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ふるさと納税は節税ではない?行うメリットや寄付の方法・返礼品の活用法を詳しく解説

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ふるさと納税は節税ではない?行うメリットや寄付の方法・返礼品の活用法を詳しく解説

2008年4月の地方税法の改正によりスタートした「ふるさと納税制度」は「得するから早くやったほうがいい」と聞くものの、仕組みをあまり理解できずにいる方も多いのではないでしょうか。そこで今回はふるさと納税の基本知識や節税との違い、ふるさと納税を行うメリットや寄付の方法、返礼品の活用方法などについて詳しく解説していきます。

ふるさと納税とは?

ふるさと納税の定義と仕組み

ふるさと納税とは生まれ育った故郷や応援したい地域や自治体に寄付することで、住民税や所得税が控除される制度のことを指します。控除を受けられる上限は納税額によって異なりますが、手続きを行うことで寄付金のうち2,000円を超える部分について、所得税の還付や住民税の控除を受けられる仕組みになっています。

地方自治体への貢献と地域活性化

ふるさと納税は都市部や他地域に住む人が地方自治体へ寄付し、地域活性化へ貢献することが目的です。ふるさと納税を自治体が受けることで、地域内の福祉充実や景観保全など地域活性化に繋げることができます。

ふるさと納税=節税ではない?

ふるさと納税は「寄附金控除」とも言い、地方自治体への寄付を利用して翌年の住民税や所得税を前払いする制度であること、また直接的な節税にならないということを覚えておきましょう。例えば、35,000円のふるさと納税を行い、寄付額から2,000円引いた33,000円が翌年の住民税や所得税から引かれるということになります。

ふるさと納税のメリットは?

 

寄付者は2,000円の負担で返礼品がもらえる

ふるさと納税は税金を単に支払うだけではなく、寄付のお礼に寄付者は実質2,000円負担することで地域の特産品などの返礼品がもらえます。ふるさと納税を行う地域によって返礼品は異なり、食品や工芸品、日用品や旅行、ファッションなど自分の好きなジャンルから選ぶことができます。

税金の使い道を選べる

寄付金の用途ついて寄付者が選べる自治体も多くあります。例えば災害の復興支援や、子供支援、景観保全、観光復興支援などさまざまです。そのため、寄付者は寄付金の使い道などにも考慮して寄付する自治体を選ぶことができるでしょう。

クレジットカードやQRコード決済や「ふるなび」でポイントを貯められる

ふるさと納税は返礼品や、地域活性化に貢献する以外にもさまざまな形でポイントを貯められます。また、ふるさと納税をキャッシュレス決済やクレジットカード決済にしているとポイントが付与されます。さらにふるさと納税サイトの中にはポイント還元を行なっているサイトもあり、サイト内で貯めたポイントは特産品と交換することも可能です。

ふるさと納税よる節税メリット

所得税控除や住民税の軽減

ふるさと納税を行うことで寄付金額から2,000円差し引いて残った金額が住民税や所得税から控除(軽減)されます。所得税や住民税それぞれ計算方法が異なり、上限も設定されているため自分のふるさと納税の控除限度額をあらかじめ知っておく必要があります。

節税効果の計算方法

ふるさと納税として寄付した全額が所得税や住民税の対象になるわけではありません。所得税は寄付金控除、住民税は寄付金税額控除が適用されます。以下の表を参考にみていきましょう。

(引用元:国税庁ホームページ )

このように所得税は寄付金控除、住民税は基本分と特例分にわかれています。所得税からの控除の対象となる寄付金控除額の計算方法は以下のとおりです。

寄付金控除額=その年に支払った寄付金の合計額-2,000円×所得税率

所得税率は課税される所得金額によって変わりますが以下の所得税の速算表で確認してみましょう。

(引用元: 国税庁ホームページ)

例えば400万円の事業所得がある個人事業主の場合、税率は上の表では20%に該当します。つまり、400万円-2000円×20%=799,600円が控除されます。

つぎに、住民税からの控除ですが住民税控除の計算方法は基本分と特例分と2種類あります。それぞれの計算方法は以下のとおりです。

住民税控除(基本分)=ふるさと納税額-2,000円×10%

400万円の事業所得がある個人事業主で7万円ふるさと納税した場合、7万円-2,000円×10%=6,800円が基本分の控除額となります。

住民税控除(特例分)=①ふるさと納税額-2,000円×(100%-10%-所得税の税率)

          ②住民税所得割×20%

特例分とは、都道府県や市区町村に対する寄付の場合の特例控除分です。上記の2つの計算式のうち少ない金額が適用される仕組みになっています。7万円寄付した場合だと、7万円-2,000円×(100%-10%-20%)=47,600円が特例分の控除額となります。

②よりも金額が少ないと仮定すると住民税から控除される合計額は、基本分6,800円+特例分47,600円=54,400円が住民税から控除されることになります。

上限額や控除率について

ふるさと納税の上限金額は年収や家族構成によって変わってきます。扶養している家族がいる場合、所得控除により課税所得が低くなるため、ふるさと納税の上限も少なくなります。所得税の寄付金控除の上限は総所得金額の40%。住民税の寄付金控除の上限は総所得金額の30%が上限に設定されています。ふるさと納税シミュレーションなどをして事前に上限金額の把握など知ってから、ふるさと納税を行うことがポイントです。

ふるさと納税の寄付方法

公式サイトや専用ポータルサイトを利用する

ふるさと納税サイトは各自治体が運営している公式サイトや、総務省が管轄しているふるさと納税ポータルサイト、各サービス会社が運営するふるさと納税サイトなどさまざまな種類があります。各サービス会社が運営しているサイトにはそれぞれ特徴があります。特徴の一例は以下のとおりです。

  • ポイント還元率の高さ
  • 返礼品(自治体登録数)の多さ
  • 最短1週間で返礼品が届く
  • 100円で1マイル貯まる
  • 宿泊券や体験券に強い
  • レストランなどのお食事券が豊富

このように、自身の生活スタイルや利用シーンに関連しているポイントを貯められるサイトなどを選ぶことで、よりふるさと納税のメリットを大きく受けることができるでしょう。

寄付金額や寄付先の選び方

寄付金額は寄付を行う人の給与所得によって上限が異なりますが、寄付金額の平均は約18,700円(参考元:総務省令和4年度実施ふるさと納税に関する状況調査結果に基づく)で、年々増加傾向にあります。寄付先の選び方として特定の地域に対して寄付する、災害の復興や地域活性化、返礼品などは何を目的とするか決めることが大切です。

銀行振込やクレジットカードによる寄付方法

ふるさと納税の支払い方法は銀行振込やコンビニ決済、クレジットカード、各種キャッシュレス決済など幅広く対応しています。クレジットカードやキャッシュレスを利用したくない場合には銀行振込かコンビニ決済を選ぶと良いでしょう。クレジットカードや各種キャッシュレス決済を利用する場合には、どのサイトを経由してふるさと納税を行うかで変わりますが、ポイント還元などのメリットを受けられる場合があります。

申告書の種類と必要書類や提出方法

申告書の種類

原則としてふるさと納税の控除を受けるには、ふるさと納税を行なった翌年の2月〜3月に確定申告を行う必要があります。寄付した後に寄付先の自治体が発行する寄付金受領証明書が申告の際に必要になります。寄付金受領証明書が届くタイミングは各自治体によって異なるため、誤って捨ててしまわないよう大切に保管しておきましょう。

ふるさと納税の控除を受ける際に確定申告以外にもワンストップ特例制度があります。ワンストップ制度は確定申告で行うふるさと納税の控除に比べて、控除対象は住民税からのみになりますが、確定申告を行わなくてもふるさと納税の控除が受けられる制度です。この制度の申請条件は以下のとおりです。

  • 確定申告や住民税申告をする必要のない給与所得者であること
  • 年間寄付先が5自治体以内であること
  • ふるさと納税以外に確定申告または住民税の申告を行う必要がない場合であること

申告書の記入方法

 

手続きを行う時期

必要書類

手続き方法

確定申告

ふるさと納税を行なった翌年の確定申告期間(2月16日〜3月15日)

寄付金受領証明書または寄付金控除に関する証明書

他の所得や経費、損失などと併せて確定申告を行う

ワンストップ制度

ふるさと納税を行なった翌年の1月10日まで(必着)

寄付金税額控除に係る申告特例申請書

必要事項を記入して寄付した自治体へ送る

返礼品の活用法

 

地域特産品や体験型返礼品

ふるさと納税は各自治体の特産物やレストラン券、体験型などさまざまな返礼品があります。地域特産品以外にも日用品やレストラン券、体験型返礼品など種類豊富にあるため幅広いジャンルから選ぶことができます。

返礼品の選び方や受け取り方法

返礼品を選ぶ際は、その返礼品を誰が、どのように、いつ使うかに着目して選ぶのがポイントです。例えば自分が家で贅沢にステーキを食べたい場合には、特産品としてお肉を設定している自治体を選択します。発送時期は自治体や返礼品によっては時間を要する場合があるため申し込み時に必ず確認しておきましょう。

返礼品を活用したプレゼントやギフト

ふるさと納税は寄付者の住所とは別のところへ返礼品や書類を発送しても制度上問題ないため、受取人が寄付者と異なる場合でも受取が可能です。そのため、ふるさと納税の返礼品を活用しお歳暮やお中元、プレゼントなどに利用することができます。

返礼品の品質や満足度

返礼品は基本的に質が良く、食品類であれば鮮度が高いものが豊富にあります。日用品や体験型もなどもあり、毎年同じ自治体をリピートしている利用者も多くふるさと納税の返礼品に対する満足度は高いと言えるでしょう。

ふるさと納税の注意点

申告漏れや手続きミスがあった場合

ふるさと納税は確定申告とワンストップ特例申告により控除を受けることができますが、ワンストップ特例申告の期限に間に合わなかった場合は、確定申告を行う必要があります。確定申告の申告漏れがあった場合、ふるさと納税については、寄付した翌年から5年間申告が可能です。

寄付金額や返礼品に関する詐欺被害

近年、偽のふるさと納税サイトによる詐欺被害が発生しています。詐欺サイトの見分け方を熟知し個人情報やカード情報などお金以外での二重被害を受けないための対策が必要です。以下のような不審な点がある場合、詐欺サイトの可能性が十分にあるため詐欺被害を受けないように注意しましょう。

  • 地方公共団体の住所や連絡先、メールアドレスなどの記載がない
  • 運営元の住所、電話番号やメールアドレスの記載がない
  • 寄付金額を割引、値引きすることを宣伝し集客している
  • 支払い方法が口座振込の場合、口座名義人と販売事業者名が異なっている

返礼品の品切れや配送トラブル

ふるさと納税の返礼品には人気なものもあり、特に12月が近づいてくると品切れになる可能性があります。目当ての返礼品がある場合タイミングに注意が必要です。また、発送時期などは返礼品の詳細ページや申し込み完了メールなどをよく確認を行い、配送時期を過ぎても荷物が届かない場合には自治体に連絡し、しばらくしても回答がない場合には経由しているふるさと納税サイト宛に問い合わせしてみましょう。

確定申告の重要性と期限

確定申告は、国民の義務と言われる納税を行う際の所得税の税額を決める重要な書類です。会社勤めの方の場合、会社が代わりに年末調整を行うため確定申告を行う必要はありません。確定申告の提出期限は毎年2月16日〜3月15日までの1ヶ月が原則とされています。

ふるさと納税の今後の展望

地域おこし協力隊や移住支援制度との連携

外部地域からの支援を受け続けることも大切ですが、移住支援制度を活用し対象地域内へ移住してもらうこと、地域民同士で自分たちが住む地域を盛り上げていく活動を行なっていくことがふるさと納税を通して自治体が今後目指していく未来とも言えます。

地方創生や観光振興への貢献

ふるさと納税は都市部との税収に伴う地域間格差を埋めることが本来の目的です。地域活性化のためにも公園設備への投資や教育環境への投資、観光振興など自治体には住み良い、訪れたくなる街づくりのためにさまざまなことが今後も自治体に求められるでしょう。

環境保護や社会貢献活動への取り組み

自治体は地域内の景観を保つためにも環境保護や社会貢献活動を行う必要があります。ふるさと納税では社会貢献の返礼品もあり、豪雨被害復興などの災害復興支援系や、子ども食堂支援などのプロジェクト系、生活支援サービスを贈る寄贈系など種類があります。今後もこのような環境保護や社会貢献活動を目的としたふるさと納税の活用方法が期待されています。

オンラインイベントやPR活動の展開

近年では、現地に行かずともオンラインイベントで地域の魅力を伝えたり、PR活動を行ったりすることができます。ふるさと納税を活用することで自治体の強みや今後のイベント予定などサイトを通じて多くの利用者に伝えることができます。

ふるさと納税と節税の関係を詳しく知りたい場合は専門家に相談を

今回はふるさと納税の基礎知識や仕組み、控除額や注意点などをご紹介してきました。ふるさと納税は行う人の給与所得や家族構成によって控除額が異なる少し複雑な仕組みになっています。また、子供がいる家庭の場合、お子さんの年齢によっても控除額が変わります。

ふるさと納税は直接的な節税対策とはなりませんが、クレジットカードかどのポイント付与や返礼品といったさまざまなメリットがあります。ふるさと納税の始め方や節税との関係を詳しく知りたい場合は、専門家への相談を検討してみましょう。

この記事の監修者
税理士「今野 靖丈」

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