年収5,000万円の人は、所得税・住民税を合わせた税負担が非常に重く、何も対策をしなければ手取りは約2,600万〜3,000万円程度です。しかし、iDeCoやふるさと納税、不動産投資などの制度を適切に活用すれば、数百万円単位で税負担を軽減することも可能です。本記事では、年収5,000万円層が実践できる具体的な節税方法と節税額の目安について、わかりやすく解説します。
目次
年収5,000万円の人が支払う税金と手取り額の概要

年収5,000万円の場合、所得税・住民税・社会保険料を合計した税負担は非常に大きく、手取り額はおおむね2,600万〜3,000万円程度にとどまります。これは、給与の約4割前後が税金・社会保険料として差し引かれる計算です。
特に影響が大きいのが所得税で、課税所得が4,000万円を超えると最高税率45%が適用されます。例えば課税所得が4,000万円の場合、所得税と住民税を合計した税金は約1748万円です。一方、社会保険料は一定の上限が設けられており、年収が増えるほど負担増の割合は緩やかですが、それでも年間数百万円規模の負担です。
年収5,000万円層は「収入が増えても手取りが思ったほど増えない」ゾーンに入ります。そのため、単に収入を増やすだけでなく、どの税目がどの程度かかっているのかを把握したうえで、節税の優先順位を考えることが重要です。
【誰でも始めやすい】年収5,000万円におすすめの基本的な節税対策6選
年収5,000万円層が節税を始める際は、リスクを抑えつつ確実に税負担を軽減できる制度から着手することが重要です。高額所得者向けの高度な節税スキームは後回しにし、まずは「制度上ほぼ確実に効果が出る手段」を押さえることで、無理なく節税効果を積み上げられます。
具体的には、所得控除や非課税制度といった国が用意した枠組みを最大限活用することが基本方針となります。これらは税務リスクが低く、運用や手続きの難易度も比較的低いため、節税の土台作りとして有効です。
また、年収5,000万円層は税率が高いため、同じ制度を使っても節税インパクトが大きくなります。制度そのものは一般的でも、「高い税率で適用される」点にこそ意味があります。
① iDeCo(個人型確定拠出年金)で老後資金を非課税で運用する
iDeCoは私的年金制度で、拠出金や運用益に税の優遇があります。上限額まで拠出すればその分だけ課税所得を減らせるため、高い税率が適用される年収5,000万円層では特に節税効果が大きくなります。さらに、受取時も一定の控除の適用が可能です。老後資金を確保しながら税負担を抑えられるため、年収5,000万円層に適した制度です。
② NISA(新NISA)を活用して投資の運用益を非課税にする
NISAは、株式や投資信託の運用益が非課税となる制度です。通常、投資で得た利益の税率は約20%ですが、NISA口座を利用すれば非課税で運用できます。iDeCoとは異なり所得控除はありませんが、いつでも引き出し可能な柔軟性があります。2024年に始まった新NISAは、非課税枠が拡大されました。長期の資産形成と節税を両立しやすくなっています。
③ ふるさと納税では実負担2,000円で返礼品を受け取れる
ふるさと納税は、寄付額の2,000円を超えた分が税控除の対象です。上限は年収や家族構成、社会保険料などで変わります。一般的な目安として、独身または共働きの場合、約180万円前後になるケースが多いとされています。ただし、上限はあくまで目安です。正確な金額は、国や各自治体のシミュレーションサイトで確認してください。
また、ふるさと納税の返礼品は一時所得に該当します。返礼品の金額などによっては、税負担が増える恐れがあるため注意しましょう。
参考:「ふるさと納税」を支出した者が地方公共団体から謝礼を受けた場合の課税関係|国税庁
④ 生命保険料控除で将来に備えながら所得控除を受ける
生命保険や介護医療保険、個人年金保険に加入している場合、支払った保険料の一部を所得から控除できる生命保険料控除が適用されます。所得税と住民税の負担を軽くできる点が大きなメリットです。
ただし、控除額には上限があります。一般生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料のそれぞれで控除枠が設けられており、合計で最大12万円の所得控除が可能です。
⑤ 医療費控除で年間の医療費負担を軽減する
医療費控除は、支払った医療費が一定額を超えた際に、その超過分を所得から控除できる制度です。本人だけでなく、生計を同一にする配偶者や親族のために支払った医療費も対象になります。
対象となる医療費は、病院での治療費や薬代のほか、通院のための交通費、人間ドックの費用(異常が見つかった場合)なども含まれます。条件を満たせば、確定申告により医療費控除を受けられ、課税所得を減らすことが可能です。
【より大きな効果を狙う】年収5,000万円向けの積極的な節税スキーム3選

年収5,000万円クラスになると、一般的な控除制度だけでは節税効果に限界があります。より大きな税負担を抑えるには、「所得の構造そのものを変える」視点が不可欠です。
ここでは、一定のリスクや管理負担を伴うものの、成功すれば大幅な節税につながる手法を紹介します。重要なのは、単に税金を減らすことではなく、「キャッシュフロー・リスク・将来性」を踏まえた戦略として設計する点です。
① 不動産投資で減価償却費を利用し所得を圧縮する
不動産投資は、節税効果を見込める有力な手法です。なかでも「減価償却費」の活用が鍵となります。建物は使用年数に応じて価値が減少するため、その分を減価償却費として経費計上が可能です。
ただし、節税目的での不動産投資については、税法上、損益通算が制限される場合があります。例えば、国外に所在する中古建物については、一定の場合に減価償却費の計上が制限され、不動産所得の赤字を給与所得などと損益通算できない制度が設けられています(租税特別措置法第41条の4)。税務上の扱いは物件の条件により変わります。
投資前に税理士へ相談し、適用可否を確認しましょう。
参考:第41条の4((不動産所得に係る損益通算の特例))関係|国税庁
② 個人事業主として開業し必要経費を計上する
会社員としての給与所得を得ながら、副業などで個人事業主として開業する方法も有効です。個人事業主になると、事業活動に関連する様々な支出を「必要経費」として計上できます。
例えば、パソコンの購入費用、打ち合わせの飲食代、自宅の一部を事務所として使っている場合の家賃や光熱費などです。経費を差し引いて事業所得が赤字になった場合は、給与所得と損益通算して課税所得を減らせます。
ただし、損益通算できるのは事業所得です。副業は一般的に雑所得に該当しますが、雑所得の赤字は給与所得と相殺できないため注意しましょう。
③ 太陽光発電投資で売電収入を得ながら損益通算を活用する
太陽光発電投資では、発電設備の減価償却費を経費にできますが、個人が行う場合は事業所得と認められた場合のみ損益通算が可能です。小規模設備や副業的運用は対象外の場合があります。制度の要件と認定条件を確認して検討しましょう。
年収5,000万円の人が節税を行う際に知っておくべき3つの注意点
節税を行う際は、効果だけでなく注意点も理解しましょう。節税が目的化すると、本来の資産形成から逸れる危険があります。さらに、方法を誤れば脱税とみなされる可能性もあります。ここでは、年収5,000万円の方が節税に取り組むうえで、事前に確認しておくべき3つの注意点を解説します。
節税のために不要な支出を増やしていないか確認する
節税の基本は、経費計上や所得控除によって課税所得を減らすことです。本来必要のない支出を増やしてしまっては意味がありません。節税目的で高額な保険契約や収益性の低い不動産を購入するのは避けるべきです。税金が減っても手元資金は減少します。節税は手元資金を増やすための手段のため、目的化しないよう注意しましょう。
脱税と判断されないよう正しい知識を身につける
節税と脱税は明確に異なります。節税は法律の範囲内で認められた方法を用いて税負担を軽減することです。しかし、脱税は意図的に所得を隠したり、架空の経費を計上したりする違法行為です。
節税と脱税の境界は、専門家でなければ判断が難しい場合があります。特に、個人事業の経費計上や損益通算などを行う際には、どこまでが正当な経費として認められるのか、正しい知識を身につける必要があります。不安な場合は、税理士などの専門家に相談し、適切なアドバイスを受けることが重要です。
付随する事務手続きの手間を考慮する
不動産投資や副業をする場合、年間の収支などを計算する必要があります。確定申告には、必要書類の収集や帳簿の作成など、相応の事務的な手間と時間がかかります。
確定申告の負担が大きい場合は、税理士へ依頼するのも一案です。節税効果だけでなく、申請にかかる時間や費用も考慮して判断しましょう。
まとめ
年収5,000万円層は累進課税により重い税負担を負います。税率が高いため、節税の効果は他の年収層より大きくなります。iDeCoやNISAといった基本的な制度から、不動産投資や個人事業主の開業といった積極的なスキームまで、所得状況やリスク許容度を踏まえ、税理士などの専門家と相談しながら進めることが重要です。






