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美容室の税務調査|個人事業主にも来る?来やすい店の特徴を解説

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美容室の税務調査|個人事業主にも来る?来やすい店の特徴を解説

税務調査とは、自分の申告が本当に正しいのかを税務署の職員などにチェックされるものです。税務調査は無作為に行われるのではなく、申告内容が不自然だと判断された場合に重点的に行われます。この記事では、税務調査が来やすい美容室の特徴や、調査前に用意したい資料、そして日頃からできる対策などを解説します。基本を押さえれば、税務調査を必要以上に恐れる必要はありません。

税務調査とは「申告された内容が正しいかのチェック」

制度 柔軟化

税務調査とは、確定申告などで税務署に報告された内容が本当に正しいのかチェックするものです。納税者の事務所に税務署や自治体などの職員が訪れて、実際の帳簿や書類を調べる場合もあります。

税務調査の概要について詳しくは下記の記事をご確認ください。

「税務調査が来る確率」は関係ない!調査が来る美容室の特徴

美容室

国税庁の統計を見ると、税務調査が入る確率は1%程度にとどまっています。ですが、確率が低いからと言って「100年に1度しか来ない」というものではありません。なぜなら、税務調査は無作為に行われる調査ではないからです。

税務署は、申告内容が不適切だと判断した際に税務調査に乗り出します。よって、確率を気にするよりも、不適切ではない申告ができるよう日頃の管理体制を整えておく方が重要です。

調査が来やすいのは「申告した売上や経費に不自然な点がある美容室」

税務調査は確率ではなく、特徴で選ばれます。ここでは、実際に税務調査が来やすい美容室の特徴を解説します。

特徴

解説

申告した売上や経費に不自然さがある

例えば下記のような不自然さが該当する

  • 申告した数字が同業他社や過去の実績と比べて極端
  • 利益率が低すぎる(経費が多すぎる)

従業員や業務委託スタッフの出入りが多い

給与か外注費かの判断が難しく、人件費処理に不備が出やすい

現金売上が多い

記録に残りにくく、売上除外しやすいと見られる

無申告の状態が続いている

普通に営業しているのに申告がないとマークされる

法人成りの直後

法人成りの手続きは複雑でミスが発生しやすいためマークされる

とはいえ、適切に運営していれば、税務調査を恐れる必要はありません。仮に調査が入っても、日頃から正しく処理や申告をしていれば重大な不正は見つからず、重い罰則が科されることはほぼないためです。

税務調査が来る確率は1%前後だが実際は日頃の管理体制次第

国税庁の統計から計算すると、税務調査が来る確率は以下の通りです。

  • 個人事業主:約0.5%
  • 法人:約1.3%

確率を見ると低く感じますが、実際には、上記で解説したような「税務調査が来やすい特徴」がある事業者が重点的に選ばれます。例えば、売上に対して経費が極端に多い個人事業主は、0.5%よりも高い確率で調査対象になる可能性があります。

したがって、「確率が低いから」と安心するのではなく、普段から帳簿や証拠書類を整えておくことが必要です。日頃からできる具体的な対策は、記事後半で解説します。

税務調査が入る確率について詳しくは下記の記事をご確認ください。

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税務調査でチェックされる項目と準備するもの

書類を見比べる男性

税務調査の事前連絡が来たら、まずは落ち着いて内容を確認しましょう。具体的には、調査官が何をチェックしたいのか、日程や対応期限はいつなのか、などです。ここでは、美容室が税務調査でチェックされやすい代表的な項目と、準備するものの例を解説します。

もし自力での対応に不安がある場合は、税理士へ相談してサポートを受けるのも1つの選択肢です。

ホットペッパー履歴やカルテなどと帳簿が一致しているか

美容室の税務調査では、予約サイトの予約履歴や顧客カルテと、売上帳簿の内容が一致しているかを確認されます。予約サイトとは、ホットペッパービューティーや楽天ビューティなどです。

予約サイトには予約件数や施術内容が、カルテには顧客ごとの施術履歴や料金などが記録されます。これらと帳簿を突き合わせれば、売上が正しく申告されているかどうかを確認できます。

例えば以下のような不一致は、税務署が「意図的に売上を計上していないのでは?」と疑うきっかけとなります。

  • 予約サイトに10件の予約履歴があるのに、帳簿には7件しか売上が記載されていない
  • カルテには「カット+カラー」とあるのに、帳簿にはカット代しか記載されていない
  • 常連客のカルテに施術履歴があるのに、その日の売上が帳簿に記載されていない

特に、ネット予約が「ネット以外の方法」(例:電話)でキャンセルされた場合は要注意です。サイト上でもキャンセル処理をしないと、予約履歴が残ったままになってしまいます。

そのため、実際には施術も支払いもなかったのに「予約があるのに売上の記録がない」と誤解されるリスクがあります。トラブルを避けるために、日頃から予約サイトやカルテと実態が合っているかチェックしておきましょう。

【準備するものの例】

  • ホットペッパーなど予約サイトの予約一覧表
  • 顧客カルテ
  • 売上帳簿
  • レジデータや日計表

税務調査の前には、上記の書類などを用意しておくと、調査当日に落ち着いて対応できるでしょう。

保存されている領収書・契約書などの資料と帳簿が一致しているか

税務調査では、帳簿の内容と、領収書・契約書・仕入伝票などの資料が一致しているか確認されます。中でも、経費に関する資料は、プライベート利用が混ざっていないか重点的にチェックされます。

特に接待交際費など、事業との線引きが曖昧になりやすい経費は注意しましょう。

【準備するものの例】

  • 帳簿(仕訳帳・総勘定元帳など)
  • 領収書・請求書(仕入先や消耗品購入などの確認)
  • 美容室の賃貸借契約書(店舗家賃の証拠)
  • ローン契約やリース契約書(設備購入や機器導入時)
  • 保険などの契約書

帳簿や領収書などの資料は、最長7年間保存するのが義務です。帳簿に記載があっても、裏付けとなる資料を保存していなければ、経費が否認される場合もあります。

参考:記帳や帳簿等保存・青色申告|国税庁
参考:No.5930 帳簿書類等の保存期間|国税庁

給与や外注費の処理が正しく行われているか

美容室の税務調査では、スタッフへの報酬が正しく処理されているかを重点的に確認されます。美容室の経費は人件費の割合が大きく、外注費と給与の線引きも曖昧になりやすいためです。誤りがあると経費が否認されたり、源泉徴収漏れを指摘されたりします。

特に注意したいのが、面貸しや業務委託契約です。これらは基本的に「外注費」として処理されます。ただし、勤務時間の拘束や施術の割り当てなど、サロン側の管理が強い場合には、税務署から「給与」と判断される場合があります。

外注費で処理していたのに給与とみなされると、源泉徴収漏れや消費税の否認につながるため注意しましょう。

【準備するものの例】

  • 雇用契約書や業務委託契約書
  • 給与明細や外注費の支払い記録
  • 源泉徴収簿・支払調書
  • 給与規程や就業規則

外注費と給与について、詳しくは下記の記事をご確認ください。

現金出納帳と現金残高が一致しているか

税務調査では、レジや金庫などにある現金の額や、銀行口座の入出金履歴が、帳簿の記録と一致しているか確認されます。不一致があると、売上を帳簿に記録していない、または経費を水増ししているのではないかと疑われます。

特に、現金の扱いが多い美容室は要注意です。現金は第三者の記録が残らないため、ズレがあると「不正があるのでは」と疑われやすいためです。そのため、現金出納帳を日々正しくつけておく必要があります。

【準備するものの例】

  • 現金出納帳
  • 銀行通帳
  • 帳簿
  • 日計表やPOSデータ

現金出納帳について詳しくは下記の記事をご確認ください。

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税務調査が来ない美容室にするには?日頃からできる対策

税務調査を避ける裏ワザはありません。最大の対策は、日々の地道な管理です。売上や経費を毎日記録し、証拠書類を整理して誠実に申告していれば、調査対象になりにくくなります。

具体的には、以下のような対策がおすすめです。

  • 売上や経費はその日のうちに記帳する
  • 予約サイトやカルテなどと売上帳簿を定期的に照らし合わせる
  • 領収書や請求書を月ごとに整理して保存する
  • 給与と外注費の区分を明確にして契約書を整備する
  • 不安があれば税理士に早めに相談する

対策をしていれば、仮に調査があっても落ち着いて対応できるでしょう。

税務調査が不安な美容室の経営者は税理士にご相談ください

この記事では、税務調査の対象となりやすい美容室の特徴や、チェックされやすい項目、対策などを解説しました。

大切なのは、売上や経費を管理し、証拠書類を整理して誠実に申告することです。基本を徹底していれば、調査を必要以上に恐れる必要はありません。

ただし、基本を徹底することは意外と難しいものです。帳簿や領収書の整理に疑問がある方や、税務調査の通知が来て不安な方は、1人で悩まず専門家にご相談ください。

税理士に相談すれば、資料整理や調査官対応などのサポートを受けられます。逆に自己流で対応すると、帳簿と証拠の不一致を見落としたり、説明不足で不要な指摘を受けたりするリスクが高まります。

美容室の税務調査についてのお困りごとやご相談は、ぜひ「小谷野税理士法人」までお気軽にお問い合わせください。

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この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
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