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不動産業で税務調査が入るケースと対策!追徴課税を避ける管理術とは

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不動産業で税務調査が入るケースと対策!追徴課税を避ける管理術とは

不動産業や不動産投資は取引する金額が大きく、会計処理も複雑なため、税務調査の対象となりうる業種の1つです。税務調査が来ると不安を覚える方もいますが、調査の内容や流れを把握して、適切な対策を用意して対応しましょう。本記事では、不動産業者・不動産投資家が税務調査の対象となるケースを解説します。税務調査でチェックされる項目、追徴課税を避けるコツにも触れているため、ぜひ最後までご覧ください。

不動産業・不動産投資で税務調査の対象となる4つのケース

税務調査とは確定申告の内容に誤りがないか、国税庁が誤りや不正が疑われる事業者を対象として訪問調査することを指します。確定申告する事業者すべてが対象であり、不動産業や不動産投資家も例外ではありません。

まずは、不動産業・不動産投資家で税務調査の対象となるケースとして、4つを紹介します。

不動産の売却益や家賃収入などで多額の所得がある

不動産業による所得が大きいと納税額も高額になるため、税務署は申告内容を慎重に確かめる傾向にあります。特に以下の申告をしている場合は、税務調査の対象となる可能性が高まります。

  • 不動産を売却して高額な所得を得ている
  • 複数の物件から多額の家賃収入を得ている

所得が大きいと納税額が大きいだけでなく申告内容も複雑になりやすいため、個人・法人を問わず所得が大きいと注視されます。

税務調査では計上された収入や経費に誤りがないか、適用した制度の要件を満たしているかが確認されます。万が一の税務調査に備えるためにも、申告内容を経理や税理士に丸投げするのではなく、自分でも正しく把握しておきましょう。

不動産の取得や売却で資産が大きく動いている

不動産取引において物件の購入や売却が続き資産が大きく変動している場合、税務署から注視される可能性は高まります。

  • 不動産を売却して高額な譲渡益が発生している
  • 短期間で多くの物件を取引している

取引が短期間かつ高額であると、不動産の取引で生じた金額や減価償却費、各種控除が正しく行われているか厳しく確かめられます。

加えて、不動産の所有権が移転した際は、登記情報により税務署も把握できます。そのため、申告内容と登記情報に食い違いがないかどうかも、税務調査が入るか否かに関わるポイントです。

前年度に比べて所得が急激に増減している

過去の申告内容に対して不動産所得が大幅に変動している場合、税務調査の対象となる可能性があります。もちろん、新規物件の取得や家賃収入の増加、大規模な修繕などの明確な理由があれば問題ありません

一方で、特別な理由が見当たらないにもかかわらず所得が大きく変動している場合は、計上漏れや経費の過大計上が疑われます。特に所得が大幅に減少した場合は、正しく経費計上されているか、申告内容は妥当であるのか、税務調査により詳しく調べられます。

前年度より不動産所得が急激に増減している場合は、理由を帳簿や書類で明確に説明できるよう準備しておくことが大切です。

過去の確定申告でミスを指摘されている

過去の確定申告でミスが指摘されている不動産業者や不動産投資家も、税務調査の対象となる可能性があります。一度誤りを指摘されるとその情報が税務署内で記録され、以降は適切に申告されているか注視されてしまうでしょう。

同じ申告ミスを繰り返していないか、指摘された箇所以外に問題はないかが、調査の対象です。申告ミスが多ければ、本来の納税額と実際の税額がかけ離れてしまう恐れもあるため、指摘は真摯に受け止めなければいけません。

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不動産業の税務調査で厳しくチェックされるポイント5つ

償却資産申告書とはのイメージ

税務調査では税務のミスはもちろん脱税につながる不正を見抜くために実施されます。そのため、特に不動産所得の金額に直接影響する項目は、厳しく調査されるでしょう。

不動産業や不動産投資の税務調査で厳しく確認されるポイントとして、5つを解説します。

家賃収入や礼金などの売上に申告漏れがないか

税務調査においてまず確かめられる項目が、売上や収入の計上漏れです。不動産業ではさまざまな項目で売上や収入が発生します。

  • 毎月の家賃収入
  • 賃貸契約時の礼金
  • 共益費
  • 家賃の更新料
  • 駐車場代
  • 自動販売機などの設置料

不動産運用では多岐にわたる収入を正しく・漏れなく記帳できているかを、賃貸契約書などの資料と照合し、厳しく調査されます。特に管理会社を介さず現金で直接受け取った収入は計上漏れのリスクが高いため、厳重に管理しましょう。

個人的な支出を経費計上していないか

経費計上できるものは、不動産業や不動産賃貸業、不動産投資で直接必要となった支出に限られます。そのため、自宅の家賃や水道光熱費をはじめ、個人的な支出を経費に含めていないかは、厳しく確認されます。

説明できない支出は経費として認められない恐れもあるため、正しい経費計上と仕訳内容の備考も記録しておくと安心です。

修繕費や減価償却費が正しく計算されているか

不動産を扱う業界では、修繕費や資本的支出、減価償却費も確認されるポイントです。

  • 修繕費:物件の原状回復や維持のための支出
  • 資本的支出:物件の価値を高めるための支出

同じ物件に対する支出であっても、目的により仕訳は変わります。資本的支出は高額であれば減価償却でき、数年にわたって経費計上できます。

減価償却すると、不動産の取得価額や耐用年数が正しいか、厳正に確認されるため注意が必要です。

加えて、修繕費や資本的支出の計上・減価償却を誤ると、以降の所得計算に大きな影響をおよぼす恐れもあるでしょう。数年後にミスが発覚して税務調査が入る恐れもあるため、正しい申告はもちろん計算の根拠も明らかにしておくことが求められます。

敷金や保証金の会計処理が適切に行われているか

税務調査では、預かり金の残高と敷金・保証金の管理状況、仕訳が適切に行われているかも確認されます。入居者から預かる敷金や保証金は、退去時に返還する預かり金であるため、売上にはなりません。将来的に返還するお金は負債として扱われます。

ただし、契約内容に基づき返還しないことが決まった際は、収益として計上しなおさなければいけません。会計上の誤りは申告漏れと判断される恐れもあるため、注意のうえ仕訳・確定申告しましょう。

消費税の課税対象か否かを正しく仕訳できているか

不動産取引は、内容により消費税の課税・非課税が変わり、正しく判断して仕訳しなければいけません。

  • 非課税:居住用物件の家賃
  • 課税:事業用物件や店舗、駐車場の賃料

基本的には、居住用物件は非課税であり、事業用物件は課税されます。賃貸契約における礼金や更新料も、物件が居住用か事業用かによって変わるため、不動産の用途も正しく把握することが大切です。

税務調査では、消費税の課税対象か否かもチェックされ、消費税や売上を正しく申告しているかも確認されます。特に課税事業者になった年度や簡易課税制度を選択している場合は計算ミスが起きやすく、申告内容を詳しく確かめられるでしょう。

参考:国税庁|No.6505 簡易課税制度

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不動産業における税務調査の4ステップ

税務調査は主に2つの方法で実施されます。

  • 無予告調査:予告なく事業所や自宅に調査員が訪問する
  • 任意調査:事前に連絡したうえで調査を実施する

不動産業や不動産投資を行う事業者や個人の場合は、任意調査により実施される場合がほとんどです。税務署から通知が入って焦らないためにも、税務調査はどのような流れで進むのか把握しておきましょう。

税務署から電話または書面で事前通知が届く

任意調査の場合、実際に税務調査が入る前に担当者より、電話または書面で連絡が入ります。税理士と契約している場合は、事業者や投資家本人ではなく、税理士に連絡が入るでしょう。

事前通知では、以下の内容について案内されます。

  • 調査対象となる税金の種類(所得税など)
  • 調査対象となる期間(一般的には直近3年分)
  • 調査を希望する日時
  • 調査に入る場所

事前の通知は納税者側が準備する機会を与えるものであり、「任意調査」であっても正当な理由なく拒否はできません。やむをえず調査に対応できない場合は、日程をずらしてもらえるか相談しましょう。

調査日程を決めて必要書類を準備する

事前通知にて案内された日程をもとに、税務署の担当者と調査を実施する日程を決めましょう。一般的には、通知から調査実施日まで2週間〜1ヵ月ほどの猶予があります。

具体的な日程が決まったら、調査当日までに税務調査に必要な書類を準備しましょう。

  • 会計帳簿(総勘定元帳や仕訳帳)
  • 確定申告書の控え
  • 賃貸借契約書
  • 売買契約書
  • 工事請負契約書

そのほか、調査対象の税金に合わせて、契約書や領収書、預金通帳などの準備が必要です。会計書類は原則7年間の保存が義務付けられているため、対象期間のものをすぐに用意できるよう整理しておきましょう。

調査員による質問や確認に対応する

税務調査の当日は、通常1〜2名の調査担当者が指定の事業所や自宅に訪問して、調査に入ります。調査は1〜3日で完結する場合がほとんどで、一般的には以下の流れで調査されます。

  • 午前:事業内容や税務・会計の対応体制をヒアリングされる
  • 午後:帳簿や会計書類などをもとに具体的な取引内容を確認される

税務調査では不動産所得を計算した根拠や経費の内容について、書類1枚1枚まで細かく質問される可能性があります。あいまいな回答はさらなる質問につながり、調査が長引く恐れがあるため、準備段階から申告内容を広く見直しておきましょう。

調査結果を確認して追徴課税があれば納税する

実地での調査から数週間〜1ヵ月ほどで、税務署より調査結果の連絡が入ります。調査内容と申告内容に問題がなければ「是認通知」が届き、以降は対応の必要はありません。

しかし、調査により申告ミスや漏れが指摘された場合は、修正申告の指導が入ります。指摘内容に納得できた場合は修正申告書を提出し、修正に伴い発生した税金を納付しましょう

  • 本税:修正申告で発覚した本来納付すべき税金
  • 過少申告加算勢:本来の税額より申告税額が少ない場合に支払う税金
  • 延滞税:決められた期限までに納付されなかった税金に対して発生する税金

修正申告により発生した納税額は、総称して追徴課税と呼ばれます。

税務調査にむけて不動産業者ができる対策4つ

税務調査はいつ自分が対象となるか予測できないため、日頃より正しい税務管理と準備を徹底することが何より重要です。税務調査で指摘を受けるリスクを抑えて、万が一調査が入った際もスムーズに対応できるよう会計書類を適切に管理しましょう。

契約書や領収書などの会計書類を正しく保管する

万が一の税務調査に備えて、契約書や領収書をはじめとした書類は正しく保管し、すぐに見直せる体制に整えておきましょう。税務調査では、申告された取引がすべて事実であることを証明するため、会計書類も細かく確認されます

書類がなければ実際にあった取引だとしても、計上した経費が認められない恐れがあります。そのため、不動産取引に関する書類は、日付や取引先ごとに整理して適切に保管しましょう。

なお、電子帳簿保存法の改正により、2024年1月より電子取引された書面は電子取引データでの保存が義務付けられました。新たな保存ルールも把握のうえ、法的に認められる取引書類として、適切に書類を管理してください。

参考:国税庁|電子帳簿等保存制度特設サイト

事業用と個人用の銀行口座を使い分ける

個人事業主の場合、事業用と個人用の資金を同じ口座で管理している方も多いでしょう。しかし、同じ銀行口座で管理してしまうと、公私混同を疑われて不正な取引がないか税務調査が入る恐れがあります。

税務調査で経費の内容を問われても明確な説明ができない恐れもあるため、不動産取引と個人用で銀行口座を分けておくと安心です。

家族への給与や管理委託料は相場の範囲で支払う

家族に不動産取引による給与を支払う際は、相場の範囲で金額を設定しましょう。親族や配偶者に支払う給与や報酬として、主に以下の2つが挙げられます。

  • 専従者給与:親族や配偶者を従業員として雇用し支払う給与
  • 管理委託料:親族が経営する管理会社に物件の管理業務を委託する報酬

いずれの場合も、不動産取引においてはあくまでも給与または報酬です。しかし、給与や報酬は経費計上でき、相場を逸脱する高額な金額では税負担を軽くする目的での計上を疑われるリスクがあります。

不動産分野に詳しい税理士に相談する

不動産業の税務は非常に複雑かつ専門的な知識が求められるため、専門の税理士を頼ることも大切です。不動産取引に必要な税務には、さまざまな課題があります。

  • 減価償却や修繕費などの支出の区分分け
  • 消費税の課税・非課税の判断

複雑な仕訳や税務は、不動産業に精通した税理士に日頃から依頼することが、確実かつ効率的です。専門家に正確な確定申告書を作成してもらえば、税務署からの信頼も獲得でき、税務調査の対象となる可能性も減らせるでしょう。

加えて、万が一税務調査の対象となった際も、税理士に立ち会いを依頼すれば調査員に専門的な交渉や説明を任せられます。

不動産取引は税務調査の対象とならないよう税理士にご相談ください

不動産業や不動産投資は会計が複雑化しやすく、税務調査の対象となりやすい業界です。税務調査では申告内容が正しいか、実態のある取引内容であるか、専門的な項目が確認されます。

特に大きな不動産取引があり資産が大きく変動した年は、取引に問題がないか注視されるため、適切な税務を目指しましょう。税務調査の対象とならないため、万が一対象となった際も焦らず対処するためには、正しい書類管理と確定申告が求められます。

しかし、不動産取引に関わる税務は判断に迷う処理も多いため、不動産分野に詳しい税理士に頼ることが先決です。不動産業を営んでいる方、不動産取引における税務調査にお悩みの方は、ぜひ「小谷野税理士法人」へお気軽にご相談ください。

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この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
  • 会社設立の基礎知識 特集「法人のための確定申告」
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