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会社設立の基礎知識

事業性評価とは?融資を受けるためにはどうしたらいい?

更新日:2024.4.25

会社設立や中小企業の融資に大きく関わる「事業性評価」。耳にしたことはあっても、具体的にどこで何をすればよいのかわからない方もいらっしゃるかもしれません。本記事では、「事業性評価融資を受けるためのポイント」をテーマにまとめました。前半では事業性評価融資の目的やメリット、後半では融資を受けるための具体的な方法を解説します。

事業性評価とは

中小企業が会社を設立したり、新規事業を始めたりする場合、金融機関からの融資を受ける必要があることが一般的です。

その際に行われるのが、金融機関による「審査」です。

従来、金融機関の審査は企業の決算書や担保、連帯保証人といった現時点の財務データや数字などを中心に行われてきました。

そのため、もし企業に今後の将来性や成長可能性があったとしても、融資を受けることは厳しかったでしょう。

また、事業者の会社や自宅を含めた全財産を担保にされることが多いため、融資のリスクがあまりに大きく開業や新規事業をあきらめる方も少なくありませんでした。

その後取り入れられたのが、事業性評価という融資の基準です。

審査の基準が、これまでの業績や担保の有無だけではなく、企業の事業内容や成長可能性といった将来性が加味されるようになったのです。

金融機関の審査にこの事業性評価が加わったことで、起業を考えている方や新規事業を始める方に融資のチャンスが増えるようになりました。

事業性評価の背景・目的

前述のとおり、以前の金融機関の審査は、業績や担保の数字がもとになることが一般的でした。

そうなった原因の一つには、1990年代後半に起こった不良債権問題があります。金融機関の破綻を防ぐために、金融庁はその後一貫して厳しく金融機関の検査・監督を行ってきました。

さらに、金融庁では、財務諸表を中心に企業をランク付けする信用格付けによって、融資するかどうかを判断していました。

そのため、低いランク付けをされてしまう中小企業は、金融機関の融資もなかなか受けることができない状況でした。

そこで2014年、金融庁は「金融モニタリング基本方針」の中で事業性評価という指針を示したのです。

金融庁による金融機関の厳しい管理をやめ、融資を行うかどうかについては、原則として各金融機関の判断を尊重する方針に切り替わったのです。

また、審査の際には、それまでのように企業の財務データや担保だけを参考にした判断をやめ、企業の事業内容や成長可能性といった事業性評価も加えたうえで行うように提案しました。

それによって、現在のような事業性評価を加えた融資が行われるようになったのです。

出典:1990年代末から2000年代における銀行不良債権処理の進行|金融庁

出典:金融検査マニュアル|金融庁

事業性評価融資のメリット

 

「事業性評価融資」とは、金融機関が企業の審査をする際に、数字や業績だけではなく「事業性評価」も加えたうえで融資を行うことです。

そのため、中小企業に融資を受けるチャンスが増え、開業や新規事業を行いやすくなることが、事業性評価融資の最大のメリットです。

日本は、企業の全体数のうち99.7%を中小企業が占めています。そのため、中小企業に開業や新規事業のチャンスが増えれば、その分だけ日本の産業が活発になります。

また、雇用や下請け会社の仕事が増えることで、地域全体の活性化にもつながるのです。

また、日本の中小企業は、世界に誇るような独自の技術を持っていることも少なくありません。事業性評価ではそういった部分も評価対象になります。

地域金融機関では、特に事業性評価を重視する傾向にあります。そのため、地域密着型のビジネスを考えている方にとっては、特にメリットが大きいと言えるでしょう。

出典:最近の中小企業の景況について|中小企業庁

事業性評価融資の注意点

わかりやすくまとめると、事業性評価融資とは、金融機関が審査する際に「数字」+「事業性評価」という2つの審査基準があるということです。

しかし、ほとんどの金融機関では、これまでと同じように業績や担保などの数字も審査に入っています。

まれに、事業性評価のみで審査が行われると誤解している方もいますが、めったにないケースなので注意しましょう。

また、金融機関による事業性評価の内容はおおまかには共通していますが、細かい項目については各機関によってそれぞれ異なってきます。

出典:事業性評価融資について-経営ビジョンシート作成の手引き-|日本政策金融公庫

事業性評価融資を受けるための流れ

ここからは、金融機関から事業性評価融資を受けるための方法について解説します。

具体的な手順や必要書類などは、金融機関によってそれぞれ異なります。ここでは、多くの金融機関で行われる一般的な手順や注意点などについて紹介します。

一般的な事業性評価融資の流れ

  1. 金融機関へ相談に行く
  2. 事業性評価シートを作成する
  3. 事業性評価シートを提出する
  4. 金融機関にて事業性評価シートや実績で審査
  5. 事業性評価の結果をフィードバックされる
  6. 経営発展プランの作成する
  7. 借入申込書と経営発展プランを提出する
  8. 金融機関による審査が行われる
  9. 融資決定後、 契約の締結を行う

1.金融機関へ相談に行く

まずは金融機関へ相談に行きます。現在ある決算書などを持参することが一般的です。

その際に「事業性評価シート」「企業概要書」といった、審査に必要な書類について確認をしましょう。

2.事業性評価シートを作成する

審査に使用する「事業性評価シート」や「企業概要書」などを作成します。

事業性評価シートは、金融機関によって名称や様式が異なる場合があります。ひな型となるシートがあるか確認をしましょう。

特にひな型がない場合や、事業内容を伝えるには不十分だと感じる場合は、独自のシートを作成しても問題ありません。

具体的な作成方法については、本記事で後述する「事業性評価シートを作成するには」で解説します。

企業概要書は、日本政策金融公庫が公開している様式を活用するのもおすすめです。

借入申込書と経営発展プランを提出

引用:各種書式ダウンロード|国民生活事業 

3.事業性評価シートを提出

作成した書類を提出する際は、金融機関との面談で内容について説明することが一般的です。

4.金融機関にて事業性評価シートや実績を審査

金融機関による提出書類や業績などをもとにした審査が行われます。

5.事業性評価の結果がフィードバックされる

提出した書類をもとに金融機関にて評価を行います。その際、「事業性評価書」として記載された評価結果が企業へフィードバックされます。

6.経営発展プランの作成する

 事業性評価書を踏まえて、企業と金融機関双方でこれからの経営戦略や課題、行動計画などを「経営発展プラン」に記載します。

7.借入申込書と経営発展プランを提出する

金融機関に経営発展プランと借入申込書を提出します。 

8.金融機関による審査が行われる

金融機関では、経営発展プランと通常の借入審査の2つをもとに審査をします。

9.融資決定後、 契約の締結を行う

融資が決定した場合は、「金銭消費貸借契約」を締結します。

事業性評価シートを作成するには

事業性評価融資に不可欠な「事業性評価シート」。このシートの作成方法は大きく分けて2通りあります。

1つは事業者側がシートにアピール内容を記載して金融機関に提出する方法で、もう1つは金融機関の担当者が企業からヒヤリングして作成する方法です。

事業性評価が取り入れられるようになって以降、金融機関に相談に訪れる事業者は以前よりも増えました。

そのため、金融機関側は作業が煩雑になり、ヒヤリングした内容をシートに詳細に反映しきれない懸念があります。

事業者が自分で作成した事業性評価シートなら、企業の価値を自身でアピールすることができ、内容が充実することで融資を受けられる可能性が高まるといったメリットがあります。

そのほか、作成作業を専門家に依頼するのもよいでしょう。記載内容に対するアドバイスを受けることもできます。

事業性評価シートの作成内容

事業性評価融資の場合、各金融機関が企業の価値を見極めることが求められます。そのため、以前にあった「金融検査マニュアル」のような全国統一の評価基準はありません。

しかし、評価ポイントにはある程度の共通点があります。

業界の動向

業界の動向について分析し、その中での自社の立ち位置を記載します。自社のこれからの成長可能性をアピールします。

競合によるニーズの動き

競合が代替製品を販売したり異業種が新規参入したりしても、ニーズが減少しないか競争力があるかをアピールします。

独自の技術がある場合はここに記載してもよいでしょう。

SWOT分析

自社の外部環境と内部環境について、プラス要因である「強み」「機会」と、マイナス要因である「弱み」「脅威」に分けて分析することを「SWOT分析」といいます。

ほとんどの事業性評価融資で必要になるので、ぜひ分析しておきましょう。

 

プラス要因

マイナス要因

内部環境

強み(Strength)

自社の持つ強みや長所、得意なことなど

弱み(Weakness)

自社の持つ弱みや短所、苦手なことなど

外部環境

機会(Opportunity)

社会や市場の変化などでプラスに働くこと

脅威(Threat)

社会や市場の変化などでマイナスに働くこと

引用:マンガでわかる「SWOT分析」 | J-Net21[中小企業ビジネス支援サイト]

経営者の評価

近年は、経営者自身の価値を記載することも求められるようになってきました。主に経営者の資質・理念・ビジョンなどを記載します。

事業承継

事業性評価では将来性を重視するため、事業承継の予定も評価されるポイントの一つになります。

特に、近年は事業承継に悩む事業者がとても増えており社会問題にもなっています。すでに事業承継の予定がある場合は、明記することをおすすめします。

事業性評価融資は税理士に相談を

事業性評価融資は、融資を行うかどうかの判断を各金融機関に委ねていることが大きなポイントです。

そのため、一般的な評価基準だけではなく、独自の評価ポイントを設けている金融機関も少なくありません。

そうなると、金融機関ごとにアピールポイントを抑えた事業性評価シートを作成するのは、とても大変な作業になります。

また、開業や新規事業などを計画している事業者は、ほかにもやるべき業務が数多くあり、事業性評価融資ばかりに時間を割くわけにはいきません。

小谷野税理士法人へご依頼することで、効率よく融資を受けられる可能性が高くなります。ぜひ一度相談をご検討してみてはいかがでしょうか。

この記事の監修者

会社設立専門の税理士による
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今野 靖丈

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