税理士業界では「税理士の高齢化」という問題を抱えています。税理士という仕事には、専門的な知識や経験が必要です。常に最新の法律や制度を勉強しなければなりません。もちろん、高齢でも優秀な税理士は多いですが、税理士が高齢であることが顧客の不満につながるケースもあります。そこで、今回は「税理士変更で税理士の高齢化は理由になるのか」というテーマについて、高齢の税理士が多い理由や断り方も併せて解説します。高齢化を理由に、税理士を変更した成功事例もご紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
目次
税理士の高齢化で税理士変更できる?
税理士の高齢化で税理士変更はできるのでしょうか?結論からいうと、答えは「できる」です。高齢化は、現在、税理士変更の代表的な理由の一つでもあります。
高齢の税理士は、新しい法律や制度に対応するのが難しい場合があります。特に、最近ではIT(情報技術)の発展によって、税務処理や会計処理が大きく変わってきています。また、クラウド会計というインターネット上で会計をするサービスや、AI(人工知能)が自動で計算や判断をする技術なども一般的になりつつあります。
税理士が、これらの最新ツールが使いこなせると効率的に仕事ができます。しかし、高齢の税理士の多くは、ITに慣れていないといえるでしょう。また、長年自分の目と頭で税理業務をこなしてきた高齢の税理士にとっては、ITに対応するために新しい知識やスキルを身につけるのが、大変かもしれません。
その結果、高齢の税理士が、顧客に最適なサービスを提供できない状況に陥るケースが増えているようです。たとえば、顧客の会計データを正確に処理できなかったり、節税対策を提案できなかったりするケースが考えられます。
このような場合、高齢の税理士から別の税理士に変更を検討することは当然です。顧客は自分の利益を守るため、より信頼できる税理士を探す権利があります。また、高齢となった税理士も自分の能力や体力を考えて、業務を引き継ぐことも視野に入れるべきだといえるかもしれません。
もちろん、高齢でも優秀な税理士はたくさんいますし、顧客と長年良好な関係を築いている場合もあります。しかし、一般的に言えば、高齢化は税理士業界全体の問題で多くの税理士変更の事案の原因にあがっています。
高齢の税理士が多い理由
日本では高齢の税理士が多いといわれています。「税理士」と聞くと、60〜70代の男性を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。実際、税理士の平均年齢は60歳前後で、若手税理士は少ないのが現状です。
では、なぜ日本には高齢の税理士が多いのでしょう?ここでは、以下の4つの理由をご紹介していきます。
国税OBから税理士へのキャリアチェンジ
国税OBとは、国税庁や税務署などで働いていた人のことです。税理士になるためには税理士試験に合格しなければなりませんが、国税OBは一定の条件を満たせば、税理士試験の科目免除を受けることができます。たとえば、23年以上勤務して指定研修を修了すれば、5科目すべて免除されます。
このような制度の利用により、多くの国税OBは定年退職後や退職間近に税理士資格を取得し、独立開業します。必然的に税理士を目指す年齢も高くなり、税理士の高齢化につながります。実際、令和3年度に新たに登録された税理士のうち、国税OBは約19%を占めており、その平均年齢は約59歳でした。
国税OBは、国や地方の税務に関する豊富な知識や経験を持っています。そのため、顧客からも信頼されるでしょう。しかし、高齢であるがゆえに最新の法律や制度に対応するスピード感が劣る可能性も考えられます。
また、国税を含む省庁は、一般のビジネスシーンよりもデジタル化・オンライン化が遅れているとされています。通常の会社であればメールやチャットで行われているやり取りが、郵便やFAXで行われているという場合もあります。このため、長く国税に努めていた国税OBがITに慣れていないことも考えられるでしょう。
税理士試験の高年齢化
税理士試験は非常に難しい試験で、5科目すべてに合格しなければなりません。しかし、毎年の合格率は約10%程度です。そのため、多くの人は何年もかけて試験に挑戦します。科目合格制度というものもありますが、それでも平均して7年以上かかるといわれています。
このように、税理士試験に合格するまでに長い時間を要するため、税理士登録できる年齢も高くなります。令和3年度の税理士試験の受験者の平均年齢は約36歳で、合格者の平均年齢は約41歳です。
また、税理士試験の最高齢合格者は86歳というデータもあります。高年齢で税理士試験に合格する人が多いことから、「税理士は何歳まで働けるのか」という疑問を抱く方も少なくないでしょう。実は税理士には定年がないため、80代になっても税理士を続けている方も多く存在します。
近年では特に、若い世代で税理士を目指す人が少なくなっています。社会的な需要や経済的な報酬が低下していることや、他の職業に魅力を感じることなどが理由として挙げられます。そのため、税理士試験の受験者数も減少傾向にあり、税理士業界全体が高齢化を辿っているのが現状です。
後継者の不足
高齢税理士の後継者が不足していることも問題です。後継者が不足しているために、引退できずにいる高齢の税理士が多く、業界の年齢を引き上げています。
税理士の引退に関するデータによると、令和3年度に新たに登録された税理士のうち、20代は全体の約4%です。また同年に登録を抹消した税理士のうち、死亡や廃業などの理由で抹消した人は約79%を占めており、自発的に引退した人は約21%に留まっています
高齢の税理士は長年にわたって自分の事務所を運営してきたり、顧客と信頼関係を築いてきたりしています。そのため、自分の事務所や顧客を他人に任せることに抵抗を感じることや、単純に後継者を募集しても見つからないことも考えられます。
代表税理士に定年がない
代表税理士とは、税理士法人の最高責任者である税理士のことです。代表税理士は、税理士法人の経営や業務に関する責任を負います。しかし、代表税理士には定年がありません。つまり、代表税理士は自分で辞めるまで仕事を続けることができるのです。
このように、代表税理士に定年がないということは、高齢でも仕事を辞めない代表税理士が多く存在するということです。令和3年度に登録された代表税理士のデータを見てみると、60歳以上は約42%を占めています。またそのうち約3%は80歳以上となっており、高齢化が進んでいる業界であると言えます。
代表税理士は、自分の経営方針や自分の事務所を築き上げてきた人物です。そのため、自分の経営権や権威を他人に譲ることに抵抗を感じたり、自分の後継者に対して厳しい基準を持っていたりすることもあります。
また、「後継者や組織体制が整っていない」ということも税理士が引退しない理由の一つかもしれません。引退した後に税理士法人の経営や業務を引き継ぐ人やチームを育成できればよいですが、そのためには後継者の育成や組織体制の整備に十分な時間や労力を割く必要があります。
税理士の高齢化が税理士変更の原因になる理由とは?
高齢の税理士の中には、「新しい業界の情報を持っていない」「税制変更や新しい税法へのキャッチアップが遅い」という人もいます。また、高齢の税理士と話が合わない、レスポンスが遅いという経営者の不満もよく聞かれます。
このような不満を理由に、自社の利益を守るため、より信頼できる税理士への変更を検討することも可能です。ここでは、税理士の高齢化が税理士変更の原因になる4つの理由について詳しくみていきましょう。
新しい業界の情報がない
高齢の税理士は、自分が慣れている業界や分野に特化して仕事をしてきた人が多い傾向にあります。もちろん、すべての高齢税理士に当てはまることではありませんが、新しい業界や分野に関する情報や知識が不足していることが考えられます。たとえば、IT(情報技術)やAI(人工知能)などの最先端技術を使っている業界や分野が代表的です。
これらの分野では、常に新しいサービスや商品が生まれているため、税金の計算方法や申告方法も変わってきます。しかし、高齢の税理士はこれらの業界に対応できる必要な情報や知識を得ることが難しい場合があるでしょう。
顧客は自分の業界や分野に精通した税理士を求めます。自分の事業内容や特徴を正しく理解してもらって、適切な税務処理や節税対策を提案してもらいたいからです。しかし、業界や分野に関する情報や知識が不足している高齢の税理士は、こうした顧客のニーズに応えられない可能性が高くなります。
税制変更や新しい税法へのキャッチアップが遅い
高齢の税理士の中には、長年にわたって同じような仕事をしてきた人が多く、そのような人は往々にして、自分が慣れている方法やルールで仕事をすることに安心感を持っています。税金は、国や地方の法律によって決定するものですが、法律は時々変わります。税理士は、常に最新の法律や制度を自らキャッチアップする姿勢が求められます。
しかし、高齢の税理士は、新しい法律や制度への対応が難しい場合があります。特に、昨今はコロナウイルス流行の影響で、税金に関する緊急措置や特例措置が多く設置されています。これらの措置は、通常とは異なる計算方法や申告方法が要求されるため、制度の内容を正確に理解しておく必要があります。
顧客は税金を正しく計算してもらい、過不足なく納税するために税理士を頼ります。自分に適用される緊急措置や特例措置を利用し、節税効果を最大化したいはずです。税務上のトラブルや損失を招かないためにも、新しい税制へキャッチアップするスピード感が求められます。
経営者と話が合わない
高齢の税理士の中には、自分と同じ世代や考え方の人ばかりと仕事をしてきた人もいるかもしれません。そのような場合、若い世代や女性の経営者など、自分と異なる世代や考え方の人と仕事をすることに苦手意識を持っていることがあります。
自分の事業に対する情熱やビジョンを持っている経営者は、事業に関するアドバイスや提案を税理士に求めます。また、事業に関する情報や知識を共有したり、意見交換したりすることで信頼関係を築きたいというニーズもあるかもしれません。
経営者としての立場や目標を尊重してもらえるような協力的な税理士が求められる一方、顧客である経営者と話が合わないことで、高齢の税理士に対する不満や不信感が生まれる可能性があります。
レスポンスが遅い
高齢の税理士の中には、メールやチャットなどのツールが苦手であるために、顧客からの連絡に対してレスポンスが遅いと感じさせてしまう人もいます。
また、税務処理や会計処理を効率的に行う最新のツールにも苦手意識をもつ高齢税理士も多いかもしれません。そのため、求められる情報やデータを出すのに時間を要してしまうことも考えられます。
顧客の多くは税務に関する問題や相談に迅速に対応してもらいたいと考えます。しかし、レスポンスが遅い高齢の税理士は、顧客に不満や不安を与えてしまう状況が多発しているようです。
高齢化した税理士を変更しづらい理由とは?
高齢の税理士ならではの問題から、別の税理士に変更したい場合もあるでしょう。しかし、高齢の税理士に限らず、税理士を変更することは簡単なことではありません。断りを入れることに気が引けたり、時間も手間もかかる引き継ぎを行なったりする必要があるため、なかなか変更に踏み切れないという方も多いのではないでしょうか。
また、高齢の税理士ならではの変更しづらい理由もあります。ここでは、高齢化した税理士を変更しづらい理由について、ご説明していきます。
先代からの付き合い
税理士は、自分の会社や事業に関する税金の計算や申告を担うため、その企業にとって重要なデータや書類を扱います。そのため、税理士は長く付き合って信頼関係を築くことが大切です。中には、先代の経営者から継続して同じ税理士に担当してもらうケースもあるでしょう。
先代からの長い付き合いがあることで、新たな経営者は税理士に感謝や尊敬の気持ちを抱き、高齢の税理士から別の税理士に変更することに抵抗を感じることがあります。また、会社や事業の歴史や特徴をよく知ってくれているため、税理士変更をためらうこともあるかもしれません。
恩がある
「節税のアドバイスが的確だった」「税務上のトラブルや損失を防いでもらった」など、高齢の税理士に対して何かしらの恩を感じていることもあります。「人生相談に乗ってくれた」など、恩を感じるのは業務上のことだけではないかもしません。
税理士に恩を感じることは、高齢の税理士に限る話ではありませんが、自分より年齢が高い人や、人生経験が豊富な人から受ける恩は大きいと感じるかもしれません。
恩は、顧客と税理士との間に強い信頼関係を作ります。そのため、別の税理士に変更することは感謝や敬意を欠く行為だと我慢してしまうケースもあるでしょう。
高齢化した税理士と契約し続けることで抱えるリスク
事業者は、税理士の年齢に関係なく、自分のニーズに合った人材を選ぶことが大切です。高齢の税理士でも優秀な方もいるため一概には言えませんが、高齢の税理士と契約し続けることには多くのリスクがあります。ここでは、考えられる3つのリスクについてお話ししていきます。
節税効果が期待できない可能性
税法は毎年改正されるため、常に最新の情報をキャッチアップする必要がありますが、高齢の税理士は勉強会やセミナーへの参加が少なかったり、インターネットやスマートフォンなどの情報収集ツールに不慣れだったりする場合があります。その結果、節税のための最適な方法を提案できなかったり、有利な制度を見逃したりする可能性があります。
補助金や助成金の申請支援が不十分
税理士は、補助金や助成金などの申請支援も行います。補助金や助成金は、事業者にとって大きなメリットとなりますが、申請条件や手続きは複雑で時間がかかるものです。また、申請期間や対象者も限られているため、見逃すとチャンスを失うことになります。
高齢の税理士の中には、申請書類の作成や提出に手間取ったり、適切な補助金や助成金を見つけることができなかったりする人もいます。そうなると、事業者は財政的な支援を受けられず、経営に影響を及ぼす可能性があります。
正しい税務処理ができず税務調査の危険性も
税理士に限らず、高齢化すると誰しも記憶力や判断力が低下します。税務処理には細心の注意が必要ですが、高齢の税理士による記憶力や判断力の低下が、税務処理上のミスを招く可能性も考えなければなりません。
高齢化による脳機能の低下は、計算ミスや記入漏れなどのミスを起こしたり、不正確な情報を提供したりするリスクが高まりますが、これらのミスは引いては税務調査に引っかかる原因となり得ます。税務調査は、税務署からの厳しい質問や追徴課税などのリスクを伴うため、経営者としては調査に引っかかることは避けたいものです。
税理士変更についてのお困り事なら、ぜひ私たち「小谷野税理士法人」にご相談ください。
高齢化を理由にした税理士の断り方
高齢の税理士と契約し続けることにリスクを感じたら、契約解除を検討すべきです。しかし、長年の信頼関係や感情的なつながりがある場合も多いことから、高齢の税理士との契約解除は簡単に進められることではありません。
また、高齢の税理士は自分の能力や価値に自信を持っている方も多いかもしれません。そのため、契約をお断りすることで相手のプライドや感情を傷つける可能性があります。そこで、ここでは高齢化を理由にした税理士の断り方について、以下の4つのポイントをお伝えします。
文書の前に口頭で連絡を
契約解除は、文書で正式に通達する必要がありますが、その前に口頭で連絡することが望ましいです。口頭で連絡することで、相手に事前に準備する時間を与えることができ、突然文書で告げるよりもトラブルに繋がりにくいでしょう。
また、口頭で連絡する際、電話だと声のトーンや表情が伝わらないため、誤解や感情的な反応を招く可能性があります。相手の様子を見ながら丁寧に説明するためにも、できれば直接会って話す方がよいでしょう。特に高齢の方は対面での会話を重要と考える方も多いため、会って話す時間が取れるか検討しましょう。
親類が税理士になったなどを理由に
高齢化を理由にした契約解除は、相手に失礼な印象を与える可能性も考えられます。「あなたが高齢だから」という理由で何かを断られたら、誰でも怒ったり傷ついたりすることでしょう。
そのため、高齢化以外の理由を探して伝えることをおすすめします。たとえば、「親類が税理士になった」という理由なら、相手も納得しやすいかもしれません。こうした理由は、「家族や親族への配慮」という正当性や「避けられない事情」という必然性を含み、相手に対する配慮や敬意を示すことができます。他にも「取引先から指定された税理士に変更することになった」「業務内容や規模が変わったため、別の方にお願いしたい」といった理由も有効です。
理由に正当性や必然性を持たせることで、相手は自分の責任ではないと感じやすくなり、こちらの意思や事情を尊重してもらえる可能性も高まります。
今までのお礼をしっかり伝える
契約に断わりを入れる際は、今までお世話になった感謝の気持ちをしっかり伝えることが大切です。相手は自分の仕事や存在が評価されていると感じることができ、円満に契約を終えることにも繋がります。
お礼や感謝の気持ちを伝える際は、具体的なエピソードや成果を挙げることが効果的です。たとえば、「あの時の節税対策はとても助かりました」「おかげさまで補助金を受けることができました」などと伝えることで、相手は自分の貢献や実績を認められていると感じることができます。
契約解除日を文書でも明確に伝える
契約解除を告げるときには、口頭で終わらせず文書で伝えることも大切です。口頭で終わらせると、相手や自分が聞き間違えたり、忘れてしまったり、お互いの認識がズレてしまう可能性があります。
契約解除日の認識がズレて、トラブルを起こさないためにも、口頭で連絡した後に文書でも契約解除日を明確に伝えることがポイントです。また、契約解除日は契約書に記載されている期間や条件に従って決めましょう。
税理士変更のステップ
高齢の税理士との契約解除を決断したら、新しい税理士との契約に向けて準備を始める必要があります。税理士変更には手間や時間がかかりますが、なるべく本業に支障をきたさないためにも、効率よく行なうことが大切です。ここでは、効率的な税理士変更のステップについてご紹介していきます。
現在の税理士との契約内容を確認
まず、現在の税理士との契約内容を確認しましょう。契約書には、契約期間や解除条件が記載されています。契約内容によっては、契約解除にある程度の期間や手数料が必要になる場合もあるため、契約解除に伴う費用や期限を把握しておきましょう。
新しい税理士を見つける
次に、新しい税理士を見つけます。新しい税理士を選ぶタイミングは、現在の税理士に「契約の断りを入れる前」が望ましいです。
新しい税理士を選ぶポイントは、以下の4つです。
- 自分の業種や規模に合った税理士を選ぶこと
- 最新の税制や制度に精通している税理士を選ぶこと
- コミュニケーションや相談がしやすい税理士を選ぶこと
- 費用やサービス内容が明確な税理士を選ぶこと
新しい税理士を見つける方法としては、インターネットで検索する方法や、知人や友人などから紹介してもらう方法、日本税理士会連合会や各都道府県の税理士会などからも紹介してもらう方法があります。
また、新しい税理士に変更したのに、再び高齢な税理士と契約して同じようなデメリットがあっては税理士を変更した意味がありません。税理士の年齢はその能力や魅力を決めるものではないものの、高齢の税理士かどうかを見分けるために、税理士登録番号から年齢を推測することもできます。
税理士登録番号とは、税理士になるために必要な試験に合格した後、日本税理士会連合会から発行される番号です。この番号は、税理士の資格や所属を証明するもので、税理士が提出する書類や名刺、ホームページなどに記載されています。
税理士の登録番号は、試験に合格した順番に付けられます。登録番号から年齢を正確に推測することは難しいですが、新規に登録した税理士ほど後の番号を付されるようにできているため、年齢を推測する目安になります。
参考:日本税理士会連合会
税理士をお探しなら、ぜひ私たち「小谷野税理士法人」にお気軽にお問い合わせください。
税理士との顧問契約解除の通知
新しい税理士を見つけたら、現在の税理士に対して顧問契約解除の通知を行ないます。通知は、口頭で連絡した後に文書で正式に行なう必要がありますので、注意しましょう。
詳しくは、前項の「高齢化を理由にした税理士の断り方」を参考にしてみてください。
必要書類の回収
続いて、現在の税理士に必要書類の回収を求めましょう。必要書類とは、会社の設立や変更に関する書類や税務申告に関する書類など、ビジネスに欠かせない書類です。これらの書類は、現在の税理士が預かっている場合があるため、確認しましょう。
必要書類には、以下のようなものがあります。
- 請求書や領収書
- 年末調整関係書類、決算書
- 税務署への提出書類
- 定款、登記簿謄本
- e-TaxやeLTAXなどの電子申告用のIDやパスワード
これらの書類は、新しい税理士との契約に必要なものや、自分の事業に関する重要なものです。回収した後は内容や状態のチェックも忘れずに行いましょう。返還してもらう期限についても「契約終了日までに」や「一週間以内に」などと明確な期日を決めておくとよいかもしれません。
新たな税理士との契約
必要な書類を回収したら、新しい税理士との契約を行います。契約を行う際は、以下のポイントに注意しましょう。
- 契約内容や費用を明確に確認すること
- 契約書や見積書などの文書を作成してもらうこと
- 依頼内容や相談方法などを事前に打ち合わせること
- 引き継ぎや連携についても話し合うこと
新しい税理士との契約は、自分の事業にとって大きな影響を与えることです。そのため、契約内容や費用などをしっかり確認し、文書で残すことが大切です。
また、依頼内容や相談方法なども事前に打ち合わせておくことで、円滑なコミュニケーションやサービスを受けることができます。さらに、引き継ぎや連携についても話し合っておくことで、現在の税理士から新しい税理士への移行をスムーズに行うことができます。
e-TaxやeLTAX情報の変更
最後に、e-TaxやeLTAXなどの電子申告システムの情報を変更します。e-TaxやeLTAXは、オンライン上で税務署に申告書などを提出することができるシステムです。このシステムを利用する場合は、自分のIDやパスワードだけでなく、税理士のIDやパスワードも必要です。
そのため、税理士が変わった場合は、システム上で税理士の情報を変更する必要があります。新しい税理士に変更作業を依頼することもできますが、自分で行うことも可能です。システム上で税理士の情報を変更する方法は、各システムのホームページやマニュアルなどで確認することができます。
参考:【e-Tax】国税電子申告・納税システム(イータックス)
税理士変更の際の注意点
税理士は自分の事業にとって重要なパートナーであり、税理士変更はそのパートナーを引き継ぐ大事なイベントです。そのため、税理士変更は慎重に行なう必要があります。以下のような注意点があることを理解しておきましょう。
新しい税理士の選出
新しい税理士を選ぶ際は、税理士を何度も変えないで済むよう、慎重に行いましょう。選出のポイントとして、自分の業種や規模に合った専門性や経験を持っているかどうかを確認することが大切です。
また、最新の税制や制度に精通しているかどうかも重要です。税法は毎年改正されるため、常に最新の情報をキャッチアップする必要があります。これらを確認することは難しいかもしれませんが、たとえば税理士の人数が多い税理士事務所に所属している税理士であれば、事務所内で最新情報の共有や新しいツールの導入が進んでいることが多いと考えられるため、目安にしてみてください。
さらに、コミュニケーションや相談がしやすいかどうかもポイントです。税理士とは、定期的に連絡や打ち合わせを行う必要があります。そのため、信頼や相性が良いかどうかもチェックすることが望ましいです。特に、高齢化を理由に税理士を変更する場合は、新しい税理士に求める基準として、「年齢が近い」「自社が関わる業界に明るい」といった点も考慮すると不安が少なくなるかもしれません。
税務に必要な書類を確実に回収する
次に、現在の税理士から必要な書類を確実に回収することも大事なポイントです。必要な書類については前項の「税理士変更のステップ」でも詳しく触れましたが、書類の回収を高齢の税理士任せにすると、不足や間違えが発生することも考えられます。
これらの書類は、新しい税理士との契約に必要なものや、自分の事業に関する重要なものであるため、確実に回収できるよう書類の内容や数量を確認し、不足や間違えがあれば旧税理士に必ず確認しましょう。
決算申告月などは避ける
最後に、税理士変更を行うタイミングに注意することも重要です。税理士変更を行う際は、決算申告月を避けることが鉄則だといわれています。
法人税・地方法人税・消費税の決算申告期限は決算日の2ヶ月以内です。原則として2ヶ月以内に決算申告書類を提出し、納税額を納付しなければ「加算税」や「延滞税」が課せられる場合があります。たとえば決算日が3月31日の法人の場合、決算申告期限は5月31日(5月31日が土曜日であった場合は、翌月曜日の6月2日)です。
決算申告月は、税理士にとっても忙しい時期です。そのため、この時期に税理士変更を行うと、現在の税理士や新しい税理士に負担をかけることになりかねません。また、税務処理や引き継ぎにも時間がかかることが予想され、タスクが重なるとミスを引き起こしやすくなります。
ビジネスへの影響を最小にするためにも、税理士変更は決算申告月の前後数ヶ月は避けることが望ましいです。
税理士高齢化を理由に税理士変更したお客様の体験談
ここからは、税理士の高齢化を理由に税理士を変更した成功事例として、当サイト「小谷野会計事務所」に寄せられた声をご紹介します。高齢税理士からの変更を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
食品卸業
食品卸業を営むお客様の体験談です。
父の代からのお願いしていた顧問税理士さんが高齢になり、当社からの質問に対応していただくのが難しくなっていました。税制改正などの最新の情報入手も期待できなくなっていました。
経営者の友人から紹介を受けた小谷野税理士法人に変更してからは、補助金や助成金など、会計税務分野以外においても最新の情報を担当者からだけでなく、毎週のメールマガジンや毎月開催のセミナーなどで入手ができるようになりました。
システム開発
システム開発会社のお客様の体験談です。
前の会計事務所は会計資料をアナログ的に郵送でやりとりし、オフコン的な会計事務所の会計ソフトで会計情報が作られることに疑問を感じました。デジタル的にクラウドで資料共有、会議はzoom、会計もクラウドソフトで効率化を図りたかったのですが、対応していただけませんでした。
クラウド会計会社からの紹介である小谷野税理士法人では、資料共有はクラウド対応していただき、会計データに関してもクラウド会計で対応していただき、経理業務の効率化が大きく進みました。
小谷野税理士法人は、クラウド会計のマネーフォワード社のプラチナメンバー、free社の認定アドバイザーを努めています。
高齢化を理由に税理士を変更する場合は慎重に
この記事では「税理士変更で税理士の高齢化は理由になるのか」というテーマについて、高齢の税理士が多い理由や断り方も合わせてご紹介しました。高齢の税理士と契約し続けることによるリスクや不利益を避けるためには、税理士変更が必要となる場合もあります。
税理士変更は、時間や手間がかかる上、新しい税理士にビジネスの重要業務を任せることになるため簡単に決断できるものではありません。しかし、ポイントを押さえて慎重に税理士を変更することで、自分に合った新しい税理士と契約することができ、事業にとって大きなメリットになる可能性があります。
そのため、高齢化した税理士から別れることに不安や迷いがあっても、ビジネスへのメリットを考えて決断することをおすすめします。税理士変更をご検討の際には、ぜひ私たち「小谷野会計事務所」にお気軽にお問い合わせください。