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税務調査が入りやすい業種とは?注意すべき業種や企業の特徴を解説!

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税務調査が入りやすい業種とは?注意すべき業種や企業の特徴を解説!

税務署は、納税者の申告内容に誤りがないかを確認するため、税務調査を行っています。しかし、すべての企業に調査が入る訳ではありません。調査先として選ばれる企業には、一定の傾向があります。この記事では、税務調査が入りやすい業種や税務署に目をつけられやすい企業の特徴を解説します。

税理士法人でも様々な税務のご相談に応じています。ぜひお気軽にご相談ください。

税務調査に入られやすい業種の特徴

節税について考える様々な業種・職種の人々

税務調査の対象はランダムに抽選される訳ではなく、ある程度の傾向があります。ここでは、税務調査に選ばれやすい業種の特徴について、ご紹介します。

現金でのやり取りが多い業種

現金での取引が多い業種は、税務署の目に止まりやすい傾向です。例えば、日々の売上が現金であることが多い美容院や飲食店、従業員の日払い賃金や給料の手渡しが一般的である建設業や建築業などが該当します。

現金取引は銀行口座を介さないため記録が残りにくく、帳簿操作や不正会計が疑われやすいのです。帳簿への記入ミスや、現金残高と伝票が一致しないこともあるため、税務署としては実態の調査が必要な業種といえます。

税務調査の際、不適切な現金管理が見つかると、調査が長引く場合があり、営業活動にも影響が出るかもしれません。そのため、現金取引の多い業種では、日頃からきちんとした現金管理を心がけることが重要です。

海外との取引が多い業種

海外取引が多い業種は、取引が複雑で国際税務に関する知識が必要であるため、国税当局から特に注目されがちです。例えば、貿易取引や海外投資、海外ECサイトを運営する企業などが該当します。

海外からの請求や送金は、課税されるべき取引を免税として扱うミスが多い傾向です。そのため、税務調査では消費税の納付逃れが行われていないか厳しくチェックされます。

また、消費税の納付義務が発生する売上1,000万円以上に近い事業者や、日本に来たばかりで税法の理解が不十分な経営者のケースも監視対象になりやすいため注意が必要です。

アナログ会計がメインの業種

アナログな会計処理を行っている業種も、選ばれる傾向にあります。手書きの帳簿で会計管理を行っている個人商店や、経営者が高齢でデジタル化が進んでいない業種などがその一例です。

手書きの税務書類や帳簿はどうしてもミスが発生しやすく、新しい税法や申告規定に対する理解も不足しがちです。そのため、税務署から「間違った申告を行っているのでは」と思われ、是正や指導の目的でこれらの業種を重点的に調査することがあります。

特に、顧問税理士をつけずに独自で申告を行っている場合、最新の税法に関する知識が古く、申告内容に誤りが生じやすいとされています。アナログな方法で会計処理を続けている業種は、税務調査のリスクを軽減するためにも、デジタル化の導入や税理士のサポートを受けることを検討してみましょう。

IT系などの新分野に関わる業種

税務調査の対象となりやすい業種には、IT系などの新分野も含まれます。例えば、民泊やフードデリバリーなどのシェアリングエコノミーが代表的です。新興ビジネスは、経済活動が広がるとともに多くの人々が参入するため、国税庁は積極的に情報を収集する目的で調査を行っています。

また、新しい分野のビジネスは急速に成長することが多く、その際に税務の知識や準備が十分でないまま取引を進めてしまうことも少なくありません。例えば、暗号資産の取引やデジタルコンテンツの販売など、従来のビジネスとは異なる税務処理が必要となるため、注意が必要です。

新分野のビジネスでは売上が急激に伸びるケースもあり、税務調査により修正対象となる課税金額が大きくなることもあります。新しいビジネスに携わる際には、最新の税法に関する知識をしっかりと身につけ、その業界に詳しい税理士のアドバイスを受けることが望ましいです。

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関連記事:税務調査が10年以上来ない企業、個人事業主とは?業種も関係ある?

税務調査で不正が発見された割合が高い業種TOP10

国税庁では毎年、税務調査での「不正発見割合」を公表しています。令和5年度の報告でTOP10にランクインした業種は、以下の通りです。

順位業種目不正発見割合不正所得金額前年順位
1バー・クラブ59.0%29,851千円
2その他の飲食42.3%21,011千円1
3外国料理38.8%39,636千円
4土木工事31.5%16,257千円4
5美容30.8%23,779千円10
6一般土木建築工事29.5%20,981千円7
7職別土木建築工事29.5%17,266千円5
8廃棄物処理29.2%18,317千円2
9船舶28.8%38,164千円
10その他の道路貨物運送28.8%16,327千円

引用:令和5事務年度法人税等の調査事績の概要|国税庁

これらに該当する業種は、税務署が特に注意を払っているため、税務調査に入られやすいと言えます。

こんな企業は税務調査に入られやすい

指差し、ポイント

税務署の調査対象に入りやすい業種であっても、すべての企業が調査される訳ではありません。また、前項に挙げた業種に当てはまらないとしても、自社が対象になることもあり得ます。ここでは、税務調査の対象に選ばれがちな企業の特徴についてご紹介します。

事業の規模が大きい

売上が大きい企業は、申告内容に誤りがあった場合の影響も大きいです。何らかの申告ミスや不正が発見された際には、追徴税額も高額になる場合があります。そのため、税務当局はリスク管理の観点から大規模な企業を重点的に調査する傾向にあります。

もちろん、売上規模が小さい企業も対象から外れるわけではありません。売上規模に関係なく、申告内容に異常が見られる企業を選定するためのシステムが導入されています。

例えば、国税総合管理(KSK)システムは、売上規模に関係なく取引の異常値を検出できます。売上規模が小さくても申告内容に不自然な点があれば、調査が入るのです。

事業の規模が大きい企業は税務調査の頻度が高くなりがちですが、小規模な企業も油断は禁物です。適切な申告と経理管理を行い、税務調査に備えることが大切です。

参考:国税総合管理(KSK)システムの刷新可能性調査の結果等について|国税庁

利益や売上に変動があった

平年に比べ、売上が急に増えたり、反対に急激に下がっている場合、税務署は「その変動が何によるものか」を確認したいと考えます。不正や経理ミスが警戒されるため、調査対象として選ばれやすくなるのです。

例えば、前年に比べて利益が急増している場合には、費用を実際より少なく計上したり、収入を実際より多く報告していると疑われ、詳細な調査が必要となることがあります

異常な変動を見逃さず、「正確な申告が行われているかどうか」の確認のために調査を実行できるのです。売上や利益の変動があった際は、帳簿や会計記録を正確に管理し、調査に備えることが必要です。

売上に占める経費率が高い

経費率(売上に対する経費の割合)が高い場合、税務署は「売上を不正に除外しているのではないか」「経費を水増ししているのではないか」と考えます。このような場合、税務職員は法人や個人事業主が正しい納税をしているかどうかを確認するため、調査を行うことが多いです。

特に、売上が伸びているにもかかわらず利益が少ない場合は、申告内容に不自然な点があるとみなされてもおかしくありません。私的な支出を経費として計上されることの多い接待交際費や仕入れ代、支払手数料が異常に多い場合は、特に注意が必要です。

また、税務署はあらゆる業種の売上や経費の数値を把握しており、業種の平均からかけ離れた値があると、不審に思われやすくなります。そのため、同業他社と比較して経費率が突出して高い場合、調査の対象となる確率が高まります。

過去の税務調査で指摘を受けたことがある

過去に税務調査で不正が見つかり指摘を受けた企業は、再び調査の対象になりやすい傾向があります。これは主に、過去の問題点が正しく修正されているかを確認するためです。一度でも不正が見つかった場合、税務署は「再び不正が行われているのではないか」と考え、調査の頻度を増やすことがあります。

また、取引先に税務調査が入り、その企業で不正が見つかると、取引関係にある自社も調査対象となることがあります。これは「反面調査」と呼ばれるもので、自社との取引に関する処理が正しく行われているかどうかを確認するためです。この際、自社が無申告や不正を行っていることが発覚すれば、芋づる式に調査が進むことになります。

外部からの情報提供がある

外部からの情報提供、いわゆる「タレコミ」は、税務署に対して不正な取引や脱税の疑いを知らせることです。例えば、元従業員が会社の不正な取引や経費の水増しを知っており、それを税務署に通報するといったケースがあります。税務署は、こうした情報提供に基づき調査を開始することが多く、特に信ぴょう性の高い情報の場合、迅速に対応します。

情報提供は匿名で行うことも可能で、国税庁の公式サイトには「情報提供フォーム」が設置されています。また、直接税務署に電話や投書をすることも可能です。このような情報提供があると、税務署は調査の必要性を慎重に判断し、必要に応じて実地調査を行います。

参考:課税・徴収漏れに関する情報の提供|国税庁

関連記事:税務署へのタレコミの方法とは?密告を受けた税務署はどんな方法を取るのかを詳しく解説!

選定にはAIが活用されることも

近年、税務調査においては、人工知能(AI)が積極的に活用されるようになっています。AIは過去の申告漏れ事例などを学習し、膨大なデータから疑わしい法人をピックアップします。

例えば、売上や経費のデータを分析し、不自然なパターンを検出することで、申告漏れのリスクが高い納税者を特定するのです。国税庁は、AIを活用することで、調査の効率性と精度を大幅に向上させようとしています。

また、国税庁は2021年に「税務行政のデジタル・トランスフォーメーション」を公表しています。納税者の利便性向上や事務の効率化を目的とし、税務調査においてもより精密かつ効率的になりました。申告書類のデータベース化とAIによる機械学習が導入され、過去の調査データを元に申告漏れの可能性が高い法人を選定します。

例えば、2022年度には、AIが選定した調査対象企業の平均追徴税額が大幅に増加しました。AIの導入が功を奏し、効果的な税務調査が行われた結果とも言えるでしょう。

AIの活用は、税務調査の精度を上げており、より多くの税逃れを防止する手段としても有力視されています。今後も、AIをはじめとするデジタル技術の活用が進むことで、税務調査の方法はさらに進化していくでしょう。

参考:税務行政のデジタル・トランスフォーメーション|国税庁

税務調査にも強い税理士をお探しなら、私たち「小谷野税理士法人」が全力でサポートしますので、ぜひお気軽にご相談ください。

関連記事:税務調査は個人の口座も調査対象?提示を拒否できるケースも解説

税務調査に入られる確率

個人事業主に対する税務調査のイメージ

税務調査に選ばれやすい業種があると言っても、「うちには来ないだろう」と考える方も多いことでしょう。その確率は高いとは言えないものの、どんな業種の企業においても0%ではありません。また、今後は調査件数が増えていくとも言われています。

法人は2%、個人事業主は2.5%

税務調査に入られる確率は、法人と個人事業主で若干異なります。法人の場合、令和4年度の法人税の申告件数が約312.8万件あり、そのうち実地での税務調査件数は約6.2万件でした。これを基に計算すると、法人に対する税務調査の確率は約2%となります。

一方、個人事業主における令和4年度の消費税申告件数が約105.5万件あり、そのうち実地での税務調査件数は約2.6万件でした。この数値を基に計算すると、個人事業主が税務調査の対象に選ばれる確率は約2.5%となります。

法人も個人事業主も調査対象に選定される確率はそれほど高くありませんが、それでも定期的に調査が行われていることを忘れないようにしましょう。日頃から正しい経理管理を行い、税務調査に備えることが重要です。

関連記事:【税理士監修】税務調査が入る確率は?10~20年は来ないって本当?売上1,000万円弱の申告は注意!

税務調査件数は増えていくことが予想される

税務調査の件数は今後増加していくことが予想されます。特に、AIの導入によって調査が格段に効率化され、大量の取引データを短時間で分析することが可能になりました。AIの活用により、税務署は不正なパターンや矛盾を迅速に発見し、より多くの件数を調査できるようになっています。

また、コロナ禍の影響で一時的に減少していた調査件数も、徐々にコロナ前の水準に戻りつつあります。今後は、さらに調査件数が増加することが予想され、税務調査に対する備えが一層重要となるでしょう。特に、ここ数年で調査を受けていない企業は、再度決算申告の内容や経理体制を見直し、すべての数字が正しく計上されているか確認することが重要です。

税務調査は脱税の疑いがある企業に限らず、きちんと申告している企業も対象になる可能性があります。調査の対象になった場合でも、顧問税理士と連携し冷静に対処すれば問題ありません。正確な申告と経理管理を行い、税務調査に備えましょう。

関連記事:税務調査にかかる時間は?時間帯はいつ?個人・法人別に解説

まとめ|どんな業種でも正しい申告を心がけよう

税務調査は特定の業種に限らず、どの企業でも対象となる可能性があります。業種や取引内容にかかわらず、税務署は不正やミスがないかを確認するために調査を行います。そのため、すべての企業や個人事業主が正確で透明な申告を心がけることが重要です。

経理体制の見直しや、最新の税法に関する知識を身につけることで、税務調査に対するリスクを軽減することにつながります。顧問税理士との連携やデジタル化の導入も、正しい申告をサポートする有効な手段です。

どんな業種でも、適切な税務管理を行い、税務署からの信頼を得ることを目指しましょう。日々の税務に不安がある方や最新の税法を詳しく知りたい方、正しい申告のためのサポートを受けたい方は、私たち「小谷野税理士法人」が全力でサポートしますので、ぜひお気軽にご相談ください。

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この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
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