企業経営を円滑に進める上で顧問税理士との良好な関係は欠かせません。しかしそれでも税理士変更を検討せざるを得ない場合もあります。そこでこの記事では、税理士変更の際に起こりうるトラブル例や、トラブルに発展させないための顧問契約解除の方法について、詳しく解説します。税理士変更を円満に進めるための参考に、ぜひご一読ください。
目次
税理士変更で起こりうるトラブルとは?
顧問税理士の変更をすすめていると、思わぬトラブルに遭遇することがあります。ここでは、税理士変更の際に起こりうるトラブルの例をご紹介します。
必要書類が返却されない
税理士を変更する際には、前任の顧問税理士に預けてある全ての帳簿、書類、資料、データなどは、もれなく返却してもらう必要があります。これらの書類は、後任の顧問税理士に引き継がねばなりません。
ところが、こうした書類が返却されないというトラブルが起きることがあります。前任顧問税理士が、嫌がらせで意図的に返却しないというケースは少ないでしょうが、企業側も前任顧問税理士も失念していた、というトラブルは起こる可能性があります。
新しい税理士に情報が引き継がれない
前任の顧問税理士が把握しているさまざまな企業情報が、新顧問税理士に正確に引き継がれないというトラブルが起こることもあります。
たとえば、e-Tax(国税電子申告・納税システム)の利用者識別番号、利用者ID、暗証番号(パスワード)です。特に注意が必要なのは、e-Taxの暗証番号の扱いです。前任の顧問税理士との契約が解除されるまでに、必ず暗証番号の変更を済ませましょう。これを怠ると、契約解除後も前任顧問税理士が修正申告などを行える状況が続くことになります。
また、e-Taxに前任顧問税理士のメールアドレスが登録されている場合は、これを削除する必要があります。放置すると、納税関連の通知メールが前任税理士に送られてしまいます。クラウド会計などの登録情報やパスワードも同様に変更する必要があります。
法外な顧問契約解除料金を請求される
税理士変更にともなって、顧問契約解除料金を請求されるというトラブルに発展する場合もあります。このケースでは多くの場合、企業側が顧問契約書の内容をしっかり把握していなかったことが原因です。
現在の顧問税理士に契約解除を申し入れる前に、契約内容について特に以下の点を確認する必要があります。
- 契約解除料金の有無
- 契約解除の意思を伝えられる期間
- 期間外の契約解除にともなう違約金の有無
請求された契約解除料金が、上記の条項に当てはまっていない場合は、請求は不当であることが多いでしょう。
税理士に契約解除を断られる
現在の顧問税理士に契約解除を断られてしまうトラブルも、起こる可能性があります。
そうした際には、まず地域の税理士会に相談することで、円満解決の道筋を探るのが良いでしょう。税理士会には調停の役割があります。
もめて裁判にまで発展してしまうと、双方ともに不愉快な上、経済的、時間的な負担も発生します。そうした事態はできる限り避けるのが賢明です。
参考:「税理士法第49条の2第2項第7号」 e-Gov法令検索
後任の税理士も期待以下
税理士変更を実行したところ、後任の税理士が期待外れだったというトラブルもあります。この場合は、後任税理士を選ぶ際の見極めが甘かったと言わざるを得ません。新たな税理士の選定は、その人(税理士事務所)が本当に自社の求める資質を持っているのか、慎重に見極めることが大事です。
税理士の選定は、以下の点に注意して進めるべきでしょう。
- 信頼性
- 専門性、得意分野
- 料金体系
- コミュニケーション能力
前提として、税理士をコロコロと変えるような事態は避けるべきです。口コミや紹介を参考にしつつ、直接面談も実行し、自分の目や耳・フィーリングで新しい税理士は選びましょう。
企業の内部情報を暴露される
前任の税理士が、自社の内部情報を暴露してしまうトラブルもありますが、こうした行為をおこなう税理士は、よほどタチの悪い人物といえます。あまり見かける事例ではありませんが、皆無とは言えません。
しかし、税理士と税理士事務所の職員には、税理士法第38条と第54条で守秘義務が定められています。以下がその内容です。
(引用:「税理士法 第38条」)
税理士は、正当な理由がなくて、税理士業務に関して知り得た秘密を他に洩らし、又は窃用してはならない。税理士でなくなった後においても、また同様とする。
(引用:「税理士法 第54条」)
税理士又は税理士法人の使用人その他の従業者は、正当な理由がなくて、税理士業務に関して知り得た秘密を他に漏らし、又は窃用してはならない。税理士又は税理士法人の使用人その他の従業者でなくなった後においても、また同様とする。
顧問先企業の内部情報を外部に漏らすことは、明確に税理士法に違反します。もちろん顧問契約を解除した後も、守秘義務は継続します。
税理士変更のタイミングで税務調査が入る
税理士変更をするタイミングで税務調査が入るケースも、トラブルのひとつと言えるかもしれません。ただし、税理士変更が理由で税務調査が入ることはありません。たまたま税務調査のタイミングだった、というだけのことです。
顧問税理士がいない状態で、決算申告書類を提出した場合には、税務調査が入る確率は高まるといわれています。しかし、税理士変更を経て、新しい税理士が滞りなく税務を行っている場合は、なんの問題もないとされています。 ただし、申告方法や会計処理が大きく変更されるなどすると、税務調査の対象となることもあるようです。
また、税理士変更を検討中に税務調査が決まった場合には、税理士変更は、税務調査終了後に延期するのが適切です。対象の申告は前任税理士が行っており、新任税理士はその内容を十分に把握できていないためです。
そもそも税理士変更にはどんな理由が多い?
企業が顧問税理士の変更を検討する場合、そこにはなんらかの理由と不満やトラブルがあります。それでは、税理士と企業とのトラブルにはどのようなものが多いのでしょうか。
ここでは、2017年に株式会社ミロク情報サービスが発表した「事業主と税理士・公認会計士のコミュニケーション実態調査」をもとに、解説していきます。もし、当てはまるトラブルが自社と顧問税理士の間にある場合は、税理士変更を検討するか、慎重にその後の様子を見ていくべきでしょう。
1位:アドバイス(30.1%)
トラブルの原因として最も多かったのが「アドバイス」です。アンケート対象者のうち、約3割が税理士のアドバイスがもとでトラブルになったと回答しています。
具体的には「自社に有用な情報や、自社に適した経理処理のアドバイスをもらえない」「ITかの遅れ」「提案がない」などです。税理士に節税の提案や経営への適切な助言を期待する経営者は多く、有用なアドバイスを受けられない場合には「コストパフォーマンスが悪く期待外れ」といった感想につながりがちです。トラブルの火種や税理士変更への決め手となることも少なくありません。
2位:態度・口調(14.9%)
トラブルの原因2位にあげられたのが、税理士の「態度・口調」です。
具体的には「税理士の態度が大きく偉そう」「上から目線」というものや「気が利かない」といった内容です。中には「打ち合わせ中に居眠りをしていた」という声も見られます。
ビジネスマナーや接客姿勢、あるいは人間としての在り方に問題がある税理士も少なくないということかもしれません。税理士の態度や口調が気になった場合には、早めの税理士変更の検討をおすすめします。
3位:価格(13.3%)
税理士とのトラブルの原因として「価格」をあげる人も少なくありません。
顧問料の値上げや、決算料金の高さ、相場よりも高い顧問料などが具体例としてあげられています。「業務量に対して顧問料が高い」という声も見られ、多くの企業が税理士事務所の業務に対する報酬に割高感を感じているといえるでしょう。
つまり、税理士に対して「コストパフォーマンスが低い」と感じた場合にトラブルに発展するケースが多いといえます。税理士との契約の際は、サービスの内容と価格に納得感があるか、をしっかり検討するのがよいでしょう。
4位:ミス(11.9%)
税理士とのトラブルの原因第4位は「ミス」です。
「税額に誤りがあった」「税理士の指示に従ったところ追徴納税させられた」など、税理士の資質に問題がありそうな事例があげられています。「正確性に欠けて単純ミスが多い」「給与明細など間違いだらけ」といった声も散見します。正確性が重要視される税務の専門家として税理士と契約をする企業が多い中、このようなミスをおかすようでは、トラブルになるのも仕方がないといえます。
会計システムを使用するなど、ミスが起こりにくい環境づくりに務める税理士事務所や、ミスがあった場合に誠心誠意対応するという税理士事務所がほとんどです。ミスに真摯に対応する、二度と同じミスはしないなどといった姿勢がみえない税理士とは、契約解除を検討するのも一つの手です。
5位:対応・連絡の遅さ(10.5%)
トラブルの原因の第5位は税理士の「対応・連絡の遅さ」です。
寄せられた声の中には「業務が遅い」「メールに返答がない」「疑問点に対するレスポンスが遅い」などがあげられています。税理士にとっては、複数ある契約企業であっても、企業側からすると経営のパートナーです。対応や連絡をおざなりにされていると感じればトラブルに発展するのも理解できます。
対応や連絡が遅くなるのは、IT化の遅れや人手不足が原因として考えられます。業務処理能力に対する不満とも、いいかえられますが、改善が見られない場合には「税理士事務所全体が不満を甘く見ている」ととらえて税理士変更に踏み切る企業も多いです。
6位:コミュニケーション(9.8%)
税理士との「コミュニケーション」が原因のトラブルも1割弱、報告されています。
「求める回答が得られない」「企業側の思いが伝わらない」「説明がわかりにくい」など、税理士との意思疎通が良好でないことへの企業側の不満が伺えます。
「コミュニケーションが取れていないので、うまく通じず誤解が生じた」などの不満は税理士側が企業とのコミュニケーションに配慮せず、なんらかの誤解を生んだという二次障害二発展したケースといえるでしょう。顧問税理士を選ぶ際には、直接会ったり、時間をかけてコミュニケーションをとったり、コミュニケーション能力もしっかり確認する必要があります。
7位:税務署対応(4.2%)
税理士とのトラブル原因の第7位は「税務署対応」です。
「常に税務署寄りのスタンスだった」「税務調査で戦ってくれない」「税務調査の調査官に悪印象を与えた」などがあげられました。税務調査時の対応は、企業が顧問税理士に最も期待している部分です。ところが、実際は「税務調査に慣れていない」「税務調査官に毅然と対応できない」という税理士は少なくありません。
税理士変更の際には、税務調査の経験や税務署へのスタンスなどの質問を行うなどして税理士本人や税理士事務所の税務署対応への考え方もしっかり確認しましょう。いざという時に頼りになる税理士を選びたいところです。
出典:「事業主と税理士・公認会計士のコミュニケーション実態調査」 株式会社ミロク情報サービス
税理士変更でトラブルが少ないタイミングは?
顧問税理士変更の際には、不要なトラブルを防ぐうえで、そのタイミングがとても重要ですそれでは、トラブルの少ないタイミングとは、具体的にどのような時でしょうか。ここでは、トラブルになりにくい税理士変更のタイミングについて解説します。
経営者の引退
経営者の引退にともなって経営が新体制に移行するタイミングは、トラブルが起きにくく、税理士変更に適しています。企業側から話を切り出しやすく、税理士サイドも契約解除を受け入れやすい、キリのいいタイミングだからです。
前経営者と顧問税理士が長い付き合いという場合には、断り方にも配慮が必要です。最初に、前経営者との長年にわたる付き合いに感謝の言葉を伝え、税理士を変更する理由について、前任税理士が納得できる具体的な表現で説明すると良いでしょう。前任税理士の能力や不満などは、口にしないほうが得策です。
たとえば、新体制への移行にともなって自社戦略も変更され、新しい分野への進出が予定されているなどが方便として適しています。
決算報告後
決算申告の完了時もトラブルになりにくい、税理士変更に適したタイミングです。
決算申告が終われば、前任税理士の仕事はひと段落ついたといってよいでしょう。後任税理士も、決算書と申告書から過去の処理を読み取りやすいため、引継ぎ処理がスムーズに進む可能性が高いです。
修正申告をした直後
税務調査が入る場合には、その修正申告書を提出した後が、税理士変更に適したトラブルになりにくいタイミングです。
税務調査が入ることがわかっているにもかかわらず、その前に税理士を変更してしまうと、後任税理士はその対応が困難です。
担当税理士の異動
担当税理士が異動になるタイミングもトラブルが発生しにくく、税理士変更に適しています。
このケースでも、前任の担当者へのこれまでの付き合いに感謝の意を表したうえで、「取引先から指定された税理士にお願いしたい」など、納得を得やすい理由を説明すると、スムーズに事が運びます。
税理士へのニーズの変わり目
税理士へのニーズが変わるタイミングは、理由も明快でトラブルになりづらく、税理士変更には適しています。
たとえば、海外進出にともなって国際税務に強い税理士にお願いする必要に迫られているなどの理由です。
税理士変更でトラブルを避ける断り方手順
税理士変更の際にトラブルを避けるには、どのように契約解除の断りを入れるべきでしょうか。
ここでは、トラブルを避ける断り方の手順を解説します。
契約の内容を隅々まで確認する
税理士変更でトラブルを避けるために、まず重要なのは、現在の顧問税理士との契約に違反しない手続きを踏むことです。そのためには契約の内容を隅々までしっかり確認することが必要です。
特に、契約解除について次の条項の把握は必須です。
- 契約解除を申し入れることのできる期間
- 違約金
一般的に税理士の顧問契約は自動更新になっていて、契約解除の意思表示をできる期間が明記されています。この期間外に契約解除を申し入れると契約違反となり、トラブルの原因になります。
契約期間外の解約に対する違約金について契約書に明記されている場合があります。この条項に当てはまる契約解除の申し入れには、契約どおりの違約金が発生します。
違約金が発生するか、発生するなら金額はいくらか、契約解除の意思表示をする前にしっかり確認しておかなければなりません。
新しい税理士を見つける
現在の顧問税理士に契約解除の意思を伝える前に、新たな顧問税理士を見つけておきましょう。税理士変更をするということは、現在の税理士に不満や不安があるからですが、新たな顧問税理士は、その不満や不安を解消してくれる人でなければなりません。
税理士をコロコロ変えなくてすむように、現在の税理士に対する不満や不安を整理したうえで、新たな税理士を慎重に選ぶ必要があります。税理士選定では、たとえば、次のようなチェックポイントが重要です。
信頼性
ミスが少ない信頼性の高い税理士を選ぶことは必須条件です。税理士事務所に会計システムを導入しているか、これまで何件ほどの申告業務を行ってきたかなど、ミスが起こりにくい環境づくりや経験値を確認しましょう。
専門性や得意分野
一般的に税理士には、得意な業界や専門分野があります。税理士選定では、自社の事業分野に強い税理士を見つけることが大事です。また、自社の経営課題に強い税理士を選ぶことも重要です。たとえば、海外展開を計画しているなら、国際税務に強い税理士を選ぶなどです。
自社の事業や経営者の価値観を共有できる
税理士は経営のパートナーです。税理士が、自社の事業や経営者の価値観を共有できるか、も重要なポイントです。経営者と世代の近い税理士を選ぶと、価値観の共有がスムーズかもしれません。
税務調査に強い
税務調査への対応は顧問税理士の重要な役割です。税務調査に強い税理士を選ぶことも、税理士選定のポイントとしてあげられます。面談の際は税務調査の経験や税務署に対する価値観などをしっかり確認しましょう。
現在の税理士に契約更新を断る
現在の顧問税理士に契約解除の意思を伝えます。この際、トラブルに発展しないよう、断り方には注意が必要です。詳しくは後述しますが、やむをえない事情を理由にして断ると、税理士変更を円満に進めやすくなります。
たとえば、「取引先に税理士を指定された」「親戚や家族が税理士になった」という理由は、税理士変更の理由としてよく使われます。
期限を決めて重要書類の返却を依頼
現在の顧問税理士に預けてある書類やデータを全て返却してもらいます。これらは、新任税理士に引き継ぐ必要があります。具体的には、次のような書類が現在の顧問税理士に預けられていることが多いです。
- 請求書
- 領収書
- 年末調整関係書類
- 決算書
- 税務署への提出書類
- 定款
- 登記簿謄本
- データに関する書類
新しい税理士への引継ぎ
顧問税理士の変更にともなう業務引継ぎは、一般的には前任・後任の税理士間では行なわれません。企業側と、後任税理士とで引継ぎを行うことになります。
その際、前述の書類や資料が必要になります。また、電子申告のIDやパスワードなどの正確な引継ぎも重要です。
税理士変更でトラブルを避ける断り方のポイント
税理士変更の意向を現在の顧問税理士に伝える際、断り方によっては思わぬトラブルに発展することがあります。ここでは、旧税理士とのトラブルを避ける断り方のポイントについて解説します。
不満は述べず前向きに伝える
一般的には、顧問税理士に対する不満をストレートに伝えることは避けたほうが賢明です。不満は前向きな言葉に変換することで、角を立てずに伝えることができます。たとえば、料金体系に不満がある場合は「顧問料が高い」とはいわず、「自社戦略の都合でコスト削減をしなければならない」などと伝えるのが賢いでしょう。
税理士の能力に不満がある場合も、そのまま伝えることは避けるべきです。こうした場合は、やむを得ない事情を理由として伝えることで、スムーズに話を進めることができます。たとえば、「海外企業と取引が始まるので、国際税務に強い税理士に頼む必要がでてきた」などという伝え方がベターです。
感謝を伝える
現在の顧問税理士に感謝の意を伝えることも、トラブルを避けるために大事です。長年にわたって顧問をしていた税理士を変更する場合には、特に重要です。
相手に敬意を払って、これまでの良好な付き合いに対し、丁重に感謝の気持ちを伝えましょう。たとえ相手に対して強い不満があったとしても、感謝を伝えることで不要なトラブルを回避できます。
解約の期日を文書でもはっきり指定する
現在の顧問税理士に対して、契約解除の期日を明確に伝えることも、不要なトラブルを避けるうえで重要です。契約解除日は口頭で伝えるだけで済ませず、必ず文書やメールでも伝えるようにしましょう。「言った」「言わない」の水掛け論になるのを防ぐためです。
また、契約解除の文書やメールは、担当税理士だけでなく税理士事務所の責任者にも送付するようにしましょう。
トラブルを避ける税理士変更の挨拶文とは?
税理士変更の意向は、まず電話や対面や口頭で伝えた後に、文書やメールでも伝えます。トラブルを避けるための税理士変更の挨拶文の具体例をご紹介します。
メールの場合の件名は「契約解除のお願い」とするのが、おすすめです。文章は、税理士変更の理由を明確にしない場合と、する場合によって異なるでしょう。
また、郵送する場合は挨拶文の前に「通知書」である旨をしっかり示す方が正式な文書として認知される傾向があります。文章は後に残るものなので、例文を参考に、自社と現在の税理士事務所との関係に沿うようアレンジして、後々トラブルに発展しないようにしましょう。
理由を明確にしない場合
まずは、税理士変更の理由には触れずに顧問契約解除をメールで申し入れる場合の例文です。これまでの付き合いに対する感謝の意を伝えるとともに、契約終了日を明確に記載します。
いつもお世話になっております。
この度、弊社の都合により何年何月をもって月次顧問契約を解除させていただきたく存じます。長年のお力添え、誠にありがとうございます。
つきましては、契約終了日の何年何月何日以降、お忙しい中恐縮ですが、御社に保管していただいております弊社書類を速やかにご返却いただけますようお願いいたします。ご返却をお願いしたい書類につきましては別紙にて一覧を作成いたしました。
このメールをもって顧問契約解除通知書とさせていただきます。
貴社のますますのご発展をお祈りしております。 |
理由が明確な場合
次に、差支えのない範囲で契約解除の理由を伝える場合の例文です。税理士変更の理由とともに、これまでの付き合いに対する感謝の意と契約終了日を明確に記載します。
いつもお世話になっております。
この度、弊社の都合により何年何月をもって月次顧問契約を解除させていただきたく存じます。理由といたしましては、取引先の株式会社○○様に顧問税理士事務所に変更してほしいというお申し出を受けたことによります。
長年のお力添え、誠にありがとうございます。
つきましては、契約終了日の何年何月何日以降、お忙しい中恐縮ですが、御社に保管していただいております弊社書類を速やかにご返却いただけますようお願いいたします。ご返却をお願いしたい書類につきましては別紙にて一覧を作成いたしました。
このメールをもって顧問契約解除通知書とさせていただきます。
貴社のますますのご発展をお祈りしております。 |
解約通知を郵送する場合
例文の最後は、顧問契約解除の文書を郵送する場合です。この例文では「通知書」の体裁で、契約解除の意思と契約終了日を事務的に書いています。「通知書」とする場合は、捺印があることで「正式な文書」という印象が強まります。
顧問契約解除通知書
当社は、貴事務所と顧問契約を締結しておりますが、このたび弊社都合により、令和〇年〇月〇日をもちまして、顧問契約を解除いたしますので、ご通知申し上げます。
株式会社〇〇〇 |
税理士変更はトラブルに発展しないよう配慮してすすめましょう
企業が税理士を変更することは、珍しいことではありません。しかし、税理士変更の際に必要な情報や書類の引継ぎがスムーズに行われなかったり、感情のもつれが起きたりすると思わぬトラブルに見舞われる可能性があります。
今回ご紹介した、税理士変更のベストタイミングや手順、断り方や挨拶文の例を参考にできる限り着実で波風の立たない方法で税理士変更をするよう心がけましょう。また、税理士変更でトラブルになるかもしれないというときは新しい税理士に相談しながら進めるのもお勧めです。
新たな税理士をお探しの際には、ぜひ一度「小谷野税理士法人」にご相談ください。「小谷野税理士法人」は、税理士をはじめ、公認会計士、中小企業診断士などの様々な専門家サービスをワンストップで提供しています。
節税、税務調査対応、融資、補助金・助成金など、さまざまな経営課題の解決をサポートしております。税理士変更により、顧問を引き受けた経験も豊富です。現在企業様が抱える、さまざまな経営課題を解消し、長期におよぶ信頼関係の構築をお約束いたします。