一般人にとって税金は専門用語が多いので、難しく感じることが多くあります。税金について疑問がある時にどこで相談するか迷ってしまう方も意外と多くいらっしゃいます。税金に関する疑問に対し、相談に乗ってくれるのは税理士と税務署です。今回はそれぞれの特徴や税金の相談をする際のポイントを紹介します。
目次
税金の相談はどこにすればいい?
一般人にとって税金は、難しい部分が多くあり「税金についてどこで誰に相談したらいいのか分からない」と疑問に感じる方は多くいらっしゃいます。
税金といえば「税理士に相談」というイメージがありますが、税務署でも相談することも可能です。いずれもメリット、デメリットがあり、相談する人や状況によって最良の選択は異なります。それぞれのメリット、デメリットについて見ていきましょう。
税理士は柔軟に対応してもらえる
税金のプロである税理士に相談した場合、相談内容が幅広いだけでなく時間にも柔軟に対応してくれるなどの多くのメリットがあります。
税理士のメリット
柔軟に対応してもらえる
税務署での相談は予約が必要なので、すぐには相談できないケースもあります。しかし、税理士の場合は時間も依頼主に合わせて柔軟に対応してくれます。また、時間だけでなく相談内容も幅広く、柔軟に対応してもらえます。
幅広い相談が可能
税理士は税金の専門家なので、もちろん税金の相談をお任せできます。税金以外にも正しい帳簿の作成方法、請求書、領収書などの書類管理だけでなく資金繰りや月次決算、税務調査対応といった多岐に渡るアドバイスを受けることができます。
節税についても相談できる
税務署では教えてくれない節税についての相談も可能です。
税理士に相談すれば経理作業を減らすだけでなく、経営や資金繰りなどの適切なアドバイスを受けることで大きく事業を発展させることにも繋がります。
不安な方や不明なことがある方は、小谷野税理士法人にご相談ください。
税理士のデメリット
費用がかかる
税務署では税金相談が無料でできるのに対し、税理士に相談した場合は費用がかかります。確定申告の時期は無料で相談に乗ってくれる税理士がいたり、無料の相談会が開かれる場合があります。費用をかけたくない場合は、無料で利用できるところを探してみましょう。
丸投げすると会計知識が増えない
会計業務はある程度の会計知識が必要となり、知識が少ない場合には時間がかかってしまう場合もあります。そういった場合に税理士に会計業務を全て依頼すれば時間の短縮になります。一方で会計知識がずっと増えないというデメリットがあります。
税務署は公的機関で安心
公的機関である税務署は納税に関する指導を行う場所でもあります。そのため情報の正確さには間違いがありません。
税務署のメリット
公的機関で安心できる
税務署は公的機関であり、職員は税務に関するエキスパートです。税金に関する正確な情報を得ることができ安心です。
無料で相談できる
無料で相談できる点が、税務署で税金の相談をする最大のメリットです。税理士事務所でも無料で相談を行っている場合がありますが、無料では気が引けてしまうという方も多いようです。その点、税務署では公の機関でありながら費用がかからないため、気軽に相談することができます。
匿名での相談が可能
税務署の電話相談センターでは名前を聞かれることなく匿名での相談が可能です。また、一年中、相談を受け付けているため確定申告の準備を早めにスタートさせることもできます。
税務署のデメリット
節税について相談できない
税務署で税金の相談をする際の一番のデメリットは、節税対策の相談ができないことです。
税務署の役割は、税金の適正な申告、納税のサポートです。そのため、節税に関するアドバイスは本来の業務ではありません。節税については税理士の専門分野なので、税理士に相談しましょう。
窓口が混雑する場合がある
無料であることもあり、確定申告の時期などは相談窓口が混雑します。
毎年確定申告の時期は2月16日〜3月15日で、前年の所得や所得にかかる税金の申告、納税の手続きをする期間です。その期間は申告の期間が限られていることもあり、税務署によっては非常に混雑します。申告期限内に申告できないとペナルティが発生してしまいます。相談は一年中受け付けているので、早めの相談がおすすめです。
長時間の相談はできない場合がある
前述の通り、税務署では時期によって大変混雑します。より多くの案件に対応するため、1人あたりの相談時間に制限を設けていることが多いです。時間内に不明点を解決するためにも、相談前に相談内容をまとめておく、必要書類を揃えるなどの準備が必要です。
税金の相談先で迷ったときの判断ポイント
税理士と税務署のどちらに相談した方が良いか分からない場合もありますよね。そういった際に判断基準となる判断ポイントを紹介します。判断に迷った際は参考にしてみましょう。
税理士がおすすめのケース
税理士は税務の専門家であるため、確定申告の他にも幅広いサポートをしてくれます。
税金の相談を税理士にした方がおすすめのケースを紹介します。
忙しくてじっくりと相談する時間を確保できない
個人事業主や法人の場合、経理作業だけでなく事業の業務も他にありますので税金の相談をする時間がつくれないことも多いですよね。税務署の窓口で相談する場合は予約も必要となり、すぐに相談できるわけではありません。しかし、税理士に税金の相談をすれば時間も柔軟に対応してくれます。また、税金の相談だけでなく税金につながる書類の作成や経理作業を依頼することも可能なので、結果的に経理作業の時間が空き時間の節約にもなります。
定期的に相談したいと思っている
税金について相談したいと考える時期は確定申告の時期が多いと思います。しかし、確定申告時期だけでなく、定期的に相談に乗って欲しいという方もいるでしょう。税金以外も定期的に税理士に相談することにより、税理士が細かく経営状況を把握できるので節税対策や資金繰、融資についてもアドバイスをもらえます。
土日や夜間に相談したい
税務署では無料で相談できますが、土日祝を除いた平日8時30分から17時の間でしか対応していないので土日や夜間の相談ができません。しかし、税理士の場合は土日や夜間も対応していることが多く時間を気にすることなく相談が可能です。
ただし、時間は税務署により異なる場合があるため事前に確認しましょう。
本業に専念したい
経理作業には日々の帳簿付けなど多くの時間を要するうえに、経理の知識がない場合は、間違いが発生する場合も多いです。申告の際に修正作業が発生すると、さらに経理作業に時間がかかるでしょう。経理の知識をつけるのにも時間を要しますので、税理士には税金の相談だけでなく、日々の経理作業も依頼することをおすすめします。税理士に経理作業を依頼すれば、時間を節約でき、本業に専念できます。
節税対策について知りたい
前述の通り、税務署では節税対策については教えてくれません。税金について早めに税理士に相談することによって適切な節税対策も知ることができます。
税務署がおすすめのケース
税務のプロフェッショナルでありながら無料で相談できるのが税務署の魅力です。税務署に相談するのがおすすめのケースを紹介します。
費用をかけたくない
「税金の相談をしたいけど、あまり費用をかけたくない」という場合は、税務署への相談がおすすめです。無料なので気軽に相談できるという方も多いです。
電話で相談できる
税務署で税金の相談を窓口でする場合、面接相談と呼ばれ予約が必要です。もし、対面で相談ではなく電話で相談したい場合は国税局電話相談センターにアクセスすれば電話で相談に乗ってもらえます。
時間は窓口と同様に平日の日中ですが、直接税務署に行く必要がないので時間を効率的に使えます。
※税理士に相談する場合も電話で対応している税理士事務所もあります。
税金とともに確定申告など幅広く相談したい
税務署では個人事業主や法人の税金についての相談の他、開業について、確定申告、税制、インボイス制度、改正電子帳簿保存法など様々な相談をすることができます。
税務署は国税庁に属する組織で、下記のような種類の税の相談が専門です。
- 所得課税:所得税、法人税、地方法人税、特別法人事業税、復興特別所得税
- 資産課税:相続税・贈与税、登録免許税、印紙税
- 消費課税:消費税、酒税、たばこ税、たばこ特別税、揮発油税、地方揮発油税、石油ガス税、航空機燃料税、石油石炭税、電源開発促進税、自動車重量税、国際観光旅客税、関税、とん税、特別とん税
このように、確定申告以外にも幅広く相談に対応しています。
申請・手続きに必要な書類も入手したい
確定申告に必要な書類は下記の通りです。
- 申告用紙・印鑑
- 青色決算申告書(青色申告の場合)
- 添付書類
- マイナンバーカード
- 銀行口座
- 申告書の控え
- 筆記用具
- 控除に必要な書類(例)医療費控除の場合は、医療費控除の明細書と医療費通知、医療費の領収書が必要です。
税務署では相談だけではなく、確定申告に必要な書類を入手することができます。不明な点が明確になるため、必要な書類を揃えての相談をおすすめします。
税金の相談をする際のポイント
税金を相談する際に知っておいた方がスムーズにいくポイントを紹介します。
相談の際に参考にしてみてくださいね。
分からない部分を明確にするなど準備しておく
限られた時間内で疑問を解決するには、事前に不明な点を明確にしておく必要があります。相談が終わってから疑問点を思い出しても、相談のためには再度予約を取らなければならなくなってしまい、すぐに解決できません。疑問を解決するための相談時間を有効に活用するためにも、事前に準備をしておくことがおすすめです。
また、税金には様々な種類があります。自身がどの税金をどのように納める必要があるのかを明確にする必要があります。税金の種類は下記の通りですので参考にしてください。
所得税 | 個人の所得に対してかかる税金で、所得が多くなるほど税率が高くなります。 ※所得とは収入から経費などを引いたものです。 |
相続税 | 故人から遺産を引き継いだ際に課せられる税金です。納税額は一定の金額を元に算出され全ての場合にかかるわけではありません。 |
贈与税 | 贈与税は、個人からの贈与により財産を取得した際にかかる税金です。法人からの贈与で財産を取得した場合は贈与税ではなく所得税となります。 |
地価税 | 一定の土地を持っている際に、法人や個人が課税される税金です。 |
法人税 | 法人税は法人の企業活動により得られる所得に対して課税される税金です。 |
関税 | 一般に「輸入品に課される税」で貨物が国境を越えて行く際に発生します。 |
出典:税目別情報|国税庁
税金関連の書類を持参する
相談内容にもよりますが、確定申告には前述の通り多くの書類が必要です。確定申告の他にも税金の相談をする際には、多くの税関連の書類が必要となる場合があります。
例えば、所得税を算出するためには、1年間の所得を正確に知る必要があります。そのため、給与明細や源泉徴収といった所得がわかる明細書が必要です。
必要書類の中には取得に時間がかかるものもありますので、相談の前にあらかじめ準備しておきましょう。相談からそのまま、申請作業に入るケースも多くあり、必要な書類が揃っていることで滞りなく作業を行えます。
なお、相談内容によって持参する書類は異なります。経理作業に会計ソフトを使用している場合はパソコンを持参した方が印刷の手間が省け相談の際に入力作業もすぐに行えます。
相談の前に必要な書類等は事前に確認しましょう。
ボイスレコーダーを準備する
税理士や税務署に税金の相談の際に専門用語が頻発する可能性があります。わからないことは質問すれば答えてもらえるはずですが、一度で理解できない場合にはボイスレコーダーで相談内容を録音するのがおすすめです。
会話を録音することで、後々聞き直すことができて便利です。しかし、相談内容を勝手に録音することは、相手との信頼関係に影響してしまう可能性があります。録音する際には、相手に了承を得てから録音をしましょう。
理解できるまできちんと聞く
分からないことをそのままにしてしまうと何も明確にならないまま相談が終わってしまう可能性があります。さらに再度、相談の機会を設けないといけない事態にもなりかねません。事前にメモを用意し内容をまとめながら話を聞くと、不明な点も明らかになります。不明な点を質問した際の相手の反応で、人柄を知ることにもなりますので気軽に質問してみましょう。
税金の相談は「税理士」がおすすめ
税金についての相談は税理士と税務署と共にメリット、デメリットがあり自身のケースによって選択することが最良です。
しかし、税理士に相談した場合、税務相談以外にも税務代理業務の依頼が可能です。日々の経理業務や確定申告作業は手を煩わせることがないので、その分本業にも注力できます。
税務署では相談できない節税対策や資金繰りなどのアドバイスを受けられるので、費用はかかりますがその分の得る利益も大きいはずです。税金に関する相談をお考えで、不安な方や不明なことがある方は、小谷野税理士法人にご相談ください。