法人化したばかりの企業や、創業して間もない企業にとって、顧問税理士は頼りになるパートナーです。一方で、信頼できる税理士を探したいけれど、方法が分からない方も多いのではないでしょうか。この記事では、法人におすすめの税理士の探し方から、税理士を選ぶ際に失敗しないための5つのポイント、注意点について解説します。
目次
【法人向け】税理士の探し方6選

顧問税理士を探すには、いくつかの方法があります。それぞれの探し方にはメリットとデメリットがあるため、自社の状況に合わせた方法を選びましょう。
インターネット検索で探す
最も手軽なのは、税理士事務所のウェブサイトを検索する方法です。インターネットで「地域名 法人税理士」や「業種名 税理士」といったキーワードを検索してみましょう。
税理士事務所のウェブサイトには、得意な業種、料金体系、サービス内容、税理士の経歴や考え方などが掲載されています。そのため、自社のニーズと照らし合わせながら比較ができます。
ここでは、インターネットの膨大な情報の中から、自社に必要な情報を見極めるスキルも必要です。ウェブサイトのデザインや情報量だけでなく、ブログや実績紹介の内容にも目を向けることで、税理士の熟練度や人柄を知ることができます。
税理士紹介サービスを利用する
税理士紹介サービスでは、自社の業種や事業規模、依頼内容などの条件を登録します。この条件に合った税理士を、無料で紹介してくれるサービスです。一件ずつ検索する手間が省けるため、効率的に税理士を探すことができます。
複数の税理士を紹介してくれるため、比較しやすい点もメリットです。場合によっては、面談の日程調整や、税理士との料金交渉を行ってくれることもあります。ただし、地域によっては紹介される税理士が少ない恐れがあります。を確認しましょう。
登録されている税理士の人数や得意分野は、税理士紹介サービスによって様々であるため、複数のサービスを検討すると良いでしょう。
経営者仲間や知人に紹介してもらう
すでに税理士と契約している経営者仲間や取引先、友人から紹介してもらう方法は、経験者の意見が聞けるため安心感があります。実際にサービスを利用している人から、税理士の人柄や実務能力、レスポンスの速さといったリアルな情報が得られます。また、紹介者の会社と自社の事業規模や業種が近ければ、ミスマッチが起こる可能性も少ないでしょう。
一方で、知人に紹介された手前、相性が合わないと感じても断りにくい方がいるかもしれません。知人からの紹介はあくまで選択肢の一つと捉え、必ず面談を行い、自社の視点で判断することが大切です。
地域の税理士会や商工会議所に相談する
各地域に設置されている税理士会や商工会議所に相談する選択肢もあります。全国15ヵ所の税理士会には税理士の紹介窓口が設けられていることが多く、無料で相談に応じてくれます。多くの税理士を比較できる形ではありませんが、地域に根ざして活動する税理士を紹介してもらえるでしょう。また、商工会議所も会員向けに税理士の紹介を行っている場合があります。
税理士会や商工会議所といった公的な窓口の紹介は、安心感が最大のメリットでしょう。自社と同じ地域の税理士から探せるため、地元でのネットワークを重視する企業にとっては有効です。
金融機関に紹介してもらう
メインバンクとして取引のある銀行や信用金庫などの金融機関に相談し、提携している税理士を紹介してもらう方法もあります。
金融機関は企業の財務状況を把握しているため、自社の経営状態や成長ステージに適した税理士を紹介してくれるかもしれません。融資に強い税理士を探している場合にもおすすめの方法です。金融機関としても、取引先の経営が安定することはメリットになるため、親身に相談に乗ってくれるでしょう。
ただし、いくら金融機関から信用度・知名度の高い税理士を紹介されても、自社のニーズに合うとは限りません。自社で面談を行い、中立的に判断する必要があります。
税理士主催のセミナーや勉強会に参加する
税理士事務所が主催するセミナーや勉強会に参加して、税理士を探す方法もあります。興味のあるテーマのセミナーに参加することで、その分野に詳しい税理士を見つけることができるでしょう。
セミナーでは、講師である税理士の話し方や説明の分かりやすさ、人柄などを直接確認できることがメリットです。質疑応答の時間やセミナー後の懇親会などを利用すれば、個別に質問したり、コミュニケーションをとったりする機会も得られます。契約前に密なコミュニケーションを取ることで、税理士との相性を確かめやすくなります。
まずは情報収集の一環として気軽に参加し、信頼できそうだと感じた税理士に後日、改めて相談するのが良いでしょう。
法人に合った税理士を選ぶ5つのポイント

法人の税務手続きは、個人事業主などと比較して専門性が高く、より複雑になります。そのため、自社に最適な税理士を選ぶためには、探し方と並行して、選定基準を明確にしておくことが必要です。
税理士を選ぶ際は、以下に紹介する5つのポイントを押さえておきましょう。
ポイント1:依頼内容と予算を明確にする
税理士を探し始める前に、法人にとって必要な依頼内容と、許容できる予算を具体的に決めておくことが大切です。
税理士が対応する業務は、経理・申告業務と経営サポートなどが一般的です。経理・申告業務には、経理業務代行、記帳指導、決算業務などが含まれます。また、経営サポートには、資金調達支援、キャッシュフロー改善のアドバイス、節税対策などの業務が含まれます。
税理士に依頼する業務範囲によって、契約内容や料金も様々です。まずは、現状の経理業務で困っていることや、将来的に相談したい経営課題をリストアップしてみましょう。事前に依頼内容と予算を明確にすることで、税理士を選ぶ際のミスマッチを防ぐことができます。
ポイント2:自社に合った専門知識と実績があるかを確認する
税理士によって、得意とする業界や専門分野は異なります。例えば、IT業界、飲食業界、建設業界など、自社の業界に精通している税理士を選ぶことが重要です。
また、自社の成長ステージ(創業期・成長期・安定期など)によっても必要なサポートは変わってきます。創業期の支援実績が豊富な税理士もいれば、事業承継や相続対策に強い税理士もいます。税理士に依頼する際、自社がどのステージにいるかを明確にしておきましょう。
税理士事務所や税理士のSNSなどを調べると、得意分野やこれまでの実績を公表している場合があります。税理士の熟練度について知りたい場合は、自社の業界に近い企業の顧問契約実績があるかを調べるのもおすすめです。まずは、こうしたインターネット上での情報収集から、税理士の候補を絞っていくと良いでしょう。
ポイント3:料金、契約内容に納得できるか見極める
税理士との契約にかかる費用は、各税理士事務所や契約内容によって様々です。主な費用として、月額顧問料や決算申告料、記帳代行料などがありますが、相場と比較して適切な金額であるかを確認しましょう。
また、契約前に見積書を作成してもらい、料金に納得できるか確認しましょう。例えば、見積書に基本料金が記載されていても、税務調査の立会いや年末調整、償却資産税の申告などが別途料金としてかかるケースも多い傾向にあります。「どこまでの業務が基本料金に含まれるか」「どのような場合に別途料金が発生するか」を明確にすることも大切です。
契約後のトラブルを避けるためにも、複数の税理士事務所を比較し、十分に納得した上で決定するべきです。
ポイント4:コミュニケーションが円滑に取れるかを見極める
顧問税理士に質問や相談を持ちかけた際に、レスポンスが速いか、コミュニケーションが円滑に取れるかということも重要です。問い合わせメールへのレスポンスや、面談時の受け答えの仕方などから判断しましょう。
また、専門用語ばかりで説明が分かりにくかったり、高圧的な態度で話しにくかったりする場合、長期的な関係を築くのは難しいかもしれません。自社の事業に興味を持ち、親身になって話を聞いてくれるか、経営者視点のアドバイスをくれるかなどを事前に確かめておきましょう。
ポイント5:相性が合うかを判断する
契約前には、複数の税理士と直接会って面談しましょう。
税理士は会社の財務状況を共有するパートナーであり、信頼関係が大切です。しかし、ウェブサイトやパンフレットだけでは、税理士の人柄や価値観といった部分は把握しきれません。
そのため、面談を通じて「この人になら経営の悩みを相談できる」「長期的に付き合っていけそう」といった相性を見極めることが肝心です。複数の税理士と面談することで、それぞれの違いが明確になり、より客観的な視点で選ぶことができます。
税理士事務所の3つのタイプとそれぞれの特徴
税理士事務所と一口に言っても、その規模や特徴は様々です。
ここでは、税理士事務所を大きく3つのタイプに分類し、それぞれの特徴を解説します。
定型業務を低コストで依頼できる「低価格型」
記帳代行やメール・電話による税務相談、申告業務など必要最低限のサービスに絞ることで価格を抑えているのが「低価格型」です。クラウド会計ソフトの活用を前提とし、業務を効率化することで低価格を実現しています。顧問先への訪問は控え、チャットやメールでのやり取りが多いことも特徴のひとつです。
専門的なコンサルティングよりも、経理業務の負担軽減やコスト削減を求める創業期の企業、事業規模が小さい企業に適しています。
ただし、業務範囲が限定される場合も多いため、契約前に依頼できる業務内容を確認する必要があります。
特定の業界・分野に精通する「特化型」
特化型の税理士事務所は、特定の業種や分野に精通していることが特徴です。近年では、IT専門、医療専門、不動産専門、M&A専門、相続専門など、様々な特化型税理士が増えています。業界特有の税務課題にも対応できるため、より自社のニーズに合ったサービスが期待できます。
自社の事業が特殊であったり、特定の経営課題を抱えていたりする場合には、特化型の税理士がおすすめです。税理士全体に占める割合は少なめですが、実績や評判をチェックするなどして、自社に合う特化型税理士を探してみましょう。
経営コンサルティングまで任せられる「付加価値型」
付加価値型の税理士事務所は、税務会計業務にとどまらず、経営全般のコンサルティングサービスを提供しているのが特徴です。資金調達の支援、経営リスクの洗い出し、マーケティング戦略など幅広く対応する事務所は「デパート型」と呼ばれることもあります。
付加価値型は、事業拡大を目指す成長期の企業や、個人事業主から法人化して経営基盤を強化したい企業におすすめです。ただし、経営に関する多角的なアドバイスが得られる分、料金は高めに設定されている傾向があります。サービスに対して適正な価格かどうかを事前に確認しましょう。
税理士を探す際に注意したいポイント

自社に合いそうな税理士候補が見つかっても、すぐに契約を結ぶのは避けるべきです。顧問税理士と信頼感を築くため、契約前にいくつか注意点があります。
ここでは、顧問税理士を決める際に注意したい2つのポイントを解説します。
実際に面談して自分で判断する
信頼できる知人や金融機関から紹介された場合でも、自社にとって相性の良い税理士とは限りません。また、インターネット上の口コミが良くても、その評価を鵜呑みにせず、自身の目で確かめることが重要です。
自社の事業内容、規模、成長ステージ、経営者の人柄などによって、税理士に求めるサービスは異なります。税理士との面談では自社の事業内容や課題を伝え、どのようなサポートが受けられるかを具体化しましょう。質問に対する税理士の受け答えや見た目の印象からも、長く付き合える相手かどうかが判断できるはずです。
紹介された手前、断りにくいと感じるかもしれませんが、長期的なパートナーを選ぶ上で妥協は禁物です。
契約書で依頼内容と支払額を確認する
税理士との顧問契約は口頭でも成立しますが、書面(顧問契約書)を交わし、依頼内容と支払額を把握しておくことがおすすめです。
口頭での約束は、万が一トラブルが発生した際に、責任の所在や合意の有無が不明確となる可能性があります。そうした事態を避けるためにも、顧問契約書を交わすことが必要です。
契約前には、月額顧問料と業務範囲に加え、決算申告料や年末調整費用といった年間の支払額を確認します。契約書の内容に不明点や曖昧な部分があれば、署名をする前に質問しましょう。また、後に顧問契約を解除することになった場合に備え、解約できる時期や違約金の有無なども確認しておくのがおすすめです。
まとめ
顧問税理士は、会社経営において重要なパートナーのひとりです。
信頼できる税理士を探すには、まず依頼したい内容と予算を明確にしましょう。そして、インターネット検索や税理士紹介サービス、知人の紹介などから、自社に合った方法で税理士を探します。候補として数人の税理士に絞ることができたら、自社のニーズに合わせて比較することも大切です。
税理士を比較する際には、料金だけでなく実績や熟練度、コミュニケーションの取りやすさ、自社との相性をチェックしましょう。口コミを鵜呑みにせず、直接面談して判断する必要があります。そして契約時には、顧問契約書を交わして依頼内容と料金を確認し、納得のいく形でパートナーシップをスタートさせましょう。









