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役員退職金の功績倍率|社長は3.0倍?税務署に認められる計算方法

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役員退職金の功績倍率|社長は3.0倍?税務署に認められる計算方法

役員退職金の損金算入には、功績倍率を適正に設定することが重要です。社長(代表取締役)の功績倍率は実務上2.0~3.0倍が相場であり、3.0倍を超えると税務調査で否認されるリスクが高まるでしょう。本記事では、役員退職の功績倍率について解説します。役職別の功績倍率の相場や、否認されないための実務ポイントも説明します。

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役員退職金の計算に功績倍率が必要な理由は?

役員退職金は、法人税の計算上は損金計上できる可能性があります。そのため、大きな節税効果が可能です。

一方で、税務署が「不相当に高額」と判断した部分は損金不算入となり、追徴課税の対象になります。「不相当に高額かどうか」を判断する実務上の重要な基準が功績倍率です。

一般的な功績倍率を用いた計算式

功績倍率法では、以下の計算式で退職金額を算出します。

退職金=最終報酬月額×役員在任年数×功績倍率

各要素の定義は以下の通りです。

要素概要
最終報酬月額原則として役員が退任する直前の役員報酬の月額を指します。ただし、業績悪化等で退職直前に報酬を減額した場合は、在任期間中の最高報酬月額や平均報酬月額を使用することもあります。
役員在任年数役員に就任してから退任するまでの期間です。1年未満の端数がある場合は切り上げて計算するのが一般的です。例えば、在任期間が12年3ヵ月であれば13年として計算します。
功績倍率役職や会社への貢献度に応じて設定される係数です。代表取締役、専務、平取締役など役職によって異なる倍率が適用されます。

以下の記事では、役員退職金の損金算入時期について解説しています。

功績倍率に法的な明確基準はない

功績倍率は、あくまで過去の判例や税務慣行から形成された目安に過ぎません。法律で「代表取締役は3.0倍まで」といった具体的な規定が存在するわけではありません。

税務調査では、会社の業績や役員の貢献、同業他社の支給水準を基に、社会通念上妥当かどうかが判断されます。相場内の倍率であっても、企業の財務状況に比して高額であれば、否認される可能性があるため注意が必要です。

役職別の功績倍率の相場

投資家が法人化する目安のイメージ

功績倍率の具体的な数値は法律で定められているわけではありません。過去の判例や税務実務の慣行から、役職ごとに一定の相場が形成されています。相場を大きく逸脱すると、税務調査で過大と指摘されるリスクが高まります。

ここでは役職別の功績倍率の相場について解説します。

代表取締役(社長):2.0~3.0倍

代表取締役の功績倍率は、実務上2.0倍から3.0倍の範囲で設定されるケースが大半です。特に3.0倍という数値は、過去の判例の積み重ねから「税務上の上限目安」として広く認識されています。

代表取締役や創業者が会社を大きく成長させた場合でも、3.0倍を大きく超える倍率は税務リスクを伴います。そのため、安全性を重視する企業では、最大でも3.0倍として規程に明記するケースが一般的です。

専務・常務取締役:2.0~2.5倍

副社長、専務取締役、常務取締役といった役職の功績倍率は、社長よりも低い水準で設定されるのが通例です。具体的には、専務取締役で2.2倍から2.5倍程度、常務取締役では2.0倍から2.2倍程度が一般的な相場です。

最終的な経営責任を負う代表取締役との差を考慮し、バランスを保つことが重要です。

平取締役・監査役:1.0~1.8倍

業務執行の責任を負う上位役職と比較して、平取締役や監査役の功績倍率はさらに低い水準で設定されます。平取締役の相場は1.5倍から1.8倍程度、監査役の場合は1.0倍から1.6倍程度が目安です。

監査役は取締役とは異なり、経営の監督を主な職務とするため、功績倍率もやや低めに設定される傾向があります。これらの役職についても、上位役職との整合性を踏まえ、個別の貢献度を評価して倍率を決定しましょう。

退職金の節税方法については、以下の記事で詳しく解説しています。

税務調査で否認されないためのポイント

ポイント

役員退職金が「不相当に高額」と指摘され、損金不算入となる事態を避けるには、客観的なデータによる裏付けと、適切な法的手続きの両方が不可欠です。

同業種・同規模の類似法人との比較

税務署は退職金の妥当性を判断する際、同業種で同程度の事業規模を持つ類似法人の支給実績を重視する傾向です。一般的には「類似会社比較方式」と呼ばれ、自社の退職金が業界水準から大きく乖離していないかを確認するために用いられます。

中小企業では、比較対象となる法人を見つけることが困難な場合もあります。調査会社のデータや業界団体の情報を参考に、客観的な比較基準を用意しておくことが有効です。

実務や判例では、複数社の功績倍率の平均値を用いる「平均功績倍率法」が採用される例が多く、税務調査でも平均値との比較が重視されます。

過去の判例が示す判断傾向

役員退職金を巡る裁判例を見ると、代表取締役の功績倍率が3.0倍を超えるケースでは、合理性が十分に説明できない場合、否認される傾向が多く見られます。

裁判では、功績倍率の数値だけでなく、退職金規程の整備状況も評価される傾向です。あわせて、株主総会議事録や同業他社との比較データも考慮されます。

これらの判例は、税務調査で否認されないための具体的な基準を考えるうえで重要な指針となります。

3.0倍を超える功績倍率が認められる可能性

代表取締役の功績倍率3.0倍は一般的な上限とされていますが、絶対的なものではありません。例えば「創業社長として会社を成長させた」「経営危機を再建した」など、特別な功績を証明できる場合には、3.0倍を超える倍率が認められる可能性も残されています。

功績倍率を裏付ける資料(業績推移や業界シェアの変化など)を用意し、株主総会議事録に根拠を明記しておくことが重要です。

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特殊なケースにおける計算方法

非常勤役員や役員報酬の変更など、一般的な退職金の計算方法では計算が難しいケースもあります。ここでは実務上よく見られる特殊ケースについて解説します。

退職直前に報酬を減額された場合

業績悪化などを理由に退職直前の役員報酬が減額された場合、最終報酬月額を基準にすると、長年の功績に見合わない低い退職金額になってしまうことがあります。退職直前の報酬減額で退職金が不当に低くなるのを防ぐには、規程の整備が有効です。

具体的には、「在任期間中の最高報酬月額」または「平均報酬月額」を基準とします。ただし、退職金を引き上げるためだけに意図的に報酬を操作したと見なされないよう、報酬減額の経緯や規程の合理性を明確に説明できる準備が必要です。

非常勤役員・創業者の功績倍率

非常勤役員の功績倍率は、常勤役員に比べて職務への関与度が低いことから、1.0倍前後など低めに設定するのが一般的です。ただし、名目上は非常勤であっても経営に重要な役割を果たしていた実態がある場合、その貢献度を考慮して倍率を調整することも考えられます。

創業者は、功績の大きさを理由に高い倍率を設定するケースが多いですが、税務上は創業者というだけで特別な扱いが認められるわけではありません。他の役員と同様に、社会通念上の相場の範囲内で、客観的な功績に基づいて倍率を設定する必要があります。

分掌変更時の退職金支給

役員としての地位は継続するものの職務内容が大きく変更され、実質的に退職したとみなされる場合に退職金が支給されることがあります。例えば代表取締役から取締役になるなどでの分掌変更です。

分掌変更時の退職金が税務上認められるためには、変更後の役員報酬が概ね50%以上減少するなどの要件を満たす必要があります。功績倍率の考え方は通常の退職時と同じですが、在任年数は分掌変更前の役職に就いていた期間で算定します。

役員退職金支給に必要な法的手続き

適正な計算方法で退職金を算出しても、法的に定められた手続きを省略してしまっては損金として認められません。特に株主総会における決議は、退職金支給の正当性を担保するうえで不可欠なプロセスです。

株主総会決議は必須

役員退職金の支給額や算定方法といった事項は、定款に別段の定めがない限り、株主総会の決議によって決定しなければなりません。これは会社法で定められた手続きです。

決議を経ずに支給された退職金は、損金算入が否認される可能性があります。さらに、法的な有効性そのものが問題となる恐れもあります。

株主総会で退職金の総額枠を決定し、個別配分を取締役会に一任する方法も可能ですが、その際も株主総会での決議が必要です。

株主総会議事録の記載方法

株主総会議事録は、退職金支給が適正な手続きを経て決定されたことを証明する最も重要な書類です。税務調査に備えるうえでは、単に決議事項を記載するだけでなく、退職金額の算定根拠を具体的に明記することが推奨されます。

具体的には、適用した計算式(最終報酬月額、在任年数、功績倍率など)や、退任役員の在任中の特別な功績について記載します。特に、3.0倍を超えて功績倍率を設定する場合には、その理由を議事録に具体的に記載しておくことが重要です。例えば業績伸長率や売上拡大の実績などです。

役員退職金の功績倍率に関するよくある質問

ここでは、功績倍率に関するよくある質問について回答します。

死亡退職金の場合、功績倍率は変わりますか?

変わりません。死亡退職金は「弔慰金」とは別であり、生前の功績に対して支払われるものです。そのため、通常の退職金と同様の功績倍率法で計算するのが一般的です。

ただし、特別な事情がある場合には、社会通念上、功績倍率を上乗せできる可能性があります。例えば業務上の死亡である場合などです。

類似法人が見つからない場合、どうすればよいですか?

過去の判例などで示されている役職別の平均的な功績倍率をひとつの基準として決定します。そのうえで、自社の役員退職慰労金規程に算定根拠を明確に定めます。

さらに、なぜその倍率が自社にとって妥当であるかを合理的に説明できるように準備しておくことが重要です。

功績倍率以外で退職金額を増やす方法はありますか?

役員の在任年数を長くすることや、退職金とは別に社会通念上相当な範囲で弔慰金を支給することが考えられます。また、中小企業退職金共済や企業型確定拠出年金といった制度の活用や、退職金原資の積み立ても、支給額を確保する方法です。

まとめ

役員退職金の損金算入を確実にするうえで、功績倍率は支給額の妥当性を客観的に示す重要な指標です。社長の功績倍率は3.0倍が上限の目安とされています。ただし、これは判例や実務慣行に基づくもので、法律上の絶対的な規定ではありません。

功績倍率の設定次第で、税務上の評価や損金算入額は大きく変わります。役員退職金の適正な算定や規程整備については、「小谷野税理士法人」までぜひご相談ください。

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この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
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