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会社設立の基礎知識

合同会社はやめとけ?デメリットになるケース徹底解説

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 個人事業主から法人化を考える際や会社設立を検討している場合に、設立しやすいイメージのある合同会社を視野に入れる経営者も多くいます。

合同会社の設立は要するコストが低く、経営の際にも自由度が高いというメリットがあります。しかし、よく考えずに安易なイメージだけで設立をすると失敗してしまうというデメリットも潜んでいます。今回は「合同会社はやめとけ」と言われてしまうデメリットについて徹底解説していきます。

合同会社とは?

合同会社とは株式会社・合名会社・合資会社と並ぶ日本の会社形態の一つです。

「LLC(Limited Liability Company、有限責任会社)」というアメリカの会社形態がモデルとなり日本にも導入されました。

株式会社と同様に、有限責任(倒産時に出資額を限度として責任を負うこと)がありますが、合同会社の場合は会社の所有者と経営者が一致しているという違いがあります。

また、株式会社に比べて低いコストでの会社設立が可能で、かつ経営のランニングコストも低く抑えられることから、法人化する際に合同会社を選択する人もいます。

合同会社は株式会社に比べ知名度があまり高くありませんが、最近では「グーグル合同会社」「Apple JAPAN合同会社」「アマゾンジャパン合同会社」「合同会社ユー・エス・ジェイ」といった有名企業も存在しており知名度は徐々に上がってきています。

合同会社の特徴

合同会社の最大の特徴は、出資した人が会社の所有者(経営者)となるため、「所有」と「経営」が一致するという点にあります。

そのため、原則的に全社員が経営に携わることになりますが、区分したい場合には定款で業務執行社員の定めを置くことも可能です。

(※業務執行社員は、株式会社でいう役員のような立ち位置です)

また、

  • 生じる責任は有限責任のみ
  • 出資額に関わらず1人1票の議決権がある
  • 役職(役員)の任期が定められていない

のような特徴があります。

株式会社との違い

合同会社と株式会社との違いがわからないという方も多くいらっしゃいますが、根本的な違いは「所有と経営が分離しているかどうか」です。

株式会社は出資者(株主)と経営者が異なるメンバーで構成され所有と経営が分離しているのに対し、合同会社は前述のとおり所有と経営が一致します。

出資者と経営者の構成が合同会社と株式会社を分ける大きな違いと言えるでしょう。

合同会社をつくるなと言われる理由

合同会社とネットで検索すると「合同会社はやめとけ」というようなネガティブな検索結果も浮上します。そのような情報を目にすると、不安になってしまう人もいるかもしれません。実際に合同会社の設立にはデメリットが多い場合も。次に合同会社を設立する際の具体的なデメリットを紹介します。

社会的信用度が低い

合同会社は株式会社に比べて社会的信用度が低い場合があります。その理由として合同会社という形態の認知度が低いことから、株式会社と同等の価値が認められていないという点が挙げられます。ビジネスの形態によっては取引先にマイナスな印象を与えてしまう場合もあり、大きな課題の一つであることも事実です。
また、社会的信用度が低いことは対取引先だけでなく採用の際に良い人材を確保できない・消費者にとってサービスや店舗を利用する際に決め手とならないなど、その影響は小さくありません。

資金調達が難しい

株式会社の場合は株式を増資する、投資家に出資をお願いするなどの広い範囲の資金調達が可能です。

しかし、合同会社の場合は株式会社のように株式による資金調達ができません。

合同会社の場合、資金調達は国や自治体の補助金や助成金、借入(融資)が主となるため資金調達の範囲が限定的になってしまいます。

そのため、株式会社に比べ資金調達が難しいというデメリットがあります。

株式市場への上場ができない

株式会社の場合、証券取引所に上場することにより資金調達の強化や事業拡大、認知度向上の可能性があります。

しかし、合同会社には証券取引所に上場する仕組みがないため、そういった可能性がありません。

もし、多くの資金調達が目標・必要である場合や認知度を向上させたい場合は株式会社を選択する方が良いでしょう。

利益配分でもめることがある

株式会社の場合、出資者への利益配分(配当)は出資比率と同じ割合となり、出資額が多い人は多く受け取ることができる一方で、少ない人には利益が少なくなる仕組みです。

基本的には合同会社も同じですが、合同会社には定款に定めることで利益配分を自由に変えることができるという特徴があります。

そのため、利益配分を決める際に社員同士の意見が割れるなど、不公平感が生じトラブルの原因となる場合も多いのです。

合同会社で失敗したケース

会社設立前に失敗のイメージがつきにくいという人も多くいらっしゃいます。そこで、実際に合同会社を設立した人が失敗してしまったケースについて紹介します。

思ったより節税効果がなかった

節税が主な目的で合同会社を選択する経営者は多くいます。

しかし、法人化することにより税負担を軽減できるのは一定以上の利益が確保できる際のみ。そのため法人化して税負担を軽減できるのは、その年による課税所得の金額次第です。

出典:法人課税に関する基本的な資料 : 財務省

また、法人化することにより生じる税や赤字の場合でも課税される税があることを把握しておかないと、むしろマイナスとなってしまうケースも少なくありません。

法人化した方が節税になるかどうかは慎重に検討する必要があります。

経理や決算に手間がかかる

多くの点で株式会社とは異なる合同会社ですが、法人形態の一つであることには変わりありません。そのため、財務状況の把握や、事業活動において発生する利益や損失の計上、決算や確定申告も必要となります。

また、合同会社が決算・確定申告を行う際には法人税等についても把握し申告する必要があります。合同会社が納めなければならない法人税等は「法人税」・「法人住民税」・「法人事業税」です。

出典:No.5759 法人税の税率|国税庁

※国税庁「No.5759 法人税の税率」より

このように、株式会社と同様に法人税の申告・決算書の作成・経理業務などがあります。

しかし、税理士を雇わないことにより、経理や税務の事務作業に時間を取られてしまう場合が多くあります。

実際に経営者が削減したい業務が経理や税務に係る事務作業であったり、事務作業に時間を取られ本来の業務に集中できないと感じているケースも。

経営者が経営に全力で注力するためにも、経理や税務といった業務は税理士に任せた方が良いでしょう。

お金を自由に使えない

利益配分を自由に決められるなどお金を自由に使えそうなイメージのある合同会社。

しかし、個人事業主と異なり事業で稼いだお金を自由に使うことはできません。

法人化された場合には「会社の資産」と「個人の資産」が明確に分かれ、法人で稼いだお金はあくまで法人のものとなり、自由に使うことができないケースがあります。

利益配分でもめた

前述にもあるように合同会社の場合、株式会社と違い利益配分を自由に決められます。このことは良くも悪くも合同会社の特徴の一つです。
利益配分に対して不公平感を感じている人がいる場合は、揉め事に発展してしまうケースも多くあります。

合同会社の設立で悩んだときには、ぜひ一度小谷野税理士法人へご相談ください。専門知識が豊富な税理士がお客様のビジネスをサポートいたします。

合同会社に向いているケース・業種

「合同会社を設立して失敗した」というケースもありますが、もちろん合同会社にした方が向いているケースもあります。合同会社に向いているケースと業種を紹介します。

初期費用を抑えて小規模スタートをしたい事業者

合同会社の設立費用は株式会社の約1/3です。そのため、会社を設立する際に初期費用を抑えることができ、ローコストで会社を設立することができます。また、役員の改選や官報への決算広告掲載義務がないためランニングコストを抑えローコストで会社経営も可能です。

節税効果を求める個人事業主

個人事業主の場合、売上が大きくなるとともに納める税金も高くなったと感じる人も多くいます。個人事業主は法人ではないため節税対策も限られています。

しかし、合同会社なら法人扱いとなるため個人事業主よりも節税対策を幅広く行うことができます。合同会社設立が節税となる理由は下記の通りです。

  • 法人税が適用される
  • 経費として扱えるものが増える
  • 事業主への役員報酬に給与所得控除が適用される
  • 家族を社員にした際に給与を経費にしやすい
  • 退職金の支給が可能
  • 個人事業主より長い期間(最大10年)の赤字繰越が可能
  • 設立後の2年間は消費税を免除できる可能性がある
  • 相続税や贈与税が大幅に抑えられる

友人と起業して会社を興す場合

合同会社のメリットには「経営においての自由度が高い」・「利益の配分を自由に決められる」ということがあり、小規模での経営に向いています。

また、出資者が経営権を持っているので株式会社のように株の保有数が多い人が経営に干渉したり、決定権が強くなるということがなく対等な立場での経営が可能です。

そのため、知人や友人同士での会社設立・経営に向いていると言えます。

小規模なBtoC事業

合同会社に向いているのは小売やサービス業、IT関連業など、一般消費者向けのBtoC事業です。

BtoC事業の場合、一般の消費者に向けたサービスで飲食店や食品・日用品といった会社の形態よりも商品やサービスが重要視されます。そのため、それらが充実している場合には会社の形態に関わらず事業を行えます。

まとめ

節税できる可能性が高いことや低いコストから会社を設立できるなどのメリットの反面、「合同会社やめとけ」と言われてしまう多くのデメリットも抱えているのが合同会社の設立・運営です。

このように株式会社、合同会社にはそれぞれメリット、デメリットがあります。

会社設立の前後に税理士などのプロに相談するのも、失敗しないための対策の一つです。

今後、会社の設立を検討している方は、法人形態を選ぶ際にぜひ自身や事業に合ったものを選ぶよう心掛けてくださいね。

なお、合同会社を設立するか否かで迷ったときには、ぜひ小谷野税理士法人へお気軽にご相談ください。経験豊富な専門家が、お客様の起業のサポートやアドバイスをさせていただきます

この記事の監修者

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今野 靖丈

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