0120-469-383平日 9:00~18:00 税理士に相談(相談無料)
会社設立の基礎知識

個人から法人に事業譲渡する際にかかる税金と成功のポイント

公開日:

個人から法人に事業譲渡する際にかかる税金と成功のポイント

個人事業主でも、自身が営んできた事業を法人などへ譲渡が可能です。個人から法人に事業譲渡をする場合、譲渡をする側(個人)には所得税や住民税が課せられます。また譲渡にはメリット・デメリットがあるだけでなく、節税のための手続きや制度活用も検討しなければなりません。本記事では、個人から法人へ事業を譲渡する際にかかる税金や譲渡を成功させるためのポイントについて解説します。

個人でも事業譲渡は可能?

個人事業主も、自身の事業を譲渡することが可能です。事業譲渡には、事業全体を譲渡する「全部譲渡」と、特定の事業のみを譲渡する「一部譲渡」の2種類があります。

「事業」には事業用の資産や権利だけでなく、取引先、仕入先、販路など、個人事業主が保有する経済的価値のある要素も含まれます。

関連記事:事業継承と事業譲渡の違いとは?それぞれのメリットや注意点も解説

個人から法人へ事業売却するメリット・デメリット

メリット・デメリット

個人から法人へ事業売却するメリット・デメリットを、以下の表にまとめました。

メリット

  • まとまった売却資金を得られる
  • 後継者問題を解決できる
  • 廃業コストを削減できる
  • 債務や債券から解放される

デメリット

  • 売却完了までに時間がかかることもある
  • 従業員の雇用はそのまま継続できない
  • 一度廃業届を提出する必要がある
  • M&A仲介会社選びに難航する恐れがある

個人から法人へ事業を売却することで、まとまった資金を得られるだけでなく、後継者問題の解決や廃業時のコスト削減といった多くの利点があります。一方で、売却までに時間がかかることや、従業員の雇用継続が保証されないなどのデメリットも存在します。

さらに、廃業届の提出やM&A仲介会社の選定など、手続き面での負担も考慮が必要です。メリットとデメリットを正しく理解し、事前に計画的な準備を行うことが、スムーズな事業譲渡につながります。

関連記事:会社分割(新設分割)と事業譲渡の違いは?メリット・デメリット、選び方、税務関連について解説

個人が事業譲渡する際にかかる税金

税金

個人から法人に贈与する場合、所得税と住民税がかかる可能性があります。また譲渡を受けた法人には、法人税などがかかることも合わせて覚えておきましょう。

個人事業主が事業譲渡(贈与)する場合は、個人事業主には贈与税と相続税はかかりません。贈与税は贈与を受けた個人、相続税も遺産を相続した個人にかかる税金となります。

参考:No.4402 贈与税がかかる場合|国税庁

参考:No.4152 相続税の計算|国税庁

参考:令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について|国税庁

個人事業主が事業譲渡をする流れ

個人事業主が事業譲渡をする流れを以下の表にまとめました。

手続きの段階

内容

補足

① 検討・準備

譲渡手法の検討(事業譲渡・株式譲渡など)

譲渡事業の選定、譲渡価格の設定

譲渡計画やスケジュールを立案

② ソーシング・交渉

買い手候補探し(M&Aアドバイザーの活用も可)

ノンネームシート作成

条件交渉

経営理念や相性も重視して選定

③ 秘密保持契約・基本合意

秘密保持契約(NDA)の締結

経営者面談

基本合意書の締結

独占交渉権や今後のスケジュールを明記

④ デューデリジェンス

法務・財務・税務などの調査

売却価格の再検討につながることも

⑤ 社内決議

取締役会および株主総会での承認(特別決議含む)

売買対象が資産の一定割合を超える場合は必要

⑥ 事業譲渡契約締結

契約書の作成と締結

法的拘束力あり。雛形使用は非推奨

⑦ クロージング

資産の引渡し

対価の支払い

必要書類の授受

通常1か月以上かかることも

⑧ 名義変更・雇用引継ぎ

預金・不動産等の名義変更

従業員の雇用引継ぎ

事業開始に支障が出ないよう早めに対応

⑨ 各種届出

公正取引委員会や財務局への届出(要件該当時)

売上高・資産額に応じて義務発生

個人事業主が事業譲渡を行う際には、上記のような一連のステップを踏む必要があります。これらの手順を計画的に進めることで事業をスムーズに引き継げるだけでなく、後継者への円滑な移行と信頼関係の維持につながります。

参考:事業等の譲受けの届出制度|公正取引委員会

関連記事:事業譲渡の手続き方法は?事業譲渡のメリットと手続きの流れを解説

個人事業主が事業譲渡を成功させる方法

計算をする男性

個人事業主が事業譲渡を成功させるための3つの方法について解説します。

早期に検討を始める

事業譲渡を決意したら、なるべく早めに検討を進めましょう。事業主自身の年齢や体調不良など、急な事情により事業継続が困難になってから譲渡の準備をしなければいけないケースもあります。買い手の選定や戦略の策定、貸主との交渉などに十分な時間をかけられず、交渉面でも不利になる可能性があります。

そのため体力的・資金的に余裕があるうちから譲渡の検討を始め、事前準備を進めておくことが成功のカギとなるでしょう。

関係者と協議・情報開示をする

事業譲渡を行う際には、従業員、取引先、債権者などの関係者から理解や同意を得る必要が出てきます。特に、従業員や主要な取引先に対しては、タイミングを見計らって適切に情報開示を行うことが重要です。

これは、譲渡後の円滑な事業運営にも大きく影響するため、売り手の責任として丁寧な対応が求められます。M&Aの専門家などと連携しながら、関係者対応の方針を早めに検討しておくと良いでしょう。

リスクや課題の事前に把握しておく

売り手側はあらかじめ自らの事業におけるリスクや問題点を洗い出し、可能な限り改善しておくことが大切です。

例えば店舗の設備に不具合がある場合や帳簿の整合性に問題がある場合は、あらかじめ改善しておくのが望ましいです。こうした対応によって買い手からの評価が高まり、交渉を有利に進めやすくなります。

個人から法人に事業譲渡する際の注意点

個人事業税がかからない業種のイメージ

個人事業主が事業を譲渡する際には、次の5つの点に注意が必要です。

従業員の雇用継続は「再契約」が必要

事業譲渡では、従業員の雇用契約をそのまま引き継ぐことはできません。いったん解雇したうえで、新たに買い手企業と契約を結び直す必要があります。ただし「労働契約承継法」により、従業員の権利や待遇は原則として引き継がれる仕組みになっています。

取引先との関係がリセットされる可能性がある

個人事業は、経営者本人の信頼で成り立っていることも多く、事業譲渡で経営者が変わると取引が終了してしまう可能性もあります。取引先には事前に挨拶や説明を行い、理解を得て信頼関係を再構築することが大切です。

店舗の賃貸契約は引き継げない

居抜きで飲食店や美容室などを譲渡する場合でも、物件の賃貸契約は譲渡できません。新しい経営者は、改めて貸主と契約を結ぶ必要があります。不動産会社への事前確認を忘れないようにしましょう。

自己破産を予定している場合は時期に注意する

事業譲渡の後に自己破産をする場合、タイミングによっては「財産隠し」とみなされ、譲渡が無効になるおそれがあります。譲渡前に自己破産の申請を済ませ、管財人に事業譲渡の必要性を説明しておくことが重要です。

まとめ

個人事業主が法人へ事業を譲渡する際には、方法ごとに異なる税金の知識や手続きが必要です。贈与・相続・売却のいずれかを選び、税負担の違いやメリット・デメリットを理解したうえで進めましょう。

また、廃業や開業届の提出、取引先への説明など実務面でも多くの準備が求められます。スムーズな譲渡には、余裕を持ったスケジュールで進めることと、専門家への相談が成功のポイントです。

個人から法人への事業譲渡をお考えの方はぜひ一度「小谷野税理士法人」までお気軽にお問い合わせください。

初歩的なことや些細な質問でも大丈夫です。「これって経費?」の一言から専門家が丁寧にお答えします。

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
  • 会社設立の基礎知識 特集「法人のための確定申告」
税理士「今野 靖丈」

会社設立専門の税理士による
オンライン面談を実施中!

お電話でのお問い合わせ

0120-469-383 受付時間 平日 09:00~18:00

Webからのお問い合わせ

相談無料会社設立の相談をする 24時間受付中

税理士変更のご検討は
オンライン面談でもお受けします

お電話でのお問い合わせ

0120-469-383 受付時間 平日 09:00~18:00

Webからのお問い合わせ

税理士変更の相談をする 24時間受付中
オンライン面談