フリーランスのエンジニアとして仕事をしていれば、経費で少しでも多く節税をしたいと考える方も多いでしょう。しかし、何でも経費として計上できるわけではなく、過度な経費の計上は税務調査の原因になる恐れがあります。そのため、適切に経費計上をしながら節税も行っていく必要があります。そこで、ここでは、フリーランスのエンジニアが経費で節税するためのおすすめの方法を解説します。
目次
フリーランスが知っておくべき経費の重要性

フリーランスのエンジニアに限ったことではありませんが、フリーランスとして仕事をするならば、一般的には確定申告を行わなければなりません。
そして、確定申告では経費がとても重要な役割を果たすことになります。まずは、フリーランスが知っておくべき経費の重要性について解説します。
経費が多いほど税金を減らせる
フリーランスは確定申告で1年間の所得を申告し、所得税を支払います。所得税の計算方法は通常、「(売上ー経費ー各種控除)×税率」です。つまり、経費が多ければ多いほど支払う所得税を抑えることができます。
ただし、どんなものでも経費として計上してもいいというわけではありません。経費として計上できるものは、事業の運営に必要な支出です。
事業の運営に関係のない経費は計上することができず、税務調査の際に説明を求められる可能性があります。
経費の割合に注意が必要
経費の計上額が大きくなるほど所得税を抑えられますが、経費の金額が高額になりすぎることには注意が必要です。
経費の計上が多すぎれば、脱税を疑われて税務調査の対象になるリスクがあります。個人事業主の場合、業種によって異なりますが、経費の割合は売上の5割~6割くらいまでが一般的とされています。
この割合を上回るようであれば、税務調査の対象になるリスクが高まるため、経費の見直しが必要でしょう。フリーランスは経費の計上があいまいになりがちですが、事業用と私用をしっかりと区別して経費を管理しましょう。
フリーランスのエンジニアが経費で節税するためのおすすめの方法

フリーランスのエンジニアが少しでも所得税を抑えるには、経費を適切に把握して計上することが大切です。ここからは、フリーランスのエンジニアが経費で節税するためのおすすめの方法を紹介します。
家賃や光熱費は按分計算を
フリーランスのエンジニアの場合、自宅を事務所兼用にしているケースも多いでしょう。この場合、家賃や水道代・電気代・ガス代などの光熱費は、按分計算して経費として計上することが可能です。
按分計算とは、割合に応じて金額を分けることを指します。つまり、家事や光熱費は事業で使用している分の割合を算出すれば、経費として計上できます。
例えば、フリーランスのエンジニアとして自宅を事務所兼用にしており、作業スペースが自宅の3割程度であれば家賃×0.3を地代家賃の勘定項目で計上できます。
事務所の面積で算出することが難しい場合は、作業時間で算出することも可能です。また、光熱費も家賃と同様に、事業での使用頻度に応じた按分計算を行い、経費として計上できます。按分計算については、下記の記事も参考にしてください。
通信費用も経費で計上できる
フリーランスのエンジニアは、仕事でインターネットやスマホを使用することも多いでしょう。インターネットの利用料やスマホの料金は、通信費として経費で計上することができます。
クラウドサービスやソフトウェアを利用する場合は、月額の利用料も経費として認められます。取引先などに書類を送付する場合の切手代も通信費です。
ただし、自宅が事務所兼用になっている場合、自宅のインターネット利用料も家賃などと同様に按分計算で算出しなければなりません。通信費用を含め、フリーランスのエンジニアが経費で計上できるものの詳細は下記の記事を参考にしてください。
経費に計上できる税金を把握する
税金の中には、租税公課という勘定科目で経費計上できるものがあります。
経費に計上できる税金は、以下の通りです。
- 不動産取得税
- 固定資産税
- 印紙税
- 個人事業税
- 自動車税
- 登録免許税
フリーランスのエンジニアで事務所を構えるために不動産を取得した場合や、持ち家を事務所兼用にしている場合は不動産取得税や固定資産税が経費として計上できます。
また、自動車を事業で使用する場合は自動車税が経費として計上できるでしょう。ただし、いずれも事業と使用を兼用している場合は、事業で使用している割合だけを按分計算しなければなりません。
少額減価償却資産の特例を活用する
事業で使用する備品は消耗品として計上しますが、10万円以上の備品などは固定資産として扱われます。固定資産は減価償却として計上することが一般的です。減価償却は、固定資産の購入費用を耐用年数で分割して経費計上します。
例えば、20万円のパソコンを仕事用に購入して耐用年数を5年とするのであれば、1年間で4万円を減価償却として計上することになります。しかし、青色申告の個人事業主や中小企業の場合、少額減価償却資産の特例を活用できます。
少額減価償却資産の特例は、10万円以上30万円未満の固定資産を取得した年に全額まとめて経費として計上できるという特例です。この特例を活用すれば、固定資産を取得した年の所得を圧縮できるため、節税につながります。
フリーランスのエンジニアとして仕事をしていれば、パソコンやモニターなど10万円以上30万円未満の固定資産が事業で必要になることもあるため、少額減価償却資産の特例を活用すると良いでしょう。ただし、この特例は年間300万円までという上限があるので注意が必要です。
短期前払費用の特例を活用する
事業を運営している中で前払いしているお金は、短期前払費用の特例により支払った事業年度に一括で費用計上することができます。例えば、エンジニアの事業で必要となるレンタルサーバーを年間の利用料として支払っており、12月決算ではあるものの11月から翌年10月までの利用料として支払っているとします。
この場合、本来であれば12月決算までの利用料と翌年の利用料を年度ごとに分けて経費計上しますが、短期前払費用の特例を活用すれば一括で支払った年の経費に計上することが可能です。ただし、短期前払費用の特例を利用するには、支払った日から1年以内にサービス提供を受けるものに限られます。
また、継続して利用することや、経営への影響が少ない金額であることなどの条件もあるため、利用前に条件をしっかり確認しておきましょう。短期前払費用の特例についての詳細は、下記の記事を参考にしてください。
経営セーフティ共済への加入
経営セーフティ共済とは、取引先が倒産した場合に連鎖倒産を回避するための共済制度です。取引先が倒産して売掛金の回収が困難になった場合でも、経営セーフティ共済へ加入していれば、掛け金の最大10倍(最大8,000万円)の貸付を受けることができます。
しかも、事業主が保証人になる必要はなく、無担保で借入れることができるため、フリーランスとして万が一に備えたい場合に適した制度といえるでしょう。
この経営セーフティ共済の掛金は経費に計上することができるため、節税効果を期待できます。経営セーフティ共済を利用するような状況が起こらなかった場合でも、40カ月以上加入して解約すれば掛金を満額返還してもらえるので安心です。
ただし、40カ月未満での解約は、掛金の100%が返還されないため注意が必要です。また、解約手当金を受け取った際には、解約手当金を雑収入として計上する必要があり、一時的な節税になるという点も理解しておかなければなりません。
経費以外でのおすすめ節税方法

フリーランスのエンジニアが経費で節税できる方法について解説しましたが、経費以外にも節税方法はあります。おすすめの節税方法を紹介するので、自分に合った節税方法を見つけてください。
所得控除できるものを把握する
所得控除できるものが多いほど課税所得は減るため、節税につながります。使える所得控除を把握して確定申告で漏れなく申告すれば、節税になるでしょう。
所得控除できるものには、以下のようなものが挙げられます。
- 基礎控除
- 扶養控除
- 配偶者控除
- 配偶者特別控除
- 勤労学生控除
- ひとり親、寡婦控除
- 障害者控除
- 寄付金控除
- 地震保険料控除
- 生命保険料控除
- 小規模企業共済等掛金控除
- 社会保険料控除
- 医療費控除
- 雑損控除
フリーランスのエンジニアで使える所得控除は、医療費控除や保険類の控除などが挙げられます。
また、家族の社会保険料を支払っている場合は、その分も控除することができます。
小規模企業共済を活用する
小規模企業共済とは、小規模企業の役員や個人事業主が退職や廃業した場合に、その後の生活や再建のための資金を積み立てしておくための制度です。小規模企業共済の掛金は所得控除できるため、節税につながります。
また、退職や廃業の際に受け取る共済金は、退職金や老齢給付として扱われるため、受け取り時も所得税の負担が軽減されます。掛金は月1,000円〜7万円までで、年間最大84万円まで所得控除することができます。
フリーランスのエンジニアとして老後の貯蓄を準備しておきたい場合は、節税しながら積み立てできるのでお得といえるでしょう。
青色申告をする
確定申告には白色申告と青色申告の2種類があり、青色申告は最大65万円の特別控除を受けられます。課税所得が65万円も控除されれば節税効果は大きいため、多くの個人事業主が利用しています。
青色申告の控除適用には10万円・55万円・65万円の3種類があり、条件ごとに控除額が異なります。最大65万円の控除を受けるには、複式簿記で電子申告や電子帳簿保存を行うなどの要件も満たさなければなりません。
複式簿記は複雑ではありますが、近年では会計ソフトで手軽に帳簿を作成することができます。こうした帳簿の作成の時間がないという場合には、税理士に依頼して確定申告することも選択肢のひとつです。
ふるさと納税をする
ふるさと納税は節税対策として近年では広く知れ渡っている方法といえるでしょう。ふるさと納税をすれば、寄付金控除として所得控除と住民税の一定額の控除を受けられます。
返礼品を受け取ることもできるため、節税効果以外の価値も得られます。会社員の場合はワンストップ特例制度によってふるさと納税を確定申告する必要はありませんが、確定申告が必要な個人事業主はワンストップ特例制度が利用できないため、忘れずに確定申告での申告が必要です。
iDeCoで年金の積み立てをする
iDeCo(確定拠出年金)は、60歳以降に受け取れる公的年金とは別に私的年金として積み立て運用する制度です。iDeCoの掛金は所得控除することができ、掛金は個人事業主の場合で月額最大6万8,000円です。つまり、年間で81万6,000円も所得控除を受けられます。
また、運用による利益は非課税になることや、受け取り時には退職所得の扱いになるなど、メリットは多いです。ただし、掛金を投資することで元本割れするリスクがあることや、60歳まで掛金は引き出せないという注意点があります。
経費などの節税方法は税理士に相談しましょう
フリーランスのエンジニアは適切に経費を計上していれば、節税できる部分も多いです。
しかし、フリーランスなので事業と私用の按分計算が難しいという場合や、そもそも確定申告の知識がないという場合もあるでしょう。そういった場合は、税理士に相談することで経費を含めて正しい節税を行うことができます。
小谷野税理士法人では、節税のアドバイスだけではなく、確定申告や会社設立などもワンステップで対応しています。経費を含めて節税をしっかり行いたいという場合は、お気軽に問い合わせフォームよりご相談ください。








