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税理士変更を電子申告するなら?e-taxで税理士本人が代理送信できる?

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税理士変更を電子申告するなら?e-taxで税理士本人が代理送信できる?

税理士を変更するとき、電子申告に関する手続きも必要です。しかし、電子申告には利用者識別番号という重要な情報があり、旧税理士と新税理士の間で引き渡しがスムーズに行われないと、トラブルに発展する恐れがあります。そこで、この記事では、税理士変更時の電子申告に関する手続きの詳細や注意点を解説します。税理士変更を考えている方や、すでに変更した方は、ぜひ参考にしてください。

税理士変更後も電子申告はできる?

税理士変更を電子申告するイメージ

税理士は、事業者が自由に選ぶことができる専門家です。税理士との契約は、事業者と税理士の間の信頼関係に基づいて結ばれます。そのため、事業者は、税理士のサービスに不満があったり、他の税理士に魅力を感じたりした場合には、税理士を変更できます。

税理士を変更するときには、電子申告に関する手続きも必要になります。電子申告とは、インターネットを利用して、確定申告や地方税の納付などの税務手続きを行うことで「e-Tax」と「eLTAX」という2つのシステムを利用します。

e-Taxは、国税庁が提供するシステムで、所得税や法人税などの国税の申告や納付ができます。eLTAXは、全国の地方自治体が共同で運営するシステムで、住民税や事業税などの地方税の申告や納付ができるシステムです。

税理士を変更する場合、e-TaxとeLTAXの両方で、旧税理士とのつながりを解除し、新税理士へ引き継ぐ必要があります。この手続きを怠ることで、電子申告に関するさまざまなトラブルに発展する可能性があります。たとえば、以下のようなトラブルが予測されます。

  • 関与を解消した税理士(旧税理士)が、故意にあるいは誤って納税者の利用者識別番号等を使用してメッセージボックスの内容を閲覧することにより、納税者から不正アクセスに該当すると指摘を受ける。
  • 旧税理士が納税者の利用者識別番号等を使用して勝手に修正申告などをしてしまう。
  • 納税者に利用者識別番号等を返却しないことにより、納税者が新たに利用者識別番号等を取得しなければならないこととなり、その結果、過去の申告内容が閲覧できなくなってしまう事態となる。
  • 旧税理士のメールアドレスが利用者情報に登録されたままになっている場合、関与を解消した納税者に関する還付や予定納税等を通知するメールが旧税理士に引き続き送信されてしまう。
  • メッセージボックスの転送設定に係る委任登録に旧税理士が登録されたままになっている場合、「申告のお知らせ」が旧税理士に引き続き転送されてしまう。

引用:税理士のための電子申告Q&A 10章 その他

旧税理士が、納税者の代理人として登録されたままになっていると、申告手続きや納税を行える状態が続くことになります。また、新税理士が必要とする申告手続きや納税に必要な情報が得られないケースも考えられ、税理士変更後の正確な税務サービスが受けられない可能性があります。

電子申告に関する手続きの中でも、さまざまなトラブルが予測されることから、特に注意が必要なのが「利用者識別番号」の取り扱いについて充分に注意する必要があります。

利用者識別番号とは?

利用者識別番号とは、電子申告を行うために必要な番号で、納税者に対して一意に発行される番号です。利用者識別番号は、納税者の個人情報を保護するために、暗証番号とともに厳重に管理する必要があります。

利用者識別番号は、納税者本人が直接取得することもできますが、税理士に取得を委任することも可能です。税理士に委任した場合には、税理士が納税者の代理人として登録され、納税者の電子申告を行えます。

利用者識別番号は、納税者の所有物であり、税理士に委任した場合でも、納税者の同意なしに税理士が勝手に使ったり、他の人に渡したりすることはできません。また、税理士を変更する場合には、旧税理士は、利用者識別番号や暗証番号を納税者に返却する義務があります。納税者は、新税理士に利用者識別番号や暗証番号を引き渡すことで、新税理士に電子申告の代行を委任できます。

e-taxでは「利用者識別番号」と呼ばれますが、eLTAXでは「利用者ID」と呼ばれます。それぞれ別の番号が付与され、e-taxでは12桁、eLTAXでは11桁の番号です。どちらも納税に必要な番号ですが、システムが異なるため、別々に取得する必要があります。

利用者識別番号は、電子申告を行うために必要な情報ですので、紛失や漏洩に注意しましょう。また、税理士を変更する場合には、利用者識別番号や暗証番号を旧税理士から忘れずに返却してもらいましょう。

利用者識別番号の取得方法

利用者識別番号は、国税庁や地方税事務所から発行されます。利用者識別番号(利用者ID)の取得方法は、e-taxとeLTAXで異なります。

e-taxの場合、利用者識別番号の取得方法は、以下の7つがあります。

  • ログイン画面からマイナンバーカードを読み取り、アカウントを登録する
  • 開始届出書を作成し、送信する
  • マイナポータルの「もっとつながる」機能からe-Taxを利用する
  • 「確定申告書等作成コーナー」からマイナンバーカードを使って、ID・パスワード方式の届出を作成・送信する
  • 税務署に行って、ID・パスワード方式の届出を作成・送信する
  • 国税庁HPのホームページから用紙をダウンロードし、提出先税務署へ送付又は持参する
  • 税理士に依頼し、代理送信してもらう

eLTAXの場合、利用者IDの取得方法は、新規で利用する場合、利用届出をするだけです。

  • 利用届出(新規)を行い、利用者IDを取得する

eLTAXのPCdesk(WEB版)から利用届出(新規)を行うと、提出先の地方公共団体で受付手続きが行われます。その手続きが完了した時点で「手続き完了通知」メールが送信され「利用者ID」が通知されます。

参考:国税庁|H3-1 電子申告・納税等開始(変更等)の届出

参考:e-Tax 国税電子申告・納税システム|ご利用の流れ

参考:eLTAX 地方税ポータルシステム|利用者IDの取得

税理士変更に伴う電子申告に関するトラブル

税理士を変更する際、電子申告に関する多くのトラブルが報告されています。ここでは、税理士変更に伴う電子申告トラブルのよくあるケースと、その対処法について説明します。

旧税理士にメールが届き続ける

電子申告を行うには、利用者識別番号と暗証番号のほかに、メールアドレスの登録も必要で、電子申告の受付や確認の通知などを受け取るために使われます。登録メールアドレスは、本来、納税者本人のメールアドレスであることが望ましいのですが、税理士に電子申告の代行を委任している場合には、税理士のメールアドレスを登録するケースも一般的です。その場合、税理士を変更した際には、登録メールアドレスも変更しておく必要があります。

登録メールアドレスの変更を忘れ、旧税理士にメールが届き続けると、納税者のプライバシーを侵害するだけでなく、新税理士が電子申告の状況を把握できないという問題に発展する危険性もはらんでいます。各システムで登録メールアドレスの変更方法を確認し、忘れないように注意しましょう。

e-taxとeLTAX、それぞれの登録メールアドレスの変更方法は下記よりご確認ください。

参考:国税庁|e-Taxに登録したメールアドレスの確認・変更方法

参考:eLTAX 地方税ポータルシステム|利用者情報に関する手続きを行う

旧税理士が確定申告してしまう

税理士を変更する場合、旧税理士は、利用者識別番号や暗証番号を納税者に返却する義務があります。しかし、旧税理士がこの義務を果たさないトラブルも報告されています。ひどい場合には、旧税理士が故意に納税者の代理人として登録したまま放置し、納税者の確定申告を勝手に行ってしまうケースもあるようです。

旧税理士との解約時に揉めたり、解約されたことに納得できなかったりして、解約についてのコンセンサスが取れないまま確定申告の時期を迎える可能性もあるでしょう。また、税理士も人間ですから、誤って確定申告をしてしまうというケースも考えられます。いずれにしろ、旧税理士が確定申告できる状態を放置することは危険です。暗証番号の変更は必ず行いましょう。

e-taxとeLTAX、それぞれの暗証番号の変更方法は下記よりご確認ください。

参考:e-Tax 国税電子申告・納税システム|12 暗証番号の変更・再設定

参考:eLTAX 地方税ポータルシステム|暗証番号を再設定するときには

新しい税理士が過去の申告状況を確認できない

税理士変更は、新しい税理士が過去の申告状況を確認できる状態にした後が望ましいです。過去の申告状況を確認できれば、納税者の税務上の特徴や問題点を把握できます。また、過去の申告内容との整合性も取りやすく、税務をスムーズに行えます。

しかし、旧税理士が利用者識別番号を教えてくれない場合、新しい税理士が電子申告のシステムにログインできません。利用者識別番号(利用者ID)が不明の場合は、オンライン上で再通知の手続きが可能です。また、暗証番号が不明の場合も、再設定できます。どちらの場合も利用者識別番号は同じものを引き続き使用できます。

また、旧税理士が利用者識別番号や暗証番号の引き渡しのみならず、メールアドレスの変更にも応じてくれない場合も考えられます。利用者識別番号(利用者ID)や暗証番号の再通知や再設定には、登録メールアドレスが必要です。

メールアドレスの変更にも応じてくれない場合は、新しい税理士は、新たに利用者識別番号を取得しなければなりません。新たに利用者識別番号を取得すると、過去の利用者識別番号で行われた申告や納付の状況が閲覧できなくなるのです。

このようなトラブルを防ぐために、メールアドレスは税理士のものだけでなく、自分自身のメールアドレスも登録しておきましょう。

税理士変更時の電子申告手続きなら、ぜひ私たち「小谷野税理士法人」にご相談ください。¥

参考:東京税理士会 情報通|電子申告に関する税理士交代時の注意点と手続き

旧税理士が税理士変更で行う電子申告の手続き

税理士変更を電子申告するイメージ

旧税理士は、納税者との契約解除の合意に至った後、電子申告の手続きを行う義務があります。以下の2つの手続きを行うことで、納税者と新しい税理士の間で円滑に電子申告のやりとりができるようになります。旧税理士は、納税者の権利や義務を尊重し、適切に電子申告の手続きを行うべきです。

e-taxのメッセージボックスの委任関係の登録解除

まず、e-taxのメッセージボックスで、納税者との委任関係の登録を解除する必要があります。e-taxのメッセージボックスでは、税務署からの案内や確定申告のお知らせを受信できますが、契約解除後に旧税理士が閲覧できる状態のままにすべきではありません。

メッセージボックス上で、お知らせの自動転送を停止する必要があります。委任関係を解除するには、旧税理士が自身の利用者識別番号と暗証番号でe-taxにログインし、以下の手順で設定を行います。

「メインメニュー」の右下枠内「委任関係の確認・承認・解除」をクリック

「委任関係の確認・承認・解除(未承認一覧)」画面の左中段にある「承認済み一覧表示」ボタンをクリック

「委任関係の確認・承認・解除(承認済み一覧)」画面の下段に委任関係を結んで

いる納税者の一覧が表示される

該当のチェックボックスにチェック(☑)を入れた上、「解除」ボタンをクリック

委任関係の登録解除を行うと、納税者のメッセージボックスに「委任関係の解除通知」が届きます。ただし、「委任関係の解除通知」の閲覧には、電子証明書が必要です。

参考:e-Tax 国税電子申告・納税システム|●委任関係の解除方法(税理士の方が行う場合)

利用者識別番号等及び暗証番号の返却

旧税理士は、納税者に対して、利用者識別番号(利用者ID)や暗証番号を返却する義務があります。これは、納税者が新しい税理士との委任関係の登録を行う際に必要な情報であるためです。

利用者識別番号(利用者ID)・暗証番号の返却は、旧税理士が納税者に直接連絡するか、あるいは暗証番号を変更して納税者に通知する方法があります。暗証番号を変更して通知する方が、親切な対応でしょう。

暗証番号の変更は「暗証番号の変更」メニューから行うことができます。e-taxとeLTAX、それぞれの暗証番号の変更方法は下記よりご確認ください。

参考:e-Tax 国税電子申告・納税システム|12 暗証番号の変更・再設定

参考:eLTAX 地方税ポータルシステム|暗証番号を再設定するときには

納税者が税理士変更で行う電子申告の手続き

税理士を変更する場合、旧税理士だけでなく、納税者もいくつかの手続きを行う必要があります。ここでは、それぞれの手続きの詳細を説明します。

e-tax利用に必要な情報の受け取り

納税者が税理士を変更した際には、旧税理士から、「利用者識別番号(利用者ID)」と「暗証番号」など、e-taxやeLTAXの利用に必要な情報を受け取ります。これは、新税理士がe-taxで代理送信を行うため、納税者のe-taxのアカウントへのアクセスに必要な情報です。

利用者識別番号等の情報は、安全な方法で旧税理士や新税理士とやりとりすることが重要です。これらの情報は、第三者に漏れると、不正な利用や個人情報の流出などのリスクがあります。そのため、郵送や直接手渡し、暗号化されたメールなどの方法で送ることが望ましく、普通のメールやファックスなどの方法で送ることは避けるべきです。

新税理士への委任と通知

納税者は、新税理士にe-taxを利用して代理申告を行ってもらうため、「委任」と「通知」を行う必要があります。委任と通知は、納税者は「電子申告にかかる利用者識別番号等の利用同意書」を新税理士に提出することで、同時進行できます。

この利用同意書は、納税者が新税理士に自分の利用者識別番号等を利用することを許可する書面です。利用同意書には、利用者識別番号等を記載し、納税者の署名も必要です。納税者は、利用同意書をもって、自分の利用者識別番号等を新税理士に通知できます。

税理士に代理送信などを委任する場合には、トラブル防止のためにも「利用者識別番号等を利用して申告・申請を行うことについての同意」を書面で明らかにしておくことが望ましいです。日本税理士会連合会では「電子申告にかかる利用者識別番号等の利用同意書」のサンプルを提供していますので、下記の参考リンクからご確認ください。

参考:日本税理士会連合会|電子申告に係る利用者識別番号等の利用同意書

e-tax利用に必要な情報の引継ぎ後の手続き

e-taxでの申告の際に必要な情報を引き継いだ後の手続きも重要です。手続きには、以下のものがあります。

  • 暗証番号の変更
  • 旧税理士のメールアドレス消去
  • 新税理士のメールアドレス登録

納税者は、旧税理士から受け取った暗証番号の変更が望ましいです。暗証番号を旧税理士に知られていると、e-taxに不正にログインされることも考えられます。必ずしも旧税理士が暗証番号を変更してくれるとも限らないため、納税者自身で行えるようにしておきましょう。暗証番号の変更方法は、e-taxのホームページから確認できます。

新しい暗証番号は、旧税理士に知られていないもので、納税者自身が覚えやすいものにすることが望ましいです。暗証番号の変更後は、漏洩しないよう配慮し、新税理士に新しい暗証番号を通知しましょう。

また、旧税理士のメールアドレスを消去し、新税理士のメールアドレスを登録する必要があります。メールアドレスは、税務署からの重要なお知らせや確定申告に関する案内などが届くもので、納税者と関与税理士の両方が登録できます。旧税理士のメールアドレスを登録したままにすると、旧税理士に不要な情報が送信され続けることになります。

メールアドレスの消去と登録は、e-taxのホームページから確認できます。旧税理士のメールアドレスを削除し、新税理士のメールアドレスを追加しましょう。

参考:e-Tax 国税電子申告・納税システム|●委任関係の解除方法(納税者の方が行う場合)

新税理士が税理士変更で行う電子申告の手続き

税理士変更を電子申告するイメージ

次に、新税理士が税理士変更に際して行うべき電子申告の手続きについて説明します。

納税者からe-tax利用に向けた必要情報の受け取り

まず、納税者からe-tax利用に向けた必要情報を受け取る必要があります。これらの情報は、納税者が「電子申告にかかる利用者識別番号等の利用同意書」へ記載し、受け取ることが望ましいです。

同意者には「利用者識別番号等を使用して、税務申告等を代理又は代行することに同意する旨」が記されており、納税者から税務に関する業務を委任されると同時に、利用者識別番号などの必要情報の受け取りが認められます。

新税理士は、これらの情報を大切に保管し、第三者に漏らさないように注意する必要があります。

旧税理士情報から新税理士情報への更新

納税者から利用者識別番号等を受け取ったら、暗証番号が旧税理士のものから変更されているか、確認しましょう。

また、旧税理士のメールアドレスが利用者情報から消去されているか確認し、消去されていれば、新税理士自身のメールアドレスを登録します。

暗証番号の変更・旧税理士のメールアドレスの消去の登録解除が行われていない場合は、納税者に対し、指導や援助をしましょう。

参考:東京税理士会 情報通|電子申告に関する税理士交代時の注意点と手続き

メッセージボックスの転送設定

最後に、新税理士は、e-taxの「メッセージボックス」の画面で、メッセージボックスの転送設定を行います。これは、e-taxからのメッセージを新税理士のメールアドレスに転送するために必要な作業です。

納税者から受け取った利用者識別番号と暗証番号でe-Taxにログインし、転送先に指定したい税理士等のe-TaxのID等を入力します。その上で、新税理士自身のe-TaxのID・パスワードでe-Taxにログインし、それを承認することで、転送設定を行います。転送設定を行うに当たっては、電子証明書は不要です。

なお、関与税理士の変更に関しては、e-taxやeltaxの届出や手続きは必要ありません。ただし、後任の税理士が決まっていないなどの理由で、納税者が速やかに暗証番号の変更ができないと判断される場合には、e-taxやeltaxそれぞれの暗証番号等の再発行の手続きを行ってください。参照リンクはこちらです。

参考:e-Tax 国税電子申告・納税システム|メッセージボックスに届くメッセージの税理士への転送設定はどのように行いますか。

利用者識別番号の引き渡しが行われなかった場合

税理士が交代する場合、原則として納税者から新税理士に対して、利用者識別番号等を知らせるべきですが「納税者が利用者情報を紛失してしまった場合」や「旧税理士から通知がなく、以前の利用者情報を入手することが不可能な場合」など、利用者識別番号の引き渡しが行われなかった場合については、届出を行う必要があります。

また、いったん電子申告を取りやめる届出を行い、新たに利用者識別番号等を入手する方法もありますが、その場合、取りやめた利用者識別番号ではログインできなくなります。この場合、以前の利用者識別番号でのメッセージボックスにはアクセスできなくなり、過去の情報を閲覧することができなくなるため、注意が必要です。

なお、納税者が過去にマイナンバーカード方式を利用したことがある場合は、マイナンバーカードでe-Taxに認証することで、納税者の利用者識別番号を確認するほか、暗証番号を設定・変更することができます。

「変更届出」をした場合と、「取りやめ届出による再取得」をした場合の各情報の扱い方は、以下の表を参考にしてください。

 

 

変更届出

取りやめ届出による再取得

利用者識別番号

変わらない

新規取得

暗証番号

再登録

新規登録

電子証明書

再登録

新規登録

納税用確認番号

変わらない

新規登録

利用者識別番号等の通知(書)

書面による通知

オンラインによる即時通知

メッセージボックス内データ

残る

消滅

出典:日本税理士会連合会|税理士のための電子申告Q&A 10章その他

※「変更届出」とは「暗証番号等の再発行」を指し、「取りやめ届出」とは「国税電子申告・納税システムの利用の取りやめ」を指します。

やむを得ない場合は仕方ないですが、過去の税務情報を閲覧できるよう、できる限り「暗証番号等の再発行」の方法を取りましょう。以下に、e-taxおよびeLTAXでの暗証番号の再発行手続き方法を解説します。

参考:東京税理士会 情報通|電子申告に関する税理士交代時の注意点と手続き

e‐taxでの作業

利用者識別番号の引き渡しが行われなかった場合、e-taxでは、「暗証番号等の再発行」に関する変更等届出書を提出する必要があります。変更等届出書は、書面での提出も可能ですが、こちらからインターネットを利用してオンラインで提出できます。提出先は、所轄の税務署となります。

後日、届出を受け付けた税務署から、通知書が郵送で届き、新たな暗証番号が通知されます。この場合、利用者識別番号は変更されず、暗証番号と事前登録した電子証明書が消去されます。そのため、通知された暗証番号でログインし、暗証番号の変更及び電子証明書の登録を行う必要があります。

なお、秘密の質問と答えを登録済みの場合は、オンラインで暗証番号の再設定ができ、変更等届出書を提出する必要がありません。

参考:e-Tax 国税電子申告・納税システム|12 暗証番号の変更・再設定

eltaxでの作業

利用者IDが不明の場合は「利用者ID再通知申請」、暗証番号が不明の場合は「暗証番号再設定申請」を行います。いずれも、オンラインで行うことができます。

ただし、登録したメールアドレスが不明、または利用不可能となっている場合、「利

用者ID再通知」及び「暗証番号再発行」は行うことができず、あらためて利用届出(新規)を行うしか方法はありません。たとえば、旧税理士のメールアドレスのみが登録され、旧税理士がメールアドレスの変更に応じない場合は、上記の手続きができません。

メールアドレスは税理士のものだけではなく、納税者のメールアドレスも登録しておきましょう。

参考:eLTAX 地方税ポータルシステム|利用者IDを忘れたときは

参考:eLTAX 地方税ポータルシステム|暗証番号を再設定するときには

税理士変更で電子申告関係の引継ぎをトラブルなしで行うには?

税理士変更の際には、電子申告に関する引継ぎを適切に行わないと、トラブルが発生する可能性があります。ここでは、税理士変更で電子申告関係の引継ぎをトラブルなしで行うために、以下の5つのポイントについて解説します。

旧税理士の断り方に気を付ける

税理士との契約を解除する際、その税理士に対してどれほど不満があろうと、円満に契約を解除できることが望ましいです。過去の税務状況を把握しているのは、旧税理士ですから、どんなに気に入らない態度を取られたとしても、引き継ぎの際には協力を得られるよう心がけましょう。

引き継ぎが適切に行われなかった場合、前の税理士や次の税理士、どちらかとの間にトラブルが起こる恐れがあります。旧税理士に癖がある場合は、選考段階で新税理士に伝えておきましょう。事前に何も話さず、引継ぎがうまくいかないことが予想されると、新税理士の方から契約を断られる可能性もあります。引き継ぎは、隠し事なく、抜かりなく行うようにしましょう。

また、電子申告に関わる情報以外にも、会社の設立や変更に関する書類や税務申告に関する書類など、旧税理士から返却してもらう重要書類があります。以下の書類も忘れずに返却を依頼しましょう。

  • 請求書:税理士から発行されたサービス料や経費などの請求書
  • 領収書:経費などの領収書
  • 年末調整関係書類:年末調整の申告や計算に関する書類
  • 決算書:会社の収益や費用、資産や負債などを示す書類
  • 税務署への提出書類:法人税や消費税などの申告や納付に関する書類
  • 定款:会社の設立や変更に関する基本的な規則を定めた書類
  • 登記簿謄本:会社の設立や変更に関する事項を登記した公的な証明書
  • データに関する書類:会計ソフトやクラウドサービスなどで作成されたデータやパスワードなどの情報を記した書類

これらは、ビジネスに必要な書類ですが、旧税理士が保管している場合があります。新税理士に引き継げるように、電子申告に必要なデータとともに、返却してもらいましょう。

納税者が新税理士に電子申告に必要な情報を引き渡す

電子申告に必要な情報は、前述のとおり、納税者が「電子申告に係る利用者識別番号等の利用同意書」に記入して、新税理士に提出することで、新税理士が受け取ることができます。この利用同意書のサンプルは、こちらからダウンロードできます。

納税者は、電子申告に必要な情報について、旧税理士のメールアドレスが消去されているかなど、確認したうえで、新税理士に引き渡すとよいでしょう。

旧税理士のメールアドレスがe-taxやeltaxのシステム上に残っていると、旧税理士が納税者の電子申告に関する情報を受け取ることができてしまうため、納税者の個人情報の流出や不正な利用のリスクを高めることになります。

決算時期や税務調査の時期の税理士変更は避ける

最後に、税理士変更を行うタイミングに注意することも重要です。税理士変更を行う際は、決算申告月を避けることが鉄則だといわれています。また、税務調査の時期も避けるべきでしょう。

法人税・地方法人税・消費税の決算申告期限は決算日の2ヶ月以内です。原則として2ヶ月以内に決算申告書類を提出し、納税額を納付しなければ「加算税」や「延滞税」が課せられる場合があります。たとえば決算日が3月31日の法人の場合、決算申告期限は5月31日(5月31日が土曜日であった場合は、翌月曜日の6月2日)です。

税務調査は、原則として、納税者に事前に通知されますが、通知されない場合もあります。税務調査の目的は、納税者の申告内容に誤りや不正がないかを確認することです。税務調査の結果、申告内容に誤りや不正があったと判断された場合、追徴課税や罰則などの処分が下される場合があります。

決算や税務調査の時期は、税理士にとっても忙しい時期です。この時期に税理士変更を行うと、現在の税理士や新しい税理士に負担をかけることになりかねません。また、税務処理や引き継ぎにも時間がかかることが予想され、タスクが重なるとミスを引き起こしやすくなります。

税理士変更は、ビジネスへの影響を最小にするためにも、決算及び税務調査の前後数ヶ月は避けるのが賢明です。

利用者識別番号の暗証番号変更は間違いなく

利用者識別番号の暗証番号変更は、間違いなく行うことが重要です。利用者識別番号の暗証番号は、納税者のe-taxのアカウントにアクセスするために必要なものであり、納税者の個人情報や申告内容などの重要な情報を保護する役割を果たします。

税理士変更の際には、新税理士が納税者の暗証番号を変更することが必要です。納税者のセキュリティを高めるために重要な作業ですので、暗証番号の変更を行う際は、間違いのないよう、十分に注意しましょう。

うっかり利用者識別番号を2つ取得しない

税理士変更の際には、うっかり利用者識別番号を2つ取得しないように注意することが必要です。利用者識別番号は、納税者がe-taxやeltaxを利用するために必要な番号で、納税者ごとに1つだけ発行されます。

しかし、税理士変更の際に、納税者が旧税理士から利用者識別番号を受け取らなかったり、新税理士が納税者の利用者識別番号を確認しなかったりすると、うっかり利用者識別番号を2つ取得してしまう可能性があります。その結果、旧利用者識別番号に紐づく情報が閲覧できなくなったり、納税者の個人情報や申告内容などの重要な情報が漏れる可能性があります。

これらの問題は、納税者や税理士にとって、電子申告をスムーズにできなくなる上に、税務調査の不利益などのリスクを招くことになります。そのため、税理士変更の際には、うっかり利用者識別番号を2つ取得しないように注意することが必要です。

具体的には、以下の事柄を徹底しましょう。

  • 納税者は、旧税理士から利用者識別番号を受け取る新税理士は、納税者の利用者識別番号を確認する

税理士変更時の電子申告トラブルを回避しよう

税理士変更は、納税者や税理士にとって、大きな判断と責任を伴うものです。電子申告に関する引継ぎも、その一環として、適切に行うことが重要です。

納税者と税理士の両方が、この記事で紹介したポイントに注意して、電子申告関係の引継ぎをスムーズに行えると幸いです。

しかし、税理士を変更する際は、いろいろな手続きでバタバタとしているかもしれません。トラブルを回避し、自社の本来の業務をスムーズに行うためにも、新しい税理士に電子申告関係の引き継ぎに問題がないかの確認をお任せするのも一つの手です。

税理士変更についてのお困り事なら、ぜひ私たち「小谷野税理士法人」にご相談ください。

この記事の監修者
今野 靖丈小谷野税理士法人 税理士
1997年中央大学経済学部卒業後、東京国税局に入所しました。法人の税務調査の現場では税の議論だけでなく、企業の経理体制の優れた点の説明や、改善すべき点をアドバイスしてきました。国税徴収に関わる部門では、多くの中小企業の経営者、個人事業主と財務に関わる面談をし、資金操計画の作成アドバイスを行ってきました。
会計・財務・税務に関する様々な相談に対応し、提案をすることをライフワークと考えています。お気軽にご増段下さい。
税理士「今野 靖丈」

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