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会社設立の基礎知識

証書貸付とは?メリット・デメリットやカードローンとの違いなどをわかりやすく解説

更新日:2023.4.14

証書貸付とは何か

証書貸付とは、貸付先が借用書(金銭消費貸付契約書)を差し入れて行う金融機関の融資貸付のことを指します。一度にまとまった金額を借りて長期間かけ返済する金融商品に採用されています。借用書には、融資金額、金利、返済方法、返済期間などが記載され企業や個人の署名判・実印を押印し、連帯保証人の署名・押印も必要になります。主に貸付期間1年を超える長期融資の場合に多く用いられるため、審査では長期間にわたって返済能力があるかどうかが見られます。

証書貸付の仕組みと特徴

  • 証書貸付の仕組み

証書貸付は主に長期の返済期間での融資を受ける時に使われ、返済方法は元金均等返済方法を採用しているケースがほとんどです。また、証書貸付は、一度の借り入れごとに必要になるため追加で融資を受けることができません。

  • 証書貸付の特徴

・資金調達の際に用いられることが多い

主に証書貸付は長期運転資金や設備資金などを目的とする場合が多く、新規事業や事業拡大、個人では住宅ローンや自動車ローンなどの際に用いられます。そのため証書貸付で高額融資を受ける場合、まとまった資金を一括で借り入れることができます。

・元金均等返済方法のケースがほとんど

元金均等返済とは、元金と利息のうち元金の返済額が一定で利息部分が返済するにつれて減っていく方式で、証書貸付は元金均等返済が採用されていることが大半を占めます。例えば4,000万円を15年で返済する場合の返済額の変化は以下のとおりです。

4,000万円÷180ヶ月(15年)=222,222円(1ヶ月の元金返済額)

初月返済額=222,222円+利息(2%の場合66,666円)    残金:4,000万円

75ヶ月目返済額=222,222円+利息(2%の場合39,259円) 残金:約2,334万円

・審査が厳しい傾向がある

証書貸付は長期貸付になるため、審査基準が高く設定されています。長期期間での貸付は貸し倒れリスクが高く、借り入れ希望者の資産や収入、事業規模や経営状況などさまざまな項目から審査が行われます。

特に中小企業の場合外部環境の影響を受けやすいため、担保を差し入れるのが一般的です。その場合には、不動産など資産を担保にする「物的担保」と保証人を設定する「人的担保」がありますが、業績が安定している優良企業で「信頼があり返済能力に問題がない」と判断された場合には担保なしで融資を受けられる場合もあります。

証書貸付の対象となる証券

物的担保で主な代表例は不動産ですが、それ以外にも有価証券を担保として融資を受けられる方法があります。基本的に資金使途は原則自由としている証券会社が多いことが特徴で、有価証券を売却することなくまとまった資金を調達できます。証書貸付の対象となる証券は以下のとおりです。

株式

株式とは株式会社が資金を出資してもらった人に発行する有価証券のことを指します。株式の発行は企業が新規事業を行う、もしくは事業開拓などに必要な資金を集める手段のひとつです。具体的には新しくお店を出して商品を販売する、工場の生産ラインを増やすために機械を購入するといった場合に必要な資金を集める際に行われます。

債券

債券とは実質的には借金であり、元利金の返済を約束する有価証券のことを指します。国や、地方自治体、企業など投資家からお金を借りるために発行する有価証券で、投資家は債券の発行元に対しお金を貸しているということになります。株式との違いは、満期がある、利益は配当金ではなく利子益や償還差益があるという点です。

その他の証券

投資信託

投資信託とは、投資家から集めたお金をひとつの大きな資金としてまとめ、運用の専門家が株式や債券などに投資・運用し得た成果を投資家に分配する金融商品のことを指します。投資信託は少額から始められる且つ分散投資でリスクを軽減できる、そして運用の専門家に任せられることや国内のみではなく国外など個人では投資しにくい地域や資産に投資できる、といった特徴があります。

ETF

ETF (Exchange Traded Funds=上場投資信託)とは、証券取引上に上場し、株価指数などに代表される指標への連動を目指す投資信託のことを指します。代表的なETFとして「東証株価指数(TOPIX)」に連動するETFがあります。投資信託との違いは上場しているということです。また、ETFは投資信託よりも商品数や種類が多く、価格は株式と同じようにリアルタイムで値動きするといった特徴があります。

証書貸付のメリット

前項のように有価証券などを担保に証券会社から売買に必要な現金や株式を借りられる「信用取引」があります。最大預けた担保評価額の約3.3倍まで株式の取引をすることが可能です。それぞれ貸し手と借り手のメリットデメリットについては以下のとおりです。

貸し手のメリット

貸し手は保有している株式など有価証券を貸すことになります。一般的に貸株と言われ、証券会社などを通じて第三者に株を貸す対価として「貸株金利」と呼ばれる利息を受け取ることができます。貸株金利以外にも、売りたい時自由に売却できる、愛着ある企業の株式を長期保有できるといったメリットがあります。

借り手のメリット

借り手は手元に持っていない株式を証券会社から借りて売り、決済期日までにその株式を市場で買い戻して証券会社に返し、その差額で利益を得ることになります。また、信用取引の場では空売りとも言われ、株式を借りてきて売るため、株式を保有していなくても売りから入ることが可能です。株価は上昇するよりも下落するスピードが早く、短期間で利益を得られる可能性が高いというメリットもあります。そのため、資金繰り改善などを目的としている場合は、貸し手よりも借り手がおすすめです。

証書貸付のデメリットとリスク

貸し手のデメリットとリスク

・株主優待が受けられない場合がある

株式を貸出している間は、株の所有者が証券会社もしくは機関投資家に移っています。そのため優待の権利確定日に貸出したままの場合、株主優待を受けることができません。対策として株主優待の権利確定日前に自ら貸株を解除する、貸株を行う前に株主優待優先設定にしておくようにしましょう。

・貸株喪失のリスクがある

一般的な証券会社に預ける株式であれば、証券会社の資産と分けて管理されていますが、貸株の場合は証券会社が倒産した際の保護対象にはなりません。返還請求をする権利はあるものの、必ずしも返ってくるとは限りません。倒産時のリスクがあるということを覚えておきましょう。

借り手のデメリットとリスク

・追加保証金(追証)制度

追加補償金とは、株式の空売りをした後に、株価が上昇してしまった場合、含み損が発生し追加保証金が必要になる場合があります。これは、含み損が大きくなったことで担保の評価額が減額されてしまうためです。追加補償金が支払われない場合は強制的に決済され損失が確定し、不足額の委託保証金を支払う必要があります。

・返済義務

制度信用取引の場合、空売りした日から6ヶ月後の返済期日までに反対売買(買い)をする必要があります。もし反対売買の決済が行われなかった場合には自動的に反対売買される仕組みになっています。

証書貸付とカードローンの違い

金利

証書貸付

固定金利が多い、借入額や目的によって様々

カードローン

13%~18%が多い

証書貸付はさまざまな種類があり、利用する証書貸付によって金利が異なります。高額融資になりやすい住宅ローンや自動車ローンの場合、保証人や担保が必要なため低金利で借りることができます。それに比べ、カードローンは銀行系カードローンの場合13%~16%、消費者系金融カードローンでは、18%前後と高めに設定されていますが、これは保証人や担保が不要な分貸し倒れのリスクを避けるためという背景があります。

限度額

証書貸付

住宅ローンの場合数千万円~、マイカーローンでは1,000万円程度

カードローン

約300万円~1,000万円

限度額は証書貸付の場合、目的によって異なります。住宅ローンや自動車ローンなどは高額融資が多く、目的自由のフリーローンは数十万円程度の少額融資となる場合など限度額は幅広いことが特徴です。カードローンの場合は銀行系カードローンや消費者系カードローンともに年収の3/1が上限の目安金額となることが多く、審査や契約時に限度額が決められ、限度額以内であれば何度でも借りることができます。

融資までのスピード

証書貸付

審査は厳しめなため、数日から1ヶ月程度時間がかかる

カードローン

最短即日で融資が可能

証書貸付の場合、高額融資になる住宅ローンや自動車ローンなどがあり、保証人や担保が必要となる場合もあるため、審査に日数を要するため融資まで時間がかかることがほとんどです。カードローンは保証人や担保が不要なため、最短で申込日に融資を受けられる可能性があります。

それぞれの特徴

証書貸付

金銭消費貸借契約書で交わした契約内容を元に貸付が行われる。追加融資は受けられず、融資毎の契約となる。

カードローン

一度カードローン契約すれば、限度額内であれば何度でもお金を借りられる。また、途中で限度額を上げられる可能性がある。

契約内容に基づいて貸付が行われるのが証書貸付で、追加の融資を希望する際には審査や契約が再度必要になります。同じ内容で追加融資を受けることができないため注意が必要です。その点カードローンは契約した限度額内であれば何度でも借り入れ可能です。急な資金不足にも対応でき便利に利用することができますが、返済遅延などがある場合には追加融資が受けられない可能性もあるので慎重に利用しましょう。

証書貸付の手続きと注意点

証書貸付の申し込み方法

借りる先の金融機関によって申し込み方法は様々ですが、郵送やインターネットでの申し込み方法があります。また、必要な書類には、本人確認書類、借入申込書、収入証明書(住民税決定通知書など)などが挙げられます。

契約条件の確認

審査が通ったら金銭消費貸借契約書の内容を確認しましょう。契約後に内容を変更することはできません。契約日や、借入額、利率、遅延損害金、返済方法、返済期間などの確認は必須です。その他の条項なども確認し、交渉の内容に間違いがないか入念にチェックしましょう。

貸借取引による管理とフォロー

貸借取引とは金融機関が証券会社に対して制度信用取引に必要な資金や株券を貸し付ける取引のことを指します。そうすることで、証券金融会社は証券会社の資金や株式不足をフォローすることができます。証券金融会社は日本証券金融1社のみで、取引可能な銘柄は取引所ルールで選定されているため、上場廃止や業績不振といったリスクが少ない銘柄で構成されています。

証書貸付の活用方法と実践事例

投資戦略としての証書貸付活用

証書貸付で行われる融資には長期運転資金や設備資金など、それ以外にも投資で利益を得る投資戦略を目的とする場合もあります。その場合、貸し手か借り手両方のメリットやデメリットを踏まえるる、どちらがより利益を得られるのか、また自分に合っているのか検討しましょう。

証書貸付取引の実践事例

住宅ローン

証書貸付は、資金使途が決まっている場合の目的ローンに対する利率は証書貸付の中では金利が低く設定されています。住宅ローンの場合1.0%を切る低い利率になっていることが多いです。また、融資担保となる住宅を担保に設定して融資を受け、万が一借主の返済が滞ってしまった場合には、担保に設定した住宅が競売にかけられ売却した時点でローン残高が返済される仕組みになっています。

自動車ローン

自動車ローンは、車両購入以外にも免許取得資金や車検、修理、カー用品購入資金として借りることができます。住宅ローンに比べ、自動車ローンの金利相場は1%~4%と少し高めに設定されています。また、自動車ローンは返済機関が短く月々の返済額が高くなる可能性があるため注意しましょう。

証書貸付を有効活用したい場合には専門家に相談も検討

今回は証書貸付の基礎知識や貸し手借り手のメリットデメリット、カードローンとの違いなどをご紹介しました。証書貸付は必要書類が多く、審査にも日数がかかるという点から一般の人が目的ローン以外で有効活用することは難しいでしょう。ですが、有効活用することで今後の資金調達や投資戦略の幅が広がり様々な可能性が期待できます。証書貸付を利用したいという場合は詳しい専門家に相談してみてはいかがでしょうか。

この記事の監修者

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今野 靖丈

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