主に定年後、新たな事業を始めるシニア起業は、近年、増加傾向です。なぜ今、シニア起業が注目されているのか、どのような点に注意すべきかを、この記事では説明します。また、シニア起業で利用できる助成金と、実際にシニア起業で成功した事例も併せて紹介しているので、参考にしてみてください。成功事例により具体的なイメージを持つことが、一歩を踏み出すきっかけとなる可能性があります。
なお、起業に関するご相談は小谷野税理士法人でも承っておりますので、お気軽にご相談ください。
目次
現代のシニア起業の実態

帝国データバンクの調査によれば、2023年の新設法人は、起業年齢が過去最高の平均48.4歳でした。 過去20年を振り返ると、年齢は3歳程高くなっており、将来的にも上昇傾向の予測です。
このような起業年齢の上昇には、女性を含め、定年を迎えたシニアの新規事業参入が要因の1つに数えられています。
また、シニア起業の増加に影響していると考えられるのが、公的年金の開始年齢引き上げです。
ちなみに、シニアの定義は場所や業界によって曖昧で、例えば、公的年金の受給開始年齢や老人福祉保健法による高齢者は65歳以上と定義されています。
所得税法・道路交通法では70歳以上が高齢者と定義していて、WHO(世界保健機構)の場合はシニアを65歳以上と位置づけています。
また、定年後をシニアと呼ぶ場合もあり、その定年は多くの企業で60歳から65歳が一般的です。
ただし、近年は法律の改定や政府の施策、加えて平均寿命が延びていることもあり、定年の年齢も延長されつつあります。
シニア層もまた、「健康なうちは働きたい」「社会的なつながりを持っていたい」という気持ちを持っている方が多いでしょう。
さらには、自分のやってみたかったことを実現できるのが、シニア起業です。
このように、さまざまな要因が重なり、今後もシニア起業はますます増加する可能性があります。
参考:「新設法人」調査(2023年)|株式会社 帝国データバンク[TDB]
関連記事:【60歳からのシニア起業】補助金・助成金を活用するメリットは?制度も紹介
シニア起業の準備と始め方
起業を進めるためには、まず入念な準備が必要です。実際に会社を設立するまでの始め方を、分かりやすく説明します。
起業アイディアを練る
起業するにあたっては、どのような事業にするか、アイディアを練ることは大切な過程です。行き当たりばったりの起業では、上手く行く可能性は低いでしょう。
また、起業を考えている人の中には、長年アイディアを温めていた場合もあるかもしれません。
シニア起業の特徴として、売上や収益以上に重視する傾向の強いのが、やりがいです。
ただし、やりたいことを大切にするあまり、採算を考えずに進めては、起業も失敗に終わってしまいます。
例えば、20代の起業であれば、他にはない斬新なアイディアで、高い収益を狙うのも良いでしょう。多少のリスクがあっても、20代ならば何度でも再チャレンジが可能です。
一方、シニア起業の場合は、失敗しないことが重要であり、やりがいを重視するにしても、リスクの少ない手堅い事業がおすすめです。
起業家や税理士などのプロに学ぶ
シニア起業を目指す方の中には、会社設立や個人事業の開業は初めてという場合が多いことでしょう。
その業種や仕事についてのスキルや知識があったとしても、起業となると、またノウハウは異なります。
起業には、会社や個人事業の経営、会計、税務、マーケティングや資金調達などの知識が必要です。
そのような起業に関わるノウハウと知識を学ぶためにも、起業家や税理士が行う起業セミナーに参加するという手段があります。
また、起業セミナーには同じ目的を持つ人の情報交換の場であるため、起業に役立つ人脈を広げるチャンスです。
起業セミナーは市区町村や民間団体、企業など、さまざまなところで開催されています。積極的に参加してみてください。
個人事業主か法人かを選ぶ
起業する際には、個人事業主か法人か、事業形態を選ばなくてはなりません。
個人事業主は、税務署に開業届を提出するだけで起業できます。
一方の法人は、会社を設立するため、個人事業主になるよりも多くの資金と手続きが必要です。
起業する際には、自分のやりたいことや目的に合わせ、個人事業主か法人かを選びましょう。
また、個人事業主の場合は主に所得税、法人の場合は主に法人税と、納税する税金の種類が違います。
所得税と法人税では税率が異なり、事業が成長したり規模が大きくなったりすると、法人税のほうが所得税よりも税制的には有利です。
また、最初は個人事業主として開業し、事業が成長してから会社を設立するという方法もあります。
事業計画書を作成する
どのような事業を行うか、個人事業主か法人かを決めたら、次に事業計画書を作成しましょう。
事業計画書は、個人事業主や法人に義務付けられているものではありませんが、融資や補助金を利用する際には必要です。
また、事業計画書をしっかりと練ることで、事業の目的や見通しなどを明確にできます。
事業計画書に記載する内容は、主に次の通りです。
- 起業者の基本情報
- 事業の概要
- 事業内容
- 事業の見通し
- 資金調達方法
- 商品・サービスの概要
- 市場調査・競合調査 など
事業計画書の具体的な内容や形式は、業種や目的に応じて異なります。
自分で作成するのが不安なときには、創業融資を行っている日本政策金融公庫の公式サイトを利用しましょう。
さまざまな書式の事業計画書をダウンロード可能です。
また、起業セミナーの中には、事業計画書を実際に作成したり、作り方を説明したりしてくれるところもあります。
関連記事:シニア起業で補助金がもらえる?対象者や要件・上限を徹底解説!
シニア起業で使える助成金

近年、政府はシニアの活躍を推進しており、シニア起業にも複数の助成金が適用されています。シニア起業に適用できるのは次のような助成金・補助金です。
新規開業資金(女性、若者/シニア起業家支援関連)
新規開業資金(女性、若者/シニア起業家支援関連)は、名称の通り、女性、もしくは35歳未満の若者、そして55歳以上のシニアの起業を支援するものです。
これから起業する場合や、起業後に必要な設備・運転資金の融資を、基準の金利よりも低い特別利率で受けられます。
融資の上限は7,200万円であり、その中の4,800万円を運転資金として利用可能です。
返済期間は、設備資金の場合は20年以内、運転資金は10年以内で、それぞれ据置期間が5年以内に設定されています。
融資における据置期間とは、その期間は元金の返済を行わずに、利息のみを支払う期間です。
また、新規開業資金(女性、若者/シニア起業家支援関連)では、担保や保証人の有無は、相談の上で決定されます。
女性・若者・シニア創業サポート2.0(東京都)
東京都の女性・若者・シニア創業サポート2.0は、都内での起業を目指す女性と39歳以下の若者、55歳以上のシニアを支援する無担保の融資です。
対象は、起業の計画がある場合、もしくは起業後5年未満、女性の起業は7年未満であることを条件としています。
融資限度額は1,500万円、女性であれば2,000万円です。使用目的が運転資金の場合は上限750万円、女性は1,000万円まで借入できます。
返済期間は、すべての対象において10年内、据置期間は3年以内が規定です。
また、個人事業主ならば保証人は不要ですが、法人は必要になる場合があります。
東京都以外にも、シニア起業を支援する助成金や補助金は、各自治体で用意されています。
起業する前に、所在地の自治体の公式サイトで、助成金・補助金を確かめてみてください。
また、助成金や補助金は、後から申請や届出をしても多くは受け付けられず、事前に申し込んだとしても必ず受けられるものではありません。
事前の申請や届出であっても、すでに募集数に達している場合や、条件に合致していない場合は断られるケースもあります。
起業前には、各自治体の公式サイトの確認をおすすめします。
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金は、それぞれの商工会議所の管轄にて、事業を営む小規模事業者を対象に支給されます。
対象は、事業の経営を見直し、自ら経営計画書を作成した小規模経営者です。
さらに、個人事業・法人ともに、条件は業種と従業員数で異なります。
商業・サービス業の場合は常時使用している従業員が5人以下、宿泊業・娯楽業・製造業・その他の業種は20人以下でなければなりません。
通常枠の場合、補助の上限は50万円で、経費に対する補助率は3分の2です。
また、小規模事業者持続化補助金は募集期間が設けられているため、すでに終了していた場合は次回の開催を待つ必要があります。
ものづくり補助金
ものづくり補助金(正式名称:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)は、中小企業や小規模事業者の生産性向上、持続的な賃上げを支援する制度です。
具体的には、革新的な製品やサービスの開発、または生産プロセスの省力化・効率化を目指している場合に、設備やシステムの導入・構築のサポートが受けられます。
ものづくり補助金の省力化(オーダーメイド)枠の補助率は、中小企業であれば2分の1、小規模事業者は3分の2までが上限です。
従業員数により、750万円から8,000万円の範囲で利用できます。
ただし、ものづくり補助金には審査があるため、オンラインにより口頭で、事業計画の適格性や革新性の説明が必要です。
この口頭審査には、経営コンサルタントや専門家など、申請者以外の同席が認められていないため注意しましょう。
また、ものづくり補助金は、小規模事業者持続化補助金と同様に、公募期間が設けられています。すでに公募が終了している場合は、次まで待たなくてはなりません。
参考:トップページ|ものづくり補助事業公式ホームページ ものづくり補助金総合サイト
創業支援等事業者補助金
創業支援等事業者補助金は、以前は創業補助金や地域創造的起業補助金と呼ばれていました。
また、創業支援等事業者補助金は各自治体が設置しているため、それぞれ呼び名や適用条件が異なります。
例えば、東京都の創業助成金(東京都中小企業振興公社)は、都内で起業を予定されている場合や、起業5年未満の場合が対象です。
助成金の上限は400万円、下限は100万円で、経費の3分の2以内をサポートしています。
東京都の創業助成金には申請期間が設けられているため、期日内の申し込みが必要です。
シニア起業で失敗しないための注意点

やり直ししやすい若者とは違い、シニア起業では再チャレンジが難しい傾向があります。そのため、シニア起業では失敗しないことを重視し、次のような点への注意が必要です。
家族や友人に相談する
起業を考え始めた際は、実際に申請や届出などの手続きを始める前に、まずは家族や友人へと相談をしましょう。
起業するとなれば資金がかかるため、家族の生活も無関係ではありません。
家族への相談を後回しにするのではなく、あらかじめ話をしておいて、きちんと理解を得てから起業しましょう。
家族に黙って起業したり、勝手に資金を持ち出して、信用を失う行動をしないことが大切ですいです。
また、客観的な意見が欲しい場合には、友人に相談してみるという手段もあります。
会社や個人事業の経営には、人脈が重要です。時には、友人から役立つ情報や、有益な人脈がもたらされることもあるでしょう。
起業に関しては、家族や友人へと早めに相談しておくのが賢明です。
過去の成功体験や肩書きに固執しない
年齢を重ねると、これまで培ってきた知識や経験が、時として足かせとなる場合があります。
特に、過去の成功体験をそのままモデルケースとしてしまうと、現在の市場や顧客のニーズに対応しきれず、事業が停滞したり、不振に陥ったりするでしょう。
シニア起業においては、一度初心に立ち返る姿勢が重要です。新たなアイディアやノウハウを取り入れた、柔軟な姿勢が事業を成功に導きます。
老後資金を計算し確保しておく
起業を目指す際は、老後の資金を計算し、しっかり確保しておくことが重要です。
特に、会社を設立するためにはまとまった資金が必要ですが、退職金や貯金を使い果たすような行為は適切ではありません。
また、事業を継続させる上で、運転資金が不足しているからと言って借金を重ねるのも、失敗の原因となる可能性があります。
シニア起業では、老後資金をきちんと確保した上で、事業に使用しても差し支えない額を資金にあてるのがポイントです。
怪しい勧誘には乗らない
友人や知人に起業の相談をするのは良いことですが、怪しい勧誘を持ちかけられた際には、話に乗らないよう気をつけましょう。
また、友人や知人から共同の起業に誘われた場合も、その人物の見極めが必要です。
親しい友人であったとしても、陰で借金を抱えていたり、資金繰りに困っていたりすることも考えられます。
起業セミナーに参加する際も、主催団体が自治体や身元の明確な民間団体であるかを確認することも大切です。
起業セミナーのはずが、怪しい勧誘を持ちかけられる場合があります。
詐欺や商材の押し売りの可能性があるため、万一にも勧誘話を持ちかけられた際は、はっきりと断る姿勢が大切です。
専門家のアドバイスも有効
事業についての知識や経験、ノウハウは持っていたとしても、開業や会社の経営は初めてという場合は多いのではないでしょうか。
その際は、経営コンサルタントや税理士などの専門家にアドバイスを仰ぐことも有効です。
相談先が経営コンサルタントであれば、現在の状況や資金から、起業に向けてのマーケティングや財務計画についての適切な指導やアドバイスを受けられます。
税理士は、起業や経営に関する相談だけでなく、税務についてのアドバイスを受けられるのが強みです。
特に、起業すると適用される税制が変化したり、決算や確定申告が複雑化します。その際、正しい納税と効果的な節税には、税理士への相談が有効です。
シニア起業で成功するためのポイント
シニア起業では、リスクを抑え、失敗しないことを重視した事業展開が必要です。そのためにも、次のようなポイントを踏まえた起業が、成功のカギを握ります。
市場調査と事業計画をしっかり行う
起業の際には事前に市場調査を行い、その結果をもとに綿密な事業計画を立てることが成功の第一歩です。
市場調査により、現状と顧客の需要の把握、そして競合との差別化を図れます。
また、事業計画における将来を見通しやビジネス戦略の立案にも、市場調査は不可欠です。
市場調査を実際に行う際は、アンケートやインタビュー、電話や街頭での調査など、複数の方法があります。
その中でも、個人が起業のために行うのであれば、ネットリサーチがおすすめです。
ネットリサーチ業者に依頼することで、費用はかかりますが、何万人という単位での市場調査を簡単に行えます。
また、自身で行える市場調査の1つが、ミステリーショッパーとも呼ばれる覆面調査です。
例えば、競合が店舗を構えている場合、一般客を装って、商品やサービスを実際に体験して調査します。
自ら市場に赴くため、細かな点や気になる点まで確認可能です。
知識・経験・人脈を活かせる業種を選ぶ
前述したように、シニア起業では初心に返ることが大切ですが、同時に自身に備わっている知識・経験・人脈を活かすことも重要です。
やりがいのためとは言え、これまでスキルを積んだことのない新たな業種にチャレンジすると、起業に失敗するリスクが高まってしまいます。
一方、代行サービスやコンサルタント業という形であれば、自分の培ってきたスキルを活かせる業種での起業が可能です。
初期費用や運営費を抑えて起業する
初期費用や運営費を抑えることも、シニア起業を成功させるポイントです。
シニア起業では、若者に比べて資金に余裕があるため、初期費用や運営費を高く見積もりがちな傾向があります。
しかし、起業の段階で資金をつぎ込み過ぎると、その後に初期投資の回収が困難です。
事業拡大を狙うにしても、最初から規模を大きくするのではなく、段階的に成長させていきましょう。
収支を見越した投資が起業では重要です。
関連記事:女性若者シニア起業家支援資金完全ガイド!融資や起業時の注意点も解説
シニア起業のメリット
定年後の起業には、シニアだからこその強みがあります。次で紹介するのは、若者とは異なる、シニアならではの起業メリットです。
年齢や定年とは無関係に働ける
起業すると自ら会社や個人事業の経営者となるため、年齢や定年に関わらず労働が可能です。
一方、多くの会社や企業では、60歳から65歳が定年とされています。
その後も働きたい場合は、新たな雇用先を探さなくてはなりませんが、シニアの再就職は一般的な傾向として厳しいです。
また、再就職できたとしても、シニアにとっては負担を感じる仕事内容ということもあるでしょう。
その点、起業であれば、自分の体調やペースに合わせ、自由にスケジュールを組んだ仕事が可能です。
自己資金が多く資金調達がしやすい
シニアには退職金があり、一般的に若者よりも貯蓄が多いため、自己資金による資金調達しやすいというメリットがあります。
一方、貯蓄が少ない傾向にあり、自己資金による起業も難しい若者は、創業融資を利用しなければならない場合が多いです。
創業融資は、ほかの金融商品に比べて利率が低く設定されていますが、借入の返済と利息の支払いはもちろん行わなくてはなりません。
初期費用や運営費を抑え、自己資金だけの起業であれば、融資の返済も不要です。経済的な余裕を持った起業を実現できます。
年金以外の収入を得られる
シニア起業のメリットの1つが、年金だけに頼らず、ほかの収入源を得られることです。
前述した通り、近年、シニア起業が増加している原因として、公的年金の開始年齢引き上げが影響しています。
公的年金の開始年齢が上がると、定年と年金の支給が始まるまでの間に、収入のない空白期間が生じる可能性があるのです。
この問題を解決するために、政府は近年、定年延長を呼びかけてきました。
その働きにより、2025年4月からは、すべての会社や企業において、従業員が希望すれば65歳までの雇用確保が義務付けられます。
また、その場合も、65歳で定年し起業すれば、年金以外の収入を趣味や旅行にも利用できます。
利用できる補助金・助成金が複数ある
先に紹介した通り、シニア起業には活用できる補助金や助成金が複数存在します。
公的年金の開始年齢引き上げと、定年延長などもあり、政府がシニア起業に積極的であることも、適用可能な補助金・助成金の多い理由です。
補助金や助成金を利用することで、資金の少ない場合でも起業がしやすく、よりスムーズに事業を始められます。
ただし、補助金や助成金は原則として返済不要ですが、使用目的に違反すると返済を求められる可能性があるため注意しましょう。
ちなみに、助成金は条件さえ満たせば、多くの場合受給できます。
一方の補助金は、募集数や全体の支給額が定められているケースが多く、必ず受けられるとは限りません。
シニア起業のデメリット

シニア起業を目指す際には、メリットだけでなくデメリットにも目を向け、リスクの把握が必要です。シニア起業には、次のようなデメリットがあります。
失敗したときにやり直ししにくい
シニア起業は若者の起業と比べ、やり直ししにくい傾向があります。
若者の場合は、起業に失敗しても再就職の選択肢が多く、また資金を貯めて開業や会社設立などに再チャレンジしやすいです。
一方、シニア起業の場合、失敗すると再就職への道は厳しいものとなるでしょう。
退職金を資金に起業した場合、事業に失敗すると回収は困難です。
起業は、必ず成功するとは限りません。リスクを踏まえ、さまざまな事態を想定し、時代を見据えた選択が起業には必要です。
再就職が困難になる
起業で失敗したとしても、新たな勤め先に再就職することは、シニアの場合は難しいでしょう。
起業のために早期退職をした際も、前の会社には簡単に戻れません。
その一方で、現在の高齢化社会において、政府はシニアの再雇用に向け、助成金による支援を行っています。
このような働きかけにより、シニアの再就職は今後増加する可能性があるのです。
ただし、再就職の機会が増えたとしても、シニアが新たな職場で求められるスキルや役割は、過去の経験とは異なる場合もあります。
また、再就職した際の給与も、定年前と比べ、満足できる額ではないかもしれません。
体力がないと運営は難しい
起業には、さまざまな準備や手続きが必要です。
また、起業後も、しばらくの間は仕事量が多く、長時間の労働と不規則な生活が続く可能性があります。
シニアの場合、熱意があっても体力的に無理をすると、健康を損なう恐れがあるため注意しましょう。
持病がある場合は医師とも相談し、健康管理を心掛けることが大切です。
収入が安定しない可能性がある
事業内容にもよりますが、起業の際には収入が安定しない場合もあります。
特に、起業して間もない頃は、なかなか売上が伸びず、赤字に陥ることもあるでしょう。
新たな事業が軌道に乗るまでには、長期間がかかるケースが多いです。
そのため、起業する際はすぐに収益が出ないことを考慮し、少なくとも3ヵ月分程の運転資金を用意する必要があります。
シニア起業の成功事例
近年、シニア起業は増加傾向にありますが、過去にも、年齢を積み重ねてからの起業にチャレンジし、大成した人たちがいました。その成功事例を紹介します。
日清食品創業者:安藤百福
日清食品創業者である安藤百福は、西暦1910年の生まれです。
22歳ですでにメリヤス(ニット)の販売会社を設立しており、若い頃から経営への才覚をふるっていました。
しかし、1957年、安藤百福が47歳を迎えたときに事態は一変します。理事長をしていた信用組合が破綻し、全財産を失ってしまったのです。
ただ、無一文になっても、安藤百福は仕事への情熱をなくしませんでした。限られた資金で裏庭に小屋を建て、「お湯だけですぐ食べられるラーメン」の開発を行ったのです。
その商品開発をもとに、1958年、安藤百福は日清食品を創業し、世界初のインスタントラーメン「チキンラーメン」を販売し始めました。
48歳での起業は、当時の日本人の感覚からすると、高齢での起業とみなされたでしょう。
しかし、その革新的な商品は瞬く間に成功を収め、多くの家庭に受け入れられたのです。
のちに日清食品では、1971年に「カップヌードル」を販売開始し、1973年にはアメリカにも進出しました。
現在、日清食品のカップヌードルは世界的に広まり、各国の人々から親しまれています。
フォード・モーター創業者:ヘンリー・フォード
フォード・モーターの創業者ヘンリー・フォードは、何度も会社を立ち上げては挫折していましたが、心の折れない強い人でした。
ヘンリー・フォードは、1863年生まれで、幼少時から機械いじりが得意だったと言います。
いくつかの職業を経て、1891年にはエジソンの照明会社に技術者として入社しました。
1893年にはチーフ・エンジニアにも昇進し、この会社で働きながら数年を過ごします。
1899年、エジソンの照明会社を退職し、自ら起業するものの、この会社は短い期間で解散しました。
1901年には、また異なる起業をしますが、こちらもヘンリー・フォードは短期間で会社を去っています。
さらに、すぐに別会社を作るも、自動車の売れ行きが芳しくなく、共同経営者に株式を渡しました。
1903年、紆余曲折を経て、その共同経営をしていた会社をもとに、フォード・モーターが産声を上げたのです。
このとき、ヘンリー・フォードは、当時のアメリカからすると、すでにビジネスマンとして先が見えていた年齢に達していました。
ただし、ヘンリー・フォードの活躍は、このままでは終わりません。
1943年、社長の座を譲った息子が病に倒れたことから、80歳にしてフォード・モーターの社長に返り咲いたのです。
その後、孫に会社を譲るまでの2年間、社長の座につき、晩年まで会社を経営した2年後、ヘンリー・フォードは長い眠りにつきました。
シニア起業を目指すなら税理士にまずは相談!
シニア起業を目指す方々は、仕事の経験が豊富で、経理についての知識やスキルを備えている場合も多いことでしょう。
ただし、たとえ会計が得意な方であったとしても、起業に関わる税務については、まず税理士に相談することをおすすめします。
シニア起業においては、複数の助成金や補助金を積極的に活用することで、スムーズに事業のスタートが可能です。
また、会社を設立したり、個人事業を開業したりすると、経営者には会社員の頃とは異なる税制が適用されます。
特に、シニア起業に関する助成金・補助金、税制は、数年ごとに改正されるため、常に知識のアップデートが不可欠です。
起業により決算や確定申告も複雑化することから、経営者にとって税務の負担は重いものとなるでしょう。
その際に、私たち小谷野税理士法人にお任せいただければ、税務と会社設立の両面からサポートが可能です。
シニア起業全般について、お気軽にご相談ください。





