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リスキリングの補助金・助成金とは?企業が活用できる制度をわかりやすく解説

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リスキリングの補助金・助成金とは?企業が活用できる制度をわかりやすく解説

急速な技術革新やDXの進展により、企業には従業員のスキル刷新=リスキリングが求められていますが、その実施には費用や時間といった課題がつきものです。そこで注目されているのが、国や自治体が提供する補助金・助成金制度です。本記事では、リスキリングに活用できる補助金・助成金と、その内容や申請方法、注意点までをわかりやすく解説します費用負担を抑えてスキルアップを図りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

リスキリングとは?

リスキリングとは、業務内容や使う技術が変化したときに、それに対応するため新たなスキルを習得する取り組みです近年はAIやデジタル技術の普及により、多くの企業が社員のリスキリング支援を強化しています。

似た言葉に「リカレント教育」がありますが、これは社会人が学校などで学び直す学習を意味します。リスキリングは実務に直結するスキル習得や職種転換を目的とするため、より実践的で即戦力に結びつく点で異なります。

リスキリングに使える主な補助金・助成金

リスキリングの費用負担を軽くするため、国や自治体はさまざまな補助金・助成金を用意しています。企業が活用しやすい代表的な制度を紹介しますので、目的や状況に合ったものを選びましょう。

関連記事:返済不要!起業時に活用したい、知っておきたい補助金・助成金をご紹介

人材開発支援助成金(人材育成訓練コース)

項目

内容

対象

正社員・パート・有期雇用者など幅広い従業員(一定条件あり)

助成額

経費:中小企業で最大75%

賃金:1時間あたり最大960円(訓練コースにより異なる)

対象経費

講座受講費、講師謝金、会場費、賃金補助など

申請窓口

都道府県労働局またはハローワーク

企業が従業員に対して実施する研修や訓練にかかる費用や賃金の一部を国が補助する制度です正社員だけでなく、パート・契約社員・有期雇用者も条件を満たせば対象となります。

訓練の形式も、社内講師による研修だけでなく、外部の講座やeラーニングなども対象に含まれる場合があります。

リスキリング施策を支援する制度のなかでも対応範囲が広く、継続的な人材育成を目指す企業にとって有力な助成策のひとつと言えるでしょう。

助成を受けるには、訓練実施前に「訓練計画届」などの提出が必要なため、早めの準備と計画立案が不可欠です。

参考:人材開発支援助成金|厚生労働省

業務改善助成金

項目

内容

対象

中小企業(業種ごとに従業員数の上限あり)

助成額

30〜600万円(賃金引上げ人数・設備投資額に応じて変動)

対象経費

業務効率化に必要な設備投資、機器・ソフトウェア導入費など

(教育訓練は付随的に実施される場合のみ対象となる可能性あり)

申請窓口

都道府県労働局または所轄のハローワーク

最低賃金の引上げとあわせて、生産性向上に資する機器導入や業務改善などを行った中小企業に対して支給される助成金です対象となる設備投資は幅広く、パソコン・業務ソフト・生産設備などが該当します。

教育訓練費も、業務改善の一環として実施される場合には一部補助対象となる場合がありますが、単独での訓練は対象外なので注意しましょう。

賃上げ人数と投資額により助成額が変動するため、導入前に支給シミュレーションの実施が推奨されます。

参考:業務改善助成金|厚生労働省

DXリスキリング助成金

項目

内容

対象

東京都内に本社または事業所を有する中小企業等(業種・常用労働者数で定義)

助成額

1人あたり上限30万円、1事業者あたり上限300万円(助成率:2/3以内)

対象経費

研修費、講師謝金、教材費、外部委託費、eラーニング費用など

申請窓口

東京都(事務局:東京しごと財団)

東京都が実施する「DXリスキリング助成金(中小企業人材スキルアップ支援事業)」は、都内中小企業が社員にDX分野のスキルを習得させるための研修に対し、研修費や教材費などの一部を助成する制度です。

AIやデータ分析、RPA、プログラミング、クラウド、IoTなど幅広い内容が対象になります。

1人あたり上限30万円、1社あたり最大300万円まで助成され、助成率は対象経費の2/3以内と手厚い支援が特徴で、申請は東京しごと財団が窓口となり、事前の計画書提出や実績報告などが必要です。

参考:令和7年度 DXリスキリング助成金|東京しごと財団

ものづくり補助金

項目

内容

対象

中小企業・小規模事業者(製造業・サービス業など)で、革新的な製品開発や業務プロセス改善に取り組む事業者

助成額

最大1,250万円(補助率:中小企業2/3、小規模事業者2/3など)

※枠により異なる

対象経費

設備費、ソフトウェア費、専門家謝金等

(外部研修費も事業遂行に不可欠な場合のみ対象となる可能性あり)

申請窓口

全国中小企業団体中央会

ものづくり補助金は、中小企業等が革新的なサービス・製品の開発や業務プロセス改善などを行う際の設備投資を支援する制度です補助額は最大1,250万円(枠によって変動)で、設備費やシステム導入費などが対象になります。

本来は設備投資を目的とした補助金ですが、計画の中に人材育成や研修を組み込めば、リスキリング関連費用も補助対象に含まれる場合がありますが、あくまで例外的扱いであり、申請の際にその必要性を明確に示す必要があります。

審査は事業の革新性や事業化可能性、生産性向上の見込みなど多面的に評価されるため、実効性のある事業計画書を策定しましょう。

参考:ものづくり補助金|全国中小企業団体中央会

IT導入補助金

項目

内容

対象

中小企業・小規模事業者で、業務効率化・売上向上・インボイス対応などの目的でITツール導入を行う事業者

助成額

最大450万~600万円(枠・類型により異なる)

対象経費

ソフトウェア費、クラウド利用料、ハードウェア(インボイス枠)、導入関連経費(操作研修・設定費用など)

申請窓口

IT導入補助金事務局(一般社団法人サービスデザイン推進協議会)

IT導入補助金は、中小企業や小規模事業者が業務効率化や売上向上、インボイス制度対応のためにITツールを導入する際に活用できる制度です。

導入支援や操作研修などの「導入関連経費」も補助対象となっており、従業員のITスキル習得を伴うリスキリングにも親和性があります。

ただし、補助対象となるITツールやサービスは「IT導入支援事業者」を通じて事前登録されたものに限られるため、制度の仕組みをよく理解したうえで申請しましょう。

参考:IT導入補助金

関連記事:【2025年度】個人事業主が利用できるIT導入補助金について

補助金・助成金を活用してリスキリングを進めるメリット

税理士に丸投げするデメリットのイメージ

リスキリングを進める際、補助金・助成金の活用は費用負担の軽減にとどまらず、企業の成長や人材の定着にも繋がります。助成制度を取り入れることで得られるメリットを紹介します。

教育コストを削減できる

リスキリングにかかる研修費や講座受講料を補助金でまかなえば、企業や個人の経済的負担を大幅に抑えられます。特に中小企業にとっては、限られた予算の中でも人材育成を継続しやすくなります。

支援額は制度によって異なりますが、講座費用の半額以上が補助されるケースもあり、コストの大幅な削減も可能です。

社員のスキルアップが生産性向上に繋がる

社員がリスキリングで新たな知識や技術を身につけられれば、業務の効率化や生産性向上が期待できます

例えばITツールの操作を習得すれば、作業スピードが上がり、ミスや手戻りも減少するでしょう。個人の成長が組織全体の成果にも繋がるため、教育投資として高い費用対効果が見込めます。

従業員の定着率が上がる

補助金を活用して学びの機会を提供することは、従業員にとって「自分は大切にされている」という実感に繋がります

その結果、仕事へのやりがいや将来への安心感が生まれ、離職の抑止にも効果を発揮します。特に若手社員や非正規雇用者に対しては、キャリア支援のメッセージとして強く響きます。

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リスキリングの補助金・助成金を活用する際の5つの注意点

個人事業税がかからない業種のイメージ

補助金・助成金は非常に有益な制度ですが、活用するにはいくつかの注意点があります。リスキリングに関する助成制度を利用するうえで特に気をつけたい以下5つのポイントを解説します。

  1. 訓練前の申請が必要な制度が多い
  2. すべての研修が対象になるわけではない
  3. 書類不備により不支給となるリスク
  4. 制度内容が年度ごとに変更される
  5. 自社だけでの運用が難しい場合がある

訓練前の申請が必要な制度が多い

多くの補助金・助成金は、訓練や研修の開始前に申請が必要です。開始後や終了後の申請は対象外になるケースがほとんどです。

例えば、人材開発支援助成金では、申請書や計画書を事前に提出し、審査を受ける必要があります。研修日程が決まる前に制度を確認し、早めに申請準備を進めましょう。

すべての研修が対象になるわけではない

補助金の対象となる研修には条件があります。業務に関係のない講座や認定外の内容は対象外となる可能性が高く、制度によっては指定講座のみが対象の場合もあります

実施前に公募要領や対象講座リストを確認し、助成対象となる研修かどうかを必ず確認しましょう。

書類不備により不支給となるリスク

助成金は書類の正確な提出が前提です。申請書の記入ミスや添付書類の不備があると、申請が却下されたり、不支給となる可能性があります

特に研修後の実績報告では証憑書類の正確性が求められるため、必要な書類を事前に整理し、社内で管理体制を整えておきましょう。

制度内容が年度ごとに変更される

補助金・助成金制度は毎年内容が変わる場合があります。補助率や対象経費、申請期間が見直されるケースも多く、前年と同じ条件で進めるのは危険です

制度の改定は年度初めに多いため、申請前には必ず最新の情報を確認しましょう。

自社だけでの運用が難しい場合がある

補助金の申請には制度理解や書類作成の知識が求められ、初めての企業には難しい場面もあります

複数制度を活用する場合や期限が迫る場合などは、ミスが発生しやすくなります。必要に応じて社労士や税理士など、専門家のサポートを活用するのが安心でしょう。

リスキリングの補助金・助成金の申請フロー

補助金・助成金を活用してリスキリングを実施するには、段階ごとに正確な手続きが求められます。制度選びから申請、実施、報告まで、どのステップも抜け漏れがあると不支給や返還のリスクに繋がるでしょう。

申請から受給までの基本的な流れについて解説します。

制度の選定と訓練内容の決定

まず行うべきは、自社の目的に合った補助金・助成金制度の選定です

例えば、正社員向けには人材開発支援助成金、非正規社員の育成にはキャリアアップ助成金が該当します。制度ごとに目的や対象、補助率が異なるため、比較検討が重要です。

あわせて、訓練内容が制度の趣旨に合っているかも確認し、最も適した制度を選びましょう。

申請書類の作成と提出

制度が決まったら、研修開始前に必要書類を準備し提出します。多くの制度では事前申請が必須で、訓練計画や対象者、スケジュール、見積書などが求められます。

提出が遅れると助成対象外となるため、期限を逆算して準備を進めましょう。チェックリストを使って抜け漏れを防ぐのも有効です。

リスキリングの実施と記録保管

研修中は出席簿や領収書、請求書などの記録をしっかり保管しておく必要があります。これらは実績報告時に必ず求められるため、正確な管理が不可欠です。

また、訓練内容に変更があった場合は届出が必要になる場合もあります。制度に沿った運用を意識し、記録体制をあらかじめ整備しておきましょう。

実績報告と助成金の請求

研修が終わったら、実績報告書を作成して助成金を請求します。訓練内容や経費に関する証憑と報告内容に食い違いがあると、支給遅延や不支給の原因になるでしょう。

事前申請との整合性や経費の妥当性も厳しく見られるため、記録の正確さが重要です。審査を経て問題がなければ、指定口座に助成金が振り込まれます。

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リスキリング補助金・助成金に関してよくある質問

補助金や助成金は有用な支援策ですが、申請条件や対象範囲には不明点も多く見られます。中小企業や個人事業主から特に多く寄せられる質問をまとめましたので、参考にしてください。

中小企業でも補助金・助成金は利用できますか?

はい、多くの補助金・助成金は中小企業を主な対象として設計されています

人材開発支援助成金や業務改善助成金、キャリアアップ助成金などは中小企業向けに優遇措置が設けられており、申請のハードルも比較的低めです。

初めての申請でも利用しやすく、スキルアップや人材定着に活用しやすい支援策が揃っています。

従業員が個人で受講した講座も対象ですか?

原則として企業を通じた申請が中心ですが、教育訓練給付金のように、従業員が個人で申請できる制度も存在します

雇用保険の加入状況や講座の種類によって適用の可否が決まるため、事前に条件を確認する必要があります。

ただし、企業が行うリスキリングに対しては、法人側の申請が基本となることが多い点に注意しましょう。

オンライン講座やeラーニングも補助や助成対象ですか?

はい、制度によってはオンライン形式の研修も助成対象になります。特にDX関連やITスキル習得のためのeラーニングは、リスキリング施策の一環として補助されるケースが増えています。

ただし、対象となるのは国や自治体が認めた講座や実施形態に限られるため、申請前に必ず制度の要項を確認し、対象講座かどうかを見極めましょう。

リスキリングの補助金・助成金の活用にお悩みの方は専門家へ相談

リスキリングに使える補助金・助成金制度は種類が多く、内容も複雑です。誤った申請や条件の見落としによって支給されないケースも多いため、制度に精通した専門家の支援が有効でしょう

小谷野税理士法人では、補助金・助成金の制度選定から申請サポート、リスキリングの計画設計まで一貫して対応しています。申請の手間を削減し、確実に補助金・助成金を受け取りたい方は、ぜひ一度小谷野税理士法人にご相談ください。

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この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
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