上場廃止になった株式をどう扱えば良いのか、疑問に感じている方は多いのではないでしょうか。このような損失は、正しい手続きを行うことで他の株式の譲渡益と通算でき、税負担を軽減できます。この記事では、制度の概要や必要書類、損失の計上手順を順を追って詳しく解説します。
目次
特定口座における株式の取り扱い

特定口座は、証券会社が税金計算を代行するため、申告手続きが簡単です。しかし、上場廃止株式の損益通算や損失繰越は、口座の管理方法によって取り扱いが異なります。具体的な取り扱い方法は以下の通りです。
特定管理口座に移して管理する
特定管理口座は、上場廃止となった株式を引き続き保有するための専用口座です。上場廃止後の株式は証券保管振替機構の管理対象外で、特定口座では保有できません。
この場合、非上場株式や倒産リスクのある銘柄を特定管理口座に移し管理します。移管された株式の価値が失われた際には「みなし譲渡損」として損失計上が可能です。
損失は、他の特定口座で発生した利益と損益通算でき、節税効果が期待できます。特定管理口座は、非上場株や無価値株式の損失処理において有効な制度です。
特定管理株式として扱う
特定管理株式として扱うには、上場廃止後に所定の手続きが必要です。保有していた株式が非上場となった時点で、特定管理口座への移管を行います。
上場廃止となる株式は、最終売買日の前営業日までに特定管理口座への移管と口座開設を完了しなければいけません。 移管後は、株式が無価値になったと証明できる書類があれば、損失の申告が可能です。証明書を提出することで、損失を他の譲渡益と損益通算できます。
証券会社によってはオンラインで手続きに対応していますが、オンライン非対応であったり、移管依頼が必要であったりする際には、書面での申請・依頼が必要です。手続きの詳細は証券会社からの案内に従い、漏れのないように進めましょう。
上場廃止銘柄の損失の扱い
上場廃止となった株式の損失は、税務上の処理が複雑です。特定管理口座と一般口座の違いや、損益通算の可否などを整理しながら詳しく解説します。
無価値であればみなし譲渡損として計上する
株式が無価値となる状況とは、清算結了や破産手続き開始などの事実が生じた場合です。
上場廃止銘柄も、価値が完全に失われた時点で「みなし譲渡損」として損失計上できます。
この処理には「価値喪失株式に係る証明書」の発行と確定申告時の添付が必要です。証明書は証券会社から発行され、非上場株を保管している特定管理口座が前提です。
証明書が発行されるためには、以下のような無価値と判断される条件のいずれかを満たす必要があります。
- 株式発行会社が破産手続開始決定を受けた場合
- 株式発行会社が民事再生手続・会社更生手続の廃止決定を受けた場合
- 株式発行会社が解散・清算結了を完了し、株主への分配が見込めない場合
- 債権者への弁済で資産が消失し、株式の経済的価値が失われたことが明らかな場合
これらの条件に該当した後、証券会社が内容を確認し、証明書の発行を行います。損失が認められれば、他の上場株式で得た譲渡益や配当所得と通算でき、通算しきれない損失については、3年間の繰越控除で節税効果を高められます。
上場廃止銘柄の損失を活用する
上場廃止株の損益通算には、期限や手続きなど押さえておくべき要点があります。要点をおさえて、税負担を減らし損失の有効活用を図りましょう。
【特定管理口座への移管】
上場廃止となる株式は、最終売買日の前営業日までに特定管理口座へ移管が必要です。移管が完了していないと、損失計上が認められず、損益通算の対象外です。
【証明書の取得】
損失を税務上で有効にするには、「価値喪失株式に係る証明書」の提出が必須です。証券会社が発行する証明書を確定申告に添付しなければ、損失控除は認められません。
【損益通算の範囲】
認められた損失は、他の上場株式の譲渡益や配当所得と損益通算できます。ただし、NISA口座での取引分は非課税扱いのため、通算対象外です。
【繰越控除の活用】
損益通算後に残った損失は、最大3年間の繰越控除として活用できます。繰越控除を適用するには、各年の確定申告を継続する必要があるため注意が必要です。
これらの要点を踏まえ、証券会社の案内に従って期限内に手続きを進めましょう。
損失の確定申告手続き

上場廃止株式の損失を確定申告する際の全体的な流れと、必要な手続きの詳細についてご説明します。この記事では、申告に必要な証明書類の準備方法や、損益通算・繰越控除の正しい手続き方法、注意点などを分かりやすく解説します。
特定口座での損失|確定申告方法
特定口座で保有していた株式が上場廃止となった場合、特定管理口座へ移管が完了していれば、譲渡損失としての申告が可能です。申告書には「譲渡所得等」欄に必要事項を記載し、「価値喪失株式に係る証明書」を添付します。
この証明書がなければ、損失の計上は認められません。また、申告期限を過ぎると損益通算ができないため、早めの準備が重要です。
確定申告に必要な書類
確定申告を円滑に進めるためには、必要書類の事前準備が大切です。書類の不備は申告ミスの原因となるため、事前確認を怠らないようにしましょう。
【源泉徴収票】
給与所得者に必須で、年間の収入や所得税額が記載されています。
【特定口座年間取引報告書】
株式の売買記録と損益が記載され、証券会社から発行される重要書類です。
【医療費の領収書・医療費通知書】
医療費控除を申請する際に必要で、支払金額の証明に使われます。
【住宅借入金等特別控除申告書・借入金残高証明書】
住宅ローン控除を適用する際に必要な書類です。
【損失繰越に関する書類】
前年の確定申告書控えや損失記録を用意することで、控除手続きがスムーズです。
【扶養控除・配偶者控除関連資料】
扶養親族のマイナンバーや所得証明など、条件に応じた資料を準備しましょう。
上場廃止株式の損益通算で注意すべきポイント

上場廃止株式の損益通算には、税制上の制限や口座の種類によって注意するポイントがあります。該当する制度を誤って適用すると、損失が認められない可能性があります。
NISA口座の損失
NISA口座で保有する株式は非課税対象であり、損益通算の対象外です。
外国株式の扱い
外国株式の損益通算の可否は、証券会社の取扱いや国際税制によって異なります。取引前に証券会社や税務署で確認しておきましょう。
合併による上場廃止
合併による上場廃止では、株式取得の扱いが変更され、損失が譲渡損として認められないケースがあります。関連資料を確認し、税務上の判断を明確にする必要があります。
申告期限の厳守
損益通算や繰越控除の適用には、確定申告期限内の申請が前提です。期限を過ぎると損失が無効になるため、計画的に準備を進めましょう。
制度が複雑で判断が難しい場合は、早めに税理士などの専門家に相談しましょう。
上場廃止の損益通算のまとめ
上場廃止株式による損失は、特定管理口座で適切に管理されていれば損益通算が可能です。証券会社からの「価値喪失株式に係る証明書」の発行によって、税負担を軽減できます。
一方で、NISA口座で保有する株式は損益通算の対象になりません。損失を活用するには、制度に則った書類準備と確定申告が欠かせません。
証明書の取得時期や書類内容に不備があると、損失の計上が認められない可能性もあります。損益通算を確実に行うためには、書類管理や申告期限の厳守が必要です。
判断が難しい場面では、税理士などの専門家への相談で正確な対応ができます。上場廃止株式の損失を申告し、節税に役立てましょう。









