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中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)とは?メリットや加入方法、注意点を解説!

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中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)とは?メリットや加入方法、注意点を解説!

中小企業の経営者にとって、倒産は最大のリスクです。しかし、倒産の原因は自社の経営ミスだけではありません。取引先の倒産や、自然災害などの不測の事態によって、資金繰りが悪化することもあります。そのようなときに経営者を救ってくれるのが「倒産防止共済(経営セーフティ共済)」です。この記事では、中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)の仕組みやメリット、加入方法、注意点などを詳しく解説します。倒産防止共済に興味のある経営者の方は、ぜひ参考にしてください。 

中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)とは?

中小企業倒産防止共済のイメージ

中小企業倒産防止共済とは、中小企業庁が所管する共済制度の一つです。
ここでは、中小企業倒産防止共済が持つ特徴について詳しく見ていきます。

取引先の倒産による連鎖倒産を防ぐための共済制度

中小企業や個人事業主は、取引先の倒産によって自社の売掛金が回収できなくなり、資金繰りが悪化することがあります。このような場合に、自社の経営を維持するために必要な資金を調達するのが難しいことも多いでしょう。 

中小企業倒産防止共済は、取引先の倒産に備えて掛金を積み立て、取引先の倒産が発生したときに無担保・無保証人で借入れができるという制度です。これにより、取引先の倒産による連鎖倒産を防ぐことが期待できます。

無担保・無保証人で掛金の10倍まで借入れ可能

中小企業倒産防止共済の最大の特徴は「無担保・無保証人で掛金の10倍まで借入れができること」です。たとえば、掛金月額が10万円の場合、最大で1,000万円まで借入れができます。これは、一般的な金融機関の融資と比べて、非常に有利な条件です。

通常、金融機関の融資を受けるには担保や保証人を用意する必要があります。しかし、倒産防止共済の貸付では担保や保証人が不要です。また、借入れの際に、返済計画や事業計画の提出も必要ありません。これは、中小企業や個人事業主の方にとって、貸付の手続きを簡素化しスピーディーに資金調達できるというメリットと言えます。

ただし、借入れの際には、取引先の倒産の証明が必要です。証明としては、取引先の破産宣告や民事再生手続開始決定などの公告や、取引先からの倒産通知書などがあります。借入れの利率は、年1.5%と非常に低く、借入れの上限は8,000万円です。

掛金を損金または必要経費に算入できる

中小企業倒産防止共済の掛金は、税金の節税にもつながります。掛金は、法人税法上の損金または所得税法上の必要経費に算入できます。つまり、掛金の分だけ所得が減少し、税金が軽減されるのです。たとえば、掛金月額が10万円の場合、年間で120万円の損金または必要経費として計上でき、税金の負担軽減につながります。 

解約手当金が受けとれる

中小企業倒産防止共済は、加入期間が1年以上であればいつでも解約でき、解約するときには解約手当金が受け取れます。解約手当金は、積み立てた掛金の一部が戻ってくるお金のことです。

解約手当金の額は加入期間によって異なり、以下のようになります。 

  • 加入期間が1年未満の場合:解約手当金なし
  • 加入期間が1年以上40ヶ月未満の場合:掛金の50%が解約手当金として支払われる
  • 加入期間が40ヶ月以上の場合:掛金の100%が解約手当金として支払われる

ただし、借入れがある場合は、借入れ残高を差し引いた額が解約手当金として支払われます。

中小企業や個人事業主が加入できる

中小企業倒産防止共済に加入できるのは、中小企業や個人事業主です。中小企業とは、資本金が3億円以下または従業員数が300人以下の企業のことです。個人事業主とは、自営業やフリーランスなどの個人で事業を行っている方のことです。ただし、以下のような業種や事業は、中小企業倒産防止共済に加入できません。

  • 金融業、保険業、証券業などの金融関係の業種
  • 不動産業、建設業などの土地や建物に関係する業種
  • 農業、林業、漁業などの第一次産業の業種
  • 公益事業や社会福祉事業などの公的な事業
  • 政治活動や宗教活動などの非営利的な事業

加入には、審査を受ける必要があり、事業の内容や規模、経営状況などが確認されます。

中小企業倒産防止共済の掛金

中小企業倒産防止共済の掛金は、月額5,000円から20万円まで自由に選べ、毎月口座から自動で引き落とされます。

掛金の額によって借入れできる上限額が変わり、掛金の10倍が借入れの上限額です。たとえば、掛金が10万円の場合は、最大1,000万円まで借りられます。

掛金は、加入期間中に変更することも可能です。ただし、掛金を減らす場合は、加入期間が40ヶ月以上であることが条件です。

また、掛金を増やす場合は、再審査を受ける必要があります。掛金の額は、自社の経営状況や資金需要に応じて、適切に選択することが重要です。

中小企業倒産防止共済のメリット

中小企業倒産防止共済に加入することで、さまざまなメリットを得られます。ここでは3つのメリットについて解説します。

取引先の倒産時に速やかに事業資金を調達できる

取引先の倒産によって売掛金の回収ができなくなった場合、中小企業倒産防止共済の貸付を利用することで、速やかに事業資金を調達できます。貸付は、無担保・無保証人で、掛金の10倍まで借りられます。また、貸付の手続きは、取引先の倒産の証明を提出するだけで、返済計画や事業計画の提出は不要です。これにより、資金繰りの悪化や連鎖倒産のリスクを回避できます。

掛金が安くて負担が少ない

中小企業倒産防止共済の掛金は、月額5,000円から20万円まで自由に選べます。掛金は、損金または必要経費に算入できるため、税金の節税にもなります。また、掛金は、解約時に手当金として受け取れるため、積み立てた掛金が無駄になることはありません。掛金は、中小企業や個人事業主の方にとって、負担が少なくて済むというメリットです。

借入れの際に返済計画や事業計画の提出が不要

中小企業倒産防止共済の貸付は、借入れの際に、返済計画や事業計画の提出が不要です。これは、一般的な金融機関の融資と比べて、手続きが簡素化されているということです。返済計画や事業計画の提出が不要なので、借入れの際に、自社の経営状況や将来性を詳細に説明する必要がありません。これにより、借入れのスピードや柔軟性が向上します。

中小企業倒産防止共済の注意点

中小企業倒産防止共済のイメージ

中小企業倒産防止共済に加入することで多くのメリットが得られる一方、いくつか注意点もあります。ここでは、倒産防止共済加入時に注意したい3つのポイントについて解説します。

借入れの際に取引先の倒産の証明が必要

中小企業倒産防止共済の貸付を利用するには、取引先の倒産の証明が必要です。取引先の倒産の証明とは、取引先の破産宣告や民事再生手続きの開始決定などの公的な書類のことです。取引先の倒産の証明を入手するには、取引先や裁判所などに連絡しなければならず、借入れの際に、時間や手間がかかる場合があります。

40ヶ月未満で解約すると掛金の一部が戻らない

中小企業倒産防止共済は、加入期間が40ヶ月以上でないと、解約時に掛金の一部が戻らないというデメリットがあります。これは、掛金の一部が手数料として差し引かれるということです。

たとえば、掛金が10万円で加入期間が30ヶ月の場合、解約時に手数料として3万円が差し引かれ、手当金は7万円になります。

このように、中小企業倒産防止共済は、加入期間が短い場合には、掛金の一部が掛け捨てになるというデメリットがあります。

借入れの上限が8,000万円と低い

中小企業倒産防止共済の貸付の上限額は、掛金の10倍であり最大で8,000万円です。これは、一般的な金融機関の融資と比べて、低いと言えます。たとえば、掛金が20万円の場合は、最大で2,000万円までしか借りることができません。このように、中小企業倒産防止共済の貸付は、資金需要が大きい際には不十分な場合があります。

中小企業倒産防止共済に加入するには

中小企業倒産防止共済に加入するには、一定の条件があります。ここでは、加入の条件や必要書類、加入手続きの流れについて解説します。

加入条件

中小企業倒産防止共済への加入には、以下の条件を満たす必要があります。

  • 事業を1年以上継続していること
  • 中小企業者であること(事業者の形態に関係なく、会社・個人事業主・組合が加入できます)

中小企業倒産防止法は中小企業を保護する目的があるため、大企業は加入枠から外れます。そのため、業種や資本金額、従業員数などにより加入制限があります。

1年以上事業を行っている中小企業者のうち、下記のいずれかに該当する方が加入できます。

 

業種

資本金の額または出資の総額

常時使用する従業員数

製造業・建設業・運輸業・その他の業種

3億円以下

300人以下

卸売業

1億円以下

100人以下

サービス業

5,000万円以下

100人以下

小売業

5,000万円以下  

50人以下

ゴム製品製造業

3億円以下

900人以下

ソフトウェア業・情報処理サービス業

3億円以下

300人以下

旅館業 

5,000万円以下

200人以下

 また、次のような場合は中小企業倒産防止共済へ加入できません

  • 住所または主たる事業の変更を繰り返し行ったため、継続的な取引の状況把握が困難
  • 事業に係る経理内容が不明
  • 中小機構から返還請求を受けた共済金、一時貸付金、早期償還手当金、解約手当金の返還を怠っている
  • 納付すべき所得税を滞納している
  • 掛金を12か月以上滞納したために中小機構によって共済契約を解除され、解除された日から12か月を経過していない
  • 不正行為により共済金もしくは一時貸付金の貸付け、または解約手当金の支給を受け、または受けようとした日から12か月を経過していない
  • 現在、共済契約者となっている(重複加入はできません)

参考:経営セーフティ共済|経営セーフティ共済の加入資格

加入に必要な書類

中小企業倒産防止共済への加入手続きの際、提出が必要となる書類は以下の通りです。

  • 契約申込書
  • 預金口座振替申出書
  • 重要事項確認書 兼 反社会的勢力の排除に関する同意書
  • 発行日から3か月以内の商業登記簿謄本(法人の場合)
  • 所轄税務署の受付印のある所得税または法人税の確定申告書
  • 所得税または法人税の納税証明書(その1)(納付したことを証する領収書でも可)
  • 所得税の確定申告書を作成の際に使用した帳票等(白色申告者のみ)

加入手続きの流れ

中小企業倒産防止共済に加入するには、申込書と必要書類を揃えて、以下のいずれかに提出します。オンラインでの手続きも可能です。

  • 委託団体:商工会議所、商工会、中小企業団体中央会、中小企業の組合、青色申告会など
  • 金融機関:銀行、信託銀行、信用金庫、信用組合、商工中金の本支店

書類を提出してから、約2カ月後に「共済契約締結証書」と「加入者必携」が届きます。「共済契約締結証書」は、共済の手続きに必要になることがありますので、大切に保管しましょう。

中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)を利用する際のポイント

中小企業倒産防止共済のイメージ

中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)を利用する際には、以下のようなポイントに注意しましょう。

貸付の返済は、毎月口座から自動引き落とされる(加入期間は1年で自動更新される)

中小企業倒産防止共済に加入すると、最大8,000万円までの貸付を受けられます。貸付の利率は年1.5%と、市場の金利よりも低く設定されています。

また、貸付の期間は最長10年で、返済方法は毎月口座から自動引き落としです。ただし、貸付を受けるには加入期間が1年以上であることが必要です。

共済の加入期間は1年で自動更新されるので、解約しない限り貸付の条件は変わりません。しかし、解約した場合は貸付の残高を一括返済するか、市場の金利に変更するかの選択を迫られます。そのため、貸付を受ける際は、加入期間や解約条件をよく確認することが重要です。

加入後に取引先の倒産が発生した場合は、速やかに共済相談室に連絡する

共済に加入すると、取引先の倒産による売掛金の回収困難に陥った場合、掛金の10倍まで(最大8,000万円)を補償してもらえます。しかし、補償を受けるには、いくつかの条件があります。

まず、取引先の倒産が発生したことを、速やかに共済相談室に連絡することが必要です。連絡しないと、補償の対象外となる可能性があります。また、補償を受けるには、取引先との契約書や請求書などの証拠を提出することが必要です。共済相談室は、中小企業庁や中小機構に設置されており、貸付の申し込みや手続きの相談に応じてくれます。

中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)を活用しよう!

中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)は、中小企業や個人事業主の方が、取引先の倒産に備えて掛金を積み立てておき、必要な時に貸付を受けることができる共済制度です。この共済制度に加入すると、以下のようなメリットがあります。

  • 取引先の倒産によって売掛金の回収ができなくなった場合、無担保・無保証人で、掛金の10倍まで借入れできる
  • 掛金は、損金または必要経費に算入できるため、税金の節税にもなる
  • 解約時には、掛金の一部が手当金として受け取れる

ただし、この共済制度に加入すると、以下のようなデメリットもあります。

  • 借入れの際に、取引先の倒産の証明が必要で、時間や手間がかかる
  • 40ヶ月未満で解約すると、掛金の一部が戻らない
  • 借入れの上限が8,000万円と低い

このように、中小企業倒産防止共済は、経営の安定や資金調達に役立つ共済制度ですが、加入や解約には注意が必要です。この共済制度に関する詳しい情報や相談は、中小企業庁や中小機構の共済相談室にお問い合わせください。

また、掛金や貸付の税務処理については、税理士にご相談ください。税理士に相談することで、中小企業倒産防止共済を最適に活用できるようになります。ぜひ、私たち「小谷野税理士法人」へお気軽にご相談ください。

この記事の監修者
税理士「今野 靖丈」

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