中小企業が事業を拡大するためには、適切な資金調達が欠かせません。そのため、資金調達の際は、あらかじめ融資における金利相場について理解を深めることが大切です。この記事では、融資を検討する中小企業の経営者に向けて、金利相場や計算方法、金利に影響するポイントについて解説します。自社に適した資金調達方法を見つけ、企業拡大に役立てましょう。
小谷野税理士法人では、中小企業向けに融資の支援を実施しています。
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目次
【中小企業必見】資金調達方法別に融資の金利相場を解説
ここでは、以下6つの資金調達方法の融資の金利相場について解説します。
- 日本政策金融公庫
- 地方銀行・信用金庫
- 銀行のプロパー融資
- 信用保証協会の保証付き融資
- ノンバンク
- ファクタリング
それぞれの金利相場と併せて特徴を押さえ、自社に適した方法を見つけましょう。
日本政策金融公庫
日本政策金融公庫は、国が100%の出資を行ういわゆる政府系金融機関です。日本国内の企業を支援する目的から、さまざまな融資を実施しています。日本政策金融公庫の金利は、時期によって変動はあるものの、約1~3%が基準です。
また、特定の条件を満たした法人の場合、特別利率が適用され、こちらも1~3%前後で融資を受けることができます。低い利率での融資を希望する経営者にとっては、おすすめの資金調達法と言えるでしょう。
地方銀行・信用金庫
日本銀行の資料によると、地方銀行では1~2%程度、信用金庫では2~3%ほどの金利です。1年を通じて細かな変動はあるようですが、平均的に低い金利で融資を受けられることが分かります。
いずれの金融機関も地域密着型であることが多く、経営者のサポートを優先に、親身になって対応するという特徴があります。ただし、対象地域外に設置された事業だと利用できない場合もあるため、利用の際は条件に目を通す必要があるでしょう。
銀行のプロパー融資
銀行のプロパー融資は、信用保証協会を通さずに、直接貸付を行う融資を指します。プロパー融資の金利相場は、一概には言えませんが、銀行の利率と合わせていることが多いです。
プロパー融資の一例として東京東信用金庫を挙げると、3つの融資商品の中から目的に合わせて選ぶことが可能です。同社の利率は返済期間によって異なるものの、3〜4%前後で利用可能です。
プロパー融資についてはこちらの記事でもまとめているので、興味のある方は併せてご覧ください。
関連記事:プロパー融資とは?審査が厳しいので難しい?金利やメリット・デメリットなどを詳しく解説!
信用保証協会の保証付き融資
信用保証協会の保証付き融資は、各地の信用保証協会が保証人となり、資金調達をサポートする融資制度です。
金利相場は、各種銀行の金利と合わせていることが多いものの、概ね2%前後となっています。
信用保証協会については以下の記事でもまとめているので、興味のある方はこちらもぜひご覧ください。
関連記事:信用保証協会のメリットは?融資の審査が通過しやすくなるのかを解説
ノンバンク
ノンバンクは、預金を取り扱わない金融会社を指し、具体的にはクレジットカード会社などが挙げられます。中小企業に対して柔軟な融資条件を提供することが多く、金利相場は3~18%前後とやや高めです。
利息が高くなる理由には、貸し倒れによるリスクを避ける目的や、迅速な融資手続きが関係しています。金融会社が損害を避けるために、あらかじめ利息を高めに設定しているのです。また、スピーディーな融資を実現するために、審査にかかるコストを金利に転換しています。
なお、信用度の高い企業であれば、貸し倒れリスクの可能性が低いことから、低い金利で融資を受けられるでしょう。
ファクタリング
ファクタリングは、企業の売掛債権を売却して資金を得る方法です。企業とファクタリング会社の2社間ファクタリングであれば、売掛債権の10~30%が手数料の相場です。
取引先の3社間であれば、企業が返済を滞った場合、取引先に連絡ができるなどの理由から、1〜10%と低く設定されています。
融資ではないため、金利は発生しないものの、高額な手数料が掛かります。そのため、利用は慎重に検討する必要があるでしょう。
金利の計算方法
金利を計算するには、2つの金利種類について把握しておくことが大切です。ここでは、以下2つの金利種類における計算方法について解説します。
- 元利均等返済
- 元金均等返済
それぞれの特徴と金利について理解を深め、自社に適した融資を選択しましょう。
元利均等返済
元利均等返済は、毎月、一定額を返済する方法です。返済額には元金に対する利息も含まれているので、返済期間中に変動することはありません。初期は利息に充てる部分が大きく、期間が進むにつれて元金部分が大きくなる仕組みです。
メリットは、最初から最後まで毎月同じ額を返済できるので、返済計画の見通しが立てやすいことが挙げられます。ただし、毎月の返済額が一定のため、事業が低迷した場合、更なる資金調達が必要となる可能性に留意しましょう。
元金均等返済
元金均等返済は、毎月の返済額に一定の元金部分を含んで返済する方法です。利息は返済残高に応じて発生するため、返済初期は返済額が高額なものの、返済期間の経過によって徐々に下がります。メリットは、返済の経過によって返済額が少なくなる点です。ただし、返済当初は返済額が最も大きいため、返済負担が重くなりやすい点に留意しましょう。
小谷野税理士法人では、税金関連から融資のご相談まで幅広く担っております。
ぜひ一度お気軽にご相談ください。
金利に影響する4つの要素
融資における金利は、主に4つの要素によって変動します。
- 返済期間
- 担保の有無
- 貸倒れリスク
- 金融機関が求める利益の幅
ここでは、それぞれの特徴と理由について解説するので、資金調達の際の参考にしてください。
返済期間
企業の返済期間は、金融機関にとってリスクを負う期間です。金融機関は、リスクをカバーする目的から、返済期間が長期であるほど金利を高く設定する傾向です。
返済期間が短期であれば、利息は減る一方、毎月の返済額が高額になり、経営を圧迫しかねません。融資を受ける際は、自社の返済能力に適した返済期間を選択しましょう。
担保の有無
担保の種類や価値に応じて、金融機関は金利を設定します。企業からの支払が滞っても、担保によって金融機関はリスクを小さく抑えられる可能性があるためです。
そのため、無担保ローンに比べて低い金利が設定される傾向にあります。万が一、返済できなくなった場合は、担保として入れていた資産が売却され、返済分に充当されるので注意しましょう。
関連記事:【税理士監修】企業の成長を支える運転資金とは?調達から計算式・内訳までを徹底解説
貸倒れリスク
貸倒れリスクは、金融機関が企業に融資する際に背負うリスクです。信用度や返済能力が高い企業であれば、金利は低く設定される傾向にあります。
担保を設定したり、返済期間を短くしたりすることで、貸倒れリスクは下げることが可能です。
金融機関が求める利益の幅
金融機関の中には、融資で生じる利息を自社の収入源とし、事業運営に充てているケースもあります。そのため、自社利益を踏まえた金利を設定することも珍しくありません。
とくに、地域密着型の金融機関を利用する際は、都市銀行と利息を比較してから検討することをおすすめします。
税金のご相談や融資については、ぜひ小谷野税理士法人までご相談ください。
金利を下げる4つの方法
融資の金利を下げるためには、適切なコツや節約方法を理解し、実践することをおすすめします。ここでは、4つの方法について解説するので、融資を受ける前に試し、金融機関からの高い信頼度につなげましょう。
担保・保証人を用意する
担保や保証人を用意することで、金融機関の貸倒れリスクを下げられます。その結果、低金利で融資が受けられるでしょう。
たとえば、日本政策金融公庫の有担保融資と無担保融資では、有担保の方が1%ほど金利が低く設定されています。
保証人を用意することも、保証人が企業に代わって返済することになるため、貸倒れリスクの視点ではメリットでしょう。
ただし、保証人を請け負ってもらうための許可をとるなど、手間や信頼関係などが必要であるため、慎重な検討が大切です。
参考:日本政策金融公庫|金利情報|国民生活事業(主要利率一覧表)
事業計画書を作成する
事業計画書を金融機関に提出することで、企業における将来的な収益性や返済能力を示すことが可能です。事業計画書には、事業の現状分析や将来の売上予測、成長戦略などを明確に記載しなければなりません。特に、売上予測を適切な内容にすることで、返済能力があることをアピールできます。
説得力のある事業計画書によって、金融機関は自社リスクを低く評価し、金利の引き下げに繋がる可能性があるのです。
融資担当者と友好な関係を図る
融資を受けるまでには、融資担当者と様々な内容を話す機会があります。会話の中で信頼できる企業だと知ってもらえれば、低金利で融資を受けられる商品やキャンペーンについて教えてくれるかもしれません。
融資担当者も、一人の人間です。低金利での融資を希望する際は、細かなコミュニケーションを取り、信頼関係を築く努力も大切と言えるでしょう。
金融機関のキャンペーンを活用する
金融機関では新規顧客を獲得する目的から、低金利での融資キャンペーンが実施されることがあります。返済期間が長期であっても、低金利であれば返済負担を低く抑えることができるでしょう。
融資を受ける際は、最寄りの金融機関や都市銀行などのキャンペーンをチェックすることもおすすめです。
関連記事:運転資金融資のすべて!成功のカギを握る資金調達方法を徹底解説
中小企業が融資を受けるときは専門家にアドバイスを求めよう
中小企業が事業拡大を目指すためには、融資の利用をはじめ、金利相場について理解することが大切です。とはいえ、日常的な業務に加えて自社にとって最適な金融機関を調べることは、多くの時間を要するでしょう。