事業承継を進めるにあたり「誰に相談すべきか?」と悩む経営者の方も多いのではないでしょうか。顧問税理士に相談できるケースもありますが、税理士によって対応範囲や得意分野が異なるため、慎重な選定が大切です。この記事では、税理士に事業承継を依頼するメリット・デメリット、選び方や費用相場などについて解説します。
目次
税理士に事業承継を依頼できる?

事業承継は税理士に依頼するのがおすすめです。もちろん、すべての税理士に依頼できるとは限りませんが、事業承継に精通した税理士であれば幅広い相談ができます。
承継方法の相談から税金対策まで依頼が可能
税理士は、中小企業の経営者と日頃から財務面で接する機会が多く、税務処理だけでなく経営全般についても相談できる存在です。そのため、事業承継の局面でも、税理士が相談役となるケースは多くあります。
事業承継には複数の方法があり、企業の状況や後継者の意向によって取るべき選択が異なります。税理士に依頼すれば、それぞれの選択肢について具体的なアドバイスを受けられ、自社に最適な形で承継を実現しやすくなるでしょう。
また、事業承継では税務対策も避けては通れません。特に自社株の評価や相続税・贈与税の計算は慎重に行う必要があります。税理士はそれらの税金に関する手続きを代行するだけでなく、事業承継税制の活用や最適な納税方法など、経営者の負担を軽減する提案も行うのです。
ただし、税理士自身がM&Aや戦略立案することは少ない点には注意が必要です。税理士の業務範囲は主に税務面に限定されるため、事業承継全体の戦略立案や交渉支援を専門とする事業承継士やM&A仲介会社と協力するケースもあります。税理士はこれらの専門家と経営者をつなぐ橋渡しの役割を担いながら、税務の視点から事業承継を支えてくれる存在といえるでしょう。
参考:「事業承継のこと税理士に聞いてみてください」|日本税理士会連合会
事業承継に精通した税理士が適任
商工組合中央金庫の調査によると、中小企業の84.4%が顧問税理士や公認会計士に事業承継の相談をしています。

特に社内で完結する事業承継については、「税理士や会計士の対応で十分」と感じている企業が多い傾向にあることも分かりました。税理士は税務の専門家としてだけでなく、企業の成長や経営戦略をともに考えるパートナーのような存在ともいえるでしょう。
また、税理士の中には、事業承継士の資格を取得し、高い専門性を駆使して課題解決を図るケースもあります。事業承継士とは、税務に限らず、事業承継全養に関する専門知識を有する資格です。税理士資格とのダブルライセンスで、承継の相談から戦略策定まで幅広く対応できます。
近年では、税理士と金融機関が連携し、後継者育成のためのセミナーや相談会を開催する動きも活発になっています。例えば、名古屋市の税理士法人と地方銀行が提携し、次世代経営者向けの研修プログラムが開催されています。
すべての税理士に依頼できる訳ではない
事業承継は専門性の高い分野であり、すべての税理士が対応できるわけではありません。特に、資産税に強い税理士は限られており、相続税や贈与税の知識が不足している場合、適切なアドバイスを受けられない可能性があります。
事業承継では、自社株の評価や税負担の軽減策が重要となるため、これらの分野に精通した税理士を選びましょう。
また、事業承継税制は複雑であり、承継者が代表を辞任、または株式を売却したケースでは、猶予が打ち切られます。この場合、猶予されていた税額に利子税を加えて納付しなければならないリスクがあります。そのため、承継後のトラブルを避けるために、事業承継案件を敬遠する税理士も少なくありません。
事業承継を成功させるためには、経験豊富な税理士を慎重に選ぶことをおすすめします。
事業承継の種類別|税理士によるサポート内容
事業承継には3つの方法があり、どれを選ぶかによって税務の課題や資金調達の方法が異なります。ここでは、事業承継の種類ごとに税理士がどのような業務を行うのか解説します。
親族内承継
親族内承継は、子どもや親族に事業を引き継ぐ形の承継方法です。企業の理念や経営方針を維持しやすいのがメリットです。ただし、自社株の移転に伴う税負担や相続の調整が課題となります。
親族内承継では、まず「自社株の評価」が重要です。未公開企業の場合、株価の算定が複雑であるため、税理士が財務情報をもとに評価し、贈与税や相続税の計算を行います。また、事業承継税制の活用を検討することで、税負担を軽減する方法を提案することも可能です。
遺産分割に関するアドバイスも、税理士が担います。後継者に株式を集中させることで経営の安定化を図る一方、相続人間での公平性も考慮しなければなりません。税理士は遺留分の請求リスクを踏まえながら、円滑な遺産分割のシミュレーションを策定し、事前に対策を講じるお手伝いをします。
さらに、資金調達も重要です。後継者が納税資金を確保できるよう、税理士が金融機関との調整を行うほか、経営者保証を回避する方法についてもアドバイスします。
親族外承継
親族内に適任の後継者がいない場合は、役員や従業員へ経営を引き継ぐ「親族外承継」が選択肢となります。この場合、後継者が企業の株式を取得する必要があり、多額の資金が必要となるため、資金調達が大きな課題です。
税理士は、後継者が株式を買収するためのスキームを検討し、適切な資金調達方法をアドバイスします。例えば、「特別目的会社(SPC)」を設立し、金融機関やファンドから資金を調達する手法が考えられます。また、事業承継税制を活用し、贈与税・相続税の負担を軽減する策を提案することも可能です。
さらに、経営権の移譲に関するサポートも税理士の役割の一つです。株式譲渡が難しい場合、社長としての地位のみを譲り、後継者が経営を担うケースもあります。この場合、資金の準備ができた後に株式を買い取る形で検討が可能です。税理士はこうした選択肢を提示し、最適な承継プランを提案します。
親族外承継では、金融機関との交渉も必要になるケースが多いため、税理士に依頼することで、資金調達や税負担の調整をスムーズに進められるでしょう。
M&A
M&A(企業の買収・合併)による事業承継は、親族や社内に後継者がいない場合や、企業価値を高めた上で売却を考える場合に選択される方法です。第三者に経営を託すため、売却条件の設定や税務リスクの管理が求められます。
例えば、企業の財務状況や希望する譲渡条件を踏まえ、株式譲渡や事業譲渡など最適な方法を検討し、税負担をできるだけ抑えながら進めるアドバイスを行います。
また、「企業価値評価(バリュエーション)」は、中小企業診断士や公認会計士が担うのが一般的ですが、税理士が担当することも可能です。適正な評価を行い、売却価格の交渉を有利に進めるための資料作成を担います。さらに、譲渡条件の調整も行い、より好条件でのM&A成立を目指します。
M&Aの際に行われる「税務デューデリジェンス(買収前の財務・税務調査)」も税理士の重要な業務です。買い手企業側の調査に備え、自社の税務リスクを明らかにし、事前に対策を講じることで売却価値を維持できます。事前の対策を怠ると、譲渡価格の減額につながる可能性があるため、注意が必要です。
事業承継を依頼できる専門家

事業承継では税務・法律・資金調達などさまざまな課題が発生するため、経営者だけで解決するのは容易ではありません. ここでは、事業承継を依頼できる代表的な専門家について解説します。
税理士・弁護士・公認会計士などの専門家
事業承継には、税務・法律・財務面での専門的なサポートが必要となるため、それぞれの分野に特化した士業への依頼が有効です。
- 税理士:贈与税や相続税の申告、自社株の評価、事業承継税制の活用など、税負担を抑える方法を提案
- 弁護士:遺産分割や契約書作成などの法律面の対応を担い、後継者間のトラブルを未然に防ぐ役割を果たす
- 公認会計士:企業価値評価や財務戦略の策定を行い、M&Aを伴う事業承継では譲渡価格の査定やデューデリジェンスを担当
必要に応じて、それぞれの専門家を組み合わせて相談すると安心です。
経営コンサルタント
経営戦略の転換点でもある事業承継では、経営コンサルタントが後継者の育成や企業の方向性を提案します。経営をスムーズに引き継げるよう、組織の再編や業務改善を提案し、承継後の発展につながる経営プランを策定するのが役割です。
また、事業承継のタイミングや戦略を整理し、経営の安定化を図るサポートもしてくれるでしょう。
金融機関
事業承継では、多くの場合で後継者の資金調達が必要になるため、金融機関との連携が重要です。地銀や信用金庫などは、承継資金の融資や財務相談を行い、企業の継続をサポートします。
最近では「事業承継アドバイザー」制度が導入され、専門知識を持つ担当者が企業の承継を担うケースも増えています。金融機関を活用することで、資金面の課題をクリアしやすくなるでしょう。
M&A会社
M&A会社は、第三者への事業承継を行う専門企業です。売り手と買い手のマッチングを行い、契約締結までサポートします。
M&A会社には、「仲介会社」と「アドバイザリー会社」の2つのタイプがあります。M&A仲介会社は、双方の利害を調整しながらスムーズな承継を実現する役割を果たす会社です。
一方、M&Aアドバイザリー会社は、売却支援だけでなく、親族内承継や親族外承継も含めた多角的なアドバイスを行い、企業にとって最適な選択を導きます。
M&A会社を活用することで、事業承継の選択肢が広がり、承継方法を柔軟に検討しやすくなるでしょう。
事業承継士
事業承継士は、事業承継を総合的に司る専門家です。一般社団法人事業承継協会が認定する資格で、承継計画の立案から実行、税理士や弁護士など各専門家のコーディネートなどを担います。
事業承継士は、税理士・弁護士・公認会計士などの専門家と連携しながら、企業の状況に応じた承継プランを策定します。また、相続対策や節税対策にとどまらず、後継者育成や企業価値の向上にも関与し、事業の持続的な成長を支える点が特徴です。
司法書士
司法書士は、企業の登記や法律手続きに関する専門家で、事業承継においては法人登記や株式譲渡の手続きを行います。特に、経営者の交代に伴う役員変更登記や、合併・分割による組織再編の手続きが必要な場合に、司法書士への依頼が有効です。
また、遺言書の作成や民事信託の利用など、後継者が円滑に事業を継承できるよう支援します。弁護士と比べて費用が抑えられるため、法律面の相談を気軽にできる点も司法書士のメリットです。
中小企業診断士
中小企業診断士は、経営コンサルティングの専門家であり、事業承継の計画策定や経営改善を担当します。後継者育成や企業の財務・戦略の見直しを行い、承継後の経営が安定するようアドバイスを行う点が特徴です。
特に、後継者が経営スキルを身につけるための研修や事業承継に関する計画の策定など、企業が持続的に成長できるよう導きます。また、公的機関と連携し、資金調達や経営改革のアドバイスを行うこともあり、幅広い視点から企業の承継を支えます。
税理士に事業承継を依頼するメリット
事業承継に精通した税理士に依頼することで、税務面の負担を軽減しながら、承継を円滑に進められます。ここでは、税理士に事業承継を依頼する主なメリットについて解説します。
事業承継に関わる税金の処理を任せられる
事業承継の際には、株式の譲渡や相続に伴う税金が発生するケースがあります。特に、中小企業においては、経営者個人の財産と会社資産の区分が曖昧になりがちなことから、税務処理の負担が懸念されるでしょう。
税理士に依頼すれば、事業承継に伴う相続税や贈与税の計算をはじめ、節税対策の提案も受けられます。例えば、特例を活用して納税額を抑えたり、後継者がスムーズに経営を引き継げるよう資産の分配を調整したりすることが可能です。
さらに、税務申告の手続きや代行も行ってもらえるため、経営者自身が煩雑な税務処理に追われることなく、承継の準備に集中できるでしょう。
承継手法や相続についての専門知識も豊富
事業承継では、単に財産を引き継ぐだけではなく、「会社の経営権や運営方針をどのように継続していくか」が課題となります。そのため、承継の方法や相続に関する知識を持つ税理士への依頼が有用です。
例えば、後継者が親族の場合と第三者の場合では、承継方法が異なります。親族内承継では生前贈与や相続を利用するケースが多く、第三者への承継ではM&Aの活用が一般的です。税理士に相談することで、それぞれのケースに適した方法を検討し、事業承継を円滑に進めるための計画を立てられます。
また、株式の分散による経営権の問題や、相続に関するトラブルを未然に防ぐためにも、税理士の専門知識を活用することが重要です。承継後の経営体制をスムーズに整えるべく、税理士のアドバイスを活かしながら、安心して次の世代に事業を引き継げるでしょう。
中立な立場から提案してもらえる
事業承継の方法を検討する際、経営者はさまざまな選択肢の中から最適なものを選ぶ必要があります。
しかし、金融機関やM&A仲介業者に相談すると、それぞれの立場に応じた提案がなされるため、選択肢が偏ってしまうこともあるでしょう。例えば、金融機関は融資を視野に入れた提案を行いがちですし、M&A仲介業者は企業売却を軸にした助言が多くなります。
その点、税理士は特定の手法に依存せず、公平な視点から事業承継の選択肢を提示してくれます。親族内承継やM&A、事業譲渡など、経営者の意向や会社の状況に応じた最適な方法を検討し、バランスの取れた提案を受けられるのが大きなメリットです。
自社に詳しい顧問税理士なら相談しやすい
税理士は、企業の財務状況や経営課題を深く理解している専門家です。特に、長年顧問として関わっている税理士であれば、会社の財務状態や経営方針、過去の取り組みを熟知しているため、事業承継についても踏み込んだ相談がしやすいでしょう。
一般的に、事業承継は長期間にわたる準備が必要となるため、経営者が気軽に相談できる相手がいることは重要です。顧問税理士であれば日頃から税務相談をしていることもあり、信頼関係も築かれているため、経営の未来についても率直に意見を交わせるでしょう。
税理士の士業ネットワークを活用できる
事業承継には、税務・財務・法務・労務など、さまざまな分野の専門知識が必要です。税理士は通常の業務の中で弁護士や司法書士、公認会計士などの専門家と連携することが多く、必要に応じて適切な専門家を紹介してもらえるメリットがあります。
例えば、株式の承継に関する契約書の作成には、弁護士の助言を要するケースがありますし、相続手続きを円滑に進めるためには司法書士の協力が欠かせません。税理士を窓口にすることで、それぞれの専門家とスムーズに連携し、必要な対策を適切に講じられるのです。
税理士に事業承継を依頼するデメリット

税理士が必ずしもすべての課題に対応できるとは限らず、事業の特性や承継方法によっては、他の専門家の力を借りる必要があるかもしれません。ここでは、税理士に依頼する際に懸念される主な点について説明します。
紹介してもらえる企業数が少ない場合がある
M&Aを活用した事業承継を検討する場合、適切な買い手企業を見つけることが一つの目標です。しかし、税理士に依頼した場合、M&A仲介会社に比べてネットワークの範囲が限定されるため、紹介できる企業数が少なくなる可能性があります。
税理士も取引先や業界内のつながりを活かして候補企業を探すことは可能ですが、M&A仲介会社の持つ豊富なデータベースや広範な企業ネットワークと比べると、選択肢が限られるのが実情です。
また、税理士が紹介する企業が必ずしも経営者の希望条件に合致するとは限らないため、より広い視野で承継先を探したい場合は、M&A仲介会社の活用も視野に入れると良いでしょう。
M&Aを専門にしている税理士が少ない
税理士は税務の専門家であり、法人の財務管理や相続税対策には精通していますが、M&Aの実務経験が豊富な税理士は決して多くはありません。事業承継をM&Aによって進める場合、契約交渉や企業価値の評価、買収スキームの選定など専門的な知識が必要です。しかし、税理士単独では十分に対応できない場合が考えられます。
M&Aの専門家や仲介業者と連携している税理士であれば、必要な手続きをスムーズに進めるためのアドバイスを受けられます。ただし、税理士の業務範囲によっては、M&Aに関する対応が限定的になる可能性もあるでしょう。
事業承継の方法としてM&Aを検討する場合は、M&Aに精通した税理士を選ぶか、M&Aアドバイザーや専門コンサルタントの意見も併せて参考にする姿勢が大切です。
事業承継を依頼する税理士を選ぶポイント
事業承継を依頼する税理士を選ぶ際には、税務の知識だけではなく、実績・ネットワーク・専門的な資格など、さまざまな要素を考慮する必要があります。ここでは、税理士を選ぶ際に確認すべきポイントについて説明します。
事業承継の実績が豊富である
事業承継では、税務だけでなく経営や資産管理、相続など多岐にわたる知識が求められます。そのため、過去の事業承継の経験が豊富な税理士を選ぶことが重要です。
実績のある税理士であれば、承継の際に生じやすい問題や課題を把握しており、適切な対応策を提案してくれるでしょう。また、実績が豊富な税理士は、税制改正や最新の承継手法についても理解が深いため、経営者にとってより有益な情報を提示してくれます。
依頼前には、過去の事業承継の成功事例などを確認し、自社のニーズに合った税理士かどうかを判断すると良いでしょう。
在籍している税理士が多い
税理士事務所によっては、少人数で運営されているケースもあるでしょう。しかし、複数の税理士が在籍する事務所を選ぶことで、より多角的なアドバイスを受けられる可能性が高まります。
事業承継は長期間にわたり進められるため、一人の税理士だけで対応するよりも、複数の専門家がチームとして担当する環境の方が安心感があります。
特に、承継の方法によっては財務・法務・労務など異なる分野の知識が必要です。各専門分野に精通した税理士が在籍している事務所であれば、総合的な視点で事業承継を進められるでしょう。
他の士業とのネットワークがある
事業承継には、税務の手続きだけでなく、契約書の作成や相続対策、企業価値の評価など、法律や財務に関わる業務も必要です。そのため、税理士が弁護士や司法書士、公認会計士などの専門家と連携しているかどうかを確認しておきましょう。
例えば、遺産分割や相続登記については司法書士の専門知識が役立ち、株式譲渡に関する契約の作成には弁護士への依頼が必要です。税理士がこうした他分野の専門家とのネットワークを持っていれば、必要なタイミングで適切な専門家を紹介してもらえます。
認定支援機関の事務所である
認定支援機関とは、中小企業庁によって専門知識や経験を認定された経営支援機関を指します。
事業承継に関する税制優遇措置を活用するためには、認定支援機関からの指導・助言が必要となるケースがあります。そのため、税理士事務所が認定支援機関であるかどうかを確認することも大切です。
認定支援機関であれば、事業承継に関する補助金の申請や税制特例の適用など、幅広い支援を受けられます。また、事業承継の成功に向けた計画策定も担うため、安心して相談できる環境が整っています。
税理士に依頼する際には、公式ホームページや中小企業庁の検索システムで認定支援機関の資格を持つ事務所かどうかをチェックし、自社の事業承継に必要なサービスを受けられるかを確認すると良いでしょう。
事業承継を税理士に依頼する費用相場

事業承継を税理士に依頼する際の費用は、業務内容やサポートの範囲によって異なります。節税対策や承継計画の策定のみを依頼する場合は比較的低価格ですが、M&Aによる事業承継など専門性の高い業務を税理士に任せる場合は、費用が高額になりがちです。
税理士の報酬は、承継内容や手続きの複雑さによって幅がありますが、おおよそ100万〜300万円程度が相場とされています。業務ごとの相場は以下の通りです。
- 特例事業計画の策定や認定支援機関としての押印・提出:10万~80万円
- 納税猶予の相続税申告書作成・提出:10万~20万円
- 株価算定・相続税評価額の算出:15万円~
これらの業務を組み合わせると、総費用はより高額になる可能性があります。
また、事業承継にかかる費用を軽減するために、事業承継・引継ぎ補助金などの制度を活用するのも一つの方法です。補助金では、M&A仲介会社や税理士への報酬の一部を補助する仕組みが整えられており、条件を満たせば50万〜600万円の補助を受けられるケースもあります。
ただし、補助金を受けるためには、認定支援機関の税理士事務所に相談し、所定の申請が必要です。
参考:事業承継・引継ぎ補助金
税理士に事業承継を依頼する際の注意点
事業承継を着実に進めるためには、いくつかのポイントを押さえておくことが大切です。ここでは、税理士に依頼する際に注意すべき点について解説します。
早めに相談し準備を進める
後継者の育成には数年単位の時間が必要になる場合もあり、特例の適用や節税対策を行うためには早めの対応が求められます。特に、相続税や贈与税の申告、会社の財務整理などを考慮すると、5〜10年前から計画を立てておくと安心です。
税理士に相談することで、事業承継の進め方や必要な手続きを把握し、適切なタイミングで準備を整えられます。遅れが生じると選択肢が狭まることもあるため、できるだけ早めに相談し、長期的な視点での対策が大切です。
中長期の方針を伝えておく
事業承継を実行するまでの準備期間によって、選べる選択肢が変わる場合があります。後継者がいない場合、1年後の承継までに適任となる人材を探すのは難しいですが、5年後を見据えて計画を立てることで、社外から後継者を見つけ、育成までできるケースも考えられます。
税制優遇措置の適用や後継者育成など、時間をかけて準備することで活用できる制度もあるため、計画的な進行が大切です。税理士と早めに相談し、現実的なスケジュールを立てながら承継方針を固めていくことで、着実に事業承継を実現できるでしょう。
顧問税理士以外にも相談してみる
現在の顧問税理士が事業承継に精通しているとは限らないため、必要に応じて他の専門家にも相談してみることをおすすめします。事業承継は、税務に加えて財務・法務・M&A戦略など多岐にわたる要素を含むため、各分野に強い税理士やコンサルタントの意見を取り入れながら進めることが効果的です。
また、セカンドオピニオンとして複数の税理士やM&A専門機関に意見を求めることで、より自社に合った承継方法を選べるでしょう。無料相談を提供している事務所も多いため、複数の専門家と話をすることで、より適切なアドバイスを見極めることも可能です。
事業承継を成功させたいなら税理士への依頼も検討しよう
事業承継を進める際に税理士のサポートを受けることで、税務や財務の手続きを着実に進められます。特に相続税や贈与税の問題は専門知識が求められますが、税理士に相談することで適切な対策を講じられます。
顧問税理士がいる場合は、日頃から会社の経営状況を把握しているため、相談がスムーズに進みやすいでしょう。しかし、顧問税理士が事業承継に詳しくない場合は、他の専門家への相談も視野に入れることも大切です。
経営の未来を左右する大切な決定だからこそ、信頼できる税理士とともに最適な承継計画を立てることが望ましいでしょう。事業承継を検討されている方は、私たち「小谷野税理士法人」が全力でサポートしますので、ぜひお気軽にご相談ください。










