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会社設立の基礎知識

法人の役員構成とは?役員の種類や決め方などを解説

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法人の役員構成とは?役員の種類や決め方などを解説

会社経営を何名の役員で行うのか決定する「役員構成」。その適正な人数や配置を判断するのが難しいと感じる方も多いのではないでしょうか。本記事では取締役をはじめとした役員の種類、取締役会のメリット・デメリット、役員構成の決め方などについて解説します。

役員構成とは

会社における役員とは経営方針や事業内容の決定といった経営の中枢を担い、会社全体を管理・監督する役職のことです。

会社法で定義されている役員は取締役・会計参与・監査役の3役のみですが、それ以外に任意で会長や社長などを設置することもできます。

このように自社の経営に何名の役員を配置するのか決定するのが役員構成です。

会社法で定められている最低限の人数は決まっていますが、それ以外については各会社に采配が委ねられています。

役員は社外へ周知されることが多いため、決定は慎重に行う必要があります。頻繁に変えるとお客様や銀行といった取引先の信用を損ねることになりかねません。

出典:会社法329条|e-Gov

役員の種類

役員には会社法によって定められている種類とそうでない種類があります。ここでは会社経営に必要となる主な役員の役割について解説します。

取締役

取締役は会社の業務を執行するための経営方針や重要事項といった意思決定を行う役割があります。

会社法によって会社に1名以上置くことが義務付けられています。

取締役が複数名いる場合は、その中から最高責任者として代表取締役を選出することが一般的です。

取締役の任期は原則として2年ですが、株式譲渡制限会社の場合は最長10年まで延長することができます。

なお、任期満了後に同じ方が再任された場合には、再び登記が必要になるので注意してください。

参考:会社法第332条第1項|e-Gov

参考:再任の場合でも役員変更の登記は必要です|法務省

代表取締役

代表取締役とは会社の代表権と社内に対する業務執行権を有する役職です。選任方法は会社に取締役会があるかどうかによって異なります。

取締役会を設置している場合は最初に株主総会で取締役を複数名選出し、その中から代表取締役を決定します。

取締役会がない場合は代表取締役の選定が任意となります。仮に取締役が複数名いていずれも代表取締役として選任しない場合、各取締役が代表取締役となります。

参考:会社法第349条|e-Gov

会計参与

会計参与は他の役員から独立した立場にあり、会計の専門家として取締役と共同で計算関係書類の作成を行います。

計算関係書類は会社とは別に備え置き、株主や債権者の請求に応じて開示することが義務付けられています。

会計参与の仕事には会計の専門知識が必要になるため、税理士、公認会計士のみが就任できます。

監査役

監査役は取締役と会計参与が適正に業務を執行しているか監査する役割があります。監査役を設置することによって不正な会社経営を防ぎ、会社が健全に成長してゆくことができます。

参考:会社法第336条第1項|e-Gov

会長・社長など

取締役・会計参与・監査役とは異なり会長や社長などの役職は会社法によって設置が義務付けられているわけではありません。また、これらは各企業が自由に設置することができます。

設置は義務ではないため会長や社長などを選出する際に株主総会は必要ありません。

会長の役割

会長は日本では社内で最も地位が高い役職であることが多く、代表取締役を退いた方が就任するケースが一般的です。

自分の後任となった代表取締役の相談役や、業界の発展に貢献する対外的な活動などが主な業務です。

社長の役割

社長は会社経営全体の指揮を執る役職です。代表取締役とは似ているようで異なります。代表取締役は会社法によって役割や呼称が定められているのに対して、社長は法的な定めのない一般的な呼称です。

また、代表取締役は1つの会社に複数名選任することができますが、社長は1名であることが大半です。

取締役会

取締役会とは3名以上の取締役と監査役1名で構成される、株式会社の意思決定機関です。取締役会で決定した会社の業務を代表取締役や取締役が執行します。

それ以外に取締役の業務執行を監督する役割や代表取締役の選定及び解職といった役割もあります。

従来は会社設立時に取締役会を設置することが義務付けられていましたが、2006年に施行された新会社法によって取締役1名でも株式会社を起業できるようになりました。

そのため、以前よりも起業のハードルが下がり子会社も立ち上げやすくなりました。それによって日本経済を活性化させることがこの施策の狙いでもあります。

取締役1名でも起業できるようになったため、取締役会の設置も現在は任意となっています。取締役会を設置しない場合は株主総会で会社の重要事項を決定します。

取締役会にはメリット・デメリットどちらもあります。設置の有無を自分で選択できるようになったからこそ、慎重に検討した上で決定することをおすすめします。

参考:新会社法って何ですか?資本金1円でも会社が設立できると聞きました。|JJnet21

会社法第362条|e-Gov

取締役会のメリット

取締役会を設置するメリットは下記の通りです。

  • 株主総会よりもスピーディーに意思決定できる。
  • 会社の信用度が上がりやすい。

取締役会を設置しない場合、会社の意思決定は年1回の株主総会で決議する必要があります。

一方、取締役会を設置する場合は3ヶ月に1回開催する取締役会で決議できるため、その分意思決定がスピーディーです。

また、取締役会には取締役を監督する役割もあるため、業務が適正に執行されているとして取引先や銀行からの信用度を得やすいこともメリットです。

会社の信用度が上がるとその分融資や新規取引を受けられる可能性も高くなります。

取締役会のデメリット

取締役会を設置するデメリットは下記の通りです。

  • 最低4名の役員選出と役員報酬が必要。
  • 複数人での決議を行うため、決定まで時間がかかる場合がある。

取締役会を設置する場合は最低4名の役員を選出し、さらに彼らに支払う役員報酬が必要になります。

特に会社設立時にはそれが負担になるケースもあります。

また、取締役が1名の場合は自分の意思のみで円滑に決められるのに対し、取締役会を設置した場合は複数人で決議することになります。

その分意思決定までに時間がかかり、自由な経営もしにくくなる可能性があります。

役員構成の決め方

役員を最低限何名設置するべきなのかは会社の種類によっても異なります。ここでは公開会社と株式譲渡制限会社を例に解説します。

公開会社

公開会社とは、株式を譲渡する際に会社の承認を必要としないことを定款によって定めている株式会社です。

公開会社を立ち上げる場合は、取締役会の設置が義務付けられているため、取締役3名以上と監査役1名を選出する必要があります。

参考:会社法上の「公開会社」の意味について教えてください。|J-net21

会社法第2条の5|e-Gov

株式譲渡制限会社

株式譲渡制限会社は、すべての株式に対して譲渡制限の規定を設けている株式会社のことです。非公開会社ともいいます。

そのため、株式を譲渡する際には取締役会や株主総会の許可を得る必要があります。公開会社のように自由に譲渡することはできません。

この規定によって、会社が意図しない人間に自社の株式が譲渡されるのを防ぐことができます。

株式譲渡制限会社の場合は取締役1名でも会社を設立することができます。

【公開会社と株式譲渡制限会社の違い】

会社の種類

公開会社

株式譲渡制限会社

特徴

一部の株式でも譲渡の制限を設けていない会社

すべての株式に譲渡の制限を設けている会社

譲渡の方法

会社の承認が不要

株主総会や取締役会の承認が必要

出典:株式譲渡制限会社とはどのような会社のことですか?|J-net21

役員の変更方法

任期満了や解任・辞任、または死亡などによって役員が変更になる場合は登記申請を行う必要があります。

ここでは取締役会のある株式会社を例に解説します。

役員変更の手順

  1. 取締役・監査役の場合は株主総会で議決
  2. 登記申請書・添付書面を作成
  3. 法務局に申請

役員変更の登記申請書に必要となる添付書面は、印鑑証明書・株主総会議事録・株主リスト・本人確認書類・就任承諾書などです。

法務局のホームページには記載例や添付書面などが掲載されているので、ぜひ参考にしてください。

役員変更の手続きが遅れた場合

役員変更の登記申請は、変更があった日から2週間以内に行うことが会社法によって定められています。

期限を過ぎてから登記申請をした場合は、代表取締役に対して裁判所から100万円以下の過料に処される可能性があります。

参考:株式会社変更登記申請書(取締役会設置会社で,役員(取締役・監査役)が辞任して,新たな役員が就任する場合)|法務局

参考:役員変更の登記について|法務省

参考:会社法第915条第1項|e-Gov

税理士への相談もおすすめ

役員構成は会社設立時だけではなく、経営開始後の意思決定のスピードや社外への信用性といった様々なことに影響します。

役員構成を決める主なポイントになるのは取締役会の有無や会社の種類ですが、本記事で解説したようにメリットとデメリットどちらもあるのでよく比較した上で決定するにしましょう。

役員構成には会社法や会社の財務状況なども関係するため、ぜひ一度「小谷野税理士法人」へのご相談を検討してみてはいかがでしょうか。

この記事の監修者
税理士「今野 靖丈」

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