公認会計士へ業務を依頼する際は、必要な費用を把握することが重要です。監査や税務など、業務内容ごとに報酬は異なります。会計監査では中小法人で400万円台、税務の顧問契約では月額5万~30万円、決算申告のみでは15万~50万円が一般的な相場です。本記事では、業務ごとの報酬相場や変動要因を整理し、適正な費用で依頼するポイントを解説します。
目次
公認会計士にはどのような業務を依頼できる?

公認会計士が提供する主な業務は、監査証明業務、税務業務、コンサルティング業務の3種類です。
| 業務 | 内容 |
| 監査証明業務 | 財務諸表が適正に作成されているかを確認する |
| 税務業務 | 法人税・消費税の申告書作成や税務調査対応、節税の助言を行う |
| コンサルティング業務 | 経営課題の整理やIPO準備、資金繰り改善などを支援する |
独占業務である「監査証明業務」
監査証明は、財務諸表が会計基準に沿って作成されているかを検証し、公認会計士が意見を示す業務です。大会社や上場企業、一定規模の非営利法人は、法律で監査が義務付けられています。
専門的な判断と工数が必要なため、監査報酬は高めに設定されます。
専門知識を活かした「税務業務」
公認会計士は税理士登録を行うことで、税理士と同様の税務業務を提供できます。主な業務は、法人税・消費税の申告書作成、税務調査への立会い、節税の提案です。継続的な支援を求める場合は税務顧問契約を結び、月額顧問料を支払う形式が一般的です。
顧問料は企業規模、取引量、相談頻度によって変動します。
経営をサポートする「コンサルティング業務」
公認会計士は、会計と経営の知識を活かしたコンサルティング業務も提供します。主な内容は、M&A(企業の合併・買収)の財務調査、企業価値評価、事業再生、IPO(新規株式公開)準備などです。
報酬は業務内容や規模に応じて個別に決まります。継続的な支援を希望する場合は、月額顧問料で契約することがあります。
【業務別】公認会計士の報酬相場の目安

公認会計士への報酬は、依頼する業務によって大きく変わります。ここでは「会計監査」「顧問契約」「決算申告」の一般的な相場を紹介します。
会計監査を依頼する場合の費用相場
会計監査の費用は企業規模に左右されます。会社法監査の対象となる中小法人では、平均報酬は400万円台が目安です。依頼先や業務量によっては200万〜500万円程度になることもあります。
売上高が100億円を超える企業では、監査に必要な工数が増えるため、1,000万円以上が目安です。
顧問契約を結ぶ場合の月額顧問料の相場
公認会計士(税理士登録済み)の税務顧問契約における月額顧問料は、企業規模や依頼内容によって変動します。一般的な相場は5万〜30万円です。
小規模法人で月1回の面談と基本的な税務相談が中心の場合は5万〜10万円が目安です。経営会議への参加や資金繰り管理、事業計画支援などを依頼する場合は、20万円以上となることがあります。
決算申告のみを依頼する場合の費用相場
年に一度の決算業務と法人税申告書などの作成のみを依頼するスポット契約では、報酬は年間売上高などに応じて設定されます。相場は15万〜50万円で、売上1,000万円未満の法人では15万円前後、5,000万円〜1億円規模では30万円以上となることが多いです。
なお、決算業務と申告書作成は税理士業務に該当するため、公認会計士へ依頼する場合は税理士登録済みであることが前提です。
公認会計士の報酬額は何で決まる?変動する5つの要因
公認会計士の報酬は一律ではなく、企業の状況や依頼内容によって変動します。ここでは、報酬額を左右する5つの要因と、それぞれの影響について解説します。
会社の売上規模や従業員数
公認会計士の報酬は、会社の売上規模や従業員数が大きいほど高くなる傾向があります。売上が増えると取引件数が多くなり、会計処理が複雑になるためです。確認する資料も増え、作業時間も長くなります。
訪問頻度や面談の回数
訪問頻度や面談回数が多いほど、公認会計士の報酬は高くなります。毎月訪問して試算表のレビューや経営相談を行う場合、四半期に1回の訪問よりも拘束時間が長くなるためです。
対面面談には移動時間も発生するため、この負担が料金に反映されます。オンライン面談は増えていますが、対面で詳細な相談を希望する場合は追加費用が生じることがあります。
依頼する業務内容の範囲
税務顧問に加えて、事業計画書の作成支援、M&Aの財務調査、株価算定などを依頼すると、それぞれ追加料金が必要です。監査業務でも、法定監査に加えて内部統制評価や任意監査を依頼する場合は作業量が増えます。
契約前に、依頼範囲と自社で対応する範囲を明確にしておきましょう。
会計ソフトへの入力代行(記帳代行)の有無
記帳代行の有無も、公認会計士の報酬を左右する大きな要素です。自社で会計ソフトへの入力を行う場合、公認会計士はデータチェックに集中できるため料金を抑えられます。一方、日々の仕訳入力まで依頼すると、取引件数に応じて作業費が加算される仕組みです。
月額相場は1万円〜5万円程度で、取引量が多い場合や領収書整理から依頼する場合はさらに高くなります。
業種の専門性や取引の複雑さ
業種の専門性が高いほど、公認会計士の報酬は高く設定される傾向があります。医療法人や社会福祉法人、建設業、IT関連企業などは、特殊な会計基準や業界特有の処理が必要なためです。対応できる専門家が少ない点も、報酬に影響します。
また、海外子会社との取引が多い企業や金融商品の取引がある企業などは、会計処理やリスク分析に多くの時間が必要で、料金が上がりやすくなります。
公認会計士の報酬を適正価格に抑えるためのポイント
公認会計士との契約は、重要な経営判断の一つです。一方で、報酬はできる限り適正な水準に抑えたいと感じる経営者も多いでしょう。公認会計士の報酬を抑えるには、事前の準備と事務所の比較検討が欠かせません。
ここでは、費用対効果の高いサービスを受けるための4つのポイントを解説します。
複数の会計事務所から見積もりを取得して比較する
監査費用は法定業務であるため、大幅な値引きは期待できません。一方、税務業務やコンサルティング業務は事務所ごとに料金体系が異なるため、複数社から見積もりを取得すると適正価格を判断しやすくなります。
見積もり依頼時には作業範囲を明確にし、契約内容を文書で確認することが重要です。自社で対応できる経理作業を内製化すれば、外部委託範囲が減り報酬を抑えられます。
依頼したい業務範囲を事前に明確化しておく
報酬を適正にするには、依頼する業務範囲を事前に明確にしておくことが重要です。業務範囲があいまいなままでは、想定外の追加料金が発生しやすくなります。
まず、自社が公認会計士に求める役割を整理しましょう。例えば、「月次決算のレビュー」「税務相談」「資金繰りアドバイス」「年末調整」などです。
必要な業務をリスト化すれば、見積もりの前提が明確になり、双方の認識のずれを防げます。
契約内容は書面で詳細に確認する
トラブルを防ぐには、契約内容を必ず書面で確認することが重要です。契約書を交わさず業務を開始すると、後で「聞いていた内容と違う」と感じる場面が生じやすくなります。
業務委託契約書には、サービス内容、報酬額、支払方法、契約期間、中途解約時の取扱いなどを明記してもらいましょう。特に、契約範囲外の業務を追加依頼した場合の料金は事前に確認しておくと安心です。
疑問点は契約前に質問し、合意した内容をすべて書面に残すことで、長期的な関係を築きやすくなります。
自社で対応できる経理業務は内製化する
公認会計士への報酬を抑える方法として、自社で対応可能な経理業務を内製化することが効果的です。
領収書や請求書の整理、会計ソフトへの入力などの記帳業務は、社内担当者を配置したり、他の従業員が兼務したりすれば対応できます。内製化により、記帳代行費用を削減可能です。
日々の経理処理を社内で行えば、公認会計士は月次決算のチェックや経営分析、税務判断などの専門業務に集中でき、費用対効果の高い契約につながります。
まとめ
公認会計士の報酬は、監査、税務、コンサルティングなどの業務内容や、企業規模、従業員数、訪問頻度によって決まります。会計監査では年間数百万円、顧問契約では月額数万円が目安ですが、最終的な金額は個別の事情で変わります。
適正な価格で質の高いサービスを受けるには、依頼したい業務範囲を明確にし、複数の会計事務所から見積もりを取って比較検討しましょう。契約時には業務範囲や報酬条件を契約書に明記し、内容を確認することが欠かせません。
さらに、自社の成長段階や経営課題に合わせて定期的に契約内容を見直すことも重要です。報酬の仕組みを理解し、段階的に見直すことで、心強いパートナーを見つけやすくなるでしょう。
公認会計士の報酬や依頼内容について不明点や不安がある方は、専門家に相談するのも一つの方法です。自社に合った支援内容や費用感を知りたい方は、小谷野税理士法人へぜひお気軽にご相談ください。








