建設業での税理士選びでは、建設業界事情に精通している税理士を探すことが大切です。建設業の税務会計は、一般的な会計と科目や処理方法が異なることから、実績の豊富さも調べる必要があります。この記事では、建設業に特化した税理士と顧問契約を結びたい人へ、選び方や相場、依頼できない業務などについて解説します。
目次
建設業界に特化した税理士へ依頼できること・できないこと
まず、税理士に依頼できることとできないことを押さえておきましょう。一般的に、税理士に依頼できることとしては、無申告や税務調査の対応など、税務に関するものです。
【依頼できること】
- 税理士顧問
- 無申告・税務調査の対応
- 資金繰りの相談・サポート
- 経営のサポート
【依頼できないこと】
- 建設業許可申請書の代行
- 労働保険・社会保険の手続き
- 労災保険の特別加入手続き
- 労働基準監督署による立入検査の対応
- 経営事項審査のサポート
一方、依頼できないこととしては、建設業許可申請書の代行手続きや、労働・社会保険の手続きといった手続きに関するものです。
手続きの代行は、主に行政書士が担当する業務にあたります。税理士は、企業に必要な手続きに関する相談やアドバイスの提供が範囲です。
税理士のアドバイスによって、行政書士や社会保険労務士に相談・依頼を検討する場合もあるでしょう。このようなときは、税理士による紹介や、同事務所に在籍する行政書士、社会保険労務士に依頼することが多いです。
建設業に特化した税理士の選び方|3つのポイント
建設業に特化した税理士を選ぶには、適切な選び方を把握しておくことが大切です。ここからは、以下のポイントについて解説します。
- サポート実績が豊富|建設業許可申請手続き
- 横の繋がりの広さ|行政書士・社会保険労務士など
- 資金繰りの情報に長けている|節税対策の熟知
具体的にどのような意味なのか、内容を確認していきましょう。
サポート実績が豊富|建設業許可申請手続き
建設業に特化した税理士を選ぶためには、建設業許可におけるサポート実績が豊富であるかをポイントにしましょう。建設業許可は、行政に申請する必要のある手続きで、手続きそのものは行政書士が受け持つことになります。
そのため、建設業許可の申請における知識や経験が豊富な税理士から、企業にマッチした行政書士への依頼が必要です。建設業許可における知識が豊富な税理士であれば、正しく申請手続きが行える行政書士を選任することができます。
横の繋がりの広さ|行政書士・社会保険労務士など
建設業の許認可申請においては、行政書士による手続き・サポートが不可欠です。たとえば建設業許可申請手続きを進めたい場合、税理士へ相談後、行政書士や社会保険労務士などへの依頼が必要になります。手続き一つをスムーズに進めるためには、税理士の横の繋がりが欠かせません。特に、手続きの申請・受理には、予想以上の時間が掛かることもあり、効率化は重視したい部分です。
税理士に横の繋がりがあれば、手続きをワンストップで進められるので、企業の成長速度向上にもつながります。税理士を選ぶときは、行政書士や社会保険労務士との繋がりの広さがあるかについても確認しましょう。
資金繰りの情報に長けている|節税対策の熟知
節税対策を熟知した税理士は、キャッシュフローの分析・管理を得意とするケースが多いです。たとえば建設業界の各プロジェクトは、長期間にわたることが多く、その間の資金繰りが経営を左右することがあります。資金の流れを把握し、かつ適切なタイミングで資金調達ができる税理士の存在によって、スムーズな進行・利益の最大化に貢献するでしょう。
その他のポイントについては、以下の記事でもまとめています。建設業界に特化した税理士を探したい人は、ぜひご覧ください。
関連記事:税理士変更での良い税理士の選び方!個人事業主・法人の選定のポイントや失敗しがちな選び方
建設業に特化した税理士の探し方|6つのケース
税理士へ依頼を検討する際は、税理士のみで完結する悩みなのかそれ以外なのかを明らかにすることが大切です。本記事で説明したように、税理士には、対応できる業務とできない業務があります。たとえば、以下のような悩み・改善点をお持ちの企業であれば、それぞれでおすすめの税理士事務所が異なります。
自社の悩み・改善点 | おすすめの税理士事務所 | 理由・注意点 |
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小規模企業のため税理士を利用すべきか迷っている | 記帳代行サービスを提供する税理士事務所 | ・理由 経理業務のみを税理士に依頼できるので価格を抑えられる ・注意点 決算・確定申告の手続きは含まれないことが多い |
大規模な工事の依頼を請けたい | 行政書士が在籍または繋がりのある税理士事務所 | ・理由 行政書士を探す手間や出費を抑えられる ・注意点 行政書士による手続きが必要になる場合は別途費用が掛かる |
企業拡大に向けて専門家によるアドバイスを受けたい | 経営コンサルティングの実績が豊富な税理士事務所 | ・理由 企業成長に効果的なサポートが受けられる 将来予測を踏まえた資金繰り表の作成には税理士の知識が不可欠 事務業務を代行する税理士に比べて社長の意思に沿ったサポート・アドバイスを受けやすい ・注意点 相談回数などによっては別途費用が掛かる |
会計処理や資金繰りが苦手 | ||
企業全体の人材不足を解決させたい | 社会保険労務士が在籍する税理士事務所 | ・理由 働きやすい環境作りのプロ 経営課題に沿ったアプローチができる 数ある補助金や助成金の中から企業にマッチしたものを選考・申請してくれる ・注意点 成果報酬型が多く、内容によっては報酬額が変動する場合がある |
企業に効果的な補助金・助成金について細かく相談したい |
基本業務に加え、会計業務までこなすのは難しいといった場合、経理業務サービスを提供する税理士事務所がおすすめです。ポイントに絞って依頼できるので、費用を抑えることにもつながります。
一方、自社にとって有効な補助金や助成金を調査し、手続きまで依頼したい企業には、社会保険労務士が在籍する税理士事務所をおすすめします。
なぜ税理士に依頼したいのか理由を明らかにすることで、自社に適した税理士事務所を見つけることができるでしょう。
もし、同業の知り合いがいるのであれば、税理士をはじめ、税理士事務所を紹介してもらう方法もあります。どのような業務まで対応してくれるかを聞いた上で依頼できるので、スムーズな顧問契約につなげられるでしょう。
また、税理士が発信する情報に目を通すのも方法の一つです。幅広い分野に関する情報を発信しているほど、専門知識を豊富に有していると考えられます。税理士の探し方や見極めポイントについては以下の記事でまとめているので、ぜひ参考にしてください。
関連記事:税理士の探し方がわからない経営者必見!いい税理士の探し方と見極めポイント!
建築業に特化した税理士の報酬相場

建設業を営む企業が確定申告のみを依頼した場合の相場は以下の通りです。
- 個人事業主:5万~15万円ほど
- 法人:15万~25万円
税理士と顧問契約を結んだ場合、売上が1,000万円未満であれば月額1万~3万円に確定申告料として月額顧問料の4~6ヵ月相当分が加算されます。そのため、年間で合計20万円程度の料金が掛かると考えられるでしょう。
報酬は、税理士事務所によって異なることがあります。そのため、検討の際は複数の税理士事務所のホームページに目を通し、見積を出してもらうと良いでしょう。
関連記事:税理士の相談料について知っておくべきこととは?料金相場と選び方のポイント
小谷野税理士法人なら行政書士や社会保険労務士の紹介も可能
建設業に強い税理士を選ぶときは、業界特有の課題に対応できる実績や知識があるかを確認しましょう。たとえば、建設業許可に詳しい税理士のほか、行政書士との連携サポートがある税理士事務所であれば、ワンストップで手続きが進みます。
また、信頼性の高い税理士を探したいときは、税理士が発信する情報に目を通し、専門性をチェックするのもおすすめです。