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株の損失は繰越ができる!確定申告のやり方と注意点

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株の損失は繰越ができる!確定申告のやり方と注意点

株式投資で損失が出た場合、損益通算をすることで翌年以降の利益と相殺し、節税につなげられます。また確定申告を行えば、配当や譲渡益との損益通算、さらには最大3年間の繰越控除も可能です。ただし、制度の適用には書類の提出や連続した申告が必要で、手続きや税負担に注意が必要です。この記事では、損益通算・繰越控除の基本からe-Taxを使った申告方法、活用時の注意点までをわかりやすく解説します。

上場株式等の損失は3年間繰越控除が可能

個人投資家 デイトレ 株式投資

上場株式等を売却して損失が出た場合、その損失は確定申告で同じ年の配当や公社債等の利子の所得と損益通算が可能です。ただし、これは申告分離課税を選んだ場合に限ります。それでも控除しきれない損失は翌年以降3年間にわたって、同様の所得から繰越控除可能です。

ただし、以下の場合は損益通算や繰越控除ができません。

  • 一般株式等の譲渡所得と通算すること
  • 相対取引による損失
  • NISAやジュニアNISA口座内での損失

また損益通算及び繰越控除は、金融商品取引業者を通じて上場株式等を売却し、譲渡損失が発生した人が対象です。

参考:No.1474 上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除|国税庁

関連記事:株の損失は確定申告でお得?節税のための損益通算・繰越控除について

損益通算・繰越控除を受けるための手続き

以下では、損益通算・繰越控除を受けるための手続きをまとめました。

譲渡損失と配当所得の損益通算を受けるための手続き

  1. 該当年の確定申告書に「損益通算を受ける」旨を記載する
  2. 以下の2つの書類を確定申告書に添付して提出する
  • 「所得税および復興特別所得税の確定申告書付表(上場株式等に係る譲渡損失の損益通算および繰越控除用)」
  • 「株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書」

損益通算後も控除しきれない損失を繰り越す手続き

損失が出た年の確定申告で、上記2つの書類を添付して申告する
※その翌年以降も連続して、同様の書類を添付した確定申告を毎年行うこと

繰越控除を受ける年も、以下の書類を添付して申告

  • 「確定申告書付表(譲渡損失の損益通算および繰越控除用)」
  • 「譲渡所得等の金額の計算明細書」(譲渡所得がある場合)

必要書類は毎年同じで「連続して確定申告すること」が繰越控除を受ける重要なポイントです。

参考:No.1474 上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除|国税庁

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損益通算をするデメリット

税理士に丸投げするデメリットのイメージ

確定申告で損益通算を行う場合、以下の2つの点に注意が必要です。

手続きに時間や労力がかかる

損益通算の手続きでは、各種所得の金額を正確に算出しなければならず、確定申告の作業が煩雑になりがちです。特に複数の所得(給与・事業・不動産等)がある場合、それぞれの収支状況を把握した上で損益を相殺する必要があります。

申告書の作成には通常でも時間がかかりますが、損益通算の処理が加わることで、さらに作業量が増えることが想定されます。はじめて申告する人にとっては、難易度が高く感じられるかもしれません。

税金や保険料の負担が増える可能性がある

損益通算を目的に確定申告を行うと、結果的に税や保険料の負担が増す場合もあります。上場株式の配当や譲渡益は、特定口座で源泉徴収されていれば申告不要です。しかし損益通算を行うために確定申告をすると、これらの所得が住民税や国民健康保険料の計算対象に含まれてしまいます。

そのため、所得税の負担は軽減できても、結果として保険料が上がるといった逆効果になる可能性があります。損益通算を行う前に、所得全体への影響をしっかりと確認しておくことが重要です。

関連記事:特定口座の取引における損益通算の方法とは?確定申告をした方が得になるケースと注意点

株の損失が出たときの確定申告のやり方

ストックオプションの税金のイメージ

株式取引で損失が出た場合でも、確定申告を行うことで他の利益と損益通算が可能となり、節税につながることがあります。ここでは、国税庁の電子申告システム「e-Tax」を使った申告手順を紹介します。

必要書類をそろえる

まずは、申告に必要な書類を用意しましょう。主に以下の書類が必要です。

  • 確定申告書(第一表・第二表・第三表)
  • 特定口座年間取引報告書
  • 株式等に係る譲渡所得の計算明細書
  • 所得税および復興特別所得税の申告書付表
  • 源泉徴収票(給与所得がある場合)
  • 控除証明書(生命保険料控除等)
  • 必要経費の領収書や証明書

「特定口座年間取引報告書」は、証券会社のマイページからダウンロード可能です。その他の申告書類は、国税庁のホームページから入手できます。

参考:確定申告書等様式コーナー(株式等譲渡益課税関係)|国税庁

e-Taxの事前準備を行う

確定申告期間(例年2月16日〜3月15日)にあわせて、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」が利用可能になります。アクセスする前に、以下の準備をしておきましょう。

  • マイナンバーカード
  • マイナンバー対応のスマートフォンまたはICカードリーダー
  • マイナンバーのパスワード

なお、スマホで申告する場合はe-Tax用アプリのダウンロードも必要です。

確定申告書作成コーナーにアクセス・ログイン

準備が整ったら、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」へアクセスし、「申告書を作成する」からログインします。マイナンバーカードを使って本人確認を行いましょう。

譲渡所得の入力を進める

ログイン後は、所得税の確定申告書作成ページから「株式等の譲渡所得」を選び、次の内容を入力していきます。

  • 所得の区分(上場株式等)
  • 証券口座の種別(特定口座・一般口座)
  • 源泉徴収の有無
  • 売却金額・取得費・手数料
  • 証券会社の名称

入力が完了すると、システムが自動で損益や納税額を計算してくれます。

内容を確認して申告を完了させる

すべての入力が完了したら、表示される還付額または納付額を確認し、マイナンバーや連絡先を入力して申告データを送信しましょう。送信後に表示される「受付完了画面」は、PDF等で保存しておくことをおすすめします。

関連記事:上場株式の譲渡損失を3年間繰越控除するにはどうすればいい?

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確定申告を忘れてしまった場合の対応

確定申告が必要であるにもかかわらず申告を忘れていた場合は、気づいた時点で速やかに申告を行いましょう。申告をしないままでいると、税務署長が所得や税額を強制的に決定することがあります。

期限を過ぎて申告した場合や税務署から決定処分が下された場合には、無申告加算税等のペナルティが課される可能性があります。さらに納付が遅れた場合には、延滞税も併せて支払う必要があるため、十分に注意が必要です。

参考:確定申告が間違っていたとき・確定申告を忘れていたとき|国税庁

上場株式等の譲渡損失を損益通算・繰越控除する際の注意点

上場株式等に係る譲渡損失の損益通算や繰越控除には、節税につながる反面、思わぬ影響が出る可能性があるので注意しましょう。

これらの制度を活用すれば、譲渡損失を他の利益と相殺できるため、所得税や住民税を軽減できる場合があります。また、所得が減ることで社会保険料が下がるケースもあります。

しかし、2024年度以降は税制改正により、所得税と住民税で異なる課税方式を選ぶことができなくなりました。その結果、所得税で申告した内容がそのまま住民税にも反映され、住民税上の「合計所得金額」に含まれる点には注意が必要です。

例えば配偶者控除の適用には「合計所得金額が58万円以下」という要件があります。配偶者特別控除の場合でも、58万超~133万円以下である必要があります。

配偶者が株式投資等を行っており、譲渡損失の損益通算や繰越控除を受けた場合でも、「控除前」の所得が判定基準となります。したがって、損益通算の結果によっては控除の対象から外れてしまう可能性があるのです。

損益通算や繰越控除を利用する際は、節税効果だけでなく、住民税や各種控除への影響も含めて総合的に判断することが大切です。

関連記事:投資でのマイナス分は確定申告で節税できる?申告義務ややり方を解説

まとめ

繰越控除制度は、上場株式等の損失を翌年以降3年間にわたり繰り越し、将来の利益と相殺できる有効な節税策です。ただし、この制度を利用するには毎年継続して確定申告を行い、所定の書類を正しく提出する必要があります。

確定申告の手間が増えるだけでなく、場合によっては保険料や控除要件への影響も出る点に注意が必要です。株式投資の損失を無駄にせず、将来の利益に活かすためには、ルールをしっかり理解し、戦略的に確定申告を行いましょう。

もし上場株式の損益通算・繰越控除について不安なことがあれば、税理士等の専門家へ相談するのも有効な手段です。小谷野税理士法人では、損益通算・繰越控除に関する実績が豊富な税理士が在籍しております。

「株で損失を出してしまい、どうすればいいか分からない」と不安な方は「小谷野税理士法人」までお気軽にお問い合わせください。

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この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
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