共同経営で美容院を開業し成功を目指すなら、事前の準備や対策が求められます。美容院を共同経営することはメリットも多々ありますが、さまざまなトラブルや問題も起こり得るからです。美容院の安定した共同経営のために、押さえておきたい点がいくつかあります。この記事では、共同経営で美容院を開業するメリット、デメリット、開業前の準備、成功させるためのポイントまで解説します。
目次
美容院の共同経営で選べる4つの経営形態

美容院の共同経営とは2人以上の人が美容院経営に携わることで、その経営形態はさまざまです。一般的なのは、同等の経験やスキルを持つ美容師が複数集まった経営形態でしょう。他にも、例えば美容師と店舗や企業の経営に携わった経験がある人が共同経営するなど、お互いの得意分野を活かした経営も可能です。
美容院の共同経営をする際には、さまざまな経営形態があるため自分たちに合った経営形態を選ぶことが大切です。次に、美容院の共同経営における一般的な経営形態について紹介します。
- 双方がそれぞれ個人事業主として同じ金額を資金提供して共同経営に関与する
- 一方がオーナーとして出資を行い、もう一方が現場の運営や技術提供を担う
- 1人が個人事業主として事業を立ち上げ、もう1人が従業員という形で運営に参加する
- 法人を設立する
経営形態によって、責任の所在や意思決定に対する影響の度合いが異なります。事前に共同経営者と十分に話し合いをして、妥当な経営形態を決めることが大切です。
美容院を共同経営するメリット
美容院を共同経営することで、さまざまなメリットが期待できます。ここでは、主なメリットについて詳しく紹介します。
開業資金の負担を軽減できる
美容院を開業するには相当の資金が必要ですが、共同経営により経営者それぞれの資金負担を少なくできます。
美容院の開業時には主に下記の項目について出費が必要で、開業時にかかる費用総額の相場は1,000~2,000万円といわれています。
| 費用の内訳 | 費用相場 |
|---|---|
| 店舗物件の賃貸契約 | 家賃(約10~20万円)の4~6カ月分 |
| 内装 | 約500万円 |
| 施術に必要な器具や設備 | 約200万円 |
| 運転資金 | 約400万円 |
開業当初は売上が伸びないことが多いため、資金繰りが悪化しないように運転資金を準備することが重要です。補助金や助成金などを利用しても相当の出費を伴うことから、資金を理由に開業を躊躇するケースもあります。共同経営で経営者1人あたりの経済的な負担を軽減できれば、単独経営よりも開業しやすくなるでしょう。
お互いの得意分野を活かせる
美容院の経営を成功させるにはさまざまなスキルが必要ですが、共同経営によりそれぞれの得意分野を活かせるため、効果的な経営が期待できます。例えば、次のような業務スキルを活かせると安定した経営に役立ちます。
- 施術に必要な技術
- 指導力
- コミュニケーションスキル
- 資金繰りの管理
- 取引先との交渉
- 広告宣伝のスキル
安定した経営に役立つすべてのスキルを備えた美容師を探すのは簡単ではありません。共同経営ならそれぞれのスキルや役割を業務に活かして、お互いに足りない部分を補い合えます。単独では難しかった業務も、得意な人に任せることで安定した経営につながります。
単独経営よりもチャンスが広がる
共同経営により、ビジネスチャンスが広がります。資金やスキル、労働力などにおいて、単独での経営では限りがあるからです。
例えば、比較的規模の大きな美容院を開業したい、好立地な場所で営業したいといった希望がある場合、資金面や人材面で開業を断念する可能性が高まります。
共同経営で人材や資金、スキルなど、自身の目指す経営に必要な要件を確保できれば、理想の美容院を開業に向けて準備を進められるでしょう。
人材不足の解消や集客力アップが期待できる
共同経営は、人材不足を補うだけでなく集客力強化にも効果的です。単独で美容院を開業し、新たに人材を募集しても、求める人材が応募してくるとは限りません。また、雇えたとしても短期間で辞める可能性も考えられます。
共同経営者は、基本的に同じ気持ちや志を持っているため、よほどのことがない限り辞めないでしょう。さらに、開業前に勤務していた美容院でついたそれぞれのリピーターが、開業後もお客様として来店してくれる可能性が高く、集客率アップにもつながります。
美容院を共同経営するデメリット

美容院の共同経営ではトラブルや問題の発生も起こり得ます。ここでは、共同経営のデメリットについて詳しく紹介します。
意思決定に時間がかかる
同じ志や目標をもって開業しても共同経営者との間で意見が割れると、スムーズな意思決定が困難です。
例えば、経営が軌道に乗ってきた段階で経営者の1人が新たな店舗展開を提案した場合、他の経営者が難色を示すかもしれません。共同経営者がいる限り、自分だけの意見やアイデアを押し通すことはできないのです。
意見が食い違う場合は、他の共同経営者を納得させる丁寧な説明が欠かせません。そのため、単独での開業よりも意思決定に時間がかかり、理想とする美容院経営が難しくなります。
利益配分でトラブルが起こる
共同経営を始める際に利益配分について決めているはずですが、経営者同士の利益配分で揉める可能性があります。
美容院の共同経営の場合、報酬の配分率を決める際に担当の客数、仕事量、責任の重さなどを考慮しているはずです。しかし、実際に仕事を始めてみると予想した通りに業務や経営が進むとは限らず、自身の報酬に対して不公平を感じる要因になり得ます。
報酬への不満は共同経営者同士の関係性や信頼性の悪化を招く要因となるため、事前に十分な話し合いをするのはもちろん、必要に応じて利益配分率の修正を検討しましょう。
美容院を共同経営する前にやっておきたい準備
共同経営で美容院の開業をすることを検討しているなら、共同経営者選びから事前のルール決めなどの準備を適切に進めることです。円滑な開業とトラブル予防のためにも、共同経営前にやっておきたいことを紹介します。
事業目的や経営方針を決める
共同経営者が決まったら、事業目的や経営方針、経営戦略を明確にします。経営方針や事業目的が明らかになることで、経営者それぞれの役割を決めやすくなるからです。
また、事業開始後に事業プランや経営戦略が変わることもあり得ます。事業や経営に関する軌道修正が発生したときも、経営方針に決まっていれば、適切な判断ができるでしょう。
適切な経営形態を選ぶ
適切な経営形態を決めることも大切です。経営形態には複数あり、それぞれメリット、デメリットがあるためそれぞれの状況にふさわしい経営形態を選ぶことが、共同経営の成功につながるからです。
例えば、共同経営者全員が対等の立場を保ちたいなら、法人の設立を検討しましょう。それぞれが個人事業主として美容院を共同経営することも選択肢の一つです。全員の立場が対等であるものの、売上や経費を均等に配分するのが難しいです。
他にも、個人事業主を代表として、それ以外の人を下請けや従業員にするという方法もありますが、対等な立場を保てません。法人を設立するには費用も手間もかかりますが、共同経営者が対等な立場を保ちたいときは、最適な経営形態だと言えます。法人の設立を考えているなら、専門家への相談や手続きの依頼を検討してみましょう。
専門家は、第三者の立場から法人化が妥当であるかアドバイスしてくれます。また、慣れない作業で手間や労力を取られると、美容院の開店準備に支障が出る可能性が高いからです。
さらに、手続きには専門知識が必要なケースが多く、誤った認識で手続きを進めると後にトラブルを招くリスクがあるため専門家に任せた方が安心です。
出資比率について相談する
開業資金を共同経営者同士で出し合う、金融機関からの融資を受ける場合はそれぞれの出資比率を決めましょう。一般的に出資比率が高い人ほど、経営に対して強い意思決定権を持ちます。経営への影響も考慮し、それぞれが適切な出資比率を決めることが重要でしょう。
共同経営で金融機関から融資を受ける際には、経営者1人が代表して資金を借りるため代表となる人が必要です。
借入金の返済は共同経営者同士で負担しますが、実際に金融機関から資金を借りる人の負担や社会的責任は重いです。金融機関から融資を受ける人が決まったら、その他の経営者は連帯保証人になるなどして、特定の人にだけ負担がかからないように配慮しましょう。
利益配分を決める
利益については役割分担や責任の重さで決めるのが適しています。経営者全員で平等に配分するという方法もありますが、経営者同士の間で不信感を抱く要因となり得ます。それは、顧客の数や技術力などによって売上への貢献度が変わってくるからです。
例えば、担当した顧客の数、業務内容などに応じて利益配分を変えるなど、経営者それぞれが納得する配分を考えましょう。また、実際に業務をスタートしてから、売上への貢献度や業務に対する責任の重さが変わることがあります。お金のトラブルは円満な経営の妨げとなるため、適宜利益配分率を変更するなど柔軟な対応を心がけましょう。
美容院の共同経営を成功させるためのポイント

共同経営で美容院を経営するなら、経営を成功させたいと願うでしょう。ここでは、美容院の共同経営を成功に導くために注意しておきたいポイントを説明します。
信頼できる相手を共同経営者に選ぶ
共同経営において最も重要になるのが共同経営者との信頼関係であるため、パートナーは慎重に選びましょう。
職場の人間関係は業務効率や経営に多大な影響を与えるからです。そこで、共同経営者を決めるときは次の点を重視しましょう。
- 志や想いが同じである
- それぞれの技術を活かせる
- 互いの足りない部分を補い合える
共同経営者を信頼できていないと、報酬の配分や責任の所在などでトラブルが発生するリスクが高いです。また、同じ志や目標を持っている相手でなければ、店舗づくりや経営方針などで意見の相違が起こりやすいです。
信頼関係を持続できなければ、経営自体を続けることが難しくなるでしょう。共同経営で起業する場合、相当の資金や労力、責任を伴うため、簡単に共同経営を解消できません。だからこそ、信頼のおける相手を共同経営者として選ぶことが大切です。
すべてにおいて対等を意識しない
共同経営だからといって、すべての面において対等でなければいけないわけではありません。何もかも対等にしようとした場合、トラブルや不信感の原因となるからです。
例えば、開業する際に用意する出資金についても、共同経営者同士が平等に負担する必要はありません。経営者それぞれが同額を出資して共同経営をする、共同経営者の1人が単独で出資をして事業を進めるなど、ケースによって適切な経営形態が異なるからです。
また、報酬に関しても平等にしようとすると不公平や不信感を抱く原因となり得ます。業務量や顧客の数、責任の重さが異なることから、貢献度に合わせて決めるのが現実的です。
ルールを決めて明文化する
美容院の共同経営において、次のようなルールを決めて明文化しておくことが円滑な経営とトラブル防止に役立ちます。
- 出資金提供の割合
- 収益の配分方法
- 役職や担当業務
- 意見の相違が起こった場合の対処法
- 離脱や廃業時の対処法
経営がうまくいかなくなったとき、経営者同士の間で意見の合わなかったときなど、離脱や廃業の可能性が出てくるでしょう。予測できる事態においても事前に詳しく決めておくことで、トラブルや問題に発展するのを防げます。
また、ルールが決まったら共同経営契約書を作成し、決定事項を内容に盛り込みます。事業の進捗や状況変化に伴い、共同経営契約書の内容を定期的に見直しましょう。
定期的にコミュニケーションをとる
経営者同士で業務の進捗状況や課題などを定期的に話し合う場を設けましょう。実際に業務を始めてみて気づくこと、問題点や改善点などが出てくるはずです。また、美容院経営を続ける過程において、さまざまな要因によって経営方針や戦略を変更する場面が出てきます。
経営者同士の間でしっかりと意思疎通ができていれば、問題点やトラブルの速やかな解決に結び付きます。経営方針や戦略の変更が必要となったときも早めに新たな戦略を考えられるため、売上の大幅ダウンや経営者同士の衝突を防げるでしょう。
経理や確定申告は専門家に頼る
美容院経営の際にはお金や税金の管理も自分たちで行いますが、専門家に依頼することで本業に集中できる環境をつくり、正確な申告も実現できます。
経理業務や確定申告の際には、専門的な知識を求められることが多々あります。誤った認識で業務を進めると、適切に確定申告ができずペナルティを受けるリスクが高いです。
経理業務や確定申告に時間を取られ、本業に支障が出て売上が落ちることは避けたいでしょう。経理や税務を専門家に依頼することにより、時間と手間の節約と正確な申告を実現できます。
美容院の共同経営はルールづくりが大切
美容院の共同経営を成功させるには、事前に出資割合や利益の配分比率、責任の所在などのルールを明確にしておくことです。ただし、ルールは状況の変化に応じて適宜変更することが円滑な経営に結び付きます。
共同経営で美容院を開業する際に必要な準備、成功のためのコツを理解しておくことは安定した経営に役立ちます。また、必要に応じて専門家のサポートを借りることも大切です。








