンステップでサポートしてくれます。

事業用車両の登録だけではなく会社の立ち上げにはさまざまな手続きが必要になるため、税理士のサポートを受けることを推奨します。

事業用車両登録など会社設立時に必要な手続きも税理士へ相談しましょう

税理士というと確定申告や決算の時期にだけ依頼すればいいというイメージがあるかもしれません。しかし、税理士は、会社設立に必要な手続きなどのサポートも行っており、新規開業する法人や個人事業主の強い味方です。

小谷野税理士法人では会社の設立手続きから、その後の税務や経営のサポートまでワンストップでお任せいただけます。経験と知識の豊富な税理士が多数在籍しているため、幅広い業種への対応も可能です。

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この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
税理士「今野 靖丈」

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