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共同経営における給料の決め方とは?形態別のルールと注意点を解説

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共同経営における給料の決め方とは?形態別のルールと注意点を解説

共同経営を始める際、早い段階で決めておきたいのが経営者間の報酬や給与に関するルールです。特に個人事業主同士で事業を始める場合は、選択する事業形態によって報酬の考え方が異なります。また、法人を設立するケースでは、役員報酬や税務上のルールにも注意が必要です。この記事では、共同経営の形態ごとに報酬の基本的な考え方を解説し、報酬を決定する際のポイントや注意点についてわかりやすく解説します。

共同経営の種類

個人事業主が共同で事業を行う場合、様々な経営の形態があり、報酬の決め方や利益・経費の分配方法が異なります。

共同経営を円滑に進め、トラブルを避けるためには、自分たちに合った形態を選び、金銭面のルールを明確にしておくことが大切です。

ここでは共同で事業を行う場合の代表的な形態と特徴について解説します。

双方が個人事業主として共同経営する場合

それぞれが独立した個人事業主として事業に関わり、事前に決めたルールに基づいて共同で得た収益を分配する形態です。

売上や経費を折半するケースも多く見られますが、税務上は各自が確定申告を行うため、最終的な手取りが同じになるとは限りません。

そのため、対等な関係で事業を進めたい場合でも、「どのように報酬を分けるか」「どこまで費用を共通とするか」等を事前に話し合い、文書で取り決めておくと安心です。

一方が個人事業主、もう一方が外注となる場合

事業の代表者となる一方が個人事業主として事業の売上を受け取り、もう一方は業務委託契約に基づいて報酬を受け取る形態です。依頼者と外注先となるため、形式上は共同経営とは異なります。

外注側が開業届を提出しない場合、報酬は雑所得として確定申告します。なお、場合によっては事業所得とすることも可能です。

この形態のメリットは、意思決定権が個人事業主側に集中するため、迅速に事業判断ができる点です。しかし、対等なパートナーシップは難しく、上下関係が生まれやすくなり立場の違いが明確になってしまうかもしれません。

また、顧客から見たときに、外注側は経営パートナーではなく、スタッフとして認識される可能性もあります。よって、外部とのやり取りや責任分担については事前に話し合っておく必要があります。

一方が個人事業主、もう一方が従業員となる場合

代表者が個人事業主として事業を運営し、もう一方は従業員として雇用される形態です。報酬は給与として支払われ、雇用主・従業員の関係が成立します。

共同経営者間に経験やスキルの差がある場合等、まずは従業員として関わってもらう形で採用されるケースです。従業員側は、給与が安定して支給される点がメリットです。

ただし、給与を支給する際には源泉徴収や社会保険等の手続きが発生するほか、税金等も個人事業主と従業員は異なります。そのため、形式上は同額の報酬を受け取るとしても、実質の手取り額に差が出ることがあります。

また、この形態では法的にも運営実務的にも雇用関係となるため、対等な経営パートナーというより、従業員として事業に参加する位置づけになるでしょう。

法人を設立する場合

共同経営者が複数いる場合、株式会社や合同会社といった法人を設立して事業を運営する形態です。法人を設立することで、社会的信用が高まるだけではなく、金融機関からの融資を受けやすくなるといったメリットもあります。

この形態では、共同経営者は会社の役員として登記され、それぞれが会社から役員報酬を受け取ります。役員報酬の金額は、会社の利益や貢献度、出資比率等を踏まえて決定されるのが一般的です。

株式会社では、出資額が多いほど議決権も大きくなり、意思決定に与える影響力が強くなります。一方、合同会社では出資比率にかかわらず、出資者間の合意に基づいて柔軟に意思決定されます。

役員報酬の設定は、法人税の取り扱いや経費算入の可否に直結するため、税務面でも注意が必要です。

また、利益の分配も出資割合や定款・契約書での取り決めに基づいて行われます。トラブルを避けるためにも、あらかじめ合意内容を文書に残しておくと安心です。

関連記事:個人事業主の共同経営は可能?主な形態や親子・友人・夫婦との経営について

共同経営で報酬・給料を決める際のポイント

給料袋

共同経営において、報酬や給料に関するルールは非常に重要です。金銭にまつわる合意や対応の遅れは、共同経営者間の信頼関係にひびが入る原因となりかねません。

特に利益配分や貢献度に基づく報酬の決定は、事前の十分な話し合いが大切です。

公平性を保つためにも、主観や感情ではなく、客観的で合理的な基準に基づいて取り決めておくことが必要とされます。

また、事業の成長や環境の変化に応じて報酬体系を調整できるように、変更のルールをあらかじめ決めておくことも大切です。

ここでは、安定した経営を継続するため、共同経営で報酬・給料を決める際のポイントを解説します。

役割分担を明確にする

適正な報酬を決めるためには、それぞれの役割と責任を明確にすることが欠かせません。

例えば、一方が営業を担当し、もう一方が商品開発やバックオフィス業務を担う等、業務の分担を具体的に決めておくと、お互いの貢献度も把握しやすくなります。

役割が曖昧なままだと、業務の偏りが生じたり、責任の押し付け合いが起きたりする原因になります。その結果、不満がたまったり、思わぬトラブルにつながったりする恐れもあるため、注意が必要です。

あらかじめ担当範囲や責任を共有しておくことで、互いの働きへの理解が深まり、報酬の分配に対する納得感も高まるでしょう。

利益や経費の分配方法を取り決める

共同経営では、利益の配分や経費の負担をどう決めるかが、重要な取り決めの一つです。

例えば、出資比率に応じて配分する方法や、実際の稼働時間・業務量に応じて按分する方法等、さまざまな考え方があります。

また、利益だけではなく、赤字が出た場合の負担割合についても明確にしておくことが大切です。

トラブルを防ぐため、こうした取り決めは、口頭の合意ではなく契約書等の文書に残しておきましょう。

意思決定をする際のルールを定める

共同経営では、日々の業務から経営戦略に至るまで、複数の当事者で意思決定を行う場面が多くなります。円滑な事業運営のためには意見が食い違った場合にどのように結論を出すのか、あらかじめ物事の決め方のルールを明確にしておきましょう。

例えば、多数決で決定するのか、代表者が最終判断を下すのか等、判断プロセスを決めておきましょう。

経営上の重要な場面で決断ができずにいると、ビジネスチャンスを逃したり、問題が深刻化したりする可能性があります。

さらに、曖昧な体制のままだと人間関係にも悪影響を及ぼしかねません。 「どのような事項を、誰が、どのような手続きで決めるか」という基本的なルールを定めておくことで、トラブルを防ぎ、スムーズなコミュニケーションが図れるでしょう。

契約書を作成する

共同経営を始める際には、共同経営契約書(パートナーシップ契約書)を作成しておきましょう。

契約書には、事業の内容や出資比率、利益・経費の分配方法、各自の役割、意思決定の手順、契約期間、解消時の取り決め(脱退・解散・清算等)等、運営に関わる基本事項を網羅的に記載してください。

口頭での合意は、後々、言った・言わない等のトラブルに発展するリスクがあります。たとえ信頼している相手との共同経営であっても、あらかじめルールを文書化しておくことで、お互いの責任や権利が明確になり、万が一の事態にも冷静に対処できます。

後悔しないためにも、できるだけ早い段階で法的に有効な内容を整えておきましょう。

関連記事:開業費とは?個人事業主の開業前に発生した費用を経費にするためのポイントを解説!

関連記事:【税理士監修】個人事業主の借入はいくらまで?借入先やタイミング等も解説

共同経営における注意点

個人事業税がかからない業種のイメージ

共同経営は、一人で事業を行う場合に比べて資金や人材、アイデアを集めやすく、互いの強みを活かしながら経営できるというメリットがあります。一方で、複数の当事者が関わることによるリスクも伴います。

例えば、曖昧な役割や意見の食い違い、金銭的なトラブル等が起きると、信頼関係の悪化につながり、事業そのものに影響を及ぼしかねません。

こうしたリスクを回避するには、明確なルールと良好な関係性を築く努力が不可欠です。

ここでは共同経営における注意点を解説します。

金銭面でのトラブルを防ぐ

共同経営でもっとも発生するのは金銭に関するトラブルです。特に、利益の分配や経費の割合について明確なルールがない場合、「自分ばかり損をしている」「貢献に見合った報酬が得られていない」といった不満が生じやすくなります。

事業が順調なうちは問題が表面化しないこともあるでしょう。一方、売上が落ち込んだり、想定外の出費が重なったりした場合に、金銭的な取り決めの曖昧さが深刻な対立を招くケースも少なくありません。

こうしたリスクを防ぐためには、出資比率や報酬、損失の負担方法等を前もって細かく取り決め、契約書として書面に残しておくことが重要です。

話し合いのルールを決めておく

共同経営では、事業の方向性や業務の進め方をめぐって意見が対立することがあります。価値観や考え方の違いは当然ですが、対立が建設的な議論に発展せず、感情的な衝突につながると、経営判断の遅れや事業の停滞を招く恐れがあります。

冷静な話し合いが難しくなると、信頼関係そのものが損なわれてしまうかもしれません。

こうした事態を避けるためにも、「どのように話し合いを進めるか」「最終的な意思決定は誰が行うか」といったルールを、共同経営を始める段階であらかじめ明確に定めておきましょう。

責任の所在を明確にする

共同経営では、複数の経営者が関わることで業務が分担される反面、責任の所在が曖昧になるリスクも伴います。

そのため、トラブルやクレームが発生した際に、責任の押し付け合いになったり、迅速な対応ができずに問題が長引いたりする恐れがあります。

こうした状況は、共同経営者間の信頼関係を損なう要因となり、結果として事業の継続が難しくなるかもしれません。

リスクを回避するためには、役割を決めるだけでなく、それぞれの業務範囲と責任の所在を具体的に定め、契約書や覚書等の文書に明記しておきましょう。

良好な人間関係を保つ

共同経営では、ビジネス上のパートナーシップと同時に、信頼関係の構築も必要です。しかし、金銭的な不満や意見の対立、責任の不公平感が蓄積すると、関係性が悪化し、意思疎通が困難になるリスクがあります。

一度関係がこじれると、建設的な話し合いができなくなり、事業運営そのものに支障をきたすこともあります。

なお、もともと友人や家族だった相手と共同経営をする場合は、プライベートとの境界が曖昧になりやすく、感情的な対立が起こりやすいかもしれません。

このような事態を避けるためには、定期的なミーティングを設けて、お互いの考えや不満を率直に話し合える関係性を保つことが大切です。

また、場合によっては、税理士や弁護士等の専門家を交えた中立的な話し合いも有効です。

関連記事:個人事業主に適用される所得控除はいくつある?控除の種類や注意点を解説

関連記事:個人事業主の複数事業における確定申告の仕方は?

まとめ

共同経営における給与や報酬の決め方は、事業の形態や共同経営者同士の合意内容によって変わります。

個人事業主同士で事業を運営する場合は、両者がそれぞれ個人事業主として報酬を分け合う形もあれば、一方が外注または従業員という形態をとるケースもあります。なお、法人を設立した場合は、役員報酬として報酬を支給するのが一般的です。

どのような形態であっても、報酬や利益の分配方法を事前に定め、文書化しておくことが重要です。加えて、役割分担や意思決定のルールを明確にし、万が一に備えた仕組みを整えておくことが、円滑な経営を支えるポイントと言えます。

また、金銭面でのトラブルや意見の対立、責任の所在、人間関係の問題といったリスクについても十分に認識し、事前に対応策を講じておくことをおすすめします。対策を取ることで、より安定した共同経営ができ、事業も成功につながるでしょう。

共同経営についてのお困りごとやご相談は、ぜひ「小谷野税理士法人」までお気軽にお問い合わせください。

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
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