ホールディングス化を検討している企業も多いかと思いますが、ホールディングス化には、どのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか?この記事では、ホールディングス化とは何か、持株会社の種類やメリット・デメリット、ホールディングス化の方法などについて、わかりやすく解説していきます。ホールディングス化に関心のある経営者の方は、ぜひ参考にしてください。
目次
ホールディングスとは?
ホールディングスとは、複数の株式会社を傘下に持つ会社(持株会社)を設立し、グループ経営を行う企業のことです。英語では「holding company」と呼ばれます。ホールディングス化した会社は、社名に「ホールディングス」や「グループ」などを付けることが多いです。
ホールディングスは、日本では2002年に会社法が改正されてから、急速に広まりました。会社法の改正により、持株会社の設立が容易になり、持株会社の税制優遇も拡充されたことが一因と考えられます。
ここでは、ホールディングスについて、詳しく解説していきます。
ホールディングス化とは何か
ホールディングス化とは、持株会社を設立し、グループ経営を行うことです。自らは事業を行わず、傘下にしている会社の株を保有・支配する会社のことを「持株会社」と呼びます。
持株会社は、グループ全体の経営方針や戦略を決めたり、資金や人材の配分、子会社の監督や指導を行なったりします。
企業の多くは、グループ経営の効率化や強化を図るため、ホールディングス化を検討します。
持株会社の種類
持株会社には、大きく分けて2つの種類があります。「純粋持株会社」と「事業持株会社」です。
純粋持株会社とは、自らは事業を行わずに、子会社の株式を保有するだけの会社のことです。純粋持株会社は、グループ全体の経営管理に専念できますが、子会社からの配当金収入に頼っているため、子会社の業績に左右されやすいといえます。また、純粋持株会社は、自ら事業を行わないため、社会的な存在意義や責任を問われることもあります。
事業持株会社とは、自らも事業を行いながら、子会社の株式を保有する会社のことです。事業持株会社は、自社の事業と子会社の事業のシナジー効果を狙えますが、自社の事業と子会社の事業のバランスをとることが難しい面もあります。また、自社の事業と子会社の事業の競合や衝突を避けることも必要となります。
ホールディングス化を行う際には、純粋持株会社と事業持株会社のどちらにするかを慎重に検討することが必要です。自社の事業内容や目的、子会社の事業内容や規模、グループ全体の経営方針や戦略などを考慮し、最適な選択をすることが重要です。
ホールディングス化と組織再編の違い
ホールディングス化を検討する際、同時に組織再編を考える経営者も少なくありません。ホールディングス化と組織再編とは、どのように違うのでしょうか?
組織再編とは、企業が自社の組織構造や事業内容を変更することです。組織再編には、さまざまな方法があります。たとえば、以下のものが挙げられます。
- 事業の売却や譲渡
- 事業の統合や分離
- 事業の新設や廃止
- 事業部門の移動や変更
ホールディングス化は、組織再編の一種といえます。ホールディングス化は、持株会社を設立し、グループ経営を行うことで、自社の組織構造や事業内容を変更することです。しかし、ホールディングス化は、組織再編の中でも、特に大規模で複雑なものです。
ホールディングス化は、自社だけでなく、子会社や関連会社、株主や取引先、従業員や社会など、さまざまなステークホルダーに影響を与えます。そのため、ホールディングス化を行う際には、事前の準備や計画、実行や評価など、慎重かつ綿密なプロセスが必要となります。
ホールディングス化のメリット
グループ経営の効率化や強化を図るためにホールディングス化をする企業が多いですが、他にもさまざまなメリットがあります。ここでは、それぞれのメリットについて、詳しくみていきましょう。
事業承継対策ができる
ホールディングス化を行うことは、事業承継対策につながります。事業承継とは、経営者が引退や死亡などの理由で事業を継続できなくなったときに、事業を後継者に引き継ぐことです。
事業承継は、中小企業にとって重要な課題です。しかし、事業承継には、さまざまな困難があります。たとえば、後継者の不足や適性の不一致、事業の継続性や安定性の低下、相続税や贈与税の負担などです。
ホールディングス化により、事業承継対策ができる主な理由は、以下の2つです。
- 持株会社の株式を相続することで、グループ全体の経営権を維持できる
- 後継者の適性に応じて、子会社の経営者を任命できる
ホールディングス化により、経営者は持株会社の株式を保有することになります。そのため、経営者が亡くなったときに、持株会社の株式を後継者に相続することで、グループ全体の経営権を維持できます。これにより、事業の継続性や安定性が高まります。また、持株会社の株式は、子会社の株式よりも流動性が高いため、相続税や贈与税の負担を軽減できるでしょう。
さらに、ホールディングス化により、経営者は持株会社の代表取締役になります。そのため、経営者は、後継者の適性に応じて、子会社の経営者を任命できます。これにより、後継者の不足や適性の不一致の解消につながります。また、後継者は、子会社の経営者として、事業に関する知識や経験を積めることも利点といえるでしょう。
役割の効率化が図れる
ホールディングス化によるメリットには、役割の効率化が図れることが挙げられます。役割の効率化とは、持株会社と子会社がそれぞれの役割に特化することで、グループ全体の業務効率や生産性を高めることです。
役割の効率化は、グループ経営の最大の目的のひとつですが、持株会社と子会社の役割分担を明確にする必要があります。
ホールディングス化により、役割の効率化が図れる主な理由は、以下の2つです。
- 持株会社は経営管理に特化し、子会社は事業運営に特化することで、役割分担が明確になる
- 持株会社と子会社の間に情報の非対称性が生じることを防ぐことができる
ホールディングス化により、持株会社は経営管理に特化し、子会社は事業運営に特化することになります。持株会社は、グループ全体の経営方針や戦略の決定、資金や人材の配分、子会社の監督や指導を行います。一方、子会社は自社の事業内容や市場環境に応じて、柔軟に事業を展開し、競争力を高めます。これにより、持株会社と子会社の役割分担が明確になり、グループ全体の業務効率や生産性を高めることにつながります。
また、ホールディングス化により、持株会社と子会社の間に情報の非対称性が生じる可能性があります。情報の非対称性とは、持株会社と子会社が持っている情報の量や質が異なることです。情報の非対称性が生じると、持株会社が子会社の経営状況やリスクを正しく把握できなかったり、子会社が持株会社の経営方針や戦略に従わなかったりすることがあります。これにより、グループ全体の経営効率やパフォーマンスが低下することがあります。ホールディングス化により、役割の効率化が図れると、情報の非対称性を防ぐことにつながります。持株会社と子会社は、それぞれの役割に応じて、必要な情報の共有や報告ができ、グループ全体の情報の透明性や信頼性を高められます。
労働環境の改善に繋がる
ホールディングス化により、労働環境の改善にも繋がるでしょう。労働環境の改善は、グループ経営の成功に欠かせない要素ですが、持株会社と子会社のコミュニケーションや協力が必要です。
ホールディングス化により、労働環境の改善に繋がる主な理由は、以下のとおりです。
- 子会社は事業運営に特化することで、社員の自主性や創造性を発揮できる労働環境を提供できる
ホールディングス化により、子会社は事業運営に特化することになります。子会社は、自社の事業内容や市場環境に応じて、柔軟に事業を展開しやすくなります。子会社は、持株会社からの経営方針や戦略に従いつつも、自社の判断や裁量で、事業の計画や実行、評価や改善を行えるため、子会社は社員に対して、自主性や創造性を発揮できる労働環境を提供できます。また、社員の成果や貢献に対して、適切な評価や報酬を与えることで、やりがいや成長意欲を高めることも期待できるでしょう。
税金対策ができる
企業がホールディングス化を行うと、税金対策のメリットがあります。ホールディングス化を行うと、親会社が子会社の株式を保有し、子会社の経営に影響力を持ちます。
ホールディングス化の税金対策のメリットには、以下の2つがあります。
- 株価の抑制
- グループ通算制度
株価の抑制とは、親会社が子会社の株式を買い増すことで、子会社の株価が上昇しすぎないようにすることです。株価が上昇しすぎると、株式の譲渡益が発生し、譲渡所得税がかかります。しかし、親会社が子会社の株式を買い増すと、株式の譲渡益が減少し、譲渡所得税も減少するため、親会社は税金の負担を軽減できます。
グループ通算制度とは、親会社と子会社が一体として課税される制度のことです。グループ通算制度を適用すると、親会社と子会社の利益と損失を相殺できます。たとえば、親会社が利益を出し、子会社が損失を出した場合、親会社の利益から子会社の損失を差し引けます。これにより、親会社の課税所得が減少し、法人税も減少します。これも、親会社にとって税金の負担を軽減するメリットとなります。
事業の多角化がしやすい
事業の多角化がしやすくなることも、ホールディングス化のメリットのひとつです。事業の多角化とは、持株会社と子会社が、それぞれの事業領域や市場を拡大することで、グループ全体の収益源や成長機会を増やすことです。事業の多角化には、持株会社と子会社の戦略や資源の一致が必要です。
ホールディングス化により、事業の多角化がしやすい主な理由は、以下の2つです。
- 持株会社は子会社の事業内容に関係なく、新たな事業を展開する子会社を設立・買収できる
- 子会社は自社の事業内容や市場環境に応じて、柔軟に事業を展開できる
ホールディングス化により、持株会社は子会社の事業内容に関係なく、新たな事業を展開できます。持株会社は、グループ全体の戦略やビジョンに沿って、新たな事業領域や市場を探索・分析できます。そのため、持株会社は新たな事業を展開するために、自ら子会社を設立したり、他社を買収したりすることも可能です。これにより、持株会社は、グループ全体の事業の多角化を推進できます。
また、子会社は自社の事業内容や市場環境に応じて、柔軟に事業を展開できます。子会社は、持株会社からの経営方針や戦略に従いつつも、自社の判断や裁量で、事業の計画や実行、評価や改善を行えます。そのため、子会社は自社の事業領域や市場の拡大、新たな事業領域や市場への参入、他社との提携や事業の売却も可能です。これにより、子会社は、自社の事業の多角化を図れます。
ブランド力の向上が期待できる
ホールディングス化により、ブランド力の向上も期待できます。ブランド力の向上とは、持株会社と子会社が、それぞれのブランドイメージやブランド価値を高めることで、グループ全体の魅力や評価を向上させることです。ブランド力を向上させるには、持株会社と子会社のブランド戦略やブランド統一が必要です。
ホールディングス化により、ブランド力の向上が期待できる主な理由は、以下の2つです。
- 持株会社はグループ全体のブランド戦略を統一し、広報活動やCSR活動などを行うことで、ブランド力の向上が期待できる
- 子会社は自社のブランドイメージやブランド価値を高めることで、ブランド力の向上に貢献できる
ホールディングス化により、持株会社はグループ全体のブランド戦略を統一できます。持株会社は、グループ全体のビジョンやミッション、価値観などを明確にし、それらをブランドイメージやブランドメッセージとして伝えることが可能です。持株会社は、グループ全体のブランドイメージやブランドメッセージを、広報活動やCSR活動などを通じて、顧客や投資家、社会などに発信できます。これにより、持株会社は、グループ全体のブランド力の向上を期待できます。
また、子会社は自社のブランドイメージやブランド価値を高めることが期待できます。子会社は、持株会社からのブランド戦略に従いつつも、自社の事業内容や市場環境に応じて、ブランドイメージやブランドメッセージを工夫できます。子会社は、自社のブランドイメージやブランドメッセージを、商品やサービス、マーケティングや広告などを通じて、顧客や取引先などに発信することで、自社のブランド力の向上に貢献できます。
コーポレートガバナンスの強化ができる
ホールディングス化には、コーポレートガバナンスの強化ができるというメリットもあります。コーポレートガバナンスの強化とは、持株会社と子会社が、それぞれの経営状況やリスク管理を監視し、コンプライアンスや内部統制などを強化することで、グループ全体の経営効率やパフォーマンスを高めることです。コーポレートガバナンスの強化には、持株会社と子会社の経営体制や経営情報の一致が必要です。
ホールディングス化により、コーポレートガバナンスの強化ができる主な理由は、以下の2つです。
- 持株会社は子会社の経営状況やリスク管理を監視し、コンプライアンスや内部統制などを強化できる
- 子会社は自社の経営状況やリスク管理を報告し、コンプライアンスや内部統制などを遵守できる
ホールディングス化により、持株会社は子会社の経営状況やリスク管理を監視できます。持株会社は、子会社の業績や課題、リスクや問題などを定期的に報告や監査などでチェックし、子会社に対して、経営方針や戦略、予算や目標などを指示・評価します。持株会社は、子会社に対して、コンプライアンスや内部統制などのルールや基準を設定・監査します。これにより、持株会社は、グループ全体の経営効率やパフォーマンスを高められるでしょう。
さらに、子会社は自社の経営状況やリスク管理を報告することがあります。子会社は、持株会社からの指示や評価に従って、自社の経営方針や戦略、予算や目標などを策定・実行します。また、持株会社からのルールや基準に従って、コンプライアンスや内部統制などを実施、改善することにより、自社の経営効率やパフォーマンスを高められます。
ホールディングス化のメリットについて詳しく知りたい方は、ぜひ、わたしたち「小谷野税理士法人」にお気軽にお問い合わせください。
ホールディングス化のデメリット
ホールディングス化には、メリットだけでなく、デメリットもあります。ホールディングス化により、グループ経営の効率化や強化を図れますが、同時に、グループ間の連携の難しさやコストの増加、売上のバランスの悪化などの問題も発生する可能性があります。ここでは、それぞれのデメリットについて、詳しくみていきましょう。
グループ間の連携の難しさが生じる
ホールディングス化のデメリットのひとつは、グループ間の連携の難しさが生じることです。グループ間の連携とは、持株会社と子会社が、情報や資源、人材などを共有したり、協力したりすることで実現します。グループ間の連携は、グループ経営の効果を最大化するために必要ですが、さまざまな障壁もあります。
たとえば、持株会社と子会社の間に距離や文化の違いがある場合、コミュニケーションや信頼関係の構築が困難になることがあります。また、持株会社と子会社の間に利害や目標の対立がある場合、協調や協力の意欲が低下することがあります。
グループ間の連携の難しさが生じると、以下のようなデメリットがあります。
- グループ全体の情報の透明性や信頼性が低下する
- グループ全体の資源や人材の最適化ができない
グループ間の連携が不十分な場合、持株会社と子会社が持っている情報の量や質が異なる場合があります。そうなると、持株会社が子会社の経営状況やリスクを正しく把握できなかったり、子会社が持株会社の経営方針や戦略に従わなかったりすることにつながります。これにより、グループ全体の情報の透明性や信頼性が低下する可能性があります。
また、グループ間の連携が不十分であるために、持株会社と子会社の間に資源や人材の共有・配分ができない可能性があります。グループ内の法人が、自社の資金や設備、技術や知識、人材やノウハウなどを他社に提供したり、受け取ったりできなくなるということです。そうなると、グループ内に資金や設備の過剰や不足が生じたり、技術や知識の伝達や活用ができなかったり、人材の育成や配置ができなかったりすることがあります。
コストの増加が生じる
ホールディングス化のデメリットとして、コストの増加が生じる可能性があります。持株会社と子会社が、ホールディングス化に伴う費用や経費を負担するためです。
コストの増加は、グループ経営の負担になりますが、ホールディングス化の過程や結果によっても変わってきます。たとえば、ホールディングス化の方法や規模、時期、目的などによっても、コスト増加の度合いや内容が異なるでしょう。
コストの増加が生じると、以下のようなデメリットがあります。
- グループ全体の利益やキャッシュフローが低下する
- グループ全体の財務状況や信用力が悪化する
コストの増加が生じると、持株会社と子会社の収益や支出のバランスが悪化する可能性があります。収益や支出のバランスが悪化すると、グループ全体の利益やキャッシュフローの低下につながります。利益やキャッシュフローが低下すると、グループ全体の成長や投資に影響を与えかねません。
また、コストの増加により、持株会社と子会社の負債や資本のバランスが悪化する可能性があります。負債や資本のバランスが悪化すると、財務状況や信用力が悪化し、グループ全体の資金調達や株価に影響を与えることがあります。
売上のバランスの悪化が生じる
ホールディングス化のデメリットには、売上のバランスの悪化が生じることも考えられます。持株会社と子会社の間に売上の偏りや依存が生じることです。これは、グループ経営のリスクになります。
売上のバランスが悪化するかどうかは、ホールディングス化の方法や目的によります。たとえば、ホールディングス化の目的が事業の多角化や拡大である場合、売上のバランスの悪化は少ないでしょう。一方、ホールディングス化の目的が事業の集約や縮小である場合、売上のバランスの悪化は大きいかもしれません。
売上のバランスの悪化が生じると、以下のようなデメリットがあります。
- グループ全体の収益や成長の安定性が低下する
- グループ全体の競争力や価値が低下する
売上のバランスの悪化が生じると、持株会社と子会社の間に収益や成長の偏り、依存が生じる可能性があります。そうなると、グループ全体の収益や成長の安定性が低下することになります。たとえば、売上の大部分を占める子会社の業績が悪化した場合、グループ全体の業績に大きな影響を与えることがあります。また、グループ全体で展開するサービスや商品が偏っている場合、市場環境の変化に対応できないことがあります。
さらに、持株会社と子会社の間に競争力や価値の偏りや依存が生じる可能性も考えなければなりません。競争力や価値の偏りや依存が生じると、グループ全体の競争力や価値が低下することになります。たとえば、売上の大部分を占める子会社の競争力や価値が低い場合、グループ全体の魅力や評価に影響を与えることがあります。また、グループ全体で展開するサービスや商品が偏っていると、顧客や投資家のニーズに応えられないことがあります。
ホールディングス化に適しているかの判断基準
ホールディングス化するかどうかは、自社の状況や目的によって判断する必要があります。さまざまなメリットやデメリットがありますが、それらを十分に理解し、比較検討することが重要です。ホールディングス化に適しているかどうかを判断するためには、以下のような基準を参考にしましょう。
年商
年商は、会社の規模や業界の水準を示す指標のひとつです。ホールディングス化に適しているかどうかを判断するためには、年商を考慮することが大切です。一般的に、年商が大きいほど、ホールディングス化のメリットが大きいといえます。
たとえば、年商の大きい企業は、ホールディングス化により、事業承継やM&Aなどの経営戦略を柔軟に実行できるようになります。
事業の多様性
事業の多様性は、会社の収益構造や競争力を示す指標となります。ホールディングス化に適しているかどうかを判断するためには、会社が行なっている事業の種類や分野を考慮することが必要です。一般的に、事業の多様性が高いほど、ホールディングス化のメリットが大きいといえます。
たとえば、食品や化粧品、医薬品などの異なる事業を展開している会社は、ホールディングス化により、各事業の特性に応じた経営方針や資源配分ができるようになります。
拠点の数
拠点の数は、会社の規模や地域展開の水準を示す指標となります。ホールディングス化に適しているかどうかを判断するためには、会社が国内外に展開している事業所や工場、店舗などの数などを考慮することが必要です。一般的に、拠点の数が多いほど、ホールディングス化のメリットが大きいといえます。
たとえば、全国や海外に多数の拠点を持つ会社は、ホールディングス化により、各拠点の自主性や効率性を高められます。
株主の構成
株主の構成は、会社の経営権や経営方針を示す指標となります。ホールディングス化に適しているかどうかを判断するためには、会社の株式を保有している人や団体の種類や割合を考慮することが必要です。一般的に、株主の構成が単純で安定しているほど、ホールディングス化のメリットが大きいといえます。
たとえば、同族経営や創業者経営の会社は、ホールディングス化により、株式の譲渡や相続などの事業承継をスムーズに行えます。
社員の質
社員の質は、会社の業務や事業の水準や成果を示す指標となります。ホールディングス化に適しているかどうかを判断するためには、会社の社員が持っている能力やスキル、知識や経験、モチベーションやロイヤリティなどを考慮することが必要です。一般的に、社員の質が高いほど、ホールディングス化のメリットが大きいといえます。
たとえば、優秀な人材を多く抱える会社は、ホールディングス化により、社員のキャリアパスや評価制度を多様化し、社員の満足度や生産性を向上させることにつながります。
関連会社の数
関連会社の数は、会社の経営資源や経営ネットワークを示す指標となります。ホールディングス化に適しているかどうかを判断するためには、会社が出資や提携などで関係を持っている他の会社の数を考慮することが必要です。一般的に、関連会社の数が多いほど、ホールディングス化のメリットが大きいといえます。
たとえば、多くの関連会社を持つ会社は、ホールディングス化により、関連会社との資金や設備、技術や知識、人材やノウハウなどの経営資源を活用・拡充できます。
自社がホールディングス化に適しているか詳しく知りたい方は、ぜひ、わたしたち「小谷野税理士法人」にお気軽にお問い合わせください。
ホールディングス化の方法
ホールディングス化の方法は、大きく分けて3つあります。会社分割方式・株式交換方式・株式移転方式です。それぞれの方法には、特徴やメリット・デメリットがあります。ホールディングス化を検討する際には、自社の状況や目的に合わせて、最適な方法を選択する必要があります。
会社分割方式
会社分割方式とは、既存の会社が自社の事業を分割し、新たに持株会社と子会社を設立する方法です。会社分割方式には「簡易分割」と「一般分割」の2種類があります。
簡易分割とは、既存の会社が自社の一部の事業を分割し、新たに子会社を設立する方法です。一般分割とは、既存の会社が自社の全ての事業を分割し、新たに持株会社と子会社を設立する方法です。
会社分割方式のメリットは、以下のとおりです。
- 既存の会社の株主が、持株会社の株主になることで、グループ全体の経営権を維持できる
- 既存の会社の事業を分割することで、事業の明確化や効率化が図れる
- 既存の会社の事業を分割することで、事業の売却や譲渡がしやすくなる
会社分割方式のデメリットは、以下のとおりです。
- 既存の会社の事業を分割することで、事業の連携や協力が困難になる
- 既存の会社の事業を分割することで、事業の規模や競争力が低下する
- 既存の会社の事業を分割することで、事業の責任やリスクが分散されない
株式交換方式
株式交換方式とは、既存の会社が新たに持株会社を設立し、持株会社が既存の会社の株式と引き換えに自社の株式を発行する方法です。株式交換方式には「完全株式交換」と「部分株式交換」の2種類があります。
完全株式交換とは、持株会社が既存の会社の全ての株式を引き換えに自社の株式を発行する方法です。部分株式交換とは、持株会社が既存の会社の一部の株式を引き換えに自社の株式を発行する方法です。
株式交換方式のメリットは、以下のとおりです。
- 既存の会社の株主が、持株会社の株主になることで、グループ全体の経営権を維持できる
- 既存の会社の事業をそのまま継続することで、事業の連携や協力がしやすい
- 既存の会社の事業をそのまま継続することで、事業の規模や競争力が維持できる
株式交換方式のデメリットは、以下のとおりです。
- 持株会社が新たに設立されることで、コストの増加や財務状況の悪化が生じる
- 持株会社が新たに設立されることで、株主や取引先、従業員や社会などの理解や信頼を得るのが困難になる
- 持株会社が新たに設立されることで、事業の明確化や効率化が図れない
株式移転方式
株式移転方式とは、既存の会社が自社の株式を新たに設立した持株会社に移転する方法です。株式移転方式には「完全株式移転」と「部分株式移転」の2種類があります。
完全株式移転とは、既存の会社が自社の全ての株式を持株会社に移転する方法です。部分株式移転とは、既存の会社が自社の一部の株式を持株会社に移転する方法です。
株式移転方式のメリットは、以下のとおりです。
- 既存の会社の株主が、持株会社の株主になることで、グループ全体の経営権を維持できる
- 既存の会社の事業をそのまま継続することで、事業の連携や協力がしやすい
- 既存の会社の事業をそのまま継続することで、事業の規模や競争力が維持できる
株式移転方式のデメリットは、以下のとおりです。
- 持株会社が新たに設立されることで、コストの増加や財務状況の悪化が生じる
- 持株会社が新たに設立されることで、株主や取引先、従業員や社会などの理解や信頼を得るのが困難になる
- 持株会社が新たに設立されることで、事業の明確化や効率化が図れない
ホールディングス化を成功させる近道は専門家への相談
ホールディングス化は、単に会社の形態を変えるだけではなく、経営戦略や組織構造、財務や税務、人事や労務など、さまざまな面での変革を伴います。そのため、ホールディングス化を成功させるには、専門的な知識や経験が必要です。
しかし、多くの中小企業にとって、ホールディングス化は初めての経験であり、自社の力だけで進めるのは困難です。そこで、ホールディングス化を成功させる近道として、税理士などの専門家への相談がおすすめです。
専門家への相談のメリットは、以下のように挙げられます。
- ホールディングス化の目的や方向性を明確にする:専門家は、自社の経営環境や課題、将来のビジョンなどを分析し、ホールディングス化の目的や方向性を明確にすることができます。ホールディングス化の目的や方向性が明確でないと、ホールディングス化の効果が発揮されないばかりか、逆に経営効率やパフォーマンスが低下するリスクがあります。
- ホールディングス化のスキームや手続きを適切に設計する:専門家は、ホールディングス化の方法やタイミング、移行の手順やスケジュールなどを適切に設計することができます。ホールディングス化のスキームや手続きが適切でないと、ホールディングス化のコストが増加したり、税務や法務などのトラブルが発生したりするリスクがあります。
- ホールディングス化後の体制や運営を支援する:専門家は、ホールディングス化後の体制や運営についても支援することができます。ホールディングス化後の体制や運営が不十分だと、ホールディングス化のメリットが十分に享受できないばかりか、グループ全体の統合や統制が困難になるリスクがあります。
以上のように、専門家への相談は、ホールディングス化を成功させるために重要な要素です。特に、税理士は、ホールディングス化に関する税務や会計の知識や経験が豊富であり、ホールディングス化のスキームや手続きの設計や実行、ホールディングス化後の税務や会計の管理や対策などを幅広く支援することができます。
ホールディングス化を検討している経営者の方は、ぜひ、わたしたち「小谷野税理士法人」にお気軽にお問い合わせください。