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税務調査前の修正申告のデメリット・メリットとは?やり方も解説!

公開日:

税務調査前の修正申告のデメリット・メリットとは?やり方も解説!

修正申告のデメリットは、税務調査がより厳しくなったり、追徴課税を課されたりする可能性がある点です。一方で、追徴課税やストレスを軽減させられる可能性がある点はメリットです。事業者にとってはメリットの方が大きくなると言えます。今回は、税務調査前に申告を修正するときのデメリットとメリット、注意点、やり方などを解説します。

税務調査前の修正申告のデメリット

デメリット

修正申告のデメリットは以下の通りです。

  • 税務調査が厳しくなる可能性がある
  • 追徴課税・延滞税を課される
  • 調査対象期間が拡大される

以下で詳細に見ていきましょう。

税務調査が厳しくなる可能性がある

税務調査が厳しくなる可能性があるのはデメリットの1つです。調査官に対して、今までの申告に不備があるのではないか、という印象を与える可能性があるためです。

一方で、正しく納税しようとする意欲が伝わるため、将来的に税務調査のリスクは下がる可能性があります。

追徴課税・延滞税を課される

以下の通り、追徴課税と延滞税を課される可能性がある点がデメリットです。

追徴課税

本来の納税額に上乗せして求められる税金

【過少申告加算税】

  • 納税額が少ないときに課せられる税金
  • 基本的な税率:10%
  • 納税額が期限内申告税額と50万円のいずれか多い金額の超過部分の税率:15%

【重加算税】

  • 隠蔽、仮装などの不正が発生したとき課せられる税金
  • 納税額が過小の場合:追加税額の35%が税率
  • 期限内申告しない場合:追加税額の40%が税率
  • 悪質だと見なされると本来の税額に加え、10%が加算される

延滞税

  • 期限内に納税できない場合、日数に応じて課される税金
  • 以下の通り、納税者の状況によって適用される割合が異なる
  • 納期限の翌日から2ヵ月経過まで:年「7.3%」と「延滞税特例基準割合+1%」のうち、低い割合
  • 納期限の翌日から2ヵ月経過した日以降:年「14.6%」と「延滞税特例基準割合+7.3%」のうち、低い割合

原則として、追徴課税は現金一括で納付が求められ、免除されない点に注意が必要です。

税制改正により、2024年1月以降は高額の無申告への税率が上がっています。余分に税金を支払うことで、事業者の資金繰りに影響が出る可能性もあります。

参考:【申告が間違っていた場合】

調査対象期間が拡大される

デメリットの1つは、内容に応じて調査対象期間が、通常の3年から5年に拡大される可能性がある点です。重加算税が課税される場合、税務調査の対象期間は7年にまで延長されるリスクがあります。

対象期間の拡大によって誤りが発見され、修正申告を求められると、事業者にとって納税の負担は大きくなるでしょう。

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税務調査前の修正申告のメリット

メリット

税務調査前の修正にはデメリットがある一方で、以下の通りメリットもあります

過少申告加算税の軽減

  • 事前通知前に修正すると課せられない
  • 事前通知後に修正すると、5〜10%に抑えられる
  • 税務調査後に修正すると、税率10〜15%が課せられる

重加算税のリスクの回避

事前通知後であっても、税務調査前に申告すると、納税を回避できるケースがある

延滞税の軽減

延滞税の生じる期間を短縮させられ、納税額の軽減につなげられる

ストレスの軽減

内容に誤りがないと分かっている状態で税務調査を迎える場合、相当なストレスも受ける可能性が高い

納税額やストレスを軽減させられる可能性が高いため、事業者にとってはデメリットよりもメリットの方が大きくなると言えます。

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修正申告するタイミングによる違い

タイミングによる違いは、以下の表にまとめました。

訂正申告

  • 提出期限内に、申告内容の間違いに気づいたときに行う
  • 複数回修正しても問題ない

修正申告

  • 申告後に納税額が少ないと気づいたときに行う
  • 延滞税や過少申告加算税を課される可能性がある
  • 当初の確定申告が期限を過ぎている場合、無申告加算税の納税を求められる可能性がある
  • 新たに納める税金は、申告書の提出日が納期限で、延滞税と併せて納税が求められる

更正の請求

  • 申告後に納税額が多いと気づいたときに行う
  • 行わなくてもペナルティは課されない
  • 申告前で、税金が還付される手続きである「還付申告」とは異なる
  • 納税額と本来の税額の差額が返還される
  • 虚偽の請求をすると、1年以下の懲役or50万円以下の罰金を課されるリスクがある
  • 所得金額の増減や所得控除の追加があっても、最終的な税額が同じの場合、更正の請求はできない

後述する通り、申告内容を修正するタイミングによって必要な手続きは異なります。分からない点がある場合は、税理士へ相談の上、適切に対処するのがポイントです。

修正申告するときの注意点

個人事業税がかからない業種のイメージ

内容を修正するとき、以下の点に注意が必要です。

二度手間である

  • 余計な時間や労力がかかる
  • 最初の申告で終えられるのが理想的である

更正の請求は認められないケースがある

  • 税金の返還が行われるため、より厳しい審査が実施される
  • 他の手続きと比較すると時間がかかる傾向にある
  • 申告書を提出している場合、原則として住宅ローン減税などが適用できない

還付加算金は課税対象である

個人か法人かによって処理の方法が異なる

  • 個人の場合:雑所得
  • 法人の場合:雑収入

間違いに気づいたときは早めに修正申告する

  • 延滞税を抑えられる
  • 税務調査後に修正すると、過少申告加算税などのペナルティを課せられる

内容に誤りがあると、余分な税金の支払い、時間、労力などが必要になるリスクがあります。不安な点がある場合、早めに税理士へ相談するのがポイントです。

確定申告期限内の修正のやり方

申告期限内に誤りに気づいたとき、以下の方法で修正できます。

  • オンライン
  • 書面

以下で詳しく見ていきましょう。

オンライン

e-Taxソフトを利用している場合、以下の方法で進めます。

  1. 「申告・申請等一覧」より選択・訂正
  2. 「作成完了」クリック
  3. 「申告・申請等名」欄に入力
  4. 「別名で保存」クリック
  5. データ選択
  6. 電子署名の付与
  7. 「送信可能一覧」より選択

訂正部分のみでなく、すべての帳票の送信が求められます。

参考:5. データ送信(送信及び送信確認)

書面

書面で内容を訂正する場合、具体的な方法は以下に示します。

  • 再度、確定申告書を作成
  • 本人確認書類、(必要性に応じて)添付書類を郵送・窓口持参で税務署へ提出

訂正したい部分のみでなく、訂正不要な箇所も記載するのがポイントです。期限内に訂正する場合、最後に提出した申告書の内容が適用されます。

確定申告期限後の修正のやり方

申告の誤りに気づいた場合、修正方法は具体的に以下の通りです。

  • オンライン
  • 書面

以下で詳細に解説します。

オンライン

オンラインで修正する方法は以下の通りです。

  1. 公式サイトより書類作成する
  2. e-Taxにて提出する

更正の請求時、画面に表示される添付書類の税務署への郵送もしくは、窓口への持参が求められます。原則として、更正の請求の対象期間は、申告期限から5年以内です。一方で、修正申告には明確な期限がないものの、実質的には5年から7年以内となるのが特徴です。

書面

書面で内容を修正する方法は、具体的に以下の通りです。

  1. 税務署の公式サイトより書類の取得・記入
  2. 本人確認書類を用意する
  3. 添付書類とともに郵送or窓口持参で提出する

以下の通り、方法によって用意する書類は異なります。

  • 更正の請求:所得税及び復興特別所得税の更正の請求書・請求の根拠となる書類(例:経費の計上漏れの場合、領収書など)
  • 修正申告:確定申告書

書類を作成後、住所を管轄する税務署へ提出するのがポイントです。

修正申告後に還付金を受け取るときの流れ

修正申告によって税額が減額され、還付金を受け取る場合、具体的な流れは以下の通りです。

  1. 修正申告後、更正決定通知書が郵送される
  2. 還付通知書が郵送される
  3. 還付金請求・振込依頼書に銀行口座を記入後、返送する
  4. おおむね2週間後に、指定口座へ入金される

申告から還付金を受け取るまでの期間は、おおむね2ヵ月から3ヵ月が目安です。

参考:市税 よくある質問

修正申告に関するよくある質問

修正申告に関してよくある質問をまとめました。以下で詳しく解説します。

自主修正申告のデメリットは何ですか?

追徴課税が課されたり、税務調査対象の期間が延長されたりする可能性があることです。

一方で、申告の修正をしたい場合、修正までの期間が早ければ早いほど、ペナルティを課されるリスクが低くなります。誤りが生じた点については反省した上で、今後改善していくとよいでしょう。

確定申告で間違いだらけの場合どうすればよいですか?

状況に応じて、適切な手続きを選ぶのがポイントです。期限内の場合、訂正申告の手続きをする必要があります。一方、期限後の場合は、修正申告か更正の請求が求められます。

確定申告で間違いがあると税務署から連絡くる?

以下の通り、状況によって異なります。

  • 来るケース:端数処理のミス、必要事項の記載漏れ、任意調査の実施など
  • 来ないケース:税金の納めすぎ

重要なポイントは「連絡がない=申告が正しい」とは言い切れないことです。

税務調査後に指摘を受け、修正申告しないとどうなりますか?

税務署による更正処分が行われます。不服申立てはできるものの、却下されると延滞税などの納税も求められる可能性があります。

修正申告は税務調査を誘発しますか?

いいえ。真面目な納税者という印象を調査官へ与え、税務調査の確率を下げることにつながりやすいためです。

確定申告・修正申告に関する相談は税理士へ

税務調査前の修正申告のデメリットとメリット、注意点、やり方、還付金を受けるときの流れなどを解説しました。修正申告によって、追徴課税の納付を求められたり、税務調査がより厳しくなる可能性があるのがデメリットです。

一方で、追徴課税などを軽減させられるため、事業者にとってはメリットの方が大きいと言えます。ミスが生じたときの対処法については、税理士へ相談するのが1つの方法です。

正確な内容で申告できるほか、時間や労力も節約できるため、より重要な仕事にリソースを割けるでしょう。

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この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
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