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家族名義の車は経費にできる?個人事業主が知っておきたい会計処理と注意点

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家族名義の車は経費にできる?個人事業主が知っておきたい会計処理と注意点

個人事業主として仕事をするうえで、車は業務に欠かせないことも少なくありません。しかし、その車が自分名義ではなく、配偶者や家族名義だった場合でも経費として認められるか、疑問に思う人は多いでしょう。税務上の取り扱いを誤ると、後の申告で思わぬトラブルにつながることもあります。この記事では、経費計上の可否や、経費として認められる範囲、注意点などをわかりやすく解説します。ぜひ最後までお読みください。

家族名義の車でも事業用として経費にできる?

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個人事業主として車は移動や配送などに欠かせない存在ですが、事業で使う車を経費にするためには名義が個人事業主本人である必要があります。

しかし、生計を共にしている家族の名義の場合、条件を満たせば経費として認められるケースがあります。例えば、夫名義の車を妻が使う場合や、子どもや親などの家族の車を活用している場合は使い方と条件によって経費計上が可能です。

経費として認められる条件

家族名義の車を個人事業主の経費として計上するためには、実際に事業で使用していることを客観的に証明できる必要があります。

単に家族が所有しているだけでは経費として認められませんそのため、どのような業務に使用しているのか、どのくらいの頻度や距離で使用しているのかを記録し、実態に即した説明ができるようにしておくことが大切です。

また、生計を一にしている家族であることも前提となります。これらの条件を満たすことで、名義が自分以外でも、使用実態に応じてガソリン代やメンテナンス費用などを経費に含めることが可能です。

生計を一にする家族とは

ここで言う生計を一にする家族とは、必ずしも同居している必要はなく、生活費の援助や仕送りなど、経済的なつながりがある関係を指します。例えば、単身赴任中の夫に生活費を送っている場合、修学や療養のために別居している家族への仕送りなども含まれます。

一方、たとえ同居していても、それぞれが完全に家計を分け、独立して生活している場合は生計を一にしているとはみなされません。

このように、経費として認められるかどうかは、名義よりも、誰がどのように使っているか、生活面でのつながりがあるかが重視されます。家族名義の車を経費にする場合は、こうした背景を理解しておきましょう。

関連記事:個人事業主が確定申告で経費にできる勘定科目について

車関連の費用で経費にできるもの

個人事業主が事業のために車を使う場合、車両の購入費用はもちろん、維持・管理にかかる日常的な支出も対象になり、費用の大部分は経費として計上できます。

よって、これらを経費として処理することで課税所得を抑えることができ、所得税や住民税の負担の軽減にもつながります。

ただし、プライベートでも使っている場合は家事按分が必要になり、費用によって計上方法が異なりますので注意しましょう。

購入費用やローン・リース料

車両を購入した場合、その金額は原則として一括で経費にせず、固定資産として登録して数年にわたって減価償却します。ただし、購入額が30万円未満などの一定の条件を満たせば、一括での経費計上が可能な特例もあります。

なお、ローンで購入した場合は利息部分は経費になりますが、元本の返済分は経費にならない点に注意しましょう。

一方、カーリースを利用している場合は、毎月のリース料を全額経費として計上できますリース料には車両代、税金、保険料などが含まれていることが多く、会計処理も比較的シンプルです。

維持にかかる費用

車にはさまざまな維持費がかかり、例えば以下のような費用が挙げられます。

  • 事業で使った際のガソリン代
  • 有料道路の通行料やコインパーキング代
  • 車検や点検費用
  • 修理代やパーツ交換費用
  • 自動車税や重量税などの税金
  • 自賠責・任意保険料

これらはすべて、事業用に使用した範囲において経費計上が可能ですただし、プライベートでも車を使っている場合は、事業で使った割合をきちんと記録し、その分だけを経費として按分する必要があります。

関連記事:個人事業主の経費比率はどれくらいが適切?経費はいくらまで認められる?

仕事とプライベートで車を兼用する場合

個人事業主の場合、仕事だけではなくプライベートでも車を使用することが多いですが、発生した費用のうち事業で使った分だけを経費として計上できます。このときに用いられる考え方が家事按分です。

家事按分を行うことで適切な経費処理ができ、税務署から指摘されるリスクを抑えられます。ここでは詳細を見ていきましょう。

家事按分とは

家事按分とは、1つの支出の中に事業用と私用の両方が含まれている場合、事業で使った割合を合理的に分けて経費として処理する方法です。

例えば車の場合、購入費用・ガソリン代・保険料・自動車税などが該当しますが、それらをすべて事業経費として計上することはできません。

事業で使った割合を経費として認めてもらうためには、何をどれだけ使ったのか、プライベートとの区分が必要になります。この割合を算出するために使うのが、次に紹介する計算方法です。

家事按分を計算する方法

家事按分の計算には法律で定められた計算式はありませんが、事業に使用した割合を合理的に算出することが求められます。車の場合には、走行距離または使用日数に基づく方法が一般的です。

走行距離による方法では、1年間の総走行距離のうち、どれだけの距離を事業に使用したかを計算し、その割合をもとに車にかかった費用全体を按分します。

使用日数による方法も同様で、年間の使用日数のうち、事業目的で使用した日数の割合に応じて費用を振り分けます。

どちらの方法を選んでも問題ありませんが、一度選んだ基準は毎年変更せず、継続して使用することが望ましいでしょう。

正確な経費処理と税務対策のためには、どちらの方法であっても、計算の根拠となる走行距離や使用日数の記録をきちんと残しておくことをおすすめします。

関連記事:事務所兼住宅の住宅ローンを経費にしながら控除を受ける裏ワザとは?

家族名義の車を経費にする際の注意点

車にかかる税金

家族の名義になっている車を、個人事業主の事業用として経費に計上する際は、本人名義の車よりも慎重な対応が必要です。本当に事業で使っているのかと税務署から確認されるケースもあり、対応を誤るとトラブルにつながるかもしれません。

よって、ここでは事前に押さえておきたい注意点を説明します。適切に手続きを行うことで、家族名義の車であっても安心して経費として処理することができるでしょう。

領収書などを保管しておく

家族名義の車にかかる費用を経費にする場合、その支出が事業に関連することを証明する書類を保管しておく必要があります。ガソリン代・駐車場代・整備費・車検費用などの領収書やレシートは、必ず保存しておきましょう。

さらに、家族と生計を一にしていることがわかる資料や、車を実際に業務に使っていることを示す記録も、合わせて保管しておくと安心です

これらの資料は、万が一税務調査が入った際、経費計上の正当性を説明する根拠になります。支出の証明が存在することで、家族名義の車であっても、問題なく経費として認められるでしょう。

使用状況を記録しておく

車を仕事とプライベートで併用している場合、どれくらい仕事で使ったかを明確にするために、使用状況を日々記録しておくことが大切です。

そのため、いつどこへ何の目的でどれだけの距離を走ったかといった情報を記録する運転日報や、車両運行記録簿を作成することがおすすめです。これにより、家事按分の割合を合理的に算出でき、経費計上にも説得力が生まれます。

支払者が本人であることを明確にしておく

家族名義の車であっても、実際に費用を負担しているのが事業主本人であれば、事業で使用している車として認められる可能性が高まります。

例えば車検費用や任意保険料、メンテナンス代などの支払いを事業主本人の口座やクレジットカードで行っていれば、実質的に本人が管理・使用している車となるでしょう。

なお、費用の妥当性を客観的に証明するためにも、支払いの領収書や明細書などは保管しておいてください。

関連記事:事業用自動車を導入するメリットとは?自家用車との違いや節税について

個人事業主が家族名義の車を使うときのよくある質問

最後に個人事業主が家族名義の車を使うときの疑問について、それぞれわかりやすく回答していきます。

自宅の駐車場代も経費になる?

自宅兼事務所として使っており、車も事業用に使用している場合は、実際の使用割合(家事按分)に応じて、駐車場代の一部を経費に計上することが可能です

ただし、全額を経費にするためには、車も駐車スペースも100%事業専用である必要があります。

青色申告と白色申告で車の経費処理に違いはあるの?

経費として計上できる内容自体は大きく変わりませんが、帳簿の付け方や控除の面で差があります

青色申告は複式簿記による詳細な記帳と決算書の作成が必要ですが、最大65万円の特別控除を受けることができ、赤字の繰越も可能です。白色申告は簡易な記帳で済みますが、節税メリットは限られています。

車の売却益や下取り時の扱いはどうなるの?

事業用として減価償却していた車を売却した場合、売却価格と帳簿上の未償却残高との差額が譲渡所得として扱われます

下取りに出した場合も同様で、実質的な売却とみなされ、売却時点の帳簿価額と下取り価格との差額を計算する必要があります。

業務で使っている車が事故に遭った場合、修理費や保険金の取り扱いは?

事故による修理費は、事業に関係する部分については経費として計上できます。ただし、保険で補填される場合は、保険金の受取額を収入として計上し、修理費から差し引く必要があります。

関連記事:一人社長におすすめの税金対策は?節税のポイントや経費の範囲について解説

まとめ

個人事業主が家族名義の車を業務に使用した場合でも、条件を満たせば経費として計上することは可能です。ポイントは、実際に事業のために使っていることを証明できること、そして生計を共にしている家族であることです。

経費にできるのは、車の購入費用だけではなく、維持費や保険料、税金など幅広く含まれます。ただし、プライベートとの兼用車であれば、走行距離や使用日数など合理的な基準に基づいて、家事按分を行わなければなりません。

また、領収書や記録の保管は税務署対応への備えになります。安心して経費処理を進めるためにも、日ごろから記録を心がけておきましょう。

正しい知識を持ち、準備をすることで、家族名義の車も経費計上でき、節税にもつながります。不安な点がありましたら、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

経費についてのお困りごとやご相談は、ぜひ小谷野税理士法人までお気軽にお問い合わせください。

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
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