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超過累進課税と単純累進課税の違いとは?税率や計算方法も解説

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超過累進課税と単純累進課税の違いとは?税率や計算方法も解説

税金の一部には、所得や財産が多い人ほど税率が高くなる「累進課税」という仕組みが採用されています。累進課税には、「超過累進課税」と「単純累進課税」の2つの方式があり、このうち日本で実際に採用されている計算方式は「超過累進課税」です。本記事では、2種類の累進課税の違いをはじめ、実際の税率や計算方法、なぜ超過累進課税を採用しているのかについて、詳しく解説します。

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累進課税とは

税金

累進課税とは、課税対象額が多いほど、より多くの税率がかかる課税方式のことです。累進課税には、大きく分けて以下の2種類があります。

  • 超過累進課税
  • 単純累進課税

それぞれの方式について確認していきましょう。

超過累進課税とは

超過累進課税とは、所得などの課税対象となる金額が一定額を超えた場合に、その超えた部分に対してのみ一定の税率が適用される課税方式です。日本では、以下の3つの税金に対して、この超過累進課税が採用されています。

  • 所得税
  • 相続税
  • 贈与税

超過累進課税の仕組みとしては、以下の通りです。

  • 課税対象となる所得や財産によって、計算される税率が区分ごとに決められている
  • 課税対象額が増えるにつれて、税率が段階的に引き上がる
  • 一定額を超過した部分にのみ、該当する税率でそれぞれ計算される
  • 既に低い税率が適用されている部分の税率には変動がない

例えば、課税対象となる金額が区分を超え、1ランク高い税率に該当したとしても、超えた部分の金額のみに高い税率が適用されます。

そのため、徴収される税金が大幅に変わることはありません。このようにして、個人が税負担できる能力である担税力に合わせた納税額を決定できる仕組みが超過累進課税です。

単純累進課税とは

単純累進課税とは、課税対象となる金額が一定額を超えた場合に、その金額全体に対して高い税率が適用される課税方式です。課税所得が該当する区分の税率が、すべての課税所得に対してかけられます。

例えば、課税対象となる所得を300万円として計算してみましょう。税率の区分が200万円を超えると税率が15%になるとした場合、課税所得が200万円を超えているため、すべての課税所得が15%で計算されます。つまり、300万円全体に15%の税率がかけられて徴収される仕組みです。

この方式は、課税額が少し増えただけでも、税負担が大きく増加してしまう可能性があります。日本において、単純累進課税では税の負担額が大きくなりすぎることや、公平性を保ちにくい恐れがあるといった考えから、この計算方式は採用されていません。

超過累進課税と単純累進課税の違い

超過累進課税と単純累進課税との大きな違いは、課税対象額が増えた場合に、どの部分に高い税率が適用されるかという点です。

課税対象となる金額が一定額を超えている場合、税率の適用箇所が以下のように変わります。

  • 超過累進課税:一定額を超えた金額部分のみが高い税率の対象
  • 単純累進課税:課税対象金額の全額が高い税率の対象

例えば、課税対象所得が300万円であったとします。200万円までの区分が10%、300万円からの区分が15%とした場合、概算すると以下の通りです。

  • 超過累進課税:200万円×10%+100万円×15%=35万円
  • 単純累進課税:300万円×15%=45万円

区分ごとの税率が同じ場合、単純累進課税の方が課税対象金額が大きくなるため、超過累進課税よりも納税額が高額となる可能性があります。

また、単純累進課税は多少の金額の違いで税負担が大きくなりすぎるため、日本では負担の少ない超過累進課税を取り入れています。

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超過累進課税が採用されている税金の種類

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超過累進課税の対象となる税金は、以下の3つの国税に対して採用されています。

  • 所得税
  • 相続税
  • 贈与税

いずれの税金も、納税者の資産力に関わるものです。それぞれの経済力や取得した財産額に応じて公平な税負担を求めるという考え方に基づき、超過累進課税が採用されています。以下では、超過累進課税に該当する3つの税金について、詳しく解説します。

所得税とは

所得税とは、個人の1年間の所得に対して課される税金です。対象となる所得は毎年1月1日から12月31日までの1年間のすべての所得です。ここで言う「すべての所得」は、以下の10種類に分けられています。

【10種類の所得】

  • 給与所得
  • 事業所得
  • 退職所得
  • 利子所得
  • 配当所得
  • 譲渡所得
  • 不動産所得
  • 山林所得
  • 一時所得
  • 雑所得

収入の合計から、必要経費や各種控除を差し引いた金額が「課税所得金額」に当たります。そして、この「課税所得金額」に対して、超過累進課税の税率が適用される仕組みです。税率は以下の表の通りですが、あくまで速算表となるため、目安として計算してください。

課税される所得金額

税率

控除額

1,000円~194万9,000円

5%

0円

195万円~329万9,000円

10%

9万7,500円

330万円~694万9,000円

20%

42万7,500円

695万円~ 899万9,000円

23%

63万6,000円

900万円~1,799万9,000円

33%

153万6,000円

1,800万円~3,999万9,000円

40%

279万6,000円

4,000万円 以上

45%

479万6,000円

平成25年~令和19年の各年分の確定申告においては、所得税と復興特別所得税(原則としてその年分の基準所得税額の2.1パーセント)を併せて申告・納付します。

例として、一年間の所得税が700万円のケースで税額を計算してみましょう。

【計算例】

700万円×23%-63万6,000円=97万4,000円

所得税の税額は97万4,000円となりました。このように、所得が多いほど高い税率が課され、税負担が増加する仕組みであることから、個人の所得に合わせて課税額を算出する必要があります。日本では、この超過累進課税方式によって所得税額が計算されています。

参考:No.2260 所得税の税率|国税庁

相続税とは

相続税とは、亡くなった人から財産を相続したときに課される税金です。相続した財産の価額から基礎控除額などを差し引いた金額に対して、超過累進課税の税率が適用されます。

税率は10%~55%の8段階に分けられています。税率は以下の表の通りです。ただし、以下の表は速算表となるため、あくまで目安として計算してください。

法定相続分に応ずる取得金額

税率

控除額

1,000万円以下

10%

0円

1,000万円超~3,000万円以下

15%

50万円

3,000万円超~5,000万円以下

20%

200万円

5,000万円超~1億円以下

30%

700万円

1億円超~2億円以下

40%

1,700万円

2億円超~3億円以下

45%

2,700万円

3億円超~6億円以下

50%

4,200万円

6億円超

55%

7,200万円

速算表で計算した法定相続人ごとの税額を合計したものが相続税の総額です。法定相続分に応ずる取得金額を相続税の速算表に当てはめて算出します。法定相続人の人数や、故人との関係によっても算出額は異なりますので、ご注意ください。

相続財産についても、課税対象の財産が多いほど税率が高くなり、納める税額が増える累進課税の仕組みで、超過累進課税の考え方が用いられています。

参考:No.4155 相続税の税率|国税庁

贈与税とは

贈与税とは、1月1日から12月31日までの1年間において、個人から個人へ財産を贈与されたときに課される税金です。1年間で贈与を受けた財産の合計額から基礎控除額の110万円を差し引いた金額に、超過累進課税の税率が適用されます。贈与税には以下の2種類があり、それぞれ控除額が異なるため、どちらに該当するか確認する必要があります。

  • 一般贈与財産:特例贈与財産に該当しないもの
  • 特例贈与財産:贈与により財産を取得した者(贈与を受けた年の1月1日において18歳以上の者に限り)が、直系尊属(父母や祖父母など)から贈与により取得した財産に係る贈与税

実際に計算する際は、1年間で受け取った贈与財産が以下の3つのどのパターンに該当するかでも、算出される税額が変動します。

  1. 一般贈与財産のみ
  2. 特例贈与財産のみ
  3. 一般贈与財産と特例贈与財産のどちらも該当する場合

ここでは例として、一般贈与財産にあたる課税対象の財産を500万円贈与を受けた場合の税額を計算してみましょう。

【計算例】

500万円ー110万円=390万円

基礎控除後の課税価格は390万円となるため、税率は20%に該当し、控除額は25万円です。計算式に当てはめると、以下の通りです。

390万円×20%ー25万円=53万円

贈与税の税額は53万円となりました。贈与された財産の価額が多いほど控除額は上がります。ただ、ともに税率も上がるため、贈与税の計算においても超過累進課税の考えが採用されています。

参考:No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)|国税庁

超過累進課税の計算方法

超過累進課税の計算は、課税対象となる金額に対して、税率が異なるいくつかの段階的な区分に分け、該当する課税金額のみに区分の税率を乗じて計算します。超過累進課税の計算の流れは以下の手順で行います。

  1. 所得税・贈与税・相続税それぞれの課税対象額を計算する
  2. 各税金の課税対象額に当てはまる区分の税率を調べる
  3. 各区分に該当する金額部分のみにそれぞれの税率を乗じていき、区分ごとにわけて税額を計算する
  4. 控除がある場合は求めた税額から差し引く
  5. 求めた税額を合算することで全体の税額を算出

超過累進課税の税金額を正確に算出しようとすると、ケースによっては計算が複雑になるため困難です。そこで、計算を簡略化するために、多くの場合は先ほどご紹介した速算表を利用します。

速算表では、課税所得金額に応じた税率と控除額があらかじめ示されているため、すぐに計算できて便利です。ただし、速算表の利用はあくまで概算によるものであることから、住宅ローン控除などを反映した確実な納税額の把握はできません。

特例控除の対象に当てはまっていたケースなどもあるため、正確な税額を算出したい場合は、必ず専門家に相談しましょう。

税金についてのお困りごとやご相談は、ぜひ「小谷野税理士法人」までお気軽にお問い合わせください。

超過累進課税を採用されている背景

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超過累進課税は、所得や財産が多い人ほど高い税率を適用し、所得などが少ない人には低い税率で算出した納税額を納めてもらう仕組みです。日本では、この「超過累進課税」が採用されていますが、一体どのような考えのもとで採用されているのでしょうか。ここでは、超過累進課税を採用する背景について、大きく2つの考え方にわけてご紹介します。

公平性の向上

超過累進課税を導入している背景の1つ目として、公平性の向上が挙げられます。税負担する能力(担税力)に応じた納税額を設定することで、公平な税負担を実現する考えがあるのです。

所得が低い人にとっては税負担が軽くなり、所得が高い人にはより多くの税負担を求める仕組みです。個人の所得に応じた無理のない負担に抑え、公平性を期するものとしています。

また、所得が税率の境目をわずかに超えただけで税額が急増する単純累進課税とは異なり、細やかな所得の違いにも対応することで、納税額の不公平感を減らす効果もあります。

所得再分配効果

超過累進課税を導入する2つ目の背景としては、所得の再分配を行うことで、貧富の格差を緩和し、社会全体の経済的な平等を促進する役割を担っている点です。

超過累進課税によって、所得や財産が多い人からより多く集めた税金は政府や地方公共団体により、社会保障制度や公共サービスに充てられています。このようにして、所得や財産の少ない人への富の移転を促し、所得の再分配を行う役割を果たしています。

まとめ

超過累進課税は、所得や財産が多いほど税率が高くなる「累進課税」の一種です。日本では所得税、相続税、贈与税の3つの税金に対して採用されており、それぞれの課税対象額をもとに算出します。各課税対象額を段階的に区切り、超過した税率のみに高い税率区分を適用して税額を算出するのが超過累進課税です。

税金の計算時においては、基本的に速算表を用いて行われ、所得や財産の額に応じた税額を算出できます。ただし、場合によっては節税できるケースもあることから、正確な税額計算については専門的な知識を持った税理士などの専門家に相談しましょう。

税金についてのお困りごとやご相談は、ぜひ「小谷野税理士法人」までお気軽にお問い合わせください。

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この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
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