中小企業が税理士と顧問契約することは、近年では常識となりつつあります。しかしその一方で、社内業務が適切に運営されているかをチェックする監査役の存在も欠かせません。このような場合、「顧問税理士に監査役の兼任は依頼できるのか?」という疑問が生じることでしょう。この記事では、税理士と監査役の違いや兼任の可否、依頼時の注意点について詳しく解説します。
目次
顧問税理士と監査役の業務とその違い

ここでは、顧問税理士と監査役の業務内容とそれぞれの違いについて解説します。この項を参考にして、監査役の業務内容と、社内業務における必要性について理解を深めておきましょう。
顧問税理士の業務内容
顧問税理士の主な業務内容は、税務の代理、税務書類の作成、税務相談です。これらは税理士のみが許可されている業務(独占業務)にあたります。
そのほか、独占業務にあたらないものの、税務との関連性が高いことから、以下のような業務も対応範囲とする場合が多いです。
- 記帳代行
- 融資相談
- 相続税・節税対策
- 会社設立支援
顧問税理士の業務内容や費用相場、良い税理士の見極めポイントについては下記の記事でまとめています。顧問税理士を検討中の方はこちらの記事もご覧ください。
監査役の業務内容
監査役の主な業務内容は、会計監査と業務監査です。監査役は、会社法で定められている役員の一つにあたり、取締役の職務執行を監督・検査する立場を指します。
会計監査では財務諸表が会計基準を満たしているかを、業務監査では会計業務以外の業務において法令に準拠しているかを確認することが一般的です。
細かなチェックにより、企業の不正や不祥事、株主に対する不利益な行為の防止につなげられます。
顧問税理士と監査役の兼任は可能?

顧問税理士に対し監査役の兼任を依頼すること自体、会社法では禁止されていません。とはいえ、顧問税理士は、企業の取締役などと税務顧問契約を結んでおり、社内事情を十分に把握している立場です。
一方、監査役の役割は、取締役の職務執行を厳しい視点で監督・検査することです。それぞれの立場を鑑みると、会社法では禁止していないものの、社内事情を把握した顧問税理士による監査役の兼任は適切ではないと言えるでしょう。
なお、中小企業の事情によっては、どうしても兼任が必要になる場合もあります。そのようなときは以下の方法を検討しましょう。
- 兼任を予定する税理士が独立性を維持しつつ業務に従事する
- 独立した立場の税理士に監査役を依頼する
ただし、どちらのパターンも税理士が監査役であり、株主や社員から反発が起こる可能性があります。
透明性を保った監査役を選任したいのであれば、区役所などが提供する人材紹介サービスを活用しましょう。
顧問税理士や監査役のご相談は小谷野税理士法人へ
顧問税理士は、すでに企業上層部と親しい間柄であり、社内事情も把握している立場です。監査役は、独立的な視点で会計・業務を確認しなければなりません。
そのため、顧問税理士への兼任は適切ではないと考えられます。顧問税理士や監査役について相談したい方、適した人材をお探しの方は、この機会に小谷野税理士法人へお気軽にご相談ください。







