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会社設立の基礎知識

法人の投資信託が節税に!具体的な対策方法やメリット・デメリット

更新日:2024.5.4

法人の投資信託イメージ

「法人として投資信託をすると節税になる」と耳にしたことはありませんか?個人事業主と法人では税法上の優遇制度や繰越可能制度の年数の違いなど、さまざまな違いがあります。今回は、法人が投資信託をする場合のメリットやデメリット、節税方法などを具体的に解説します。きちんと理解したうえで、うまく利用していきましょう。

法人における投資信託とは

法人の投資信託イメージ

法人における投資について、イメージしづらい方は多いかもしれません。しかし、個人事業主の場合と同様に、節税をしながら資産を増やす手段のひとつとして「投資信託」が利用できます。

投資信託は、集めた資金を資産運用の専門家(ファンドマネージャー)が運用する金融商品です。専門家の知識を活用できるので自分で投資先の判断をする必要がない点や、株式投資に比べて少額で分散投資ができるというメリットがあります。

金融商品のひとつであるため、資産が増える可能性があるものの、運用実績によっては損失がでてしまうこともあります。リスクとリターン、それに伴う節税のメリットなどを総合的に判断し、選択することが重要です。

個人事業主の場合と異なる点は、以下の通りです。

  • 投資信託によって利益を得た場合の税率が高い
  • 損失の繰越年数が10年
  • 一般口座のみ
  • 投資信託用の借入が可能である
  • NISAは利用できない

個人事業主で法人化を検討している場合は、こういった違いがあることも認識しておきましょう。

以下の項で法人が投資信託で利用可能な節税対策、メリット・デメリットを具体的に解説します。

法人の投資信託での節税対策

投資信託で分配金や売却益などの利益を受け取ったとき、その利益分に対し税金を納めなければなりません。しかし、運用成績によって損失が出てしまった場合など、正しい処理方法を知っていれば節税に繋げられます。

法人の場合、具体的には3つの節税対策があります。詳しく確認していきましょう。

投資信託で得た利益で損失を相殺する

法人の事業で損失が発生した場合、投資信託で分配金や売却益を得ていれば相殺して計算ができます。

例えば、本業で100万円の赤字を計上した年に、投資信託の売却や配当金などから200万円の利益が得られたとします。この場合「-100万円+200万円=100万円」となり、残りの100万円に対して課税されます。

つまり、投資信託の利益200万円が課税されるところを、相殺によって課税対象額を100万円に抑えるという節税効果が得られるのです。

このように、法人が投資信託を行うことで、業績と運用成績を互いに相殺でき節税効果が期待できるという一面があります。法人が投資信託を行う際には、必ず覚えておきたいルールです。

投資信託の損失を事業の利益と相殺する

上記の場合と同様に、法人の事業では黒字でも投資信託で売却損や運用損が発生した場合、その利益と損失を相殺して計算できます。

例えば、本業で500万円の利益が得られた年に、投資信託の売却などの損失が300万円発生したとします。この場合「500万円-300万円=200万円」となり、課税対象額を200万円まで減額するという節税効果が得られました。

この相殺できるルールは、業績または投資信託の運用結果どちらかに損失がでている場合に適用できます。本業の業績および投資信託の運用結果がどちらも黒字の場合は、その合計額すべてが課税対象となります。たとえば、本業100万円の黒字、投資信託で200万円の利益を得た場合、合計の300万円に対し課税されますので注意しましょう。

分配金を益金不算入で課税所得から減算する

投資信託の商品によっては、分配金を定期的に受け取れるものがあります。基本的に分配金も利益として計上しますが、特定の株式投資信託(外国株価指数連動型特定株式投資信託を除く)であれば、分配金の20%相当を益金不算入とし、課税所得額から差し引くことができます。

この制度は、同一の利益に対し二重課税を防ぐための制度です。分配金は、支払元の法人において法人税が課された後の利益から支払われるため、分配金に税金を課すと同じ利益に二度課税してしまいます。このような二重課税を防ぐために、受取配当金の損益不算入という制度が設けられました。

分配金の全額を不算入にできるわけではないことや、特定の投資信託でなければならないことに注意して、うまく活用しましょう。

参考:「受取配当等の益金不算入」国税庁

              「第67条の6《特定株式投資信託の収益の分配に係る受取配当等の益金不算入の特例》関係」国税庁

法人が投資信託を行うメリット

法人の投資信託イメージ

法人が投資信託を行うことで、節税以外にもさまざまな面でメリットがあります。どのようなメリットがあるのか、具体的に解説します。投資信託のメリットを活かせるように、しっかり覚えておきましょう。

低いリスクで運用益を期待できる

投資信託は、その商品の性質上「資産運用の専門家(ファンドマネージャー)」が「分散投資をして運用益をあげることを目指し」ており、「少額から投資できる」という特徴があります。

資産運用の基本は「安く買って高く売る」ですが、株価の上下を予想することは簡単ではありません。投資経験の少ない人が資産運用について学んだとしても、本業をしながら日々動く経済や世界情勢などの情報を常に把握しているのは困難でしょう。

投資信託は、投資家の代わりに資産運用のプロが運用をする商品です。投資信託の運用を担当しているファンドマネージャーは、運用益をあげるために企業分析や業界の動向調査、時には企業の経営者から直接ヒアリングなどをして情報を集め、投資先や資産の配分を決定しています。投資先に迷っている場合は、投資信託で専門家に任せた方がリスクを抑えられるでしょう。

また、基本的に投資信託は分散投資が中心で少額から購入でき、さまざまな資産クラスや業種に投資できるため、株式投資と比較して低リスクでの資産運用が可能です。

例えば、株式投資の場合一社の株を何株買うかというところから自分で指定します。100株単位でしか購入できないため、最低でも数十万円は資金が必要です。ひとつの銘柄の上下に大きく影響されてしまう特徴があるため、株価が上がれば利益も大きく、株価が下がると損失も急激に大きくなる可能性があります。

一方で投資信託の場合は、基本的にひとつの商品に「A社〇%、B社〇%、C社〇%…」と複数の投資先を組み入れて「分散投資」をしています。そのため、万が一A社の株価が暴落したとしても、その他の投資先により大損を抑えられ、銘柄や市場の変動によるリスクを緩和できます。

また、投資信託は債券などと比べて流動性が高く、いつでも売買が可能です。事業に与する資金確保のために売却したい場合も、投資信託であれば比較的売却は容易でしょう。

金融商品なので元本は保証されていませんが、ローリスクで資産運用をしたいのであれば、投資信託がおすすめです。

損失を翌年以降に繰り越せる(最大10年)

事業を営んでいれば、損失が発生することもあるでしょう。本業でも投資信託でも損失が発生した場合税金は発生しませんが、青色申告を行っている企業であれば、損失を翌年以降最大10年間にわたり繰り越すことが認められています。

長期にわたって税負担を軽減できるので、特に事業を始めたばかりのころには、効果的な制度でしょう。損失を繰り越すことで翌年以降の利益を相殺でき、課税所得を減らせるというメリットがあります。損失が発生してしまった場合には、翌年以降計画的に制度を利用するとよいでしょう。

参考:「青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除」国税庁

借入金で大規模な運用が可能

法人は、投資信託の購入に借入金を利用できます。金融機関から事業資金を調達することは珍しくありませんが、投資信託に借入金の一部を利用または本業の信用が見込まれて融資を受けられれば、自己資金以上の範囲を超えて大規模に資産運用ができます。

借入金での投資は個人には難しいため、大規模に投資できることは法人のメリットといえるでしょう。投資金額が増えれば、得られる運用益も高まる可能性があります。一方で、借入金を用いた投資にはリスクも大きくなりますので、慎重に検討しリスク管理が重要です。

資産運用や借入金の利用などに詳しい、専門家に相談し計画を立てて行いましょう。

法人が投資信託を行うデメリット

法人の投資信託イメージ

法人が投資信託を行う際には、いくつかデメリットもあります。メリットと同様に、デメリットもよく理解してから投資信託を行いましょう。

税制の優遇措置は受けられない

個人(個人事業主)が投資信託を行う場合は、一般口座と特定口座を選択できます。NISA(少額投資非課税制度)などの税制上の優遇措置が受けられ、譲渡益・配当金への税金は分離課税で一律20.315%です。特定口座内であれば、譲渡損失と配当金との損益通算や譲渡損失の繰越控除も設けられているなど、個人の投資家にはさまざまな優遇措置があります。

法人が投資信託を行う場合には、これらの優遇措置は適用されません。法人が投資信託で利益を得た場合、事業の課税所得に組み込まれ、税率は21~34%と、個人に比べて高く設定されています。

税率の高さからデメリットが大きいように感じられるかもしれませんが、上記で述べたように大きな利益を得られる可能性や、損失が出ても繰越控除ができるメリットがあるため、どちらがよいか比較検討し総合的に判断しましょう。

利用可能なのが一般口座のみ

法人が投資信託をするとき、一般口座しか選択できません。

特定口座であれば、証券会社が取引の損益をまとめた年間取引報告書を作成するので、納税額等の計算を自分で行う手間が必要ありませんが、一般口座の場合、投資信託の売買損益および納税額の算出は自分で行わなければなりません。購入や売却の回数が多いと計算が煩雑になり、報告書を作成する事務作業に時間がかかるというデメリットがあります。

参考:「株式・配当・利子と税」国税庁

法人の投資信託のご相談は税理士事務所へ

法人の投資信託イメージ

法人が投資信託を行うことで、資産を増やす可能性があるほか、損失が発生した際の緩和の役目も果たします。

しかし、投資信託は元本が保証されていません。節税対策やメリットだけでなく、デメリットもしっかり理解して専門家に相談しながら行いましょう。

自社に最適なリスク管理の方法や投資信託のための借入の方法など、法人の投資信託に関するご相談は、小谷野税理士法人へお声がけください。

この記事の監修者

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今野 靖丈

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