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会社設立の基礎知識

公益法人・一般法人・財団法人・社団法人の違いと設立・運営のポイントを解説

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公益法人・一般法人・財団法人・社団法人の違いと設立・運営のポイントを解説

法人を設立する際、「公益法人」・「一般法人」・「財団法人」・「社団法人」といったさまざまな名称に戸惑う方も多いのではないでしょうか。これらはそれぞれに法律上の位置づけや設立要件、税制上の扱いが異なります。本記事では、法人格の種類ごとの違いや設立手続き、認定の流れ、運営上の注意点についてわかりやすく解説します。それぞれの法人の違いや選び方に迷っている方は、ぜひ最後までご覧ください。

一般法人と公益法人の違い

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法人には「一般法人」と「公益法人」の2つの大きな区分があり、それぞれ設立目的や制度上の扱いが異なります。

一般法人は比較的自由に設立できるのに対し、公益法人は公益性や透明性など厳格な条件を満たす必要があります。以下の比較表をもとに、その違いを具体的に見ていきましょう。

項目

一般法人

公益法人

設立目的

任意(営利を目的としない限り自由)

公益目的に限定

設立手続

登記のみで可能

所轄庁の認定を要する

所轄庁

法務局(登記)

内閣府または都道府県知事

税制優遇

原則なし

寄付金控除や法人税優遇があり

情報公開

義務なし(条件により会計開示)

年次報告書等の公開義務あり

会計監査

要件に応じて任意

原則として外部監査が義務

関連記事:法人の種類とは?比較一覧まとめ!形態・特徴の違いを分かりやすく解説

設立の自由度

一般法人は、目的が公益でなくても、営利を目的としない限り自由に設立できるため、非常に柔軟な制度です。

一方、公益法人は「教育・福祉・環境保全」など社会的に意義のある公益目的に限定されており、その活動内容も制約を受けます。

したがって、設立時の自由度や事業の幅広さを求めるのであれば、一般法人の方が適していると言えるでしょう。

法的手続と所轄庁

公益法人は、一般法人として登記した後、所轄庁(内閣府または都道府県)に対して公益認定の申請を行う必要があります

認定には、公益性や財務健全性、ガバナンス体制などに関する厳格な審査があり、手続きには相応の時間と労力がかかります。

これに対し、一般法人は法務局での登記のみで設立可能であるため、設立の手間とスピードに大きな違いがあります。

税制・寄付に関する優遇措置

公益法人は、一定の条件を満たすことで寄付金が法人税や所得税の控除対象となり、寄付者にとってもメリットがあります。さらに、収益事業の課税範囲や税率にも一部優遇措置が適用され、財政的にも有利です。

一般法人にはこれらの税制優遇が原則として適用されないため、資金集めや活動の継続性において公益法人の方が有利と言えるでしょう。

関連記事:一般社団法人の活用で節税するスキームとは?法改正の影響を解説!

関連記事:公益法人の財務分析で重要な財務三基準とは?法改正後の変更点も解説

会計処理・情報公開

公益法人は、厳格な会計基準に則った帳簿管理が求められ、財務諸表や事業報告書などの情報公開が義務付けられています。また、一定規模以上の法人では外部監査を受ける必要もあり、透明性と説明責任の確保が重視されます。

これに対して、一般法人では会計処理の自由度が高く、情報公開義務も限定的なため、運営における管理体制に違いが見られます。

財団法人と社団法人の違い

「財団法人」と「社団法人」は、いずれも法人格を持つ非営利の組織であり、「一般法人」または所轄庁の認定を受けた「公益法人」として設立されます。

具体的には、それぞれ「一般財団法人/公益財団法人」または「一般社団法人/公益社団法人」という形で区分され、目的や運営体制に明確な違いがあります。

両者の違いや運営上の特徴について解説します。

項目

社団法人

財団法人

設立主体

複数の人(社員)

拠出者による財産

意思決定機関

社員総会+理事会

理事会中心

(評議員会設置型もあり)

主体

人の集合

財産

(設立者の意思で拠出)

活動内容

会員制団体・業界団体・研究会など

奨学金・寄付・助成事業など

公益認定基準

会員制を超える公益性・透明性

財産運用の健全性と

公益目的への適合性

設立時の構成

財団法人は設立者が拠出した財産をもとに設立されるのに対し、社団法人は複数の人(社員)によって組織されます。つまり、財団法人の主体は「モノ(財産)」であり、社団法人の主体は「ヒト(社員)」です。

この違いにより、法人の設立方法や必要な構成要素が大きく異なります。特に財団法人では、初期財産の額や使途の妥当性が設立審査で重要視されます。

意思決定機関の構造

社団法人では社員総会が最高意思決定機関として位置づけられ、会員の意志が法人運営に直接反映されます。

一方、財団法人では原則として理事会が意思決定の中心を担い、評議員会を設けることもあります

構成員の存在を前提としない財団法人では、ガバナンス体制の中核は理事会に置かれ、設立者の意向と財産の運用に基づく運営が行われます。

活動目的と社会的役割

社団法人は業界団体や研究会など、人の集合体による相互交流や事業活動を目的とする場合に適しています。

一方で財団法人は、奨学金支給や研究助成など、安定した資産を活用した公益的支援活動に適しています。

つまり、社団法人は「人的つながり」が強みであり、財団法人は「財産による支援」が主軸となるため、活動目的に応じた選択が重要です。

公益認定プロセス

公益認定にあたっては、社団法人では実際の活動実績や公益性の明確さが重視されますが、財団法人では財産の運用状況やその使途が公益目的に適合しているかが評価の中心になります

両者とも所轄庁による審査が必要ですが、評価の観点に違いがあるため、認定申請の際には法人形態に応じた準備が求められます。

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法人設立の流れについて

法人の設立には、一般法人としての設立手続きに加え、公益法人を目指す場合は認定申請が必要です。それぞれのステップや必要書類の違いを把握して、正確かつ効率的な準備を行いましょう。

一般法人の設立手順

一般社団法人・一般財団法人は、比較的簡易な手続きで設立できます。設立の基本ステップを確認しましょう。

ステップ

内容

定款の作成

法人の目的・事業内容・役員構成を記載する

定款の認証

公証人役場で定款を認証

登記書類準備

設立登記に必要な書類を整える

登記申請

法務局にて法人登記 → 設立完了

一般社団法人は社員2名以上がいれば設立可能で、登記を行うことで法人格が発生します登記後は税務署等への届出も必要です。

一方、一般財団法人は設立時に一定の財産を拠出し、その財産を基に活動することが前提となります。いずれの場合も、目的が営利でないことが設立の前提条件です。

公益法人として認定されるまでの流れ

公益法人となるには、一般法人を設立した後、所轄庁の厳格な審査を経て認定を受ける必要があります。申請の手順と注意点を押さえておきましょう。

ステップ

内容

一般法人として設立

まずは一般社団/一般財団として登記する

認定書類の準備

公益目的・会計・ガバナンス等の詳細な計画書を作成する

所轄庁へ申請

内閣府や都道府県に認定申請を行う

審査

数ヶ月の審査を経て、公益認定の可否が決定される

公益法人になるには、まず一般法人として設立したうえで、公益認定の申請を行う必要があります認定の審査では、「公益目的事業比率50%以上」などの厳格な基準が課されます。

認定が下りなければ公益法人として活動できないため、要件を十分に満たす事業計画と体制整備が重要です。

必要な書類一覧

法人設立や公益認定には、複数の法定書類の提出が必要です。それぞれの役割や注意点を理解して、正確に準備しましょう。

書類

説明

定款

法人の根本規則で目的・事業・役員構成などを明記

設立趣意書

設立の背景と目的を説明する文書

事業計画書・収支予算書

活動予定と収入・支出の計画を記載

財産目録

設立時点の財産状況を一覧化した書類

理事・監事の誓約書等

応募者の情報・反社排除の確認文書

これらの書類は公益法人に限らず、一般法人の設立時にも求められることが多く、形式だけでなく中身の整合性や法的要件の充足が重要です。

不備があると手続きが遅れるため、専門家の確認を受けながら正確に準備しましょう。

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公益法人の運営における5つのポイント

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公益法人として認定を受けた後も、その公益性や信頼性を維持し続けることが重要です。ここでは、安定的かつ適正な運営を行うために押さえておきたい以下5つのポイントを解説します。

  1. 事業の公益性を継続的に確保する
  2. 情報公開と説明責任
  3. 評議員・理事の適正な選任と運営
  4. 適正な会計処理と監査対応
  5. 所轄庁との連携と報告義務

事業の公益性を継続的に確保する

公益法人として活動を継続するには、事業の公益性を維持することが何よりも重要です

公益認定を受けた法人は「公益目的事業比率50%以上」などの継続的な基準を満たす必要があるからです。

仮に公益性が不十分と判断されれば、所轄庁から認定の取り消し処分を受ける可能性があるでしょう。

公益性を満たす活動の範囲や比率について定期的に見直し、法人内部での意識づけと実務レベルの運用を徹底する必要があります。

情報公開と説明責任

公益法人は、活動の透明性を確保するために情報公開と説明責任を果たすことが求められます

具体的には、事業報告書、計算書類、財産目録などを定期的に所轄庁へ提出し、ホームページ等を通じて一般にも公開することが義務付けられています。

これは、公益法人が税制優遇など公的な信頼を前提に成り立っているためであり、社会に対する説明責任を果たすことで法人の信用を維持・向上させることができます。

評議員・理事の適正な選任と運営

公益法人の運営では、評議員や理事などの役員が適切に選任され、健全に機能していることが不可欠です

法人運営の意思決定が適正かつ中立に行われるかどうかが、公益性の維持や外部からの信頼に直結するためです。

役員に親族が集中していたり、形式的な会議しか行われていない場合は、ガバナンス体制の不備とみなされ、指導や認定取消の対象になることもあるでしょう。職務内容に応じた役員構成と定期的な評価が求められます。

適正な会計処理と監査対応

公益法人には、会計処理の正確性と第三者による監査体制の構築が強く求められます

公益認定法人は、公益法人会計基準に従って帳簿を作成し、毎年の決算報告書を提出する必要があります。さらに、一定規模を超える法人は外部監査を受けなければなりません。

これにより、財務の透明性や不正防止が確保され、所轄庁や社会に対する信頼の裏付けになります。

所轄庁との連携と報告義務

公益法人は、設立後も所轄庁との適切な連携を保ち、必要な報告を怠らないことが重要です

公益認定の維持には、事業活動の進捗状況や会計情報などを定期的に報告し、所轄庁からの監督を受ける義務があるためです。

報告が遅延したり内容が不備であると、法人運営の不透明性を疑われ、是正指導や認定取消のリスクが高まります。行政との信頼関係を築くためにも、誠実な報告と日頃からの連絡体制の整備が欠かせません。

公益法人の設立・運営に関してよくある質問

FAQ

公益法人の制度は専門的な要素が多く、設立や運営に際してさまざまな疑問が生じがちです。以下で、特に問い合わせの多い質問をご紹介します。

公益法人とNPO法人の違いは何ですか?

公益法人は公益性の高い活動を行う一般社団・財団法人が、所轄庁の認定を受けたものですが、NPO法人は「特定非営利活動促進法」に基づいて設立される非営利法人で、設立や運営の制度・要件が異なります

公益法人は税制優遇や厳格なガバナンスが求められる一方、NPO法人は市民活動を支援する柔軟な制度として位置づけられています。

公益法人の設立にはどれくらい時間がかかりますか?

一般社団法人や一般財団法人の設立自体は比較的短期間で可能ですが、公益認定を受けるには6ヵ月から1年程度かかるのが一般的です

これは、公益目的事業の比率やガバナンス体制、会計処理の整備状況などについて所轄庁が厳しく審査を行うためです。事前準備や認定申請書類の精度によって、審査期間には個別差が生じます。

公益法人が取り消されることはありますか?

公益法人であっても、公益性を欠いた活動を行ったり、法定の報告義務を怠った場合には、所轄庁から公益認定を取り消されることがあります

特に、公益目的事業比率が70%を下回ったり、会計書類や事業報告の不備が続いた場合には、是正指導や監査対応を求められ、それでも改善されない場合に認定取消となるリスクがあります。

法人格の選び方や認定手続きに迷ったら専門家に相談

公益法人は、法的手続きや運営ルールが複雑で、正確な知識と対応が求められます。手続きの不備や税制対応の誤りがあれば、認定取り消し・追徴課税といったリスクが発生することもあるでしょう。

こうしたリスクを回避し、スムーズな設立・運営を実現するためには、公益法人に強い専門家への相談が重要です

小谷野税理士法人は、法人設立支援から公益認定、会計・税務顧問、運営相談までトータルでサポートします。

「設立の仕方がわからない」、「公益認定の要件を満たせるか不安」、「運営や会計が適切か心配」といったお悩みをお持ちの方は、まずは小谷野税理士法人にご相談ください。

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この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
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