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配偶者名義の車でも経費にできる?条件・仕訳・注意点を解説

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配偶者名義の車でも経費にできる?条件・仕訳・注意点を解説

配偶者名義の車を仕事に使っている場合、「この費用は経費として認められるのだろうか?」と疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。結論としては、名義が配偶者であっても、一定の条件を満たせば経費として処理することが可能です。本記事では、配偶者名義の車を経費にできる条件や具体的な仕訳、注意点をわかりやすく解説します。配偶者名義の車を事業で活用している方は、ぜひ最後までご覧ください。

配偶者名義の車でも経費にできるのか?

配偶者名義の車であっても、一定の条件を満たせば経費に計上することは可能です。税務上の経費計上において重視されるのは、名義ではなく「事業として使用している実態」です。

たとえ所有者が配偶者であっても、業務のために継続的に使用され、かつその状況を客観的に証明できる場合には、事業主の経費として認められます。

配偶者名義の車を経費計上するための条件

配偶者名義の車であっても、正しく経費に計上するためには、いくつかの重要な条件を満たす必要があります。

名義ではなく「業務実態」が問われる以上、その利用状況について、客観的な根拠を明確にしておくことが不可欠です。以下で具体的な条件を解説します。

関連記事:社用車と確定申告|経費計上の方法についても解説

事業のために継続的に使用していること

配偶者名義の車でも、日常的に業務で使用されている実態があれば経費として認められます。一方で、たまにしか使わない、または私的利用が中心であると判断される場合は、経費性が否認される可能性があるでしょう。

継続的な使用とは、仕事の移動、営業活動、配送業務などに日常的に用いていることが明確であることを意味します。たとえ配偶者所有であっても、業務との関係性を具体的に説明できることが必要です。

使用割合を明確に記録していること

業務と私用が混在する場合、業務で使用した割合を明確に記録しておくことが必要です。全体の走行距離に対してどの程度が業務であったのかを把握するため、運転日報や訪問先の記録、Googleマップの履歴などの客観的な情報を残すのが有効でしょう。

記録がなければ、経費として全額認められないばかりか、按分の根拠が不明として否認されることもあります。帳簿と連動させた記録の整備が重要です。

支出の実態があること

経費として処理するためには、実際に事業主自身がその費用を負担している必要があります。例えば、ガソリン代や修理費を配偶者が支払っている場合、その支出は事業主の経費とはなりません。

名義が配偶者であっても、業務で使う上でかかった費用を事業主が直接負担していれば、その分は経費計上が可能です。

証拠書類を整備していること

経費性を主張するためには、支出に関する証拠書類の整備が不可欠です。例えば、領収書、請求書、運行記録などが代表的ですが、いずれも業務使用の事実を裏付ける内容である必要があります。

とくに、第三者が見ても納得できる客観的な資料であることが求められるため、これらを適切に保管・整理しておくことが、税務調査への備えとしても有効です。

支出の目的が合理的であること

支出の内容が、業務の遂行に必要であることを説明できることも重要な条件です。単なる移動や利便性のためではなく、「取引先への訪問」や「業務に必要な荷物の運搬」など、事業活動に直接結びついた目的であることを明確に示す必要があります。

税務署はこの「目的の妥当性」も重視するため、支出理由が曖昧な場合は、経費として認められないこともあるため注意しましょう。

配偶者名義の車を経費計上する際の具体的な仕訳例

レシートをもとに経費を計算する個人事業主

配偶者名義の車でも、業務に使用しており、かつ費用を事業主自身が負担していれば、経費として計上することが可能です。

ただし、業務使用分と私的使用分が混在する場合は「按分処理」が必要であり、私的使用分については「事業主貸」という勘定科目で調整します。支出の種類ごとに仕訳例をご紹介します。

ガソリン代を経費にする場合

配偶者名義の車にかかるガソリン代は、業務利用分を「車両費」として計上し、残りは「事業主貸」で処理します。現金や銀行から支払った場合は、それぞれの勘定科目で仕訳します。

例)ガソリン代10,000円を支払い、そのうち業務使用70%の場合(現金払い)

  • 業務使用分:10,000円 × 70% = 7,000円
  • 私用分:10,000円 × 30% = 3,000円

借方

貸方

車両費

7,000円

現金

10,000円

事業主貸

3,000円

車検費用や保険料を支払う場合

車検費や自動車保険料は、用途に応じて「修繕費」や「損害保険料」として経費処理します。業務利用分のみを経費計上し、残りは「事業主貸」で按分します。

例)配偶者名義の車の車検費用30,000円を支払い、業務使用割合80%の場合(現金払い)

  • 業務使用分:30,000円 × 80% = 24,000円
  • 私用分:30,000円 × 20% = 6,000円

借方

貸方

修繕費

24,000円

現金

30,000円

事業主貸

6,000円

例)配偶者名義の車の自動車保険料40,000円を支払い、業務使用割合60%の場合(普通預金から支払い)

  • 業務使用分:40,000円 × 60% = 24,000円
  • 私用分:40,000円 × 40% = 16,000円

借方

貸方

損害保険料

24,000円

普通預金

40,000円

事業主貸

16,000円

駐車場代を支払った場合

事業に使用する車両の駐車スペースにかかる費用は、「地代家賃」として処理します。私的利用分があれば「事業主貸」で按分処理します。

例)駐車場代12,000円を支払い、業務使用割合75%の場合(普通預金から支払い)

  • 業務使用分:12,000円 × 75% = 9,000円
  • 私用分:12,000円 × 25% = 3,000円

借方

貸方

地代家賃

9,000円

普通預金

12,000円

事業主貸

3,000円

自動車税を支払った場合

たとえ配偶者名義であっても、事業使用が明確であれば「租税公課」として処理できます。按分が必要です。

例)配偶者名義の車の自動車税36,000円を支払い、業務使用割合60%の場合(現金払い)

  • 業務使用分:36,000円 × 60% = 21,600円
  • 私用分:36,000円 × 40% = 14,400円

借方

貸方

租税公課

21,600円

現金

36,000円

事業主貸

14,400円

車両関連の経費に関する誤解

配偶者名義の車を経費に計上する際、判断を誤ると税務調査で否認されるリスクがあります。以下で、実務上ありがちな誤解とその正しい理解を解説します。

関連記事:社用車を4ナンバーにすると節税になる?車の税金を安くする方法を解説

全額経費にできるとは限らない

プライベートでの使用が含まれている場合は、業務使用分のみを按分して経費計上する必要があります。車両の利用が業務と私用の両方にまたがる場合、全額を経費とするのは認められません。

実態に基づいて業務使用割合を算出し、按分処理を行うことが求められます。運転日報や訪問記録を根拠とし、私的使用分は「事業主貸」で調整しましょう。

関連記事:家事按分とは?経費にできる割合や目安、計算方法を解説

経費にするには所有権移転は必要ない

経費計上には所有権の移転までは必要ありませんが、使用実態と費用負担の根拠が必要です

「所有者=事業主でなければ経費にできない」と誤解されがちですが、実際には所有者が配偶者など第三者であっても、業務に使用しており、その支出を事業主が負担している場合には経費として処理できます。

ただし、支出の実態が曖昧だったり、使用状況を説明できない場合には否認されるおそれがあるので注意しましょう。

車両関連の支出はすべて経費にできるとは限らない

業務と無関係な贅沢品や不要なカスタム費用は経費にはできません。例えば、趣味目的で取り付けた高額なドレスアップパーツや、音響機器などは、業務との関連性が明確でない限り経費としては認められません。

経費性があるかどうかの判断基準は「業務遂行に必要な支出かどうか」です。車に関する支出であっても、業務に直接関係ないと判断されれば、経費から除外する必要があります。

配偶者に払った車両使用料は経費として認められない恐れがある

実態に基づかない使用料の支払いは、経費として認められない可能性があります。配偶者と契約を結び、使用料を支払う場合でも、その金額が市場相場と比べて妥当であり、実際に支払いが行われていることが条件です。

形式だけの契約や架空の支払いは税務上否認される可能性が高く、かえってリスクを高めるでしょう。契約書の整備、振込記録の保存など、実態に即した証拠を備えることが重要です。

配偶者名義の車の経費処理に関するよくある質問

疑問を持っている男性

配偶者名義の車を業務で使用する際、その経費処理について悩む方は多く見受けられます。以下で、個人事業主の方からよく寄せられる配偶者名義の車の経費処理に関する質問をご紹介します。

車の購入費用そのものは経費にできますか?

原則として、配偶者名義の車の購入費用を事業主の経費として処理することはできません。なぜなら、車の所有者が事業主本人ではないため、その購入費用は事業の資産ではなく、減価償却などの処理対象にはならないからです。

使用割合はどのように判断すれば良いですか?

業務と私用の割合は、運転日報や訪問履歴などの客観的な記録に基づいて判断します。全体の走行距離に対して、業務で使用した日・区間・距離などを明確に記録し、合理的に按分する必要があります。

例えば、カーナビの履歴やGoogleマップのタイムライン、訪問先の顧客名簿などが証拠として有効でしょう。曖昧な按分は税務上の否認リスクに繋がるため注意してください。

青色申告と白色申告で違いはありますか?

青色申告と白色申告では、記帳の義務や税制優遇に違いがありますが、車両経費の基本的な扱いは共通です

ただし、青色申告では記帳義務が厳しく、使用割合の管理や按分が必須となる分、特別控除や赤字繰越などの税制メリットが得られます。

一方の白色申告は、記帳の自由度が高い反面、節税効果は限定的であるため、制度の違いを理解し、適切な処理を行いましょう。

配偶者名義の車の経費処理でお悩みの方は専門家に相談

配偶者名義の車を経費にする場合、判断や処理を誤ると、税務調査で否認され、追徴課税などのリスクを伴います。

名義、使用割合、証拠書類、支払い実態など、多くの要素を適切に整備する必要があるため、自己判断だけでは対応が難しいケースが多いでしょう。こうした複雑な処理に不安がある方は、税務の専門家への相談をおすすめします

小谷野税理士法人では、個人事業主やフリーランスの経費処理に関する豊富な実績をもとに、実務的なアドバイスを提供しています。配偶者名義の車に限らず、経費に関するお悩みがある方は、ぜひ一度小谷野税理士法人にご相談ください。

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
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