起業への第一歩を踏み出すとき、資格取得が有利になることがあります。しかし、どの資格が実際に役立つのでしょうか。この記事では、独立に有利とされるおすすめ資格20選を紹介し、それぞれがどのようにしてあなたの起業プランを強化するかを探っていきます。
目次
起業に資格は必要?
起業をする際に、多くの人が「資格が必要かどうか」について悩むことがあります。確かに、資格があればそれがそのままビジネスに直結するケースもあるでしょう。しかし、資格がなくても成功を収めている起業家は数多く存在します。
そもそも、資格の取得は、その分野における一定の知識や技能があることを示すものです。起業において必ずしもそれが必要条件とは限らないのです。
とはいえ、専門性が高く、その資格が業務に直接関わる業種においては、資格が信頼性を高めるため重要です。
また、顧客やビジネスパートナーからの信頼を得るための証明にもなるでしょう。たとえば、税理士や司法書士、社会保険労務士などは、資格がなければ業務を行うことができません。
一方で、資格が直接的に事業の内容と関連しない場合もありますが、そのような場合でも資格がビジネスに対する熱意や意欲の表れとなり、周囲にポジティブな印象を与えることがあります。つまり、資格取得は知識やスキルの習得だけでなく、事業に対する姿勢を示すための手段としても有用です。
個人事業主におすすめの資格
個人事業主として成功を目指すためには、専門性を高めることが大切です。そこで役立つのが、資格の取得です。資格を持つことで、お客様に対する信頼感の向上、業務の幅の拡大、そして他の事業主との差別化を図ることができます。
ここでは、様々な業種で活躍する個人事業主に向けて、おすすめの資格をいくつか紹介します。それぞれの資格がどのようなメリットをもたらし、どんな事業に役立つのかを考えながら、自分に合った資格取得にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
日商簿記
簿記は、会社を経営をする上で必須のスキルであり、日商簿記の資格を持っていることは、経理の基本を理解しているという証です。日商簿記の資格は、レベルが3級から1級に分かれており、3級は商業簿記のみで、2級から商業簿記・工業簿記が範囲になります。独立して事業を始める人にとっては、最低限2級の資格を持っておくことが望ましいでしょう。
資格を取得することで、自らの会計処理能力を向上させることができますし、仕事を外部に依頼するコストを削減することにも繋がります。また、信頼ある会計知識を活かし、クライアントに対して会計関連のアドバイスを提供することも可能です。
ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルプランナー(FP)の資格を持っていると、自分自身の資産管理はもちろんのこと、顧客の資産形成やライフプランニングの支援を行えます。ファイナンシャルプランナーの知識は、金融知識はもちろん、保険、税務、不動産など幅広い知識が求められるため、個人事業主として非常に活用の幅が広いです。
また、ファイナンシャルプランナーの資格は、独立して資産運用やファイナンシャルプランニングの相談業務を受けたいと検討している方にはおすすめです。お金まわりの領域において、クライアントからの信頼獲得にも有効で、事業展開に幅を持たせるためには役立つ資格です。
中小企業診断士
中小企業診断士は、中小企業の経営相談や経営改善、そして事業計画の策定などの知見を得ていることを証明できる資格です。中小企業診断士の資格を持っていると、経営に関するあらゆる知識と実践的なスキルを持っていると認められ、企業からの信頼が高まります。
個人事業主としては、自身の事業だけでなく、コンサルタントとして他社の支援を行うことも可能です。事業拡大や新たなキャリアを築くためにも必要でしょう。
社会保険労務士
社会保険労務士は、労働法や社会保険に関する専門家であり、企業の人事や労務管理に関する高度な知識を有していることを証明できる資格です。個人事業主がこの資格を持つことで、自分自身はもちろん、他の企業の顧問として雇用管理や社会保険手続きの代行を行うことができます。
ビジネスが拡大し、従業員を雇う際には、社会保険労務士としての知識が直接、自社経営に活かせるでしょう。
ビジネス実務法務検定
ビジネス実務法務検定は、企業活動における法的知識を問われる資格です。契約書の作成や法律相談に対応できるスキルを身につけることができ、特に小さな事業をしている個人事業主にとっては、顧問弁護士を雇うコストを削減することにつながります。
また、トラブル防止やビジネスチャンスの拡大においても、法的な観点からの判断が求められる場面が多くなるため、この資格が事業の成功をサポートするでしょう。
参考:マネーフォワード クラウド会社設立|起業をするために役立つ資格のおすすめを紹介
参考:創業手帳|起業するならこんな資格を持つと有利!起業に役立つオススメ資格7選+αを紹介
女性・主婦の独立におすすめの資格
女性や主婦が独立を目指す際には、ライフスタイルや興味のある分野に沿った資格が非常に役立ちます。ここでは、共働きや子育て・家庭と仕事を両立させつつ、自身の専門性を深め、キャリアアップを目指す方へおすすめの資格をいくつかご紹介します。
フラワーコーディネーター
フラワーコーディネーターは、花や植物に関する幅広い知識を学びます。結婚式やイベント、お見舞いなど、さまざまなシーンで活躍できる専門家となるための資格です。この資格を持っていると、フリーランスとしてお客様一人ひとりのご要望に合わせたフラワーアレンジメントの提案ができますし、自身でショップをもつことも可能です。
フラワーコーディネーターとしての知識は、心豊かな生活を送るためにも役立つでしょう。
アロマテラピー
アロマテラピーの資格は、心身の健康や美容に関心がある女性に特におすすめです。アロマの香りは、リラックス効果やストレス緩和など、私たちの生活に潤いをもたらします。アロマテラピーの知識があると、自宅でのセルフケアはもちろん、プロフェッショナルとして独立して開業することも夢ではありません。
アロマテラピーは心地よい香りを通して、人々のココロとカラダに癒しを提供する仕事で、従来のマッサージやエステと組み合わせたサービスを提供することもできます。日常生活においては、子育て中のママたちにリラクゼーションの時間を提供することも可能です。
チャイルドマインダー
チャイルドマインダーは、国家資格である保育士とは違い、英国発祥の民間資格です。乳幼児や子供たちの保育及び育児を、家庭的な環境の中で保護者の価値観や意向に沿いながら個別保育を行います。
集団保育とは違い、子ども一人ひとりの個性や発達段階に応じてよりきめ細やかに、長期的な関わりを持てるのがポイントです。
また、自宅での託児所を開設するなど、在宅で仕事をすることもできるため、子育てをしながらでも仕事を続けられるメリットがあります。子供たちと接する中で、その成長を支援し、保護者からの信頼も得やすいでしょう。
整理収納アドバイザー
整理収納アドバイザーは、お客様の住空間を快適かつ効率よく整える方法をアドバイスする専門家です。片づけが苦手な方や忙しくて時間が取れない方々に代わって、居住空間の改善を行えます。また、整理収納の技術は、自宅だけではなくオフィスや店舗の空間にも適用が可能で、幅広い客層へサービスを提供することが可能です。
この資格を取得していれば、自宅での仕事はもちろん、セミナー開催や書籍出版などを通じて、さらなる事業展開を見込むこともできるでしょう。
メンタル総合心理
メンタル総合心理の資格は、人々の心理的な問題に対応し、カウンセリングを行う専門家となるために役立ちます。ストレス社会と言われる現代において、心のケアは欠かせないサービスとなっています。この資格を持つことで、不安や悩みを抱える人々への精神的なサポートが可能となり、仕事だけでなくプライベートの場でも人間関係の構築に役立ちます。
カウンセリング技術を生かして独立開業することも可能であり、自分自身の経験を活かしたセルフヘルプグループの運営など、多方面で活躍する道も開けるでしょう。
業種別におすすめの資格
起業を目指す方々の中には、自分の業界に特化したスキルアップや専門性の高い知識・技術を得ていることを証明するために、適切な資格を取得することを検討されている方も多いでしょう。ここからは、数ある業種の中で、各業界にどのような資格がおすすめなのか見ていきましょう。
IT業界
IT業界で起業を目指す方々には、技術力の証明となる資格が重要です。以下はIT業界の主な資格です。
- ITパスポート
- 基本情報技術者
- 応用情報技術者
- プロジェクトマネージャー
- ネットワークスペシャリスト
- セキュリティスペシャリスト
- AWS認定ソリューションアーキテクト
- データサイエンティスト
「ITパスポート」は、ITに関する基本的な技術や専門知識を保持していることを証明できる資格です。「基本情報技術者」や「応用情報技術者」といった国家資格は、ITの基礎知識があることを客観的に証明します。さらに、「プロジェクトマネージャー」の資格を持っていれば、大規模なプロジェクトの管理能力があるとの信頼を得られます。また、「ネットワークスペシャリスト」や「セキュリティスペシャリスト」といった資格も、特定の専門分野での高い実務能力があると評価されるため、おすすめです。その他にも、「AWS認定ソリューションアーキテクト」のようなクラウドサービス関連の資格や、「データサイエンティスト」といったデータ分析関連の資格も有効でしょう。
エステサロン業界
お肌のプロとして独立を目指すエステサロン業界では、「日本エステティック協会認定資格」を持つことがおすすめです。日本エステティック協会認定資格には、以下の資格があります。
- AJESTHE認定エステティシャン
- AJESTHE認定上級エステティシャン
- AJESTHE認定トータルエステティックアドバイザー
- AJESTHE認定フェイシャルエステティシャン・AJESTHEボディ認定エステティシャン
- AJESTHE認定衛生管理者
- AJESTHE美肌エキスパート®(美肌検定)
- AJESTHE認定ソシオエステティシャン
これらの資格を取得することで、エステティックの専門知識があり、安全な施術を提供できるプロフェッショナルであるとの信頼を得られるでしょう。
Web制作業界
Web制作業界では、技術的なスキルを証明する資格が数多く存在します。以下はWeb制作業界の主な資格です。
- Webクリエイター能力認定試験
- HTML5プロフェッショナル認定
- SEO検定
中でも代表的なのは、「Webクリエイター能力認定試験」や「HTML5プロフェッショナル認定」などの資格です。これらはWebのフロントエンド技術に関する知識や技術を持っていることを証明します。また、SEO対策に特化した「SEO検定」などの資格も、サイト運営における重要な知見となりえるでしょう。
ヨガ教室業界
ヨガ教室を運営するには、指導者としての技能を示す資格が求められます。多くのヨガインストラクターは、以下の「全米ヨガアライアンス」の認定資格を取得しています。
- RYT200
- RYT500
- E-RYT200
- E-RYT500
- RPYT85
- RCYT95
- YACEP
RYTとは「Registered Yoga Teacher=認定されたヨガ講師」の略で、80カ国以上で通用する国際的な資格であり、世界的に最も認知度の高いヨガのインストラクターになるための資格です。「全米ヨガアライアンス」の認定資格を持つことで、国際的な基準に沿ったヨガ指導ができると認識されます。
また、全米ヨガアライアンスの他には以下のような資格があります。
- インド中央政府公認資格
- 一般社団法人全日本ヨガ協会(AJYA)認定資格
- 一般社団法人日本ヨガインストラクター協会(JYIA)認定資格
ヨガは、資格がなくてもインストラクターになることができる分野です。しかし、資格を取得することで生徒からの信頼を獲得しやすくなり、集客につながるでしょう。
ネイルサロン業界
ネイル業界では、公的な資格が信頼の証明となります。ネイル業界の資格には、以下の資格があります。
- ネイリスト技能検定試験
- JNAジェルネイル技能検定
- ネイルサロン衛生管理士
「ネイリスト技能検定試験」や「JNAジェルネイル技能検定」の資格を持っているネイリストは、高い技術と衛生管理の知識を備えており、プロとしての信頼度が高まります。
また、お客様に新しい技術を提供できるよう、「ネイルサロン衛生管理士」などの衛生面に関する資格を取得することも大切です。これらの資格は顧客の安心感に直結し、より多くのリピーターを獲得する助けとなるでしょう。
独立起業した人に多い資格
起業を目指す際、どのような資格があれば有利になるのでしょうか。ここでは、起業をテーマに、独立に役立つおすすめの資格をご紹介します。
行政書士
行政書士は、様々な行政手続きの代行や相談に応じる資格です。独立起業を目指す人にとっては、この資格があれば、自らの会社の設立手続きや契約書の作成、許認可申請などをスムーズに行えるようにもなるでしょう。また、クライアントからの信頼も集めやすくなるため、仕事の幅を広げることが期待できます。
事業運営の基礎となる書類の正確な知識を持つことは、リスク管理にもつながります。行政書士になるためには、法律に関する幅広い知識が求められるため、勉強と実務経験が不可欠ですが、その分、事業の可能性は大いに広がるでしょう。
弁護士
弁護士資格を持つことは、特に法律に関わるトラブルが発生した際に役立ちます。企業を守るためには、契約法や企業法務に精通している必要があり、弁護士はその専門性を活かせるでしょう。さらに、クライアントへの法律相談や交渉、訴訟代理なども行えるため、独立した弁護士は幅広い分野で活躍できます。
金銭面でのメリットも大きく、開業する場合の平均年収は、1,000万円〜1,500万円程度といわれています。ただし、弁護士になるためには非常に高いハードルがあり、司法試験に合格した後、実務研修を経て資格を取得します。努力が実を結び、起業家としての信頼と専門性を兼ね備えることにつながります。
MBA
MBA(Master of Business Administration)は、経営学修士の学位であり、経営戦略やマーケティング、ファイナンスなど、ビジネス運営に必要な知識を網羅したプログラムを学べます。起業を志す人々にとって、MBAを取得することは、自己のビジネススキルを高めるのはもちろん、投資家や提携企業との交渉における信頼性を高めることも期待できます。
実際の事例を分析し、戦略的な思考を養うことができるため、独立してからの事業展開においても大きな武器になるでしょう。MBAプログラムは世界中のビジネススクールで提供されており、キャリアアップを目指す多くのビジネスパーソンが学んでいます。
弁理士
特許や商標、意匠などの知的財産権の専門家である弁理士は、起業家にとって重要な役割を果たします。自社のアイデアやブランドを保護し、資産として活用するためには、知的財産権の確立が欠かせません。弁理士として、これらの知的財産を守ることにより、他社との差別化をはかり、事業を有利に進められます。
また、クライアントの知的財産に関する相談に応じることで、その専門性を活かした独立したビジネスを展開することも可能です。弁理士資格を取得するためには、専門的な試験に合格する必要があるため、高度な専門知識が要求されますが、将来的には幅広い活躍の場が得られる資格といえます。
司法書士
司法書士は、不動産登記や商業登記などの法務業務に特化した専門家です。起業時には不動産の取得や会社の設立等、数多くの登記手続きが必要です。司法書士の資格を持っていると、自分自身のビジネスはもちろん、他の起業家の助けになります。
司法書士は、特に中小企業やベンチャー企業からの需要が高く、市場価値の高い職業として注目されています。司法書士試験は、法律知識だけでなく、不動産や会社法に関しての幅広い知識を要求されるため、幅広い法律知識と精密な実務能力が必要ですが、その分、専門職としての地位を確立しやすいでしょう。
独立における資格取得の注意点
独立するにあたって、ただ資格を取得するだけでは事業は成り立ちません。資格取得にあたっては、その業種特有の市場ニーズを理解し、資格が自身のビジネスプランとどのように連動するのかを把握しておくことが大切です。
資格を取得してもうまくいくとは限らない
資格取得は専門性を証明する手段の一つですが、独立に際してその資格が必ずしも成功を約束するわけではありません。事業を成功させるためには、市場の動向を正確に把握し、ニーズに合わせたサービスを提供する戦略的思考が求められます。資格があることで信頼を得やすくはなりますが、その後の顧客獲得やマーケティングの努力は必須です。
さらには経営管理能力や交渉スキル、コミュニケーション能力など資格外の能力が事業成功の鍵となる場合も多々あります。だからこそ、資格取得と平行してこれらのスキルを磨くことが大切です。
業種に合わせて資格を選ぶ
独立を目指す上での資格取得は、自分の進みたい業種に適した資格を選択することが肝心です。各業種のニーズを理解し、適切な資格を取得することにより、ビジネスの初期段階での差別化が可能になり、信頼獲得につながります。
ただし、資格取得は目標達成のための手段の一つに過ぎません。資格が自身の辞表にどう活かせるのかを明確にし、実際に活用するための戦略を練ることが、独立の成功に必要です。
起業・独立を検討するなら「資格取得」も目指そう!
起業や独立を目指す時、多くの人が事業計画や資金調達に注力しがちですが、資格取得も重要です。特に、専門的な知識が求められる分野や信頼性を高めたい場合、資格はその分野に対する認知度を上げる助けとなるでしょう。
資格を持つことで、他の起業家との差別化を図ることができ、顧客からの信頼と安心感に繋がります。さまざまな資格がありますが、自身のビジネスに合わせた資格を選ぶことが大切です。
また、起業や独立を成功に導くためには、税理士法人のサポートを検討することがお勧めです。専門的な知識と経験を持つ税理士が、財務、税務、法務の面であなたのビジネスを全面的に支援します。
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