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税務調査で黙秘権は使える?受忍義務や罰則・調査の種類を解説

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税務調査で黙秘権は使える?受忍義務や罰則・調査の種類を解説

税務調査の場面で「黙秘してもよいのか?」と不安に思う方は少なくありません。協力しなければならないと聞いたことはあっても、具体的にどのような義務や権利があるのか、誤解しやすい部分も多いのが実情です。本記事では、税務調査における義務と権利の関係や、調査で確認される範囲、さらに調査対応で注意すべき点を具体的に解説します。税務調査への対応に不安を抱えている方は、ぜひ最後までご覧ください。

税務調査で黙秘権は使えるのか?

結論から言うと、税務調査では黙秘権を主張することは認められていません。では、なぜ税務調査で黙秘権を行使できないのか、その理由を法律の根拠とともに確認していきましょう。

黙秘権は刑事手続きで保障されている権利

黙秘権は刑事事件に限定された権利であり、税務調査では認められていません憲法38条では「自己に不利益な供述を強要されない権利」と規定され、刑事訴訟法198条では被疑者に供述を強制できないことが、同法311条では被告人が沈黙を選択できることが明記されています。

これらの条文はいずれも刑事手続きを対象としており、税務調査のような行政上の調査に黙秘権を適用する規定は存在しません。したがって、税務調査では黙秘を理由に協力を拒否できません。

参考:日本国憲法 | e-Gov 法令検索

参考:刑事訴訟法 | e-Gov 法令検索

税務調査には受忍義務(協力義務)がある

税務調査は納税者が一方的に拒否できない仕組みになっています国税通則法第74条では、税務署や国税庁の職員が調査に必要な場合、納税者や関係者に質問し、帳簿や資料の検査や提出を求められると定められています。

これは納税者に調査への協力を義務づける規定であり、いわゆる受忍義務(協力義務)と呼ばれるもので、税務調査では、この受忍義務に基づいて帳簿や領収書、契約書などの提示が求められます。つまり、税務調査には必ず応じなければなりません。

参考:国税通則法 | e-Gov 法令検索

参考:税務調査において「調査理由」を開示することは法的要件か | 国税庁

税務調査に協力しないと罰則の対象になる

税務調査に協力しなければ、法律上の罰則が科される可能性があります所得税法242条には、質問に答えなかったり、虚偽の答弁をしたり、帳簿の提示を拒否した場合、「1年以下の懲役または20万円以下の罰金」に処する規定が設けられています。

これは行政調査であっても、義務違反には刑事罰が伴うことを意味します。つまり、黙秘権を理由に調査を拒んでも権利行使とはみなされず、かえって処罰の対象となるので注意しましょう。

参考:所得税法 | e-Gov 法令検索

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任意調査と強制調査の違い

税務調査の時効に関するイメージ

税務調査には大きく分けて「任意調査」と「強制調査」の2種類があります。どちらも納税者に対する調査という点では共通していますが、実施の根拠や手続き、調査対象となる事案の性質は大きく異なります。

調査に備えて、それぞれの特徴を理解しておきましょう。

任意調査とは

任意調査は、税務署や国税局の職員が行う最も一般的な税務調査であり、納税者が一方的に拒否できるものではありません。これは、前述した国税通則法第74条の2に基づく質問検査権により実施される調査で、受忍義務や罰則の規定が適用されるためです。

法人だけでなく個人事業主や相続税の申告者も対象となり、通常は事前に通知されたうえで数日間にわたって帳簿や資料が確認されます。ただし、不正の疑いが強い場合には「無予告調査」として通知なしに行われる場合もあるので注意しましょう。

参考:国税通則法 | e-Gov 法令検索

強制調査とは

強制調査は、国税局査察部、いわゆる「マルサ」が担当する特別な調査であり、納税者は一切拒否できません国税犯則取締法に基づいて裁判所の令状を得て行われるため、調査官には帳簿や資料を差し押さえる強い権限が与えられています。

実施に際しては、100人以上の調査官が一斉に立ち入る大規模な調査になるケースが多く、対象は脱税額が多額で、悪質な隠蔽工作が行われている事案に限られるでしょう。

立件を目的とした犯罪捜査の一環であり、脱税が確認されれば検察庁に告発され、刑事事件として扱われるため、強制調査は通常の税務調査とは性質が異なる、重大な脱税事案に対して行われる調査と認識しておきましょう。

参考:国税犯則取締法施行規則 | e-Gov 法令検索

税務調査での受け答えの注意点

個人事業税がかからない業種のイメージ

税務調査では、調査官からの質問にどう答えるかが大きなポイントになります。不適切な受け答えは誤解を招き、余計な疑念を生む原因にもなりかねません。実際に調査を受ける際に押さえておきたい基本的な対応について解説します。

即答せず確認して回答する

税務調査では、その場で即答できない場合に無理に答える必要はありません不正確な答えは調査官の不信感を招く可能性があるためです。

例えば、数字や資料の裏付けが必要な質問では「後ほど確認して回答します」と伝えることが適切です。正確さを優先した対応を心がければ、信頼性を保ちながら調査に臨めるでしょう。

質問に絞って答える

調査中は、聞かれたことに対してのみ答えましょう必要以上に余計な情報を口にすると、かえって新たな疑念を招く可能性があるためです。

例えば、関連のない経費や過去の取引まで自ら言及してしまうと、調査範囲が広がってしまう恐れがあるでしょう。質問に正確かつ簡潔に答える姿勢を徹底すれば、不必要なリスクを避けられます。

事前に税理士と打ち合わせる

税務調査の通知を受けたら、事前に税理士と打ち合わせをしておくのが有効です調査ではどの書類が必要になるか、どのような質問が想定されるかを事前に把握できるためです。

例えば、帳簿の整理や回答の準備を一緒に進めておけば、当日も落ち着いて調査に対応できるでしょう。専門家のサポートを受ければ、余計な不安を抱かずに臨める点もメリットです。

税務調査に関してよくある質問

税務調査は日常的に経験するものではないため、いざ通知を受けると多くの疑問や不安が生じます。特に問い合わせの多い代表的な質問について整理し、基本的な考え方を確認していきましょう。

税務調査は突然来るのですか?

税務調査は、原則として事前に通知されるのが一般的です。通常の任意調査であれば、実施の1〜3週間前に電話や書面で連絡が入りますが、帳簿隠しや改ざんの恐れがあると判断された場合には、予告なしで行われる「無予告調査」となるケースもあります。

通常は準備期間が設けられますが、不正が疑われると突然調査に入られる可能性がある点に注意しましょう。

参考:税務調査手続に関するFAQ(一般納税者向け)|国税庁

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調査官の質問に「わからない」と答えても問題ないですか?

調査官からの質問に対し、正直に「わからない」と答えること自体は問題ありません。正確な答えを求められるため、不明な点を曖昧に答えるよりも誠実に伝える方が重要です。

ただし、意図的に虚偽の説明をすると罰則の対象になる可能性があるので注意しましょう。疑問点や不安がある場合には、その場で不用意に答えるのではなく、税理士などの専門家に確認したうえで対応するのが安全な方法です。

税務調査で調べられる範囲はどこまでですか?

税務調査で調べられるのは、申告内容の正確性を確認するために必要な範囲に限られます

帳簿や領収書といった会計資料に加え、取引先との契約書や銀行の預金通帳なども対象となる場合があります。特に、自宅兼事務所の家賃や共用口座のように、事業用と私的利用が混在する資料は重点的に確認されやすいので注意しましょう。

無制限に調べられるわけではありませんが、必要とされる資料は事前に準備しておくのが大切です。

税務調査対応に不安がある方は専門家に相談

税務調査は、黙秘権が認められない行政手続きであり、協力を拒めば罰則の対象となるリスクがあります。

独自に対応しようとすると不利な状況に陥る可能性もあるため、不安に感じる方は、税務調査に精通した専門家へ早めに相談するのが安心でしょう

小谷野税理士法人では、豊富な経験をもとに調査前の準備から当日の立会い、調査後の対応までサポートしています。税務調査対応でお悩みの方は、ぜひ一度小谷野税理士法人にご相談ください。

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この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
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